(仮題)ヴィークル・メアを求めて/(旧)母父の名で帰ってきた   作:MenoMash

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実馬編
00年代にサラ系とかどないせえっちゅうねん


 かつて私は人間であった。今、私は馬である。名前はまだない。一応、幼名は「千代姫」であるが、大抵の人間は「姫」と呼ぶ。時たま「チヨ」と呼ぶ人間もいるが、然程多くはない。なんの変哲もない馬と言いたいが、非常に残念なことにそうではない。サラブレッド系種の馬である。

 

 ──サラブレッド系種とは、血統書紛失などで血統が不確かでサラブレッドの条件である三大始祖に遡れない馬のことだ。私の場合、母方の先祖に豪サラのバウアーストツク。最近ではほぼサラブレッドなのではと言われているが、血統書がない。人間の雑な管理のせいである。

 

 そう、我が祖父、人間が言うところの母父はヒカリデユールである。

幸いと言っていいのかどうか、私は牝馬である。例えサラ系であったとしても、牡馬よりはどうにかなるのではないかと思う。

 もちろん、元人間としての意識がある私にとって、馬生は辛く苦しいものになるだろう。

 

 母父はサラ系だが、牝系はそれほど悪くはないだろう。母も、二代母も、三代母も、競争成績はあまり良いものではない。

 しかし、四代母トキツカゼは、皐月賞・優駿牝馬の変則二冠、GI馬を2頭送り出した顕彰馬。幼名を「十和田姫」と言い、私の幼名の元は、この高祖母である。

その母、第五マンナはマンナの名で繁殖入りしたロビンオーの仔、更にたどれば第三フラストレート、そしてフラストレート。

 血統だけ見れば完全小岩井なトキツカゼに、元々英国女王の持ち馬であったゲイタイムを配合して生まれた三代母、そこにダービー馬ヒカルメイジを配合した二代母、そして母父ヒカリデユール。

 

 私の生き残り戦略が見えてきたことだろう。

 

 サラブレッドは経済動物である。走らない馬には、基本的に価値がないのだ。普通のサラブレッドでも「さくら肉『本日絞め』・400キログラム」になりかねないのだ。サラ系の私はもっとだ。

 

 しかし、私には最終兵器がある。このブラッドスポーツたる競馬において、最強と言っても過言ではない。これを以てすれば、私はそこそこ走りさえすれば、きっと安泰だろう。だって、牝馬だ。適当なところで繁殖に入れると思う。かつて人間であった私にとっては辛いものになるだろうが、背に腹はかえられない。

 

 ここまで血統を語りながら、頑なに父に触れなかったことを疑問に思う方もいるだろう。どのような良牝系でも、所詮はサラ系に過ぎない私がここまで楽観的でいられる理由たる父が、いったい誰なのか。

 

 

 

──私の父は日本最強のアイドルホース・オグリキャップである。




初投稿の競馬ニワカです。
架空馬やウマ娘二次創作を読んでいるうちに自分でも書きたくなって、書いてみました。

4歳・秋の遠征先アンケート(本編の結末は大きく変わりませんが、ウマ娘編の展開には影響あります)

  • アメリカ・BC(オールウェザー)
  • オーストラリア・メルボルンカップ(芝)
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