(仮題)ヴィークル・メアを求めて/(旧)母父の名で帰ってきた   作:MenoMash

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犬君は本当に頑張りました。


うまのがっこう3

 どうも、リュウールドレです。最近寒いですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私の方は上に乗るのがほとんど犬君になりました。あのベタベタしてくる野郎が触ってくるのも減ったので大満足です。

 

 シールドライオットのアドバイスに従って、よっぽど嫌なときや、よっぽど嫌な相手以外を除いて人間に大人しく従うようにしたところ、うるさいのも痛いのも本当に減った。やっぱりライオットはすごい。これはレースに勝てば勝つほど待遇が良くなる、という話も本当かもしれない。今まで適当に走って繁殖入りできればいいと思っていたけど、できれば快適な環境でストレスフリーなQOL爆上げの余生を送りたいものだし、本気で勝ちに行った方が良いかもしれない。

 

 最近がんばっていることは、上に乗る人間を落とさないこと。ライオットから、人間は振り下ろさない方が良いと言われたから、頑張ってる。犬君だけは今んとこ落としたことないけど。

 上に乗る人間は大半が犬君だけど、たまに違う人間が乗ることもある。ほとんどの人間は男なのに、コタローとそう離れていないであろう年齢の女性である犬君よりも軽いからびっくりする。ちゃんと食べてるのか、私でも心配になるくらい。たまに犬君より小さい人間も来るんだけど、なんか違うかもしれないけど多分子供だしサービスしてあげると、やはりサービスしなかった人間よりもリピート率が高い。子供を相手にするときは優しくというのは、ショショジ兄さんの教えだけど、あいつら本当に子供かな?大きさ的にはそうだけど、やっぱり違う気がしてきた。

 

 人間を振り下ろす回数が減って気が付いたけど、振り下ろさないでいると犬君は褒めてくれる。褒められるのは別にどうでもいいんだけど、おやつをくれるのは嬉しい。

 たまに本当に気分じゃなくて、おやつを出されても動かないでいると、拒否柴とか言われるようになった。ヒトミミ共の雑談によれば、犬君は最近柴犬について調べているらしい。犬でも飼いだしたのかな。

 

 この頃は本気で嫌な時は無理強いされることもなくなったし、走り回りたい時は走らせてくれるようになったのもあってか、過ごしやすくなった。実家にいたときもたまに着てたような服を着せられるけど、最初のはなんか生地とかが嫌で拒否ってたら、別のに変えてくれた。犬君は気が利くし、良いやつだ。おやつにイチゴも出してくれる。

 

 そうそう、最近変わったことがあったんだった。

 なんと、社長が育成牧場に会いに来てくれたのだ。実家にいた時はたまに会いに来ていたけど、ここに来てからは皆無だった。社長は運転手としてコタローを連れてきたようで、久しぶりにコタローに会うこともできた。あの頃と違っておやつはくれなかったけど、私が大人しく社長やコタローに撫でられていると、育成牧場の連中(多分)がすごく驚いていた。別にお前たちのことが嫌いか無関心なだけで、人間全部に対してそうじゃないんだけど?

 社長はコタロー以外に多分初対面の小太りおじいさんを連れていた。菅井彦三郎なる老人は、祖父や兄姉がお世話になっていた人らしい。

 来客はあったけど、私はいつも通り他の馬と競走したり、馬たちの喧嘩を止めに行く。競走はいつもと同じで一番。ここの連中に負けたことはない。喧嘩を止めに行くのは、なんとこいつら自分でごめんなさいが出来ないのだ。周りのやつらも全然止めないし、だから私が止めないといけない。私が尻尾を上げると、周りの馬は静かになる。それでも黙らないなら、唸る。吠えてもいいけど、そもそも大きな声を出すのは好きじゃない。全く手の焼ける連中だ。

 

 

 

 だから、社長と菅井師の会話なんて聞いていなかった。

 

 「あれがリュウールドレですか。一時は手につけようがない癖馬だったと聞きましたが」

 「うちにいた頃は競走馬になれるかも心配なくらい、大人しかったのですが。環境の変化に意外と弱いようで」

 「成程。その辺はナノハナよりもネモフィラと似てますね。ネモフィラよりは大人しいようですが」

 「……では」

 「ええ、うちの厩舎で預かりましょう。どれだけ気性が激しかろうと、ネモフィラよりは大人しいのですから、問題ないでしょう」

 「嗚呼、引き受けていただけて本当に良かった。先生に断られたらどうしようかと」

 「私がお断りしたのはキナダマロンだけですよ」

 「マロンは、まあ…マロンですからね」

 

 そうして、私は知らず知らずのうちに、会ったこともない長姉よりも大人しければ大丈夫だろうということで、栗東の菅井彦三郎厩舎に行くことが決定したのだった。さすがの私も、サッカーボーイ産駒と比べるのはどうかと思うが、そのサッカーボーイ産駒よりも気性が激しいオグリキャップ産駒の姪がいるので、文句は言えないか…




良い方向に馬鹿が発揮された今回。
子供?と疑っていたのは子供ではなく、ただの小さい人です。

4歳・秋の遠征先アンケート(本編の結末は大きく変わりませんが、ウマ娘編の展開には影響あります)

  • アメリカ・BC(オールウェザー)
  • オーストラリア・メルボルンカップ(芝)
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