闇深い世界で…悪化させた日々   作:不良品の主人公

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タイトルのままです。






5月1日

 

5月1日になった。

 

隣で寝ている長谷部を起こさないように身体をずらしながらベッドの横にある携帯を手に取る。

 

10,029,692pt

 

変化が分かりにくいが昨日よりも2万ポイント程増えていた。こうも成果が出ないとクラスを上げる気力も無くなってしまう。やはりDクラスはDクラスだった。池と山内の行動を考えると寧ろ良く残ったと言える。

 

長谷部が起きた。パジャマがはだけてる。

 

 

「んん〜、おはよう陽哉」

 

「おはよう波瑠加」

 

 

まだ寝そべっている俺の背中に乗っかり携帯を見てくる。

いい感触…

 

 

「朝からポイント見てる。やっぱり気になるん?」

 

「ああ…予想通りだった」

 

「陽哉のだと分かりにくいね〜、何ポイント振り込まれたの?」

 

「たったの2万」

 

「うわっ、少なっ、絶対あいつらのせいじゃん」

 

 

長谷部も自分の携帯を見てポイントを確認する。

 

 

「池達がいると体育の授業出づらいだろ」

 

「うん、ていうか水泳は出ない」

 

「それで良い。波瑠加の身体のが大事だ」

 

「そこは精神でしょ?」

 

 

朝食を作り始める。焼き魚とおひたし、すまし汁。

俺が作ってる間長谷部は後ろから覗き込んでいた。

手伝ってくれても良いんだぞ。

 

 

 

朝食を済ませて2人で学校に向かう。

案の定、1年生はポイントの事で話が持ちきりだった。

 

 

「他のクラスはもっと多いみたいだね」

 

「ああ、やっぱりDクラスは一番下なんだな」

 

「の割には陽哉、あまりショック受けてなくない?」

 

「まあな、まだ上がれるチャンスはある。大変なのは変わりないけど」

 

「Dクラスの人達頭悪そうだよ」

 

「その時は別の方法を使う」

 

「…前言ってたやつ?」

 

「そっ、」

 

「…それまでバレなきゃいいけどね

 

 

最後小さな声で呟いた。

 

正直心配なところではある。主に茶柱とか茶柱とか茶柱のせいでバレないかどうかだ。

 

彼女はAクラスへの野望が強すぎる。教師としての使命感や責任感等といった物は持っていないばかりか、過去の失敗を払拭させ失ったものを取り戻す為に、自身の要する生徒をAクラスに昇格させて卒業させるという極めて利己的な考え方しか持っておらず、生徒を導く事が役目である教師の責任を果たしてない。

 

…一応クラスに貢献する姿勢は見せたがどうなるだろうか。

 

 

 

教室に入る。

 

案の定中は大荒れだった。

 

 

「言い逃れしてるんじゃないわよ!!あんた達以外皆が真面目に授業を受けたのよ!」

 

「私達折角我慢したのに…」

 

「ポイントが減った原因はお前ら2人以外あり得無いんだよ!!」

 

「水野月君の警告を無視して皆に迷惑をかけないでよ!」

 

「あんたらのせいで水泳の授業出られなかったんだよ!!」 

 

 

主に女子達が池と山内を責め立てていた。

 

須藤でさえ何とか授業を受けてたのにこの2人のせいでポイントが減ったとなれば怒るのは当然だった。

まあ責め立ててる奴らの大半も本来は授業中に携帯を弄ったり、雑談をしていた奴らなのだが。

 

 

平田が何とか2人を庇っているが焼け石に水だった。

 

 

俺の方を見ると助けを求める視線を送る。 

取り敢えず止めに入ろうとしたら腕を掴まれた。

 

 

「良いじゃん、あいつらの自業自得だよ。陽哉が止める必要無いって」

 

 

長谷部が俺の腕を取っていた。長谷部にとってはあの2人は嫌悪の対象なのだろう。性的に無理といったところか。故にこの状況は彼女にとっていい眺めだった。

 

 

「お前ら席に着け、ホームルームを始める」

 

 

やっと茶柱先生が入ってきた。

 

 

「先生、ポイントが減った原因って池と山内が騒いだからですか?」

 

 

1人が質問する。茶柱先生は溜息を吐いて答えた。

 

 

「その通りだ。授業中の私語や携帯、更に遅刻欠席によりDクラス全員に振り込まれるポイントが減った。全く水野月がこの学校の核心を突く説明をしたというのに、あれがなければ0ポイントもあり得たぞ」

 

 

茶柱先生の言葉にDクラスのほぼ全員が池と山内を睨んだ。2人はその視線に萎縮していた。

 

それから茶柱先生はSシステムの説明をした。Aクラスから優秀な順にクラス分けがされている事を説明されると隣の堀北の顔が歪んだ。

 

 

その後各クラスの成績表を張り出した。

 

 

 

Aクラス 940cp

 

Bクラス 700cp

 

Cクラス 510cp

 

Dクラス 200cp

 

 

それを見てDクラスは絶望する。他のクラスと特にAクラスとは大分差が離れてるからだった。

原作と比べると流石にC、Bクラスに漏れたようだ。

 

Aクラス出ないと希望の進路に就けない事を伝えられるとDクラスの面々の表情が厳しくなる。

 

 

「先生、池達が騒がなければ私達もAクラスになれたと言う事ですか?」

 

「Aクラスは厳しいがBクラス並みにはポイントを残せただろう。その理由はこれだ」

 

 

茶柱先生はそう言うと黒板に小テストの結果を張り出した。上位の方に目を向ける。

 

 

水野月陽哉 100

 

高円寺六助  90

 

堀北鈴音   90

 

幸村輝彦   90

 

櫛田桔梗   85

 

平田洋介   85

 

王美雨    85

 

 

 

となっていた。長谷部は80点。多分原作よりは高いだろう。受験勉強を一緒にした甲斐があったな。

 

そんな中、皆の視線は一番下へと向く。

 

 

 

 

 

一番下に目を向けると

 

 

■■■■ 48

 

■■■■ 45

 

山内春樹 25

 

池寛治  24

 

須藤健  15

 

 

 

となっていた。改めて見ると須藤達の点数やばいな。彼ら以外は点数が上がっている。恐らく授業を普通に受けた成果だろう。

 

 

「平均点は70.5。今回のテストの赤点は35点未満だ。80点以上は取れて当然のテストだぞ。中学の基礎も出来ないとは、退学になる可能性は高いな」

 

 

最下位の須藤が冷や汗をかいた。流石に勉強を教えられなかった為、授業内容が理解出来なかったようだ。

 

 

「それと残念なお知らせだが、このクラスの本来のクラスポイントは50ポイントだった」

 

 

茶柱先生の発言にDクラスは「えっ」と言った表情になる。だったら何故200クラスポイントが振り込まれているのか気になる人も多いようだ。

 

 

 

「この学校は実力で生徒を計る。部活動で活躍した生徒にはプライベートポイントが支給されるだろう。加えて日本の技術に貢献したものはより多くのプライベートポイントが与えられる。

先月そこにいる水野月が入学前だが社会貢献によりとある企業からの発明対価を貰った。この成果を加味してDクラスには150クラスポイントが支給された。水野月に感謝するんだな」

 

 

茶柱先生の言葉に長谷部と高円寺以外の皆が一斉に俺の方を向いた。まだ高校生になったばかりの人間が企業に貢献しているなんてほぼあり得ない話だろう。

 

 

その後、中間試験で最大100クラスポイントが増える事を説明して、茶柱先生は去って行った。

 

 

(俺のプライベートポイントの事を言わなかった…)

 

 

初期の茶柱先生の性格なら言ってもおかしく無いと思ったのだが何故か言わなかった。彼女なりに何か考えがあるのだろうか。

 

 

先生が去っていくと教室に残された生徒は再び池と山内を責めだした。

 

「やっぱりお前達のせいだ」とか「ポイント取り返しなさいよ」と半ば無理難題を言っている。

 

平田と櫛田が止めに入ったが誰も聞き入れない。俺は止めなかった。

 

 

「貴方は止めないの?」

 

 

教室の外を見ていると堀北に話しかけられた。

 

 

「平田と櫛田であれなんだ。俺が入ったところで何も出来ないだろ」

 

「そうね。Sシステムの説明でクラスメイトを納得させられなかった貴方には無理ね」

 

 

そう言うと堀北はそっぽを向いた。

 

池と山内は居づらくなったのか隙をついて教室を出て行ってしまった。

授業に出ないつもりだろうか。中間試験は過去問があるから何とかなるが、期末試験からは駄目かもしれない。

 

 

「ねえ、言われなくて良かったね」

 

 

長谷部が俺の席まで来てそっと呟いた。

 

 

「正直言われると思ってた」

 

「私も。いつ言われないか冷や冷やしたよ〜」

 

 

俺の耳元でコソコソと話し掛ける。教室でその話をされる方がヒヤリとするのだが。

 

 

「でもクラスの人達にも隠しておいた方が良いよ。ほら来た」

 

 

前の方を見ると松下と軽井沢が来た。

 

 

「水野月君、凄い特技あったんだ。何の発明したの?」

 

「最新のAI」

 

「えっ、凄っ」

 

「ねえ、プライベートポイント貰ったんじゃない?あたし金欠なんだ~良かったら少し貰えないかな〜」

 

「駄目」

 

「ええ〜良いじゃん、私達友達でしょ〜」

 

「…皆には内緒だぞ」

 

 

軽井沢が図々しくポイントをせがんでくる。取り敢えず10000プライベートポイントを送っておいた。「他の人からは借りないように」とメッセージをつけておく。松下はそれを無言で見ていた。

軽井沢が去って行くと松下が顔を近づけてくる。

 

 

「ねえ、軽井沢さんどう思う?」

 

「…見たままだと思う」

 

「あれ、他の人からも貰う気だよ」

 

 

俺の冷めた回答に松下は苦笑しながら続ける。

 

 

「嫌われるな。多分」

 

「図々しいよね。私あのタイプ嫌いなんだ」

 

 

結構言うな。女子って怖い。表向きには仲良くしていても陰でこんな事言ってるのか。

 

 

そんなこんなで授業が始まった。池と山内は来なかった。これは来月から0ポイントもあり得るな。

 

 

 

 

 

 

「水野月君」

 

 

放課後になった。長谷部と帰ろうとした俺に平田が声をかけてくる。

 

 

「良かったらなんだけど残ってポイントを増やす方法を皆で考えないかな」

 

「池達2人が授業出ない事にはどうしようもないと思う」

 

「それは、そうだね」

 

「俺と平田はあの2人に嫌われてるから他の人に誘って貰う必要がある。外村とか沖谷辺りが良いと思う」

 

 

櫛田とは言わない。彼女としても本心では2人を嫌っているし、何よりこの早い時期にあまり負担をかけたくない。2人を嫌ってる長谷部が近くにいると自然とそう思うようになっていた。

 

 

「そうだね、その2人にお願いしてみるよ」

 

「そうしてくれ、取り敢えず2人が授業に出て次の中間試験突破しない限りはポイントを増やすなんて無理だな」

 

「そうだね」

 

「取り敢えず俺が部活の先輩から過去問は貰っておく。後は勉強会だな」

 

「うん、明日からやろう」

 

 

話は決まった。ふと隣を見ると堀北が帰り支度をしていた。今日はもうやる事も無いので俺も帰ろうとするとキーンと音がなり続いて放送がなった。

 

 

『1年Dクラスの水野月陽哉君、大至急職員室に来てください』

 

 

 

 






5月1日でした。
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