闇深い世界で…悪化させた日々   作:不良品の主人公

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茶柱先生からの呼び出しです。







呼び出し

 

 

職員室に入る。茶柱先生を探すが見当たらない。

取り敢えず廊下に出て待つことにした。

 

ガラッと職員室の扉が開いた。

 

 

「あれ〜君かな?放送で呼び出された生徒は」

 

 

廊下で待っていると、職員室から1人の女教師が顔を出す。セミロングで軽くウェーブのかかった髪形の教師。

 

Bクラス担任の星之宮知恵先生だ。

 

 

「ねえねえ、佐枝ちゃんにどんな理由で呼び出されたの?」

 

「いえ、分かりません」

 

「分かってないんだ。理由も告げずに呼び出したの?君の名前は確か…」

 

 

予想は出来るが、誤魔化しておく。そうすると星之宮先生は急に考え出した。

 

 

「そうだ、思い出した。水野月陽哉君だね、この前職員室に来た時見たけどやっぱり凄く格好いいじゃん。それに素敵な身体ね」

 

「どうも…」

 

 

星之宮先生は俺を舐め回すような視線で上から下まで見回した。俺の腕を触ったり、胸板を撫でたり、頬に触れたりと色々していた。

 

 

「ねえねえ、もう彼女とか出来た?」

 

「…いますよ…」

 

「えっ、誰なの?もしかして私のクラスの子だったりしない?」

 

「教えられません」

 

「え〜、釣れないな〜もう」

 

 

星之宮先生はそう言いながら俺の頬を突いた。

 

 

「ねえねえ、クラスポイント稼いだんだって?凄いじゃん。それにプライベートポイント貯まってるんじゃない?良かったらBクラスで頑張ってみない?2000万貯めれば好きなクラスに入れるよ?陽哉君とうちのクラスが組めばAクラスになるのも夢じゃないと思うの、ねえそうしない?」

 

「えっと…」

 

「君にDクラスは勿体ないよ〜、Bクラスはいい子が沢山いるよ。Bクラスに入りなよ〜、そうするべきだってっ」

 

「何をやってるんだ、星之宮」

 

 

星之宮先生の勧誘?を受けてたらいつの間にか後ろにいた茶柱先生がクリップボードで星之宮先生の頭を叩いた。正直助かった。

 

 

「あちゃ〜、佐枝ちゃん来ちゃったか〜、これからだったのに〜」

 

「うちの生徒に何をしている」

 

「何も〜、ただちょっと助言してあげただけだよ〜」

 

「ちょっかいの間違いだろ」

 

「ふふっ、助言は助言だよ。佐枝ちゃんこそ水野月君に何をさせようとしていたのかな〜」

 

「大した用事じゃないが、お前に聞かせる内容でも無い。さっさと離れろ」

 

「そうなんだ〜、でもさ〜私思うんだけど〜」

 

 

星之宮先生の眼の色が変わる。

 

 

「佐枝ちゃん、もしかして下剋上を狙ってるんじゃない?」

 

 

何と言うか凄い圧だった。

 

 

「馬鹿を言うな。たかが生徒1人を使って私がそれをやるわけ無いだろ」

 

「そうだよね〜、佐枝ちゃんには無理よね〜」

 

 

凄い闇を感じる。まあ原作をぼんやりと知ってる俺には何があったのか大体分かるが。

それから茶柱先生は星之宮先生と少し話すと俺に生徒指導室に来るように言った。

 

星之宮先生も付いてこようとしたが、その前に1人の女子生徒が俺達の前に立ちはだかった。薄ピンク色の髪の女子生徒。大きなバストと端正で美しい顔立ちが特徴の女子。

 

一之瀬帆波だ。

 

 

一之瀬は俺を見た。一瞬じ~っと見つめられた気がした。が、直ぐに星之宮先生の方に向き直る。生徒会の件で用事があると言った。

 

星之宮先生が行ってしまうと茶柱先生は俺を生徒指導室に連れて行った。そして隣の給湯室に入るように言った。

 

 

「あの、ご要件は何でしょうか」

 

「ふふっ、そうだな、その事何だが取り敢えず給湯室に入れ。ここで待ってれば面白いものが聞けるぞ」

 

「…面白いものですか?」

 

「ああ、だから黙って入ってろ。声を発するな。私が良いと言うまで出てくるな。さもないとお前に何らかのペナルティを与えるかもしれない」

 

 

原作の綾小路ポジだった。いや、一度クラスに貢献する姿勢を見せたからか、若干茶柱先生の対応が優しい気がする。

今の所DクラスがDクラスなのでペナルティが退学でも良いが取り敢えず待機する。

 

給湯室のドアが閉められた。

黙って待っていると生徒指導室のドアが開く音がした。どうやら来たらしい。

 

 

「それで、私に話とは何だ?堀北」

 

「率直にお聞きします。何故私がDクラスに配属されたのでしょうか」

 

「ふふふふっ、くっ…はははははははっ!!!」

 

 

堀北の質問を聞くなり茶柱先生は大笑いしていた。原作でこんな笑いあったっけ?

 

 

「ははははははっ、そうか堀北、お前はそういう奴だったか」

 

「先生、私は真剣です」

 

「くくくっ…すまんな、予想通りの質問だったが予想が当たりすぎてつい笑ってしまった。

堀北、本当にお前は面白い生徒だな。隣に水野月がいると言うのにその質問をするとは」

 

「…彼がDクラスな理由も気になりますけど」

 

 

きっと堀北は開一口笑われて、不服そうな表情をしているだろう。加えて俺の名前を出された。さぞ気分は悪いだろう。

 

 

「入学試験の問題は殆ど解けたと自負していますし、面接でも大きなミスをした記憶はありません。少なくともDクラスになるとは思えないんです」

 

「そうだな、お前の入試の評価だが…」

 

 

ひとしきり笑った後、茶柱先生は堀北の入試の成績や面接での評価を開示した。少なくともその2つに限って言えば高評価であったと。

だったら何故?と堀北が質問する。

 

 

「お前がDクラスに配属された理由だが、企業と同じく機密事項だ。ヒントがその辺に散りばめられてると思うのだが、その前に、お前はDクラスであることが何故不服何だ?」

 

「正当に評価されていない状況を喜ぶ者などいません。ましてこの学校はクラスの差によって将来が大きく左右されます。当然の答えです」

 

「正当な評価?お前の自己評価は随分と高いんだな」

 

 

それから茶柱先生は堀北の学力を認めた上で、学力だけではクラス分けが決まってる訳では無いことを教えた。堀北はそれに対して世の中の常識の話を持ち出した。学力が高い者が上なのは当たり前ではないかと。それに対して茶柱先生はそれが、今の日本が駄目になってる理由であり、最終的に行きつく世襲制を生み出したと言った。

 

 

「勉強が出来る事は1つのステータスだが、この学校は本当の意味で優秀な人間を生み出す為の学校だ。仮に学力だけで優劣を決めていたなら、須藤達が入学出来たと思うのか?」

 

「それは…」

 

 

この学校は勉学以外の部分も評価されている。

更に茶柱先生は続けた。

 

正当に評価されていない状況を喜ぶ人間がいない訳じゃない。Aクラスのプレッシャーは強く、それを受けるなら下位クラスで良いと言う人達もいる。Dクラスにも別にAクラスでなくても良いと思ってる生徒がいるはずだと。

恐らく高円寺辺りを指しているのだろう。長谷部がいるとは言え、俺はC、Dクラスは避けたいと思っていたからな。

 

 

「残念だがDクラスに配属されたことはこちらのミスでは無い。お前はDクラスになるべくしてなった」

 

「…そうですか。改めて学校側に聞くことにします」

 

 

茶柱先生では当てにならないと思ったのだろう堀北が戻ろうとする。茶柱先生はそれを止めた。嫌な予感がする。

 

 

「まあ待て、お前に紹介したい生徒がいる。お前にも関係のある人物だ」

 

「関係…まさか兄さ…」

 

「出てこい、水野月」

 

 

呼ばれてしまった。窓から逃げる事も出来るが後々面倒だ。取り敢えず準備はしておいたのでそのまま給湯室から出る。堀北が驚愕の表情で俺を見た。

 

 

「水野月君っ…、貴方、まさか聞いてたの?」

 

「すまん、聞く気は無かったが全部聞こえてきた」

 

「先生、何故このような事を…」

 

 

何故自分達の会話を聞かせたのかと茶柱先生を問い詰める。

 

 

「そう睨むな。もしお前がDクラスをAクラスに上げたいと言うなら水野月の協力は必要不可欠だ。私の話を聞いて損はないぞ」

 

「…手短にお願いします」

 

 

俺の方を見ながら承諾した。取り敢えず話だけは聞くようだ。嫌な予感がする。茶柱先生が俺の方を向いた。

 

 

「水野月、お前はDクラスと思えない程優秀な生徒だな」

 

「茶柱先生に認めて頂けるなんて光栄です」

 

 

どんな意図があるのか分からないが何故か俺を褒める茶柱先生に取り敢えず無難な回答を返しておく。

茶柱先生は懐から何かを取り出した。

 

 

「入試は満点で首席、小テストも満点。極めつけは入学2日目にはSシステムに気付き3日目にクラスメイトに公表。結果は散々だったがな」

 

「……っ」

 

 

俺の成績が開示されてる。堀北はそれを聞いて苦虫を噛み締めた顔になる。

 

 

「加えて中学の頃最新型のAIの開発をやっていたとある。それも多岐にわたる。他にも小説を出版し、幾つかの作品は国内外で大きく売れたようだな。この学校でも続ける気か?」

 

「腕が鈍らないように続けていけたらと思ってます」

 

「ふっ、そうか。いい事だと思うぞ。お前が何かを作る度にDクラスのクラスポイントは増えて行くだろう。そのまま続けると良い」

 

 

一頻り俺を褒めた後茶柱先生は再び堀北の方を向いた。

 

 

「堀北、今の話を聞いて1つ質問をする。お前は同じDクラスに配属された水野月よりも優秀か?」

 

「……」

 

「答えられないか。4月のお前は勉強以外何もやって来なかったからな。対して水野月は学校の仕組みに気付きクラスポイントを稼いだ。お前にも水野月の優秀さが分かっただろ。水野月はこの学年で最も稼げる生徒だと私は思うぞ」

 

「…だったら何故彼はDクラスなのですか」

 

 

やけに俺を持ち上げる茶柱先生に堀北は質問する。俺には茶柱先生が何を考えているのか分からなかった。

 

 

「ふっ、それはだな、水野月が中学3年で起きたとある事件が関係している」

 

「先生、それを彼女に公表するのは」

 

「何だ、何か問題があるのか。所詮は過去の事だ。構わないだろ」

 

 

俺の過去を堀北に話そうとする茶柱先生を止める。

 

 

「駄目です。もし堀北がCクラスみたいな悪い連中に捕まったら無理やりクラスメイトの情報を自白させられる可能性があります。更に言うと堀北はDクラスに思い入れが無いように見えます。何らかの理由でクラスを裏切り、他クラスのスパイになって俺の情報を公表したら、この狭い箱庭中にあっという間に噂が広がってしまいます。そうなったら俺は友達と共に自首退学します」

 

「自首退学か。私がそれを認める理由が無いだろう。だがそうだな、水野月が想像する事もこの学校ならあり得ない訳では無いか」

 

「……」

 

「となるとプライベートポイントの共有もない方が良いな。堀北にも見せて置くべきだと思ったが退学を恐れないなら仕方無いな…良いだろう、お前の過去は秘密にしてやる。条件として迷わずDクラスをAクラスに上げるために死力を尽くすように」

 

「……はい」

 

「水野月君、貴方幾ら持ってるの?」

 

「企業秘密だ」

 

「良いから教えなさい」

 

「…俺を財布として使うつもりじゃないだろうな」

 

「必要ならそうするべきよ、貴方だってAクラスに上がりたいでしょ」

 

「……」

 

「それに私は無駄遣いする気は無いわ。ポイントの使い方にも自信があるの。全部のポイントを貴方が持っているより幾らか私に預けておいた方が良いと思うのだけれど」

 

「…俺のプライベートポイントを使ってAクラスに個人で上がるつもりか?」

 

「プライベートポイントでAクラスに上がれるの?」

 

「待て水野月、誰から聞いたのか分からないがあまりお勧めしない。仮に1年以内にAクラスに入った所で元Dクラスのお前達は歓迎されないばかりか除け者にされるだろう。Aクラスにいる生徒等は差別意識が強い」

 

「……」

 

「おっと、話が過ぎたようだな、私は職員会議に向かう。お前達2人が手を組めばAクラスも夢では無いと思うぞ。せいぜい頑張るんだな」

 

 

そう言うと茶柱先生は俺と堀北を廊下に出した。茶柱が居なくなると堀北は俺の方を向いた。

 

 

「ねえ、貴方は何故Dクラスに配属されたの?その理由を教えて欲しいわ」

 

「心辺りが無いわけじゃないが、無理だ。理由はさっき茶柱先生に言った通りだ。堀北の実力を信用してない訳じゃない。Dクラスでは片手に入る順で優秀だと思っている。けどこればかりは誰が相手でも答えは変わらないと思う」

 

「…クラスメイトに貴方が大量のプライベートポイントを持っているとバラすわよ」

 

「……」

 

 

堀北ってこんなに脅迫する女子だったっけ?

 

…何だろう。無性に堀北の両手両足をX字に拘束してCクラスの屈強な男子達を呼んで全身をくすぐりたくなってきた。実際にやったら警察送りだからやらないけど。

 

 

「…このポイントは俺の実力でクラスポイントを増やす為には必要不可欠なポイントだ。クラスの為にやれる事はやるからそれで0にしてくれ」

 

「そう、教えてくれないのね」

 

「ああ、あまり言える内容じゃない」

 

「そう、だったら貴方のプライベートポイントをクラスの為に使いなさい。それで見逃してあげるわ」

 

 

…堀北が美少女じゃなかったら嫌悪の対象になってたかもしれない。結構きついな。

 

 

「それと、これは私の連絡先よ。何かあったら呼ぶから、ちゃんと出なさい。出なかったら貴方の明日は無いわ。今日はこの辺にしてあげる」

 

 

そう言って紙切れを渡してくる。そのまま帰ってしまった。

 

入力して携帯を見る。女子の連絡先が多かった。明日からを予想すると気が滅入った。

 

 

「…初期の堀北は結構きついな」

 

 

胸ポケットからボイスレコーダーを取り出す。一応録音しておいた。これを星之宮先生に渡したらどうなるのか。彼女の喜ぶ姿が想像出来る。堀北が行った先を見ていると後ろからポンと肩を叩かれた。

 

 

「陽哉、帰るよ」

 

「波瑠加、待ってたのか」

 

 

振り返ると長谷部が迎えに来ていた。無性に彼女に抱きつきたくなるのを抑えてその手を取る。今日は長谷部に思いっきり甘えよう。

 

 

2人で雑談しながら帰路についた。

 

 

 

 

 







初期の茶柱と堀北が上手く再現出来ない。
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