闇深い世界で…悪化させた日々   作:不良品の主人公

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ほぼタイトル回です。

いや、内容的に若干タイトル詐欺かもしれない。





女子寮の黒い影

 

 

授業開始時、Dクラスの3分の1が空席となっていた。何人かは遅刻して授業に出るだろうが、来ない生徒もいる。

 

出席している生徒も何処か浮ついた様子で授業を受けていた。いつ帰っても良いといった空気がDクラスには流れていた。

 

 

「随分減ったわね」

 

「…そうだな」

 

 

休み時間に堀北は次の授業の準備をしながら呟いた。彼女は真面目に授業を受けてる数少ない生徒だった。

 

俺はそんな中、空席を見る。

顔と名前が一致した程度の生徒が殆どだった。

 

このままだと期末試験では退学者が出るかもしれない。

茶柱先生に脅されるだろうが今回は何をすれば良いだろうか。まあその時はその時だと結論付ける。

 

そんな事を考えていると前の方から声がした。

 

 

「ねえ、昨日寮にいたあの男の人、前も見なかった?」

 

「うん、一昨日もいた」

 

 

松下と森が何やら話し込んでいた。内容が気になり、そっと聞き耳を立てる。

 

 

「部屋に入る私達の顔見回してる…普通に気持ち悪いよね」

 

「うん、そう言えば毎日同じ部屋の前に来てる気がする。何ていうかストーカーみたい」

 

「結構ヤバいよね、誰か狙われてるのかな?」

 

「多分、〜〜号室の人。誰だっけ?」

 

「場所的にDクラスだよね。そう言えばいたよね、影薄い子」

 

 

ストーカー?何か引っかかるような。

会話を聞いて俺は思わずとある席を見た。

 

原作2巻の主要キャラとして登場するあの娘の席。彼女は真面目な生徒なので何もなければ出席しているはずだ。これでいるのならば取り敢えず安心だが。

 

そちらを見る。

そしてもう一度同じ場所を二度見した。

 

 

いない。休んでいるのか?

 

松下の所に行く。彼女は急に来た俺にびっくりしながらも俺を見上げた。

 

 

「松下、その男いつから見た?」

 

「えっ」

 

「女子の階に来ている男はいつから現れてるのか聞きたい」

 

 

女子生徒の部屋を特定している可能性がある。だとしたら今日も出るかもしれない。

 

 

「えっと…先週の終わりあたりからかな、私達が帰る頃にいつもすれ違うの」

 

「どんな奴だ」

 

「小柄で中年ってくらいしか覚えてないけど…、後は視線が気持ち悪いの。私達を1人1人舐め回すように見てくる」

 

「…いつもその男がいる階と部屋番号を教えてくれ」

 

「え、えっと…」

 

 

松下から階と部屋番号を聞き取る。彼女はただ事ではない様子の俺に困惑しながらも教えてくれた。

 

聞いただけでもかなりヤバい奴だ。

確実にストーカーの素質を持っている。

 

原作を思い返す。思い当たるのはあの男。電気屋の店員。

 

慌てて空席の隣の席に向かう。

 

 

「なあ、佐…いや、この席の人っていつから休んでる?」

 

「ん?覚えてねえけど、先週の金曜くらいからじゃねえか?」

 

 

先週の金曜。

 

今は水曜だった。

体調不良では無いだろう。もう治ってもいい頃だ。

かと言って、何らかの理由で学校、強いてはDクラスに行けなくなったのかと言われれば違うと言える。彼女の周りの環境は特に変化無いはずだ。

 

だが彼女は恐らく部屋に引きこもってる。

 

部屋に籠もらざるを得ない状況に追い込まれた?

 

悪い考えが次々に出てくる。

 

常に監視されている。部屋の前、もしくは同じ階で待ち伏せしている。合鍵を作られてチェーンで必死に押さえている。

 

急に思考が回転する。次の教科の先生が入って来た。

 

 

「先生、体調不良で早退します」

 

「ん?良いのかね?」

 

「はい」

 

「陽哉!?」

 

 

さあ大変だ。教室を出て、廊下を駆け抜け、階段を飛び降りる。校舎を出て、寮へと真っすぐに向かう。

 

 

寮の中に入る。一階でエレベーターのボタンを押し、来るのを待つ。

 

エレベーターが来た。即座に乗り、例の階へ移動する。

 

その階に着き、部屋番号を確認する。

 

 

あった。確かに松下が言ってた部屋番号だった。

 

 

だが、ここで即座にチャイムを鳴らすわけには行かない。彼女がストーカーの顔を知らずに引きこもってるとした場合、下手すると俺がストーカーだと思われかねない。

 

エレベーターの横に隠れてじっと待った。

 

いつの間にか上がっていたエレベーターが下がっていた。

 

息を潜めて非常階段の方に隠れる。

 

 

と、携帯が鳴った。

 

 

開くと長谷部からだった。授業を抜けて来たのだろうか。

 

いや、これは不味い。例のストーカーと鉢合わせしたら大変だ。

 

 

『ねえ、何処にいるの?』

 

『〜〜階だ。波瑠加は?』

 

『寮の前にいるの。今そっちに行く』

 

『待て、絶対動くな。寮の外の何処かに隠れろ。今動くのは危険だ。俺がそっちに行くから、通話はそのままにしておけ』

 

『えっ、うん、分かった』

 

 

長谷部を止める。下手に動かれると彼女にまで危険が及ぶ。

 

階段を次々に飛び降り、1階に降りる。寮の外まで移動する。

 

携帯の位置情報を目当てに移動する。寮の前の建物に長谷部は隠れていた。彼女の無事を確認し一度抱き寄せる。そしてその両肩に手を置いた。

 

 

「何故付いて来た」

 

「気になったのっ、陽哉が急に慌てるから。それに陽哉がいないDクラスになんていられないよ」

 

 

俺の様子が気になって心配でもしたのだろうか。

それに篠原達の事か。確かに俺の目が無いと長谷部に色々仕掛けそうだ。

 

 

「俺から離れるなよ」

 

「うん」

 

 

気を取り直して2人で階段から例の階まで上がる。

 

 

「…いた」

 

 

物陰から覗き込む。

 

いる。こんな昼間から来ている。

 

例の部屋の前に小柄な中年の男がいた。

 

男はポケットから何かを取り出すとドアに差し込み始めた。

ガチャガチャと何やら動かしていた。

 

 

…合鍵か!!

 

即座に携帯をそっちに向けて写真を何枚も取る。

 

 

「…警察を呼ぼう」

 

「うん」

 

 

長谷部が警察に連絡を入れた。声を聞かれないよう少し離れる。推定20分は掛かりそうだ。学校に連絡を入れ、施設の警備員を呼ぶ。これなら10分と少しで来られるだろう。

 

男がドアを引っ張っていた。ドアは少し開いている様子。中に何やら話し掛けている。

 

俺はさっと近づいた。胸ポケットにペン型カメラを差し込んだ。手には携帯。

 

男の声が聞こえる距離で録画・録音する。

 

 

「いや、やめてくださいっ!!入って来ないでっ!!」

 

「何でそんな事を言うんだいっ!!僕はこんなに君を愛してるんだっ!!」

 

 

中でチェーンをかけてるのか佐倉の悲鳴が聞こえる。

男はドアの隙間に手を突っ込もうとしている。

 

俺は携帯を連続でフラッシュさせる。

 

証拠も取ったし、そろそろ良いだろう。

 

 

「何してるんですか」

 

「ひいっ」

 

 

俺の低い声に男が振り返る。俺の姿を見て腰を抜かしそうにしていた。

そういやこいつ原作でも綾小路1人にビビってたな。ドアが閉まって男の手が挟まれた。

 

 

「ぐあっ、痛っ、な、なんだ君はっ!!!邪魔をするなぁっ!!!」

 

「女子生徒の部屋への強引な押し入り。ストーカー行為ですね。警察も呼びました。証拠もあります。貴方は終わりです」

 

 

携帯を見せつけながら男を挑発する。

 

 

「なっ!!何をっ!!僕はストーカーじゃないっ!!」

 

「なら警察に掛け合ってみますか。貴方が有罪か無罪か裁いてくれるでしょう」

 

「そ、その携帯を渡せっ!!」

 

「渡しますよ。警察に、ですがね」

 

「ふざけるなっ!!!」

 

 

男が震えだした。怒りで恐怖を上書きしている様子。

 

 

「う、うわあああっ!!!」

 

「っ…」

 

 

瞬間、ドアから手を引き抜いて男が突撃してきた。

左隣から長谷部が前に出ようとする。構えからして蹴り飛ばすつもりらしいが危険だ。彼女を腕で制し俺が前に出る。

 

俺は焦らず突撃していた男を捉えた。

 

その正面からカウンターの蹴りをくらわせる。鈍い音がする。男が吹き飛んだ所を更に上半身を蹴り飛ばす。 

 

男は頭をドアにぶつけ、仰向けに倒れ白目になりかけた。

 

 

「う、うぐっ、あ、ああああ…」

 

「警察が来るまでそのまま倒れてろ」

 

「う、うるせえんだよ…」

 

 

男が懐から何かを取り出した。

キラリと光るそれ。刃物だった。

 

やはりな、持ってるんじゃないかとは思ったよ。

 

それを出させる為に手加減したんだ。

 

 

「うおおおおおっ!!!」

 

 

怨念で無理やり立ち上がり俺に刃物を刺そうとする男。

 

避ければ長谷部に刺さるので避けられない。見ている誰もが俺が刺される光景が見えた事だろう。刃物というのは持ってるか持ってないかで簡単に力関係をひっくり返すほど脅威だった。

 

だがそれが何だと言うのか。中学生の時の俺でさえとある施設の職員や警備員の集団を一網打尽に蹴散らしてきたのだ。

こんな身体能力の低い男が1人、刃物系の武器を持ってた所でやられる気はない。この身体を舐めすぎだ。

 

即座に俺は男の手首を蹴り飛ばし、ナイフをはたき落とす。男が痛みで蹴られた手首を抑える間もなく、そのまま男の顔面に蹴りを入れ、その首に手刀で一撃を入れる。

 

男はバタリと倒れた。気絶したようだ。

 

辺りが静かになった。

 

 

「や、やったの…?」

 

「ああ」

 

「っ…陽哉…良かった」

 

 

長谷部が後ろから震える声を出した。俺が肯定するとそのまま後ろから抱きついた。

 

ストーカーがこんなに近くにいたのだ。無理も無い。俺は彼女を支える。長谷部は脱力しており全体重を俺に預けて来た。

 

気持ちは分かるが、もっと怖かった人がいる。

 

 

「片付けたぞ」

 

 

ドアに向かって声をかける。反応は無い。そのまま無言で待った。

ドアがそっと開いた。チェーン越しに見ている。

 

 

「……」

 

 

彼女は無言だったが、状況を察したらしい。

 

 

「無理に出てくる必要は無い。警備員も警察も呼んだ。後少しで来るだろう」

 

「誰…ですか」

 

「水野月だ。クラスにいるだろ」

 

「水野月…君」

 

 

チェーン越しでは俺達の顔が見えないようだ。佐倉は俺の名前を呟いた。

 

程なくして警備員が来た。俺が倒れてる男を指差す。警備員は倒れてる男を見るとそのまま押さえつける。男は気絶している為、抵抗はなかった。

 

俺はドアの方に向かう。チェーン越しに佐倉が外を、正確には俺を見ていた。長谷部が後ろからそっと顔を覗かせる。

 

 

「ほ、本当に水野月君と長谷部さん」

 

「大丈夫だったか?今の今まで気付いてやれなくてごめんな」

 

「佐倉さん…だよね。平気?何かやつれてない?外に出られなかったんでしょ」

 

 

長谷部が佐倉の顔を見て声をあげる。確かに疲れが見えた。

金曜日から男が合鍵を持っていたとすれば一週間近く出られなかったのだろう。部屋でずっと男に怯えながらチェーンをかけてたに違いない。

 

佐倉には鈍くさい部分がある。連日ストーカーに狙われてるのに何故一度も警察を呼ばなかったのか。恐らくストーカーが怖すぎて頭が真っ白になってしまったのだろう。

 

 

「ど、どうして私がこうなってるって気付いたんですか?」

 

 

俺は事に気付いた経緯を説明する。

松下達が教室で不審者について話してなかったら忘れかけてた。

 

 

「そんな、私の事覚えてくれて…」

 

「…警察が来たら事情聴取に協力してくれ。俺達も一緒に受けるからさ」

 

 

そうしていると警察が来た。俺はペン型カメラを警察に提出した。男が拘束されて連れて行かれると佐倉はようやく部屋から出て来た。

 

出るなり俺の服にしがみついた。長谷部が彼女の頭をポンポン叩きながら背中を擦る。

 

 

茶柱先生が学校から呼ばれた。彼女は非常に苦い顔をしていた。仮にも教師なんだから後処理くらいは面倒臭がらないでやって欲しい。

 

 

警察の事情聴取は長引いた。佐倉の証言と俺の写真、動画で、ストーカー行為、及び刃物を使用した暴行は証明された。そして男が持っていた合鍵、更にはチェーンを削る為のヤスリが出て来た為、連日のストーカー行為は明らかになった。

 

佐倉は警察にも怯え、ずっと俺の腕にしがみついていた。長谷部は呆れながらも事が事なので彼女の背中を擦っていた。

 

事情聴取が終わると佐倉は糸が切れたように倒れた。慌てて佐倉を支え、帰りの車に乗せた。

 

 

「…ヤバかったね」

 

 

帰りの車で長谷部が呟いた。

 

 

「ああ、気付かなかったら他の女子もやられてたな」

 

「…うん、事が急過ぎて頭がついて行けなかった」

 

 

今回狙われたのが佐倉なだけであって他の女子が狙われない保証は何処にも無かった。何とか事が重大になる前に処理出来てよかった。後少し遅かったら佐倉はやられてただろう。

 

 

「陽哉」

 

「うん?」

 

 

隣で座っていた長谷部が俺に寄りかかって来た。俺はそれを受け入れる。

 

 

「本当、無事で良かった」

 

 

彼女が放った短い一言。しかしその言葉には重みがある気がした。

 

 

 

 

翌日から佐倉は学校に来るようになった。

 

しかし男子とすれ違う度にビクッと震えたり、異性から距離を取ったりと明らかに男性恐怖症の症状が見え隠れしていた。

 

俺はそれを見ながらも彼女に情が湧きすぎないように見て見ぬふりをしていた。

 

しかし休み時間になると佐倉は俺の所に来るようになった。昼休みも長谷部と3人になるが一緒に過ごすようになっていた。長谷部は佐倉を邪魔にはしなかった。

 

俺達がクラス移動した時が心配過ぎるが仕方無かった。放課後も、俺に講師を頼みに来る須藤や松下、三宅に混じって何かと一緒にいるようになった。

 

そんな落ち着かない日々を過ごす中、期末テストを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

「速筆ですね」

 

 

7月の終わり頃、銀髪を揺らしながら椎名が俺の書いた小説を受け取る。1作目は6月中にとある先生に掛け合って出版社に提出し、更なるポイント稼ぎの為に2作目を書き終えた。俺の小説を書く速さに椎名も驚いていた。3年生の先輩にも送ってある。

 

 

「水野月君の想像力は凄いですね」

 

「妄想だけは得意だからな」

 

「空想ですよ」

 

 

微笑みながら俺の言葉を修正する。確かにそっちの方が聞こえが良い。

 

 

「龍園君から聞きました。あの期末試験対策の模擬試験と解説、水野月君が作ってくれたんですね。凄く分かりやすかったです」

 

「役に立てたか、良かった」

 

「はい、龍園君がそれを使って勉強会を開いたんです。これが出来るようになるまでは帰るなって言ってました。今回は私も勉強会の講師役になったのですが比較的スムーズに進みました」

 

 

滅茶苦茶捗りそうだな。恐怖的な意味で。反面家に帰ったら疲れてやる気が無くなりそうだけど。

 

 

「お陰で最下位の人でも平均60点近く取れてました」

 

「石崎達が…上手く山勘が当たったな」

 

「Dクラスでは勉強会を開かなかったのですか?」

 

「ああ、皆個別でやってたな」

 

 

実際のところしっかりと対策した人は少ない。1、2夜漬け程度で済ませた人達もかなりいるだろう。俺が満点取ったにも関わらず、今回の平均点は40点前後だった。Dクラスの大半が30点台に密集していた。

 

お陰で赤点はいなかった。一番下は21点だった。休んでた奴らは殆ど勉強してなかった。

 

 

「来月も読めると思うと楽しみですね」

 

「次は9月くらいだと思ってくれ、流石に書ききれない」

 

「夏休みですから捗るのでは?」

 

「俺にも色々あるんだ。主に部活関連でな」

 

 

主に運動部やらロボット研究部が俺を大会に引きずり出そうとしている。夏休みの課題は彼らを全国大会に連れて行くことになるだろう。大会で優勝すればプライベートポイントが貰えるはずだ。

 

 

「忙しそうですね。ですが休息も必要ですよ。水野月君のスケジュールは私から見てもハード過ぎます」

 

「…移籍すればある程度解決すると思ってる」

 

 

実際には龍園にこき使われる可能性が高いから逆に忙しくなるかもしれない。それでもDクラスにいるよりは大分マシだろう。

 

 

「ふふっ、そうかもしれませんね。楽しみです。でも1つ覚えていてください」

 

 

そう言うと椎名は懐から一冊の本を手渡して来た。

 

 

「これは私からのお薦めです。是非読んでください。例えどんなに忙しい時でも、本を数ページ読むくらいの時間はありますよ」

 

 

柔らかく微笑んだ。

言われてみればそうかも知れない。少しゆとりを持って動いた方が良いかもしれない。

 

椎名は俺に何冊かの本を紹介してくれた。ライトノベル以外の作品はあまり読んで無い為少し楽しみになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7月最後の日になった。俺はロボット研究部の先生に呼び出されていた。

 

 

「水野月君、君が契約している企業からの対価が来た」

 

 

なんと6月前半で企業宛に提出した2つの作品が即採用されており、その成果も充分以上だったらしい。企業からの報酬とお礼文が来ていた。

 

 

「凄い金額だ。他にバレないようにな」

 

「ありがとうございます」

 

「確か君はプロテクトポイントはもう必要無いんだったな。約束通り報酬は全てプライベートポイントに還元しておいた。これでも控えめだとは思うが金額が多いから管理には気をつけてくれ」

 

「はい。先生、企業とのやり取りを代わっていただきありがとうございます。これからも先生にお願いしてもいいですか」

 

「勿論だ。その代わりにロボット研究部を盛り上げて貰うがな」

 

「任せてください」

 

 

大量のプライベートポイントを受け取った。今回俺はこの先生に頼んで報酬のプライベートポイントをプロテクトポイントには還元しないように頼んだ。プロテクトポイントが重なってもあまりいい事無いからな。

 

 

「それとこれは企業からのリクエストだ」

 

 

更に追加で企業からの新製品の催促が来ていた。どんな製品を求めているかが分かれば次も作りやすい。

 

俺はその封筒を受け取り、プライベートポイントを確認する。

 

 

51,197,574pt

 

 

2人移籍分のポイントが揃った。

 

クラスポイントにも反映されるだろうが、今月のDクラスの荒れ具合からして相殺されてクラスポイントは増えないだろう。クラスメイトにバレる事なくプライベートポイントを増やす事が出来た。

 

さて、どうしたものか。

 

今すぐ長谷部を呼んで移籍する事も可能だ。そうすれば夏の特別試験を龍園クラスで参加出来るかもしれない。

 

しかしただでさえ悪目立ちしている龍園のクラスが移籍の件で他クラスに警戒されると面倒だった。

 

 

取り敢えず龍園に連絡を入れる。『移籍用のポイントが揃った、いつ入れば良いか』といった内容を送信する。

 

直ぐに返信が来た。『早いじゃねえか。夏休み前の試験が終わるまでは待ってろ』と帰って来た。

 

流石龍園だ。

 

期末テスト前に各先生から告知された夏のバカンスが、ただのイベントでは無いことを察している。加えて俺をDクラスのスパイとして使うつもりだろう。立ち回り次第では龍園クラスを大勝させる事も可能だ。

 

だが、あまり勝たせ過ぎると龍園のクラスに俺達が必要無くなってしまうかもしれない。

 

 

さて、どうしたものか。

 

携帯のロックを厳重にしながら俺はこの夏どうするか考えていた。

 







7月が終わりました。
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