牢屋敷に来て二日目の夜、ハンナさんと夕食を共にした後、医務室の先から玄関ホールに繋がる廊下で私は不思議な現象を見ました。
この廊下はステンドグラスの窓が敷き詰められていて、1枚だけ外の景色が見える普通の窓があります。先を歩くハンナさんがその窓の前を通ったとき、
……あれ?今、私が見たのって……
「ハンナさんストップ!」
「はい?」
「この窓まで戻ってきてくれませんか?」
「?」
ハンナさんは首を傾げながらも窓の前に来て、私は窓にうっすら映るハンナさんを見ます。
あれ?普通のハンナさんです。
私は窓にハンナさんが映るよう周りをうろうろしていると、
「ちょっと、何の用か説明してくれてもいいんじゃありませんこと?」
と、しびれを切らして尋ねてきます。
「実はですね、ハンナさんが先ほど窓の前を通った時、窓にハンナさんの頭がマネキンの頭みたいなのっぺらぼうになって映ってたんですよ。」
「はぁ?のっぺらぼう?」
ハンナさん自身も窓の方を向き、自分の映る姿を確認します。
「のっぺらぼうなんて映ってないじゃない、窓には気高くて高貴なわたくしが映っているだけですわ。」
「どうやら……、そうみたいですね……。」
「まさかあなた、まだ寝ぼけてるんじゃないかしら?」
「そんなことありません。ぱっちりしゃっきりしてますよ!」
「なんであれ、きっとあなたの見間違いですわ。」
そう言って、ハンナさんが歩き始めたので、私も並び歩きます。
「わたくしの顔がのっぺらぼうになるなんて、魔法でもない限り、そんな非科学的なこと起こるわけありませんわ。」
「そうなんですけどね~?いや~、殺人事件が起こるという屋敷に捕らわれて、怪奇現象にも遭遇することができるなんて!夢がかなって幸せ者ですぅ~!」
私がルンルンと歩いていると、ハンナさんが急に足を止めます。
「一応確認ですけれど……、実はわたくしの顔ってのっぺらぼうだったりしないですわよね。」
そう振り返ったハンナさんの顔は……
「だーいじょうぶです!かわいいかわいいハンナさんのお顔ですよ!」
そう言うとハンナさんは頬を少し赤らめ、
「ま、まぁ?わたくしの顔がかわいいなんて、とーぜんですわ!」
ふん!と鼻を鳴らし、上機嫌になっていました。
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夜の自由時間が終わり、就寝前。長めのお昼寝をしたといっても、生活リズムを崩すのはあまりよろしくありません。ベッドに入って睡眠体制に入ります。
私が見たのっぺらぼうは一体何だったんでしょうか。のっぺらぼうに見えたのはあの一瞬だけですし、窓に何か仕掛けがあるって訳ではないと思うのですが……。ふ~む、聞き逃してしまっていましたが、ハンナさんが言っていた、
私はベッドを降りて、机に置いた手帳を手に取ります。簡単に「不思議ファイル」と題をつけて、次の一文を書き込みました。
・一階の窓で見たのっぺらぼうは、