ゼンゼロ探偵もの概念 作:オルペウスペロペロ
「では、邪兎屋の皆様失礼します」
指定されたホロウ内にて見つけたスタッシュケースにはボイスレコーダーとディニーが入っていた。
ボイスレコーダーの内容は紛れもなく私たちに当てられた仕事の概要であった。
簡単なお使いで相手が指定したホロウ内部から荷物の回収をするだけというもの。
依頼人からは仕事が完了次第前金以上の多額のディニーの振り込みが約束されていた。
だが長年の経験からだろうか
「やっぱり、臭うわね」
「え、ニコの親分俺やっぱり臭うか!?整備中に零したオイルが付いた服、着替えたほうが良かったか!?」
「ビリー、ニコが言っている臭うということはそうじゃないと思うわ。」
「そうなのか?」
いつもながら私の私の後ろで騒いでいるビリーと冷静なアンビーを横目に私は今の状況を考えていた。
「ニコ、やっぱりこの依頼怪しいと思う。簡単なお使いで報酬のディニーがこんなにあるのは怪しいわ。」
アンビーが言ったことは私が思っていたことと同じであった。
だが、だがしかし。
「怪しいのはわかってる。最悪治安官にお世話になるかもしれない。それでも今の私達はディニーが必要なのよ!」
そう、現在というか年がら年中邪兎屋の資金は危うい状態である。だが金欠にならないよう色々な保険をかけているのだが、運悪く機能せず、家賃、電気、その他もろもろの借金の支払期限が迫ってきていた。
そう、なりふり構ってられない時に前金ありの仕事を見つけ、依頼内容は指定場所でということでちょっと怪しいと思っていたが。
本来なら危険な橋は渡らないよう気をつけているが目の前にあるディニーから今も目を離せないでいる。
だがこの依頼に関わるだけでもリスクもある。
そうして1つの結論に至った。
依頼は受ける。
依頼完了後は知らない。
と、なれば。
「ここを出てルミナススクエアに行くわ」
「ルミナススクエアってことは、ニコ親分あの人のとこか?」
「そうよ!この前金で依頼の背後を探ってもらうわ」
「今回ばかりはその方がいいかも」
目指すはルミナススクエア「バートン探偵事務所」。
場所は変わってルミナススクエアのとあるビルのエレベーターを降りた。
廊下の先に目的の探偵事務所があるのだが。
「相変わらずねぇ」
「相変わらずだなあ」
「相変わらずね」
3人揃って同じ様な感想を呟くがその先には、事務所前に置かれた待合のために置かれただろう安い長椅子に力尽きるように倒れている男へ視線を注がれていた。
男の腹の上には普通の猫の数倍デカいデブ猫が掛け布団のように乗っかっていた。
下にいる男は時折「ウゥ」とうなされているようだがそれでも起きること無く寝ているようだ。
この男こそ探偵事務所の所長アッシュ・バートンである。
風貌は短髪の青髪に身体はビリーの様なスラッとしているがヨレヨレのワイシャツから捲り上げた腕を見るにかなり鍛え上げていることが伺える。
特徴的なのが右手の義手だろう。
近づいていくと所長に乗っていたネコが小さく鳴くと降りて事務所のネコ兼ボンプ用出入口に入っていく。
相変わらずよく見る光景だがあの体型でよく出入りできるものだと思っていたらお目覚めのようだ。
「んあ、やべまたここで気絶してた」
「おはようございまーす。所長さん。」
「所長さんまた日雇いの受け過ぎで気絶してたのか?体壊しちまうぜ?」
「所長さん、お目覚めのところでごめんなさい。依頼をお願いしたいのだけれどいいかしら」
アンビーからの依頼という発言から完全に目を覚ましたのか眠気顔が瞬時にキリっと切り替わった。
「依頼と言うことであれば大丈夫ですよ。今日はどの様なご依頼でしょうか?」
「あ、すみませんまずは事務所の中へどうぞ」
やっぱりこの男まだ寝ぼけてるかもしれない。