ゼンゼロ探偵もの概念 作:オルペウスペロペロ
幸せになって欲しいです。
エクスから早く帰ってこいとお叱りを受けながら治安官に見つかると時間を取られるので見つからないよう遠回りしてルミナススクエアまで帰ってきた。
周りはもう日が暮れ仕事を終えたのか帰るために地下鉄に乗る人や車の通りが増え始めていた。
事務所の駐車場にバイクを停め、周りを見渡すと他のテナントの人たちも殆ど帰ったのか駐車場に停めている車は少ない。
ビルの中に入りエレベーターに乗り事務所の階に降りると事務所の俺がいつも寝ている長椅子にキングが寝ていた。
長椅子の殆どを埋め尽くす面積を見て他の猫とは一線を画すレベルだ。
会った時からそうだが日に日にデカくなってきているような気がする。
(リサの可愛がりの賜物かもな)
スピスピ寝る姿は可愛いものでなんだか癒されるものだ。
事務所に入る前にデカい図体を1撫でした。
「シャーーッ!」
こ、こいつ主人である俺に威嚇してきやがった。
サービス精神の欠片もないこの猫であるがエクスには普通のなのに俺の時だけいつもこんな感じだ。
この事務所の中でカーストが低いという実感を感じ気が滅入る。
威嚇してプイッとそっぽを向くと元の姿勢に戻りとキングはまた寝始めた。
(この後エクスに遅くに帰ってきたことについて言われるのも確定してるし、気が滅入るな…)
なんだか重くなった足取りで事務所の扉をくぐった。
「遅くなってすまん、今戻った」
「ようやく戻ったか。お前というやつは出かける度に事件に巻き込まれないと気が済まないのか?」
「そんなわけないだろう。帰るのが遅れたのはすまないと思っている」
「まあいい。私の方で受けた依頼ついてだ」
事務所の対応スペースにある椅子に腰掛け、エクスは対面へ座った。
「お前がバイトへ出た後来客があってな。その依頼人から怪人Wがどうやって治安局の目から逃れる事ができるのかを探ってほしいと依頼があった。」
「確か、ホロウに逃げ込んだ後ホロウを捜索している間に遠くで襲撃してたって話か?」
「そうだ。そのせいで治安局は未だ怪人Wを捕らえることは出来ずじまいだ」
怪人Wが絡んだ依頼がこうも舞い込むと新エリー都でも手を焼いている人間が沢山いるという事を実感してきた。
「そういえば怪人Wに少し前に接触したがあれは見かけは本物に近い物だったぞ」
「なに?怪人Wに接触した?」
(あれ?帰りが遅くなるっていうだけ言って怪人Wと戦闘になったという報告してなかったか)
帰りを急ぎすぎて報告が抜けていたな。
その後怪人Wと偶然出会い、戦闘して逃した諸々を話した。
エクスはその間は黙って俺が話し終えるまで聞いていた。
「色々突っ込みたい所だが、接触したのは私が連絡してから後で合っているか?」
「ああ、間違いないな」
何か考えているのかしばらく腕組みをしたままエクスは固まっている。
「お前に見てもらいたい物がある」
そう言うとエクスの作業スペースに行ってしまった。
後を追いかけるとパソコンと自身を繋げている。
「何の準備だ?」
「私の視覚記録だ」
ポンプの機能として主人の了承があればそのボンプから視覚記録を視聴することができる。
俺に見せたいものというのは何なんだろうか。
しばらく高速で視覚の巻き戻しが続く中でようやく画面が止まった。
その画面には怪人Wと戦っている様子が映っていた。
怪人Wの胸部に強力な一撃を与えたのか身体は少し反っていた。
胸部にはその一撃がいかに強大であったのか物語る跡が残っていた。
どうやら強力な蹴りを食らったらしい。
この一撃を与えた男は身綺麗な高価な服を着ており白色の犬型のシリオンである。
ここからどうなったのか気になる所だが画面は一時停止したまま動き出すことはない。
一時停止した画像のままエクスはコードを引き抜き接続を切った。
「この画像だが、私も依頼主と依頼の際にホロウに出向いた所コイツに出会ったのだ。」
「おいおい、聞いてないぞ!この後どうなったんだ!?」
「言ってないからな。結論から言うと私も怪人Wに逃げられた。そして依頼を受けることにしたのだ」
一体どういう事があったら怪人に会うことになるのか。
改めて画像を確認すると写っている人間は複数いる。
その服装は全員メイド服を着ている。
思えば犬型のシリオンの服装は執事服にも見える。
そして怪人W。
俺も今日会ったばかりだが間違いない。
だが…なんだ?
「エクス、お前たちはコイツといつ会ったんだ?」
「お前に連絡をした数十分前だ。お前が会った怪人Wにはあの蹴りの跡はあったか?」
「…なかったよ。なるほど、言いたいことがようやく分かってきた」
「そうだ。私が会った怪人とお前が会った怪人は別の個体。怪人は複数いるということだ。」
いつの間にか事務所に帰ってきていたキングが大きなあくびをしたすぐ時計が鳴った。
夜が更けてきた時間になったが話はここからのようだ。
「怪人の謎。どのようにして治安局から捕まらずに逃げられたのか。それは怪人は複数いたというのが結論だ。あいつらはホロウに逃げ込んだ後ホロウに潜伏して新しい怪人が別のところで騒ぎを起こしていた」
「俺が会った怪人とエクスが会った怪人はそれぞれ別の怪人だったというわけか」
「ふむ、時間がかかると思っていたが呆気なく終わったな。まさに私の頭脳明晰な倫理コアのおかげだな」
終わったなと一息ついているエクスは新品のエーテル電池を取り出して一服し始めようていたので電池を取り上げた。
「まだ謎は残ってるだろ。怪人は一体なんなんだ。機械人は過去の遺物だ。簡単にポンポン量産できるわけない。なら自立強襲ユニットか、戦った俺にはわかる。」
「…戦ったお前にはわかるか。11年前。
「…その名で呼ばれたことなんてほとんどなかったがな。まあその通りだ」
「怪人についてもおおよそだがわかっている。ある探偵が言っていた『全ての不可能を除外して最後に残ったものがいかに奇妙であってもそれが真実になる』お前が言った通り機械人でも自立ユニットでもない。怪人Wの正体は【ドール】だ。この事件、裏には
Z…バレエツインズのホロウで会ったモニター頭の変人。
あいつがまたかかわってくるのか。
あいつがかかわることは大抵ろくなことにならないだろう。
それだけはわかっていた。
「アッシュ、出る準備だ。次はお前の依頼を終わらせるぞ。」
「…まずは依頼だな。」
同時に椅子から立ち上がる。
「お前が与えたダメージでホロウにまだ留まっているかもしれん。今から出るぞ」
「わかった」
準備でき次第ホロウに出発だ。
「あ、ロッド壊したんだった。」
「そうだ、忘れていたが私が作ってやった発明品を簡単に壊してくれるな」
「そういうならお前と一緒にいた執事とメイドたちは誰なんだ?」
そう反論するとエクスはスンとおとなしくなり黙ったまま固まっている。
「ンナンナ、よくわからンナ。他の装備はいまは整備中だ。今使えるものはこれぐらいか」
エクスがタッチパネルで現在使える装備を提示してくれるがホロウ探索協会から支給される警棒しかなかった。
(というかこいつ都合のいいときだけボンプぶりやがって…)
「仕方がないからお守り代わりに持っていっとくかあとエーテルカードリッジの予備と…」
数十分後、準備を終えホロウに向かうのだった。
その数分後すれ違うかのように探偵事務所に帰ってきた者がいた。
「レナただいま帰還しました。…?キングしかいません」
もう1人がバイト先から帰ってきたが事務所にはキャットタワーでのんびりくつろいでいる大きな猫一匹だけが残されていた。