ゼンゼロ探偵もの概念   作:オルペウスペロペロ

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file2.猫探しは探偵業の基本1

 

 ビルの窓から差し始めた日差しを浴びてアッシュ・バートンは目を覚ました。

昨日も24時過ぎまで日雇いのバイトを終えた後、事務所の扉の前まで着いたが疲れて長椅子に腰掛けて力尽き長椅子で寝ていた。

 

「まじでいつか身体壊しかねんなぁ」

 

 夜遅くまでの現場で重い資材を運んでいたせいか腕が未だにだるいような感じがする。

最近は探偵業の依頼もなければエクスからの依頼もない。

そのため日雇いの依頼を受けて日々の生活の足しにするほかない。

生きていく上でディニーは必要なのだ。

どこぞの何でも屋の社長さんほどがめついわけではないが、事務所の家賃や食費、電気代などディニーはあればあるほどいいものだ。

 

 そんなことを思い耽りながら外を眺めていたが人通りが増え始めてきた。

頭が覚め始めてきたのでそろそろ事務所に入ろうと思いポケットからカギを取り出し事務所の中に入った。

 

「今戻ったぞー」

 

 事務所を見渡すとすぐ横のキャットタワーのお気に入りのスペースでキングがスフィンクスの様な出で立ちで眠っている。

器用に寝るもんだが相変わらず図体がデカすぎる。

また太ったか?というかキャットタワーに乗っているのが奇跡に感じる。

奥の作業スペース横にあるボンプの充電スペースに相棒のエクスが充電中になっていた。

いつもどおりの光景を流し見しつつ自分の所長席について一息ついた。

 

 ブラインドをコードを上げ日差しを浴びながら扉側の壁にかけてある予定表を何気なしに眺めたときエクスからの伝言に気がついた。

 

【依頼有り。11時に依頼人来訪予定】

 

「まじか」

 

久々の依頼に驚いたが、何より

 

「クリーニング出したスーツあったかな」

 

 今着ているよれよれのスーツよりマシなものを探し始めた。

 

 

 うちは探偵業をしているがはっきり言うと新エリー都において稼げない業種と言っても差し支えないと思っている。

何故かと言うとインターノットで依頼を出せば大概のことは解決するからだ。

 ホロウレイダーからプロキシ、更には何でも屋から情報屋がインターノットに張り付き依頼を受けていくのだ。

事件性のあるものは治安官の管轄だ。

探偵が出てきて解決するなど映画の中だけの絵空事である。

事務所だけ小奇麗に構えている名無しの弱小探偵というのが現実だ。

そんな探偵に依頼があるのかというと。

 

 結論を言うと猫探しなどの何でもない依頼がほとんどである。

 

 

「猫探しですね」

 

「ミーちゃんがねまた帰ってこなくて一日たったの!きっとおなかをすかせてるわ!」

 

「わかりました。お手数ですがまたミーちゃんの写真のデータなどありますか?できれば最近撮られた・・・」

 

 

 

 数分後

 

 

「ミーちゃんのことお願いね!見つけたらすぐ連絡してね!」

 

「ええもちろんです。すぐ連絡いたします」

 

 事務所から退出する依頼人を見送り所長椅子に背を預けた。

 

「猫好きなのはいいが構いすぎてまた逃げ出したみたいだな」

 

 依頼人からの猫探しを受けるのはこれが初めてではない。

探偵事務所を開業してからこの依頼人から猫探しを請け負ってきた。

 

「猫にとっては気の毒だが依頼は依頼だ」

 

 依頼人を外まで送ってきたエクスが帰ってきた。

 

「おまえはこういうのはお得意なんだ。さっさと見つけてこい。私はまた作業に戻るぞ」

 

 そういうとポテポテと自分の作業スペースに戻ろうとしていく。

 

「そうなんだが、簡単に言ってれるなあ」

 

「ああそれと、リサがバイト先からもらった賄いが冷蔵庫に入ってるぞ。この事務所で生ものを食べるのはお前だけだからな」

 

 そういうと作業スペースに籠ってしまった。

冷蔵庫を開けると魚の切り身が入っていたのでいただいてから猫探しを始めることにした。

 

 

「この猫ねー。うーん、みてないなあ」

 

「猫はよく見てるけどここには来てないと思うよ」

 

「この辺りじゃあ猫がいる場所と言ったらこことここだね。けどもう片方は路地裏だから時々変な奴らがたむろしててねえ。変な奴らさえいなければ猫ちゃんを愛でれるのになあ」

 

 ルミナススクエアで情報収集して得られた情報から猫の集会場所も変わってないようである。

もう何度も猫を探している経験上まだルミナススクエアからまだでてないだろう。

ルート上猫好きたちの目から逃れることができるところは限定される。

 

「似たような猫見たかも」

 

「どのあたりで見たかうかがってもいいですか?」

 

 ようやく一人の男性から依頼の猫らしき情報をつかんだ。

 

「路地裏にある猫がよくいる場所があるんですけど、そこで見たんだ。最後に見たときは小さな子供がちょっかいを出してたのを覚えてるよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 男性にお礼を言って最後に見かけた路地裏に向かった。

 

「捕まえた」

 

 にゃーんと捕まえた猫は小さく鳴いた。

鳴いた声が悲しそうに鳴いているのはたぶん気のせいだろう。

捕まえておとなしいのは何度もつかまっているためだろうか。

路地裏の猫のたまり場の奥で普段食べているペットフードを持って行って設置して一番に来たところを捕まえた。

 

 捕まえた猫を前回使ったケースへ入れ、依頼人に連絡を入れようとしたその時だった。

ンナとかすかなボンプの声が聞こえた。

 

「ンナ・・・(誰か・・・)」

 

 確かに聞こえた。

聞こえたほうに足を進めると一匹のボンプを見つけた。

壁に寄りかかりったボンプだがどうやら音声機能に障害が障子ているようだ。

 

「どうした、音声機能が故障したのか?」

 

「ンナ・・・ンナナ、ンナ(ご主人様が・・・誰か、ご主人様を助けて)」

 

 傷をみてみたところどうやら強く何かを打ち付けられたのかボンプのフォルムが一部へこんでいた。

どういう状況なのかよくわからんがボンプの話を聞くことにした。

 

「助けてということだが内部配列がおかしくなってるみたいだな。少し待ってろ」

 

 内部配列を直すとボンプは元気に飛び上がった。

 

「ンナナ!ンナ、ンナンナ・・・ンナ!(助けてくれてありがとう!だけどそれどころじゃないんだ、ご主人様がへんなやつらに連れてかれて・・・お願い助けて!)」

 

「どういう状況なんだ?」

 

 飛び上がって起きたボンプが通常以上に揺れるさまを見ながらボンプが言ったことを整理した。

 

「とりあえず本当に君のご主人様が誘拐されたということなら治安局に通報が最優先になると思うが」

 

「ンナ!ンナナンナ!(それどころじゃないんだご主人様はホロウに連れてかれたんだ!ホロウ内安全活動推奨時間が過ぎちゃうよ!)」

 

「おいおい、ホロウに拉致ってのは確かにまずいが、エーテル適応体制がよほどのことがなければ治安局に通報すれば間に合うはずだ」

 

「ンナナ!ンナナン!(ご主人様は子供なんだ!通報してからじゃ推奨時間には間に合わないよ!)」

 

 ホロウ内安全活動推奨時間とは成人した大人を対象にしたものだ。

子供がホロウ内で安全に活動できる時間は限りなく少ない。

 

 そのときここに来ることになった男性の言っていたが脳裏によぎった。

小さな子供が猫にちょっかいをかけていた。

子供がこの路地裏の近くに来ていたのが事実としたらこのボンプが言うようにまずい状況である可能性がある。

 

「クソ!急ぐしかない!」

 

 ボンプと荷物を抱え走り出した。

 

「ンナ!(どこへ行くの!?)」

 

「ここから近くのホロウといえば一つしかない。【バレエツインズ】だ。そこに君のご主人がいる!」

 

 路地裏を飛び出し携帯電話取り出した。

連絡先は相棒のエクスだ。

数コール後つながった。

 

「もしもし、もう依頼が終わったのか?」

 

「バレエツインズのホロウに子供が拉致られたかもしれん。エクス、お前の力を貸してくれ!」

 

「どうやら只事ならぬ様だな?分かったすぐ向かおう」

 

 通話を終えてすぐ事務所に向けて走り出した。

 

 事務所の前に着くと自分のバイクとその横にエクスとリサがいた。

 

「外出の準備完了しております。装備はスタンロッド、AA(アンチエーテリアス)リボルバー。弾薬も補充しております」

 

「急ごしらえの装備だがお前なら十分だろう。話は行きの途中で聞く」

 

 エクスがバイクの横についたサイドカーに乗る。

ホロウに乗り込むための準備はできているようだ。

 

「リサ、ミーちゃんのこと頼むぞ!」

 

リサにミーちゃんを預け、バイクに乗り連れてきたボンプをバイクのハンドル前に乗せた。

 

「飛ばすから落ちないようにつかまってろよ」

 

「ン、ンナワタ・・・(き、君たちっていったい・・・)」

 

「ただの探偵だ」

 

 行き先はバレエツインズホロウへ向かうべくアクセルを踏んだ。

 

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