ゼンゼロ探偵もの概念 作:オルペウスペロペロ
「よし!今日はここまでだ!」
現場で響くひときわ大きい声に作業していた手を止めていく。
まだ作業時間はある筈だが今日は早めに作業が終わった様だ。
近くで作業していた人たちも次々切り上げて帰りだした。
いつもなら自分も変える準備をし始めるところだが、実はつい先日も作業が途中で中止して作業予定が遅れていた。
日雇いの身であるが気になってしまったので撤収していく作業員たちに逆らい近くにいた上司に当たるアンドーさんへ話しかけた。
「アンドーさん」
「ん、なんだ?今日はもうあがってもらっていいぞ」
「すみません、少し気になったことがあったので」
質問されたことが不思議だったのかアンドーさんはこちらに向き直った。
アンドーさんは白祇重工の上の人で俺たち日雇い人の作業員に積極的に声がけしてくれる人だ。
ちょっと重機と掘削について競おうとすること以外は常識人である。
「なんだ?」
「つい先日も作業が途中で終わりましたよね?予定が遅れてるのになんで今日も早く切り上げたのかなと。」
そう言うとアンドーさんはあー、と一瞬周りを見渡した。
周りに人がいないのを確認して珍しく小さな声で教えてくれた。
「お前さんかなりの常連みたいなもんだから教えとくが実は今日届くはずの資材が来てないんだ。そのせいで作業全体的に遅れてるんだ」
「それ不味くないですか?確か来月末には他の案件受けてませんでした?」
「そうだがお前さん、うちのスケジュール詳しいな」
「昨日、日雇いの募集の連絡が回ってきましたよ。もう申し込んだんですけどこの現場終わらなかったら俺は申し込み取消したほうがいいのかなと」
と言うと、アンドーさんは両腕を組みうーんと考え始めた。
「すまんがこっちの現場の進捗の見通しが悪いもんで俺からは何も言えん。また分かったらこっちから伝えさせてもらう」
「そうなんですね、ありがとうございます」
アンドーさんと白祇重工の社員はまだ現場に残って作業の続きをするみたいでアンドーさんはもう行ってしまった。
職業柄気になって聞いてみたが資材が届かないのであれば仕方がないものか。
自分もほかの作業員と同じく帰りの支度を始めたのだった。
いつもよりはやく日雇いのバイトも終わったことだしルミナモールにでもよって帰ろうかな。
ルミナススクエアにつく頃には日は落ちていたがまだモールは営業中に間に合った。
ボンプ用のエーテル電池とか機械人用オイルと常備しているカップ麺でも買って帰ろう。
モールに入ろうとしたときモールの向かい側にある治安局駐在所であわただしく治安官の人たちが出動しているのが見えた。
何か事件でも起きたのだろうか。
帰ったらTVでも見てみるかこの時は何気なく眺めていた。
「エクス、すまんもう一度言ってくれないか?」
事務所に帰ってきてすぐ言われたことに反応出来ず聞き返した。
あまりにも衝撃的過ぎて記憶が飛んだ。
いや、聞いた内容に間違いであってほしい、冗談であるといってほしかった。
「ついに耳まで壊れてしまったのか?なら見てみろ」
買ってきたボンプ用のエーテル電池を俺から奪い取るとエクスはTVをつけた。
TVには「怪人
「私は高級エーテル電池でないと満足できんが今日はこれでよいだろう」
そういうとポテポテと作業スペースに帰ろうとするところを捕まえた。
「ちょっと待てよ、お前が怪人Wが出たとかいうからびっくりしたのによう。で?この怪人Wは誰なんだ?何が目的なんだ?」
言いたいことだけ言って俺の手からエーテル電池をかすめ取ったこのわがままボンプを捕まえボディフレームに力を込めた。
「おおい!暴力はやめないか!リサ今すぐ私を助けろ!私のエーテル理論随一の頭脳が失われてしまうのだぞ!」
なんだか映画で最後にみじめに命乞いをするマッドサイエンティストみたいだな。
「アッシュから殺意を検知しませんでいた。おそらくじゃれあいであると思います」
横のキャットタワーで寝ているキングを観察していたリサがエクスからの救助を拒否したが、俺たちの会話している間一切こちらを見てないので殺意を検知とか言っているが適当に言っているだけである。
俺たちのやり取りに興味がないのかキングの肉球をぷにぷにし始める始末だ。
というか飼い主の俺には触らせてもくれないのにこの猫リサにはあまあまである。
なんだか悲しくなってきた。
リサは表情は変わらないが一年で随分と変わったものだ。
リサの成長を感じつつもいい加減面倒くさくなったのでエクスを放してやるとこれだから脳筋はすぐ手を出すやれやれと全く反省を感じられない。
マジでこいつ一回ボンプ修理センターへ送ってやろうかな。
「あの怪人
そういわれてしまえばそうなんだが。
治安局がもうすでに動いていることだしすぐ解決することだろう。
事実、関係がない以上俺もエクスに追求することをやめた。
その日はいったん怪人Wのことなど忘れて久しぶりにマンションに帰って寝ることにした。
次の日も日雇いのバイトで白祇重工の現場に来ていた。
慣れたものでさっさと作業着に着替え、時刻通りの集合場所へ向かった。
集合場所には俺以外の作業員も何人かすでに待機していた。
作業開始前には白祇重工の誰かしらが今日の作業の予定の指示があるので待っていた。
今日はアンドーさんがやってきた。
「おう、集まってるな。集まってもらってすまねえが今日の作業は中止だ」
予想外のことでほかの作業員たちも驚いてざわめきだした。
中止というのはどういうことなのかアンドーさんからの続きの言葉を待つしかなかった。
「急なことですまない。これまで最近になって作業をはやく切り上げていたが届くはずの資材が遅れてしまってることで作業全体が遅れが出てる状態だ。残りの作業に関しては白祇重工の社員だけで完工することになった。今集まってもらったお前らの日給に関して今日の分は出させてもらう。何か質問があれば残ってくれ」
その言葉を皮切りに何人かの作業員はそのまま帰っていく。
俺も仕方ないのではやく作業が終わってしまったので帰ったらほかの仕事を見つける必要を感じていた。
できれば体を動かす仕事なにかあったかな。
帰ろうとした矢先ふと来月末の申し込みについて思い出した。
せっかくだから聞いてみることにした。
「アンドーさん」
「お、アッシュ。お前さんには話があるんだちょっと待っててくれ!」
突然名前を呼ばれ俺は身構えた。
今まで作業中でも俺の名前なんて呼ばれたことなかったがここにきてなぜ?
単純に以前常連みたいなもんと言っていたことから名前を憶えられたのだろうか。
とりあえず話があるといわれたので待つことにした。
「おう!待たせたな!」
数分後、ほかの作業員が帰っていったあとアンドーさんから声をかけられた。
ほかの作業員には聞かせられないことなのだろうか。
いやアンドーさんの性格的にそんなことないだろう。
「いえ、それで話というのは?」
「おーいアンドー!」
その時後ろから熊型のシリオンのあまり話したことがないため確かでないがおそらくベンと呼ばれていたのを覚えていた。
熊のシリオンは体がでかく力持ちなものが多い。
帰っていった作業員もほとんどが熊のシリオンであった。
というか白祇重工の社員さんも熊のシリオン多めである。
「その人がアッシュ・バートンさんか?」
「そうだぜベン。今から例の話をしようと思っていたところだ」
例の話、というのはなんのことだろうか。
「アッシュさん実はあなたの職業を最近拝見しまして依頼をお願いしたいのです」
「依頼…ですか?」
ベンさんから飛びだした予想外のことに言葉が詰まる。
一体どうことなのだろうか。
「詳しいことはうちの事務所で話させてくれ」
「わかりました」
変なところから依頼を受けることになったが日ごろからお世話になっている身だ。
もし困っているのなら力になりたい。
アンドーさんとベンさんに続くようの後ろを追いかけて行った。
特番内容を変更しました。