零
「ん~(キョロキョロ)何も無いな。どっかに基地でもあれば…」
疾風
「近くに無人島っぽいのは一つも無いな。」
黒いボートの追跡を振り切り客船から離れて数十分後、あれから着の身着のまま適当な方向へ飛行し続けているが、特に何かを感知したわけではなく半ば遊覧飛行をしていた。そうしていると
零
「(ピコーン)ん?なんだ?」
疾風
「どうしたんだ、零兄?」
レーダーから音が鳴り、その方を見ると画面の端に青い家の様なマークが印されていた。
零
「多分、基地だな。」
疾風
「よし!行ってみよう!」
基地と思われる方向へ機体を傾ける。同時刻、ブルーマーメイド日本支部では今回の海賊襲撃及び未確認高速飛行物体に関する緊急会議が行われようとしていた。
??
「国内外にこの飛行物体を作った様な記録は無いと?」
??
「はい。大手企業から中小企業、民間企業や大学の研究室、個人製作の類まで調べましたがそれらしい記録は一切ありませんでした。」
ブルーマーメイド日本支部の執務室で秘書からの報告を聞いていたのは、ブルーマーメイド日本支部のトップである情報室室長の宗谷真霜一等監督官であった。
真霜
「そう、分かったわ。引き続き洗い出しを行ってちょうだい。」
秘書
「分かりました。」
真霜
「さて、べんてんが撮影したこの飛行物体だけど…」
そう言い、手に取ったのは「べんてん」が撮影した九五式水偵の写真であった。
真霜
「二人乗りに日の丸…それにしても、どうやって飛んでいるのかしら?」
ブルーマーメイド職員A
「不明です。うちの飛行船開発部に映像を見せた所、前方のプロペラで前進して左右の翼に風を受けて飛んでいると予想しています。開発部員曰く[見たことのない形状だが、映像から考えるに間違いなく世界各国の試作・開発段階の飛行船を圧倒出来るだけの性能を持っていると言っても過言ではない]との事です。開発部は同機のモックアップ製作許可を申請しています、最も彼女たちが欲しいのは実機か設計図の様ですけど。」
真霜
「まぁ、開発部のモックアップ製作に関しては後よ。取り敢えず、現在の位置は?」
ブルーマーメイド職員B
「不明です。南東方向へ飛び去って以降、消息不明です。」
真霜
「消息不明か…」
ブルーマーメイド職員A
「どうします?手の空いている艦隊を向かわせますか?」
真霜
「そうね。南東方面の警戒態勢を敷いてちょうだい。それとその方位を航行する民間船には可能な限り護衛を付けるか、船団を形成して航行する様に通達を。」
ブルーマーメイド職員A
「分かりました。」
真霜
「さてと、頑張らなくちゃ。」
そう言い立ち上がると、関係役員が待っている会議室に向かった。そして会議室に入り席に着くと会議が始まった。
真霜
「…以上です、何か意見は?」
役員A
「その未確認高速飛行物体、何かしらの名称の様なものは無いのですかな?未確認高速飛行物体では長いような気がしまして。」
真霜
「そうですね。救助された貨客船の乗組員の証言によると機械の様ですので飛行機械と呼称しましょう。」
役員A
「分かりました。ではその飛行機械は、味方と捉えるべきでしょうか?見た所、翼や胴体に日の丸の様な物が描かれているようですが。」
真霜
「それはまだ分かりません。日の丸もただの赤いマークの可能性もあり新しい海賊組織である可能性もあります。ですが、海賊を攻撃し民間人を救出している所を見るに恐らく味方と思われますが、真意は不明です。」
役員B
「何とか彼らに接触出来ないだろうか?もしこの飛行機械がこちらで量産できたならば、官民問わず大規模な発展が見込まれるでしょう。」
役員C
「しかし、どうやって量産するんだ?我々には未知の技術、製造から量産まで何年掛かるんだ?それに彼らが飛行機械の量産許可をしてくれるとは思えんぞ。」
役員A
「う~ん。ホワイトドルフィンかブルーマーメイドで雇用すると言うのはどうだ?」
役員B
「…雇用か。宗谷室長、仮にブルーマーメイドで雇用するとなった場合は雇用自体は可能なのかね?」
真霜
「可能です。ですが、先ずは接触してみない事には何も言えません。」
役員B
「そうですか。ブルーマーメイドとホワイトドルフィンは業務に支障に問題が無い範囲で捜索を。」
真霜
「分かりました。」
会議は終了し解散となった。一般にはブルーマーメイド日本支部とホワイトドルフィンが共同で開発した試作の高速機という事で発表され事態の収拾を図った。
会議終了とほぼ同時刻
零
「見えた。」
疾風
「ZZzzz…」
レーダーに映った基地と思わしき場所には一つの無人島と思わしき島があった。
零
「おーい疾風ー 起きろ~」
疾風
「んあ?昼か?」
零
「なに寝ぼけてるんだ?着いたぞ。」
疾風
「おっ、着いたのか。」
零
「今から着水するぞ~」
疾風
「了解!」
機体を降下させ、ゆっくりと着水させる。
零
「格納庫は…あれか…」
島に近づくと、海岸線にある格納庫とそこから海面下まで伸びたレールがあった。
零
「疾風、上から指示してくれ。」
疾風
「了解。」
翼の上に乗った疾風が機体を上手くレールの所まで誘導する。