「ほぉ……深エーテル鋼か……卸す場所によってはキロ70万はするぞ。ただの企業じゃねぇな」
トリコは改めて話を聞き直し釣りへと意識を向ける。
「え…えっと、そうですね、その大企業とだけ」
歯切れ悪く社員は答える。
「まぁどうせIHOのバカ共だろうが、それはどうでもいい」
「なぁあんた、上司から言われている事は他にないのか?」
「えっと、特には……あっ、そう言えばデッドエンドホロウ内でのエーテル活性が急激に上下しているとの話がありました。」
「そうか……わかった、ならばこのまま出立する」
トリコは立ち上がると体を伸ばし始める。
「 い、今からですか!?」
唐突な出発宣言に慌てていると
「あぁ、思い立ったが吉日、それ以外は凶日ってな、後これやるよ」
トリコが使っていた釣竿をおもむろに社員へと投げる。
慌てながらも受け取った社員はあまりの重さと硬さに悶絶する。
「それ、いいだろ?76ミリの鉄筋にエレベーターのワイヤーが巻きつけてある」
咥えていた葉巻を一息で吸い付くしながらトリコは言い放つ。
「限界張力は40トン!小型のクジラすら一本釣りだ。」
そんなもん振り回してるあんたが怖いわと社員が思っていると
「ちなみにデッドエンドホロウに住まうヌシはコレを割り箸のようにへし折る…!今回の依頼はタフな仕事になるからな。上に報酬は2倍にしろって伝えとけ」
社員はこの仕事を辞めようと決意した。
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時間は流れデッドエンドホロウ内にて
「親分…エーテルが濃くなってきやがった。この先にきっと居るぜ」
「ビリー、あまりフラグを立てないで。最近見たホラー映画でも同じ事を言って死んだ人がいるから」
「縁起の悪ぃことを言うなよアンビー!!」
「もう!うっさいわね!!緊張感持ちなさいよ!」
人の気配がしないデッドエンドホロウに響くやかましい声。
彼女達は邪兎屋、友のため、人の為にこのデッドエンドホロウにやってきた何でも屋だ。
「ニコ、君も十分うるさいと思うんだけど。集音機の辺りであまり叫ばないでくれ」
彼女、ニコと呼ばれた女性の足元には首元にスカーフを巻いたボンプが短い足で一生懸命に歩いていた。
「プロキシまでそんな事言うの!?」
ニコは歩いていたボンプを抱き上げてガクガクと揺さぶる。
ホロウの中でするにはあまりにも場違いな会話だった。
その流れを断ち切ったのはアンビーと呼ばれた少女だった。
「止まって…何か匂いがしない?」
スンスンと鼻を鳴らすアンビー
「俺じゃねぇぞ!!」
オーバーなリアクションを取る機械人、ビリーはお尻に当たる部分を手で押さえている。
「おバカ!機械人はオナラなんてしないって知ってるわよ!……確かに匂うわね、この匂いは……」
「料理の…におい……」
「……!待ってくれ、前方索敵範囲内ギリギリに生命体反応がある!」
警戒が厳となる。
ホロウ内において食事は隙を見せる危険なものだ。
基本的にはエナジーバーやエネルギーゼリー等で補給する。
それなのに鼻腔を擽るこの匂いは出来立ての料理の匂い。
「…警戒して、どう考えてもまともな奴とは思えない」
アンビーがそう言うと電撃ナタを取り出して警戒の構えをとる。
ビリーは二丁の拳銃を構え大げさな動きで構える。
カチャカチャバリバリグチャグチャ
明らかに何かを食している音が聞こえてきた。
想像してみて欲しい、怪物が跋扈するする異質な空間でこんな音が響いてきたらどうだろう。
足元でブルブルと震え
「エーテリアスが人を食べるなんて聞いたことがない……だとしたらあの音は……?」
ブツブツと自問自答を繰り返してしまうだろう。
「…静かに、気づかれるよプロキシ先生」
アンビーは静かに先生と呼ばれたボンプを諌める。
邪兎屋一行は瓦礫の影から音のする方を恐る恐る覗いた。
そこには大柄な男がテーブルの上に置かれていた大量の料理を食べていた。
「大きい……2m以上はある、それにあの体。一見すれば肥満ともとれそうなくらい太いのにあれは全部筋肉。」
アンビーは一目見てあの男が只者ではないと見抜いていた。
「それより、なんであんなところで食事してるのかしら…」
ヒソヒソと話しているが当の本人には丸聞こえであった。
「隠れてないで出てこいって、飯食ってるだけだからよ」
振り向き、こちらを見たトリコの顔はリスのように食べ物がパンパンに詰められていた。
「 目元の傷に青色の髪の毛……もしかして貴方はトリコ…?」
アンビーは目を見開いた。
「なぁ…… 親分、トリコって誰だ…?」
ヒソヒソとニコに聞くビリー
「おバカ&おバカ!トリコって言えば実力なら虚狩りと同等って呼ばれるくらいの男よ!」
スパンとビリーの頭にツッコミを入れる。
「なんだか面白い連中だな、コマツ」
「面白くなんかないですよトリコさん!なんでボクをまたホロウに連れてくるんですかぁ!」
トリコがテーブルの方に顔を向けてるとヨタヨタと料理を運んでくるボンプがいた。
「ボンプが喋っている!?」
ピョコンとプロキシボンプが飛び出すとコマツと呼ばれたボンプの周りをウロウロしている。
「コマツの言語プロセスと感情表現モジュールは弄ってあるからな。それに喋るボンプが珍しいってんならお前も喋るボンプだろ?」
食事を一旦やめ、葉巻を咥えると流れるように指パッチンで火を付ける。
指摘されたプロキシボンプは誤魔化すようにンナンナとぶりっ子アピールをしている。
周りは指パッチンで火をつけたトリコとボンプの中身にいるプロキシ、アキラがンナンナと媚びる動きをしているのを見て絶句していた。
「まぁ、せっかく巡り会えたんだ。飯でも食って話そうぜ」
トリコはニカッと笑い吸い尽くした葉巻の灰を捨て食事を取り始める。
「……せっかくだけど遠慮するわ!ホロウの中で食事なんて訳わかんないことしてる暇ないのよ!」
フンッと鼻を鳴らすがその鼻に伝わってくる甘美な料理の匂いに
クゥ~と可愛らしい音がお腹から鳴る。
ニコの判断は本来ならば正しいがその可愛い反抗的な音のせいで台無しとなった。
「ニコ、栄養補給は大切。それに聞いたことがある、トリコはホロウの中で食事を取っていることが多いし食べている料理は絶品だって」
アンビーは最初から食べる気満々でありお皿にはテーブルに置いてあったハンバーガーをいくつか並べていた。
「あ〜〜もう!少しだけだからね!」
口ではそんな事を言っているが邪兎屋の経営状況からして空腹のデバフがついて回っているニコはテーブルの上の料理に釘付けになっていた。
「私はアンビー、邪兎屋の会計」
「オレはビリー、ポイントマンだぜ!」
「そしてアタシが邪兎屋の社長!ニコ・デマラよ!アンタはトリコで間違いないのよね?」
3人が改めて自己紹介を終える。
「知ってるなら話は早いな、美食屋トリコだ、そしてこいつが俺のコンビ、コマツだ。」
「はじめまして!トリコさんのコンビをやらせてもらってますコマツと申します!」
あまりにも人間くさい喋り方と挙動のボンプが
丁寧に挨拶をしてくる。
「周りの安全はオレと店長が見とくから安心してくれ」
ビリーはプロキシボンプを肩に乗せポーズを取っている。
アンビーがお皿に分けていたハンバーガーを手に持つ。
今まで食べていたハンバーガーとは何かが違う、そう思うほどにそのハンバーガーが輝いて見えた。
「ハムッ……!!なにこれ…!こんな肉汁の溢れるバーガーなんて食べたことない!それだけじゃない、バンズもフワフワなのに小麦の香りがしっかりしてるしこの野菜も!ただ入ってるだけの野菜じゃない!肉にも負けないような強烈な旨味!トマトは酸味も感じるのに引けを取らないような圧倒的な糖度!まるでフルーツ…!え……?私が今まで食べていた野菜は何だったの?腐ってたの??」
アンビーが一口食べると衝撃的な旨味に目を見開く。
「うそ……そんなに?…あむ……んんんん〜??!?何この魚!!!魚よね??衣に包まれた魚…サーモンよね?コレでもかってくらいサーモンの旨味がギュッてなってる!揚げてるはずなのに全くクドくない!むしろこれを揚げた油が凄いわ!!噛むほどに身がほどけて程よい塩味が出てくるわ!それに、衣と身の間にあるソース!うーーん…タルタルソースね!コレも良い!最高だわ!」
アンビーとニコは人生初めての新しい旨味に身を悶えさせている。
「くそぉ!機械人ってのが悔やまれるぜ!」
そんな二人をみてヤキモキとしているビリー……とアキラだった。
「旨い飯は皆で食えばもっと旨くなる、コマツ!!俺も追加だ!!!!」
そんな二人を見て嬉しそうに見ていたトリコはコマツに追加の料理を頼んでいた。
「ねぇトリコ!!このサーモンは何処で買ったのよ!教えなさいよね〜??」
ニコはお皿を持ったままトリコの隣へと移動してずずいと攻め寄る
「おい、近いな。それにそれはサーモンじゃなくて俺が取ってきたフライドスカイフィッシュだ。高速で飛ぶ揚げられた身の中には極上の白身が詰まっている奴だよ。」
トリコはニコを押しやり説明を始める
「え…? 空飛ぶ魚…?揚げた魚が飛ぶ?」
ニコは突然の情報の嵐により一杯一杯となる。
「…聞いたことがある、IHOが近年発見した特異な魚種。一部の料理店や研究施設でのみ食べることができる魚のハズ…」
「あのバカ共………俺が発見したのを自分の手柄にしてやがったか…」
「ちなみに一部の料理店っていうのは新エリー都の市長やTOPSの上級役員しか入れないお店……つまり超高級…」
ニコの顔がみるみる青くなっていく。
手元には既に食べられたフライドスカイフィッシュの皿が3皿もある。
「あーー…誘ったのは俺だ。気にせず食ってくれ、それにその研究施設とかに卸してるのは俺だからな。好きに食えるもんを分けただけだからよ」
顔色が戻っていく、面白い奴だなと思うトリコであった。
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「それで、ニコ達は何のようでデッドエンドホロウに来たんだ?
一応、一般人立ち入り禁止たぞここ」
一通りの食事が終わりニコ達に目的を聞く
「え…?何の用って……あーーー!!!いけない!!こんなことしてる場合じゃないのよ!!デッドエンドブッチャー!アイツを倒さないといけないのに!!もう!エーテル侵食が限界値まで行っちゃってるじゃ……ない??あれ?侵食値が上がってない…?むしろ下がってる!?」
そう言うとアンビーも自身の侵食値を確認してみたところやはり下がっている。
「あぁ、それはコマツのおかげだな。コマツが作る料理を食べるとエーテル侵食の進行を抑えて抑制されるんだ。」
「トリコさんが持ってきてくれる食材を使った時だけですけどね」
ンナンナと包丁を研ぎながら答え
「そう……なの?もう色んなこと起きすぎて驚かないわよもう、でも助かったわ!トリコ!栄養補給も出来たしデッドエンドブッチャーなんて軽く捻れそう!」
「感謝するわトリコさん、補給は大事だから」
「店長……俺達蚊帳の外だな…」
「あぁ…生身でここに来れないのが悔やまれるよ」
若干いじけている2名がいるが女性陣は大満足なようである。
「デッドエンドブッチャー……奇遇だな、俺も目的地はそこだ」
ガブリと葉巻を咥え
「俺の依頼はデッドエンドブッチャーの住処の先にある鉱脈だ、コレも何かの縁だ、同行しよう」
「本当に!?やったわよプロキシ!!トリコがいれば勝ったも同然よ!!!」
ニコはボンプを持ち上げくるくると回っている。
「…トリコさん、何か不安があるの?」
アンビーは楽観すること無く想定を重ねトリコに聞く
「……どうもきな臭い、デッドエンドホロウにしてはエーテリアスの数が少なすぎる。それに出てくる上級エーテリアスも本来ならば奥地に住まう個体ばかりだ……」
「つまり…何かが起きているっていいたいのかい?」
ニコの手から逃れたアキラは疑問をぶつける。
「あぁ…トラブルの匂いだ」
真剣な顔をしたトリコに一同が静まり返る。
「なら、トラブルが起こる前にとっとと倒しちゃいましょ!」
ニコがそう言い席を立ち準備を始めた。
「トリコさん、ナビゲートは僕がやろう。プロキシとして仕事をさせてほしい」
「ん、わかった。目的地まで頼むぜ、パエトーン」
「……!了解だ」
「喋るボンプにリアルタイムでの交信、パエトーンとあまりにも一致してたからな」
トリコは荷物をまとめつつ、クーラーボックスから大ぶりなサーモンらしき物を取り出して齧り付く。
この男、まだ食うのかと周りが呆れるのも気にしない。
「プロキシ先生、ここからの最短ルートは?」
いち早く用意できたアンビーは進行ルートの確認をしていた。
「ちょっと待ってね、……うん、まずはここの裏手側に回って裂け目に入ろう。大きい建物だから迂回に時間がかかりそうだ…」
プロキシが間に合うかどうかの計算をしているときにトリコが出されたルートを確認していた。
「んん…?ここの裏手なら近道で直ぐだぞ」
あっけらかんと答えるトリコ
「本当なのかいトリコさん?僕達のキャロットには裂け目も何も確認できないんだ、教えてほしい」
フッとトリコは笑い壁際まで歩いていく。
「ないなら、作ればいい」
皆が頭にはてなを浮かべている間にトリコは腕を構える。
「3…いや、4だな」
そう呟くとトリコの右腕が膨張していく。
「4連……釘パンチ」
ドゴン!
大きな音を立て壁が大きく凹む
「2…」
ドゴン!!
「3……」
ドゴン!!!
さらに大きく凹み、そのヒビは更に広がっていく
「4…開通だ」
ドゴン!!!!
壁だったはずのものは今崩れ去った。
「おじゃま----」
トリコは気にせずに大穴が空いた瓦礫の向こうへと行くが、
邪兎屋の面々は呆気にとられ動けずにいた。
壊れた壁を見る。
厚さは明らかにメートルは超えており材質は強化コンクリート
重機ですら壊すのに苦労する建材をあの男は拳で破壊したのだ。
「虚狩りに匹敵って……あながち冗談じゃないかも」
そう呟いたニコ達は心から安堵していた。
「「「「味方でよかった〜〜!!」」」」
ノソノソとトリコの後に続いて即席の門を潜り抜けアキラが道を先導していく。
かなりのショートカットが出来た為、友人を助けられる希望が生まれていた。
「(マスター、報告します。エーテル濃度が平均値を吹き飛ばす勢いで上昇しています。)」
「ありがとう、Fairy……みんな聴いてくれ、遂に…お出ましだ」
アキラが皆に伝えながら視線を下に向けると暗い瓦礫の影から現れたのは。
デッドエンドブッチャー
脱出不可の”行き止まり”に迷い込んだ獲物を容赦なく肉塊に変える恐るべき肉屋。
他のエーテリアスの3倍はあろうかと言うその巨躯と力は見たものに恐怖心を抱かせ、あまりの乱暴者ゆえに同じエーテリアスでさえ接近を察知すると逃げ出すほど。
IHOが推定した対応レベルは脅威の5である。
対応レベル1で、重火器で武装したプロの治安官が10人必要な程度。
5を越えれば戦車でも破壊されうるレベルとのこと。
「………まって様子がおかしい」
各々が戦闘態勢に入ろうとした時、アンビーは気付いた。
あのデッドエンドブッチャー、死にかけていると。
言いようのない恐怖に襲われた一行を他所に
デッドエンドブッチャーは遂に膝をついて倒れる。
瞬間、巨大な腕が地下空洞から伸びてデッドエンドブッチャーを掴み闇へと引きずり込む。
「なに…なんなの!何が起きてるのよ!」
「やべぇぜ店長…!俺の危機感知ビーコンがビンビンに反応してやがる……!!」
「(警告 警告 強大なエーテル反応を検知、直ちに撤退することを推奨します)」
「Fairyがかつてないほどに慌てている…!来る!」
ぐしゃぐしゃとデッドエンドブッチャーを握り潰しながら
溢れ出たエーテルを吸収しながらソレは出てくる。
「なるほどな……納得がいったぜ、エーテリアス共がいつもいない所にいた理由が……テメェの仕業だな」
ソレは通常のデッドエンドブッチャーの2倍ほどの体躯であり
ソレは背中に露出したコアから更に2本の腕が生えており
ソレは見るもの全てに死を連想させる象徴
「デッドエンドブッチャーを狩るもの…さしずめデッドターミナスブッチャーといったところか」
【対応レベル 推定 10】
「デカすぎんでしょ!!どうしろってのよこんなの!!」
「ニコ…ここは一旦引くしかないと思うわ」
「いや、だめだ。もう時間が残されてないんだ」
ニコ アンビー アキラは三者三様の反応で次への行動へと切り替えている。
「昔ビデオで見た恐竜みたいな大きさだなアイツ……」
ビリーは恐怖を覚えながらも過去に見た古代の生物、恐竜の面影をデッドターミナスブッチャーに見ていた。
「急ぐなら……下がってな……」
唯一、トリコだけが戦意を剥き出しにしていた。
「無茶よ!あんなの虚狩りじゃ……ない…と」
尚も戦おうとするトリコに振り返って文句を言おうとしたニコ
しかし最後まで言葉は紡げなかった。
何故なら
「下がってろって…言ったんだぜ」
目の前に恐竜がもう一匹いたからだ。
トリコから溢れ出る闘志のオーラが四人の目には巨大な恐竜が現れたと錯覚するのには十分だった。
「なんてオーラなんだ…モニター越しなのに気迫をビンビンに感じる!」
ンナナとアキラのボンプの耳がプルプル震えている。
止めるまもなくトリコは舞台へと降りていく。
「デッドターミナスブッチャー……この共生ホロウが現れてからエーテルを吸い付くし続けてきたホロウの主よ…一体……」
ベキベキと拳の骨を鳴らしながらトリコは近づいていく。
デッドターミナスブッチャーはそんなトリコを相手にすら見ていなかった。
生まれてから誰一人と自分に敵わなかったが故に逃走という
今残されていた生き残る道すらも自分で閉じてしまった。
「グォォォォォォ!!!」
選んだのはその恵まれた体躯を利用した突進である。
ブッチャーの名にふさわしく当たればひき肉になるであろう一撃は
「危ない!!!トリコ!!」
「ヌゥゥゥゥン!!!」
いとも容易く受け止められてしまった。
「え……?」
アンビーの口から漏れ出た言葉はその場にいる人間の気持ちを代弁していた。
「力は中々…だな!!」
トリコはそう言うと力任せにデッドターミナスブッチャーを
投げ捨てた。
「触っただけでわかる…かなりのエーテルの量、それにお前の背中から生えている腕を覆う金属はまさに深エーテル鋼だな。お前は一体どれだけのエーテルを蓄えているんだ」
トリコは体についた埃を払いながらデッドターミナスブッチャーを見据える。
「それだけのエーテル………一体………どんな味がするんだろうなぁぁ……」
ピチョンと水が垂れる。
もちろん血ではない。
では、何か。
よだれである。
トリコはデッドターミナスブッチャーをみてよだれを垂らしていたのだ。
「デッドエンドホロウに住まう主よ、お前に敬意を評し、見せてやろう。人間の武器を…!」
トリコは両手を広げ手の形を整えていく。
左手は獲物が動かないようにするためのフォークのように
右手は獲物を切り裂き食べやすくするためのナイフのように
トリコが両手をぶつけるように合わせる。
ギャリンギャリン!!
およそ生身の体から出る音ではない。
「この世の全ての食材に感謝を込めて………」
両手を合わせ
「ブルモォォォォ!!」
無謀にも向かってデッドターミナスブッチャーに対して
「いただきます」
食事が始まる。
デッドターミナスブッチャーが剛腕を振り被りまさに振り落とすその瞬間。
フォーーク!!
ドスンとトリコは雄叫びをあげながら左手をデッドターミナスブッチャーに突き刺す。
腕はめり込みデッドターミナスブッチャーには4つの風穴が出来る。
まるでフォークに刺されたかのように。
「ドルォォォォォ!!?!」
デッドターミナスブッチャーは今まで感じた事のない痛みに悶えトリコに反撃しようとするが
もう遅い、デッドターミナスブッチャーはもう食材なのだから。
トリコの足元のコンクリートが波状に壊れその威力を物語る。
そのままトリコはデッドターミナスブッチャーを片手で持ち上げ空に放り投げ
ナイーーーフ!!
振り切った右手がデッドターミナスブッチャーに触れた時
巨大な体は斜めに両断される。
食べやすくするために。
ギャリンギャリン!!
「……ごちそうさまでした」
両断され何も言わない塊となったデッドターミナスブッチャーが地面に落ちる時、再び手を合わせる。
食事 完了
感想お待ちしていますです!
投稿文の量に関するアンケートです
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時間がかかってもいいから長めに
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短めでスパンを開けずに書いてほしい