エーテルを食え、トリコ   作:双子座流星群

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稚拙な文を呼んでいただくばかりかお気にいり登録まで
感謝感激。感謝の神アザス。

少し短いかもですが書いてきます。


エーテルの実

その光景を報告したところで恐らく誰も信じないだろう。

 

デッドエンドホロウのヌシが現れたと思っていたら

 

それを上回る怪物が現れヌシを吸収し

 

絶体絶命、死の覚悟をする必要があると認識する頃には

 

ソレは真っ二つになっていたのだから。

 

「おーーい!終わったぜ!!友人との約束は間に合いそうか?」

 

こんなことをしでかした男は呑気に葉巻を咥えて一服などしてやがります。

 

「……私、夢見てるのかしら。上級エーテリアスの区分にすら入らないような化け物が真っ二つなんですけど!!」

 

ようやく思考が追いついたのかニコは目の前で起きたことに酷く興奮していた。

 

「美食屋トリコ…凄いとは聞いていたけれど桁違いに強いわ」

 

戦闘に慣れているはずのアンビーは、今起きた出来事の桁違いさに畏怖していた。

 

デッドエンドブッチャー、様々な勢力が排除をしようと動いていた厄介な怪物を捻る更に上の化け物。

 

それすらも苦戦することなく、いとも容易く葬ってしまう姿に動揺しないものなどは少ない。

 

後にアンビーは語る。

 

まるで、食事をしているかのような優雅さだったと。

 

「おぉぉぉぉぉ!!!すげぇ!!すげぇぜトリコ!!なぁ!店長も見たか!?グワッ!と持ち上げたと思ったらズバン!だぜ!!」

 

動揺している2人にお構いなくビリーは興奮していた。

 

アキラのボンプを持ち上げはしゃいでいる。

 

「確かに………!凄まじいパワーだったね」

 

冷静に話してはいるが、実のところ酷く興奮しているアキラ。

 

それもそうだろう、絶体絶命の中で余裕綽々といった感じに怪物と相対し圧倒的なパワーでねじ伏せてしまったのだから。

 

興奮しない漢などいるのだろうか、いるわけがない。

 

「依頼の深エーテル鋼もこいつの腕についてた分で事足りるな…ん、これは…」

 

はしゃいでいる面々を横目にトリコは依頼されていた鉱物を纏めていた時にあるものを見つける。

 

「エーテルの実じゃねぇか!!ラッキー!」

 

トリコは鉱物の影に隠れていたエーテルの実と呼ばれるバスケットボールサイズの球を持ち上げる。

 

それは赤黒く照りを放っており、ツヤツヤとした見た目はまるでブドウのよう

 

「こんなデケェエーテルの実は初めて見たぜ…!」

 

バックパックから取り出した、エーテルで鍛えられたワイヤーを使い深エーテル鋼(推定600㌔)を背負いながらトリコは一同の下へ戻って来る。

 

その表情は少年が欲しかったゲームを手に入れたかのように輝いている。

 

「コマツ、ホロウケース濃度をここのエーテル濃度に合わせといてくれ。持ち帰るときに使えるからな」

「わかりましたトリコさん!」

 

ンナァ!と可愛く手を挙げトリコからクーラーボックスサイズの虫かごのような物を受け取りポチポチと表面についているパネルをいじっていく。

 

「あれは…ホロウケース、あんなに大きいサイズもあるなんて」

 

トリコ達の会話を聞いていたアンビーはトリコが持っていたホロウケースと呼ばれる物だ。

 

 

----ホロウケース----

 

IHOが開発したエーテルを消滅させずに外へ運ぶとためのケース。

 

手動で保管する素材の周りに漂ようエーテル濃度を入力するとその中に入れた物はエーテルが消滅せず外に戻すことが出来る革命的なケースだ。

 

お値段 虫かごサイズで9万ディニー

 

トリコが持ってきているサイズならば

 

 

「2〜30万ディニーはするはず」

 

値段を聞いたニコは白目をむいて言葉を失う。

 

30万ディニー、それは良い時の邪兎屋の月の稼ぎである。

 

「 って、そんなことより!トリコ、アンタが持ってるそれってエーテルコアじゃない!?」

 

意識を取り戻したニコはプルプルと頭を震わしながらトリコの持っている黒の球を指さし

 

「ニコ、エーテルコアと言うのはなんなんだい?」

 

ぷるんとボンプの耳が震え小首を傾げるように聞くアキラ。

 

あざとい

 

「知らないのプロキシ!?エーテルコアっていうのはね、上級エーテリアスを討伐したときに極々、偶に残るエーテルの結晶よ!大きさにもよるけど野球ボール程度でも15万近くで売買されてるの!」

 

「野球ボールでそんなに!ならトリコが持ってるサイズなら……」

 

「(計算完了:おおよそ200万ディニーは確保できるかと)」

 

「僕らの電気代1年分払ってもお釣りが来そうだ」

 

「勘違いしてそうだからいうが、これは食材だ。余っていたら売ることも考えるがこんなにも大きなエーテルの実は食ってみてぇから売らねぇぞ?」

 

トリコの発言に空気が凍る。

 

「嘘でしょ!?これ!エーテルの塊よ!!?そんなもん食べたら一発で侵食反応が出てエーテリアスになっちゃうわよ!」

 

「ニコの言う通り、エーテルコアはエネルギーの塊よ。食材とは思えない」

 

2人の反応は当然だ。

 

この新エリー都でエーテルと言えば電気等の様々なエネルギーに変換され利用されるものだ。

 

決して食べるものではない。

 

しかしこの男は違う。

 

「確かにエーテルはエネルギーだ。加工すれば生活インフラを支えるものとなるが、逆転の発想だ。そんなにエネルギーが詰まってるなら美味いはずだってな!!」

 

「トリコさん、設定終わりましたよ」

 

頭にホロウケースを載せてトリコの足元までやって来るコマツ。

 

「サンキューコマツ!調理も頼むぜ!」

 

ホロウケースにエーテルの実をいれ密閉する。

 

「…ッ!やべぇ!親分!店長!ホロウの縮小が始まった!コレで猫又も皆も助けられるはずだぜ!」

 

ビリーは持っていたエーテル探知機の反応が縮小を示しているのに気づき伝える。

 

「そうよ、猫又!危うく忘れるところだったわ!トリコ、本当ならお礼をさせて欲しいのだけれど今は時間がないの!また改めてお礼させてちょうだい!」

 

ニコはビリーの声で本来の目的を思い出し、離脱の準備を始める。

 

「トリコさん、ノックノックはやってるかしら?また今度お礼の連絡をさせて」

 

アンビーは携帯を取り出すがここはホロウの中。

 

電波が届いていないことを思い出しどうすればいいかと悩んでいた。

 

「でしたら美食屋トリコの公式依頼ページから送ってください!ボクが見つけてトリコさんにお伝えしておきますンナ!」

 

アンビーの考えを汲み取ったコマツが返答する。

 

「そう、わかった。後で送っておくわ」

 

アンビーはコマツのちいちゃいお手々を握り感謝を述べる。

 

「まぁ今回は俺もたまたま用があったからな。ただのマッチポンプさ。ほら、速く行け。友が待ってんだろ?」

 

トリコはなんてことのないように笑い離脱を勧めてきた。

 

「キャロットはコマツに入ってるから俺のことは心配するな」

 

そう言うとトリコはエーテルコアが入ったホロウケースをドデカイカバンにしまい、離脱の用意をしている様だ。

 

「でもトリコさん僕が案内しなくても匂いで覚えてるじゃないですか」

 

ジトッと目が細くなったコマツはトリコを睨む。

 

「何事も適材適所、だろ?じゃあ気をつけろよ」

 

そう言うとトリコはコマツを掴み深エーテル鋼を軽々と持ち上げ駆けていく。

 

「はっっや!!もう!ちゃんと連絡するから返事しなさいよねーー!!」

 

既に豆粒の小ささまでなっているトリコを見送り邪兎屋一同は大急ぎで友、猫又の元へと向かっていった。

 

 

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時はデッドターミナスブッチャーを屠り、共生ホロウが縮小しきった直ぐのこと。

 

「なぁ、職員さんよ?この調書は後何枚書かないといけないんだ?」

 

トリコはH.A.N.Dの本部にて調書を取られていた。

 

「トリコ様が持ち込んだボンブの映像記録とのすり合わせが完了するまで、です」

 

いかにもインテリエリートっぽい七三分け眼鏡の職員はカチャリと眼鏡を指で直していた。

 

IHOへの納品が終わり帰ろうとした時

 

「トリコちゃん、報酬は約束通り2倍払うけどデッドターミナスだったかしらん?ソイツの討伐報告は直接貴方が行ってね」

 

例の妖怪オカッパサングラス局長からの指示に難色を示していた。

 

「…そういう仕事はあんたらの領分だろ。」

 

「いやぁね?深エーテル鋼だけだったら私達で後処理とかはやってあげても良いんだけどネ、流石に共生ホロウが縮小しちゃったなら本人が来いってうるさいのよ」

 

やんなんちゃうわ、と腕を組んでプンッと鼻を鳴らす。

 

はたから見たら衝撃映像だがトリコはあえて触れないでいる。

 

 

「コマツがいればこんなの直ぐ終わるんだがな……」

 

ウダウダと文句を言いながらも書き進めていく。

 

「トリコさーーん!邪兎屋の皆さんから連絡が来ましたよ!」

 

バン!と扉に体当たりしながらコマツが入ってくる。

 

「無事にご友人を助けられたそうですよぉ!よかったですねぇ!」

 

コマツはニコ達から無事解決したとの連絡を受け自分のことのようにンナンナと喜んでいる。

 

「へぇ……うまくいったみたいでよかったぜ、そういうわけでコマツ、残りの調書頼むぜ」

 

無事と成功の報告が聞けたのはトリコに取っても嬉しいことであった。

 

簡単に人が死ぬこの世界で友人が死ぬのはトリコに取っても辛いからだ。

 

「あっ!それと今日の夕方に祝勝会をやるからぜひ来てほしいとのことです!」

 

「そうか、それならニコ達にもアレを食わせてやるか!コマツ!!会場を変更するように連絡しといてくれ!場所はルミナススクエア ホテルホロウに集合だってな!」

 

「エーテルの実…ですね!わかりました!連絡しておきます!!」

 

ンナナ〜とポヨポヨ跳ねながらメッセージを送っていく。

 

「……気になる単語がございましたが、定時ですので聞かなかったことにさせていただきます。」

 

H.A.N.Dの社員として本来ならば詳しく聞かなければならないがそんな気はこのボンブに残っていた映像記録を見たときから吹き飛んでいた。

 

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「あっ、トリコから返信きたわよ!」

 

ニコがトリコから来たノックノックの通知を見せる。

 

「何々?祝勝会の会場は抑えさせてもらった…?場所は………」

 

ニコの携帯に邪兎屋の面々が集まり返答を見ているようだ。

 

「会場を抑えたって…… 予約してくれたのかな?トリコさんて気が利くね〜お兄ちゃん?」

 

「人は見た目によらないって言うしね、それにしても…不安だ、トリコさんレベルが予約するレベルのお店なんて庶民の僕達からしたら不安しかないよ」

 

邪兎屋の後ろ側に立っているこの兄妹こそがニコ達のプロキシとして動いていたプロキシだ。

 

「な、ななな…なんですてぇぇぇ!!!?」

 

突然ニコが大声を上げてひっくり返る。

 

豊かな胸と太ももがぷるりと震えるが紳士であるアキラはニコの側へ駆け寄る。

 

「どうしたんだい?ニコ、あまり店の中で大きな声を出さないで欲しいな。」

 

口では文句を言いつつもニコへ手を差し伸べる。

 

「見なさいアキラ…アンタもひっくり返るわよこんなの…」

 

「貸してお兄ちゃん、えーと何々?場所はホテルホロウ…?聞いたことないや。お兄ちゃん知ってる?」

 

ニコから携帯を受け取ったリンはアキラに聞くが

 

「いや、僕も名前しか知らないな、良いホテルなのかい?Fairy?」

 

「肯定、不甲斐ない助手2号に変わり説明させて頂きます。

ホテルホロウとはIHO直属のホテルであり、新エリー都グルメランキング及びホテルランキングでは万年1位の5つ星最高級ホテルです。参考価格でシングル素泊まり15万ディニーとなります」

 

とある事件からアキラ達の家に居候している高性能AI、Fairyがつらつらと回答する。

 

「15……!それはまた凄い場所を予約したもんだ」

 

アキラは苦笑いしながらニコに携帯を返す。

 

「集合時間は……あと2時間後か…一応失礼のない格好をして余裕を持って現地に向かおう。」

 

アキラがそう言うと各々が頷く中、一人だけ状況を理解出来ていない様子の子がいた。

 

「なぁ……その、トリコって奴は、どんな奴なんだ?」

 

彼女は猫宮又奈、ニコ達が助けた邪兎屋の従業員3号となった猫のシリオン。

 

「実際会うのが一番よ、猫かぶり」

 

アンビーがツンと猫又の鼻を突く。

 

「うにゃぁ!お鼻に触るなぁ!」

 

笑い声が店内を包む。

 

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ルミナススクエア  ホテルホロウ前

 

 

「着いたは良いけど、肝心のトリコがいないじゃない!」

 

余所行きの服に身を包んだ邪兎屋の面々は入り口でたむろしていた。

 

入口には屈強なガードマンが居り、異様な雰囲気を醸し出している。

 

「集合時間にはまだ少し早い、もう少し待って来なければ連絡してみよう」

 

フォーマルな服にジャケットを合わせたアキラがニコを宥める。

 

猫又は慣れないカクテルドレスに戸惑い借りてきた猫のようにおとなしくしている。

 

アンビーとニコはカクテルドレスをバッチリと着こなし

 

ビリーは異常に似合っているジャケットを気に入ったのか鏡の前でポーズをとっている。

 

リンはセミフォーマルなワンピースタイプの服装。

 

皆一様に顔面偏差値が高いため様にはなっているがそれでもこのホテルは新エリー都屈指の高級店。

 

店に入らず入口でたむろしている若者を放ってはおかない。

 

「お客様…御用がなければお引き取りを……」

 

黒服が話しかけた時、ニコ達の後ろからヌッと大きな影が現れる。

 

「そいつらは俺の同行者だから入れてやってくれ」

 

声の主がそう黒服に言うと。

 

「「「ご馳走様です、トリコ様 ️」」」

 

軍隊の様に乱れることなく腰を90度までまげていた。

 

「やめろよ、その挨拶。何も奢ってねぇからよ」

 

ニコ達が振り返るとそこには

 

「ごめ、遅れたわ」

 

遅れてきたトリコが居た。

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