ヤムチャしやがってとは言わせない!   作:ヤムチャしやがって……

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前話のタイトルが紛らわしかったので、念のため。
本作品は公式スピンオフのSSではありません!とは言っておきます。
ただヤムチャに転生しているのは同じため展開が似る場面はあるかもしれませんが、ここの転生ヤムチャとスピンオフのヤムチャとでは中身が別人です。
それに関してはご理解頂けると嬉しいです。


修行パートそのいち

 

 

 

 

 

 

 

『修行1日目』

 

 

 

 さて、修行とは言ったが、まず初めに何をするのか。

 これに関しては決まっている。

 というか、正直なところ考えるまでもない。

 

 最強の武闘家を目指す上で大前提となる能力。

 即ち、DB世界において基本的な戦闘力の目安となる『気』だ。

 具体的には、気の感知と操作を身に付けることが、この修行パートにおける最大目標だろう。

 これが出来なければ、サイヤ人襲来の頃には戦力外通告間違いなしになる。

 

 そして、修行を始める前に認めなければならない事実として、地球人はサイヤ人やナメック星人などに比べて肉体的に脆弱極まる人種である。

 純粋な耐久力という意味でも明確に劣っており、更に打たれ強さも含めれば雲泥の差がある。

 これは単純に種族として生まれ持った基礎能力の違いが原因だ。

 

 例えば、全く同じ戦闘力の地球人、サイヤ人、ナメック星人がいたと仮定する。

 それらが一対一で戦えば、ほとんどの場合で地球人が敗北する。

 サイヤ人は戦いの中で成長する種族としての特性を持ち、またナメック星人も手足の欠損を再生する能力などを持っている。

 何よりも戦闘民族とただの農民でさえ戦闘力3000とかいう異常な人種であることを考えれば、戦闘民族でも何でもない平和な惑星の一種族でしかない地球人が相手になるわけないのだ。

 

 しかし、言を翻すようだが、地球人に勝ち目がないのかと言えばそういうわけでもない。

 基本的に地球人という種族は、平均的に善人かつ穏やかな気質で慎重、几帳面な性格をしていることが多い。

 勿論個人差はあるが、サイヤ人と比べれば牧歌的な種族であることは疑いようもない。

 だが、何か一つを極めるということに限れば地球人はその飽くなき好奇心と執念深さにより、サイヤ人を始めとしたフィジカルエリート種族を凌駕する可能性を秘めている。

 

 その一つとして、ヤムチャの繰気弾なんかも他に例のない技だ。

 本人の戦闘力が低すぎるため活躍の場面は少ないが、通常は放出して終わりの気弾をその場に留めて自在に操るという発想はこれが初出である。

 気円斬を開発したクリリンもそうだったが、地球人は気の扱いが上手いことも特色だろう。

 種族的に様々な点で劣るからこそ技巧を凝らすのが原因だとは思うが、数百倍の戦闘力の差がある相手の尻尾を切り落とすような技を生み出す辺り、地球人が最強になる可能性は意外と低くないのかもしれない。

 

 更に、原作では悟空以外に元気玉を扱う戦士はいなかったが、恐らく性質的に最も適正が高いのは地球人ではないかと思う。

 もし元気玉を習得出来れば、それは極めて強力な切り札になるだろう。

 なお、習得難易度には目を瞑るものとする。

 

 

「…………」

 

 

 そんなわけで、トレーニングとして最初にするのは瞑想だ。

 朝陽が昇る前に起床し、三十分から一時間程度の瞑想をすることで集中力を高め、あわよくば気の感知を修得する。

 一般的な修行の一つだが、だからこそ正しく行えれば効果は見込めるだろう。

 これでも前世で寺で瞑想を習ったこともあったので、意外にも様になっている瞑想にプーアルは感心しきりだった。

 へへっ……まったく、可愛いやつめ(雑念)

 

 結果から言えば、残念ながら初日の瞑想では気の存在を感知することは出来なかった。

 まあ、こういうことは継続することが大事だ。

 もし上手くいかなくても無駄になるということもないはずなので、気の感知に関しては一年を目処に気長に習得を目指すとしよう。

 

 

「この世の全ての食材に感謝を込めて、いただきます」

 

 

 次の修行は食育、とでも言えばいいだろうか。

 ヤムチャことオレはまだピチピチの14歳のため、成長期の真っ盛りである。

 将来的により強い体を作るために必要な栄養素を摂取して、食事を通して体を作るというトレーニング法、ではない。

 

 ぶっちゃけトリコの食義の真似だ。

 あれは食を通して集中力を増大させ、その集中力は相手の動きを正確に読み取り、自身は最小限の動作で最大限のパフォーマンスを発揮出来るようになるという、やらない理由が思いつかないくらい画期的な修行である。

 これによる戦闘力の増加があるかは不明だが、基礎戦闘力で他の種族に劣る地球人としては是非覚えたいところ。

 

 

「……999ッ!……1000ッ!……ぜぇっ、1001ィッ!」

 

 

 そして、最後の修行は感謝の正拳突き一万回。

 HUNTER×HUNTERで最強格の人間である会長ネテロが実際にやっていたという修行であり、その末に彼の拳は音を置き去りにしたと言われている。

 DB世界的には音速超えは後のパワーインフレを考慮すると物足りないが、基礎を固める地盤としては悪くないだろう。

 

 更に言えば、ネテロはこの修行を通して一つの悟りの境地に達しているように見えた。

 もしかしたら気の感知を修得する一助になるかもしれない。

 身体能力の向上をメインとして、そう言った副産物を得られる可能性にも期待した修行であった。

 

 とはいえ、前述したように成長期の体なので食事と睡眠はしっかりと取る。

 22:00には眠る準備を終えるようにすると、流石に一日目では正拳突き一万回には届かなかった。

 それでも五千回は出来たので、遠からず達成出来るとは思う。

 

 全ての修行を終えて、就寝前。

 ヤムチャは今までになく肉体的にも精神的にも限界近くまで疲労している体に一抹の不安を感じていた。

 明日の朝はプーアルに何をしてもいいから起こしてくれと頼んであるが、果たして起きることが出来るのだろうか?

 眠りに就く寸前まで、それだけが唯一の心配だった。

 

 

 

 

 

 

 

『修行二日目』

 

 

 

 そんな心配は、全くの杞憂だった。

 

 

 ────ガンガンガンガンガンッッ!!!!!

 

 

「ヤムチャ様ー!おーきーてーくーだーさーいーっ!!」

 

 

 泥のように眠っていたオレは、フライパンとお玉に変身したプーアルによって無事に朝を迎えることが出来た。

 これ以上なく有効な起こし方だとは思うけど、毎日これをされるのかと思うと気が滅入る。

 

 フラフラとふらつく頭を抑えて、意識をはっきりさせるため顔を洗いながら、一つの決意とある事実を確認した。

 明日は絶対に気合いと根性で起きてやる、というのと。

 プーアルは素直で可愛いやつだが、意外と容赦がないということを。

 簡単に何でもしていいなんて言うのはやめよう。

 ヤムチャは反省した。だが、後悔はしていない。

 

 

 

 このあと、めちゃくちゃ修行した。

 

 

 

 

 

 

 

『修行三十日目』

 

 

 

 ────ドンドットット!!

 

 

「ヤムチャ様ぁー!(割愛)」

 

 

 今朝は和太鼓の音で目覚めた。

 相変わらず朝は自力では起きられないままである。

 

 それはさておき。

 本日遂に、初めて感謝の正拳突き一万回を達成したのだ!

 これは祈りから正拳突きに繋がる動きに慣れたということは勿論あるが、それと同時に瞑想と食義の効果を感じている。

 明らかに無駄な動きが減り、拳のキレも見るからに増した。

 一連の動作は既に意識せずとも無意識下に埋没しながら行えるようになってきて、全身の感覚が研ぎ澄まされていくことが分かる。

 

 見様見真似というか、前世の記憶という曖昧な知識頼りだったことを考えると成果が出てほっと一安心というところだ。

 この世界はあくまでDB世界であり、H×Hでもトリコでもない。

 同じようなことをしても同じ結果が得られるとは限らなかったのだが、今のところ上手く事が運んでいる。

 

 取り敢えず無駄な修行ではないと改めて確信出来た以上は、これまでより更に身を入れて修行に励む…………というわけにはいかなくなってしまった。

 そろそろ蓄えが少なくなってきたのだ。

 食料を始めとした生活必需品はプーアルに買い出しに行ってもらっていたが、先立つものが先日の買い出しで残り僅かとなった。

 まだ数日は大丈夫だろうが、これを解決しない限り修行に没頭は出来ない。

 

 というわけで、明日から久し振りに金稼ぎの時間だ。

 折角だからこの機に数年分の金を手に入れて、修行に本腰を入れられるような環境を作るとしよう。

 そのついでに、修行の成果も試してみるか!

 

 

 

 

 

 

 





『とある日の修行風景』

「…………」
「(ヤ、ヤムチャ様……すごい集中力……!僅かな身動ぎもせず、完全に無心になってます!まるで仙人のような……!!)」
「…………(カクン)」
「えっ?」
「くかぁー……ふごごっ……(( _ _ ))..zzzZZ」
「(…………ねっ、寝てるぅぅぅぅーーっ!!?)ヤムチャ様ー!起きてください!修行中ですよぉー!!(ラッパに変身)」
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