転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
ふわりと空中に浮かび上がる。
私の周囲には風が舞い、新たに生まれた三匹の翔蟲も元気そうだ。
小手調べとして、雷を放つ。
黒雷ではなく、普通に雷だ。
だがそれは黒雷よりも威力があり、魔素消費は大きいが凄まじい火力を誇る。
情報者に全ての演算を任せ、私は鉄蟲糸技感覚で出せるわけだ。
カリュブディスにはそんなに効いてないっぽいけど……。
ちなみに、翔蟲は私の纏う風によって強化されている。
なぜか?
それは、フウガとスズネのユニークスキルが関係している。
フウガのユニークスキル「
スズネのユニークスキル「
この二つのユニークスキルのデータを情報者は魂の繋がりから採取し、私でも再現できるようにしたのだ。
これの相乗効果がもう凄まじく強い。
どちらかというとサポート寄りの能力ではあるが。
《解。ユニークスキル「
まずは
電気信号とか素早さとかを加速させ、速度を上げることができるのが魅力だな。
まあ情報者にも搭載されてるからあんまり使わない、というかデータは統合してるんじゃないか?
電脳演算も同じく統合されているだろう。
電力感知は情報感知に統合され、さらに感知の制度が上がっている。
私が今使っているのは「物質改変」と「高速移動」だ。
物質改変なんて大層な名前だが、やってることはイオンを作ったり電荷を操ったりしてる、ということらしい。
イオンや電荷が何なのか分からないが、電気を帯びた物質?のようなものだと情報者は教えてくれた。
電気を帯びるものを一直線に引き、そのルートに放電させ雷を放つ。
ここに「高速移動」で速度の底上げだ。
流石ユニークスキルといったところか、エクストラスキルとは比べ物にならん火力がある。
リムルには効かなかったけど。
《解。ユニークスキル「
で、次は
風を纏ったり攻撃に纏わせたりして威力を底上げ、速度を上げる、結界にするなど様々なことができる。
後は、翔蟲を支配する感じの権能もあるな。
スズネが持つにぴったりのユニークスキルだろう。
一番恐ろしいのは、これをデータ化して私でも使えるようにしてしまう情報者だが。
「ふーむ、全然効いてる気がしないぞ」
「わははは!よく見るといい。奴は「超速再生」を持っているのだ」
「おぉ、マジだ」
私が攻撃しても、カリュブディスにあんまりダメージを与えられてない。
「魔力妨害」というスキルを持っているらしいが、それは私も使えるので互いに打ち消し合ってるはずなんだがな。
《解。少し出力が負けています》
だそうだ。
大人しく皆の援護でもするとしよう。
風を纏わせ、速度、防御力、攻撃力を底上げする。
しかも、これは魔力妨害の中でも発動できるからな。
まあ速度の底上げは武器をしまうと効果が切れるから注意してほしいが。
武器を出していない者には高速移動を付与することによって対処。
結構、いやかなり忙しい!
「湯化」と「
私作、「鬼人の粉塵」と「硬化の粉塵」だ。
傷を負った者には、ヒポクテ草やリムルの作った回復薬からデータを取り、新たに作った「生命の粉塵」があるからサポート役としては私は有能な部類だろう。
そもそも巻き込まれたら足手まといだからな、私。
死にはしないがそんなに強いわけでもない。
だが炎、お前はダメだ。これだけはまずい。
使う奴は流石にいないと思うが、念には念を。
並列演算で様々な事象を制御しつつ、本意志は暇そうにしてるミリムと話す。
龍脈のこととかネーロのこととか、土産話をたくさん話した。
このまま一気に押し切るぞ。
九時間弱が経過した。
暇すぎる。
いや、確かに忙しいんだが、同じことの繰り返しは精神が摩擦するというか。
……ん?あれ?
カリュブディスなんか喋ってないか?
『おのれ……ミリム……』
「……なあ、ミリム」
「うむ。中にフォビオが入っているのが見えたのだ」
カリュブディスの目的は不明たが、恐らくリムルの中にいるヴェルドラを目指しているという推測だった。
しかし、フォビオだと?
だとすると、ミリムを目指してるだけで私らには関係ないんじゃ……。
「ということは、あれはワタシの獲物だな」
「頼んだぞ」
ミリムが飛翔する。
やはり、速い、な。
風を纏っても追いつけない。
あ、フォビオが中にいるんだから手加減はするんだぞー。
ミリム、あんな感じだが最古の魔王。
どんな攻撃を見せてくれるのか楽しみだ。
あわよくば解析して習得――
「
《――!?解析不能……情報収集に失敗しました》
……は?
ミリムの手の平が眩く光ったかと思ったら、いくつもの光線がカリュブディスに命中した。
あれだけダメージを与えるのに苦労したカリュブディスが、この一瞬で……。
しかも、綺麗にフォビオだけ残してこれだ。
あまりにも高威力で、美しくて……。
一瞬、ミリムがオベーラさんのような美貌を放っているように見えた。
……私は強い奴に惹かれる傾向があるのかも。
「リムル、フォビオは?」
「俺のスキルでフォビオからカリュブディスを剥がす」
「流石だな」
今はそんなことよりフォビオの容態だな。
どうやらカリュブディスとの同化率がかなり高いみたいだが……。
まあリムルならなんとかしてくれるだろう。
その強力無比なユニークスキル「
ミリムがリムルの後ろ辺りに陣取ったので、私はその横に降り立つ。
『……憎シミト、欲望ヲ……恐怖デモイイ……』
何か聞こえた気がした。
周囲を見回すが、特に怪しい気配は……。
草むらになんか潜んでるぞ……。
存在感を限りなく消しているが、物理的に鱗粉に触れてるから私でも認識できている。
引き締まった筋肉、獣の匂い……カリオンっていう魔王か?
《告。至急回避を――!》
カリオンっぽい奴に気を取られていると、フォビオに張り付いていたはずのカリュブディスの核が私に迫っているのに気付く。
リムルも目を見開いてこちらを見ている。
いや、同化率90%くらいあったはずじゃ……。
……っ!?
痛い?
魂を直接攻撃されているような痛み……。
『オオ……上質ナ欲望ト恐怖ガ……』
「話しかけてきてるのか!?」
『身ヲ委ネルガイイ……。貴様ノソノ、強クナルトイウ欲……我ガ貰ッタ!』
「やめっ――」
カリュブディスの思念が入ってくる。
欲望?恐怖……?
何のことか分からないぞ……。
私はまた、侵蝕されるというのか?
蝕む者である、この私が……。
……怖くて、怖くてたまらない。
古龍に殺された時のあの根源から湧き出る恐怖。
強くなりたい、そう願ったというのに。
痛みを引きはがすようにして、私は侵蝕を発動させる。
負けてなるものか。
私はゴア・マガラ。
黒蝕竜ゴア・マガラだ!
世界の全てを蝕みつくしてやる!
『諦メロ、我ニ蝕マレ貴様ハ死ヌ。ソノ欲ガ命トリニナルノダ』
私は欲深いか。
たしかにちょっと欲深いかもな。
こんなに痛くても、今考えていることは恐怖ともう一つ。
食欲だ。
《了。
私の体が赤く染まる。
リムルが私に近づいて助けようとしたが、私はそれを手で静止。
私がこいつを分離するから、リムルはそれを喰らってくれ。
何、私は大丈夫だ。
狂ってでもコイツを追い出してやる。
《告。出力を強化。
赤いオーラ、龍気とはまた違うオーラがあふれ出し、体の色々な場所で核を作ろうとする。
私はその流れを操作し、胸元に集める。
それは結晶化し、首飾りのようになった。
簡単に私を蝕めると思うなよ、カリュブディス。
こんなこと言っておいてなんだが、蝕むだけじゃないんだぞ、私は。
なぁ、情報者。
「形容変化」
無理矢理魂から引きはがし、私は空にカリュブディスをぶん投げる。
それをリムルが吸収し、カリュブディスは消滅した。
「大丈夫か?シャガリ」
「あぁ、倒れそうだが問題ないとも」
「無事でよかったのだ!」
傀異凶化状態が切れたことや、魂に触れて弄ったことなどから体がすっごいだるい。
まあ、無事ならいいけどさぁ……。
というか、そこの草むらに隠れてる奴のせいで私はこうなったんだからな。
「バレてたか」
「お前も来ていたのだな、カリオン」
「お前は最初から知ってただろ、ミリム」
やはり魔王カリオンだったか。
恨みを込めて凝視してやるが、軽く流される。
ま、魔王種を持ってない私では勝ち目はないか。
疲れたり、さっさと帰……およ?
や、ば、意識、が……。
《告。ゆっくり休んでください――》
声が聞こえたような気がしたが、私の意識は闇に落ちた。