転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
身分証明書も手に入れたことだし、あの都市……イングラシア王国へ向かう。
スッと転移して、並ぶ。
門番の人にまた会ったが、今度はドヤ顔で冒険者カードを見せる。
それで普通に通してくれた。
……にしてもすごい街だな。
ショーウィンドウとかいう奴がなによりやばい。
私の暮らしていた王国よりもすごいかもしれん。
だが観測拠点のエルガドはあれはあれで好きだったぞ。
さて、リムルはどこにいるんだろうな。
魂の繋がり的に近くにいることはわかるんだが。
とりあえず冒険者ギルド、自由組合の本部に行く。
うぉぉっ!?
ドアが勝手に動いたぞ!?
内心めっちゃ驚きつつ、私は歩を進める。
すると、誰か話しかけてきた。
私を初心者だと見て灸を据えようとでもしているのがわかる。
リムルの妹だと伝えてやると、いきなり紳士な目つきになった。
なんだリムル、こいつらの弱みでも握ってるのか……?
油断ならない奴だぜ。
で、肝心のリムルの居場所だが、ここで教師を始めるとかなんとか。
ずるい、ずるいぞ!
私だって一回教官の真似事したかったんだ。
教えてくれた奴には礼を言い、私は自由組合の本部を去った。
「見つけたぞリムル」
「うぉっ!?びっくりした!起きたのかシャガリ」
「元気いっぱいだ。てことで私もその教師とやらに混ぜてくれ」
「えぇぇ……流石に二人は無理だろ。それより、お前には別に頼みたいことがある」
「あぁ?いいもんじゃなきゃやんないよ?」
「わがまま言うな。俺だって苦労してんだ。余命一年しかない子供たちを救おうと頑張ってるんだからな。シズさんの心残り、絶対に救いたい」
「何ッ!?余命一年だとッ!?」
リムルを見つけたはいいが、なんか深刻なことになっている。
それを詳しく聞き、まとめてみる。
子供の肉体が魔素に耐えられずに崩壊しそうってことか。
……ふむ。
私は無意識に右頬を触っていた。
大きな力を制御する、それさえできればいい訳だ。
何故か他人事とは思えなくて、私はリムルの頼みを聞くことにした。
どうやら、同じ状況にあったはずのシズさんは生き残っているのだと。
それは、上位精霊に関係しているのではないかという話だ。
私には、その上位精霊がいる"精霊の棲家"を探し出してほしいらしい。
情報収集はお手の物だ。
最近分身も遠距離に展開できるようになってきたし、ちょっくら偵察しますかね。
リムルの部屋で瞑想してていい?
「うん、まあ別にいいけど……というかお前のその髪の毛どうしたんだ」
「お?気づいた?リムルの妹のシャリー、という設定だ。いいだろう」
「妹か、たしかに妻とか母よりは妹の方が勝手が良いな」
「母とか姉だと体格がまずいし、妻だと犯罪だろ」
「俺もそれくらいは知ってるよ!」
リムルと一通り話したいことを話してから、座禅を組み瞑想を始める。
龍脈を取り込んでいた時に習得した、世界と同化する技だ。
まだものにしたわけではないが、遠くに分身を飛ばすくらいはできる。
本体の意志を分割するとかいう感じに似ているが、若干違う。
並列演算を応用して、分身に意志を持たせてるだけだ。
どれか一つの分身に力を注ぐみたいなこともまあできなくもない。
これはあくまで分身なので、私が殺されたらこれらも死ぬだろう。
この分身に魂を逃げ込ませることによって死から逃れることは可能だがな。
どっちかっていうと分身っていうよりは情報者の派生端末に近いかな?
私というより情報者が分身してる印象だ。
ま、意志をこの中の一つにでも注いで疑似体験でもしますかね。
場所は情報者が探してくれるし、私は魔術でも極めに行こうか。
オベーラさんに会えるような空間の裂け目ないかな。
ということで、かなり西の方に向かってみる。
砂漠があるし無い気がするが、精霊だしアホみたいなとこに住んでてもおかしくはない。
なんかめっちゃ砂が攻撃してくるが、問題ないぞッ!
こういう所こそ空間が裂けてそうだ。
無理矢理進んでも私は死ぬことはないからな。
……というか、普通に悪魔にでも聞けばよくないか。
砂漠の中に砂の家を作り、砂嵐を防ぐ。
魔法陣を描いて……うむ、
鱗粉でささっと肉体を作って、魔素も入れておく。
これで一週間はかなりの力を発揮できるはずだ。
ついでに魔法を教えてもらうことにしよう。
砂漠を鱗粉である程度観察した結果、精霊の棲家っぽい場所が無かったし。
悪魔よ、我が願いに答え、魔導の知の全てを我に授けたまえ……。
とかそんな詠唱をして召喚。
美しい紫の髪をした少女が現れた。
あれ?古い悪魔ではなさそうだけど。
まあ、魔術を知ってさえいればいいんだ。
「はーい。お嬢さんがボクを呼んだのかな?」
「その通りだとも。報酬はこの魔素とその肉体。一週間私に魔術を教えてほしい」
「ふーん……まあいいや。教えたげるよ。どうなっても知らないけどね」
「魔法について色々教えてほしい。放ってもいいぞ。私が取り込むからな」
「いい度胸じゃん?いいよ」
情報者に解析してもらいつつ、魔法を色々教えてもらう。
こんな見た目に反して、この悪魔は侮れないぞ。
隙あらばこちらの寝首を掻こうとしてくるし。
報酬がギリ釣り合ってるから従ってくれてるみたいな感じだ。
面白いじゃん……?
一週間の成果をまとめよう。
まず<元素魔法>を教えてもらったんだが、核撃魔法についてが主な授業内容だった。
理解できるならしてみろみたいな感じでかなりスパルタだったが、そこは情報者クオリティ。
普通に理解したし、戦略級魔法の
次に教えてもらったのは<召喚魔法>だ。
ジーギスが使ってたやつだな。
色んなものを召喚できるとかなんとか。
私は召喚するものが特にないから宝の持ち腐れ感ある。
それを伝えたらいい笑顔で魔法を練り上げてたから、慌てて謝った。
次は<精霊魔法>だな。
契約した精霊の力を借りて行使するが、最終的には精霊を召喚できるようになるとか。
召喚魔法はこれの応用で精霊を召喚するらしい。
試しに水の精霊を召喚してみたが、リムルみたいにぷにぷにすることもできて楽しかった。
次は<刻印魔法>だ。
私たちの国、いつ名前決まってたのかわからんが、
覚えた元素魔法を刻印したりとか、色々使えそうな魔法だ。
試しに樽に爆発の魔術を刻印したらお手軽タル爆弾が完成した。
そして、最後に禁呪とか言われてる魔法を教えてもらった。
わくわくしながら聞くと、なんか世界を滅ぼしかねなくて笑ったよ。
制御困難な深淵を使うとか、地獄から虚無を持ってくるとか……。
とてもじゃないが惑星上で撃てるような魔法ではない。
あの目はあれだ、自滅してくれたら面白いのになという目だ。
一番簡単そうなのは
《告。"精霊の棲家"と思わしき場所を発見しました》
ちょうど紫の少女と別れる時、情報者からの報告が入る。
この一週間で見つけるとは、やはり情報者はやばいな。
魔導王朝サリオンという国のさらに南、ウルグレイシア共和国。
そこにあるっぽい。
先に危険がないか偵察しに行くか。
「久しぶりに楽しい思い出ができたよ。ありがとね、お嬢さん」
「あぁ。また暇だったら呼ぶよ」
別れを済ませ、私はウルグレイシア共和国に転移した。
木に扉がついていて、いかにも精霊が出てきそうな感じだ。
扉を開け、私は中に入った。
歩を進めるが、どうやら一本道に見えて迷わせる仕掛けが施されているようだ。
さっきから思念が飛んできてるが、軽く無視して先に進む。
が、やっぱりうるさいもんはうるさい。
『ちょっと!人の家にズカズカ入ってきてその態度は何なのよさ!』
「うるっさいなぁ、私はただ精霊女王とやらに会いたいだけなんだが」
『ほーん。態度がなってないわね』
「なんだよ……ってまさかお前がそうなのか?まさかな……」
『何を隠そうアタシが精霊女王なのさ!』
「何ィ!?わざと妖精に化けて愚者を演じるとは策士だな!?」
『妖精なのは事実なんだケド……』
だが、まさかのまさかで話しかけてるこいつが精霊女王らしい。
ほんとにバカなだけなのかもしれないが、女王なことに間違いはない。
道を開けてもらったのでその精霊女王とやっと顔を合わせた。
ちびっこ、だな。
人は見かけによらないから実力を隠し持ってる可能性はあるが。
私は事情を説明し、精霊女王に精霊のことについて聞く。
こんなちびっこだが、知識も豊富だった。
ふと横を見ると、ゴーレムっぽいのが置いてあるのが分かる。
これは自分で作ったらしく、正直言って見た目によらず天才だ。
ミリムとおんなじ感じで、気づけば私は仲良くなってた。
精霊の知識を共有できるのが大きい。
あの紫の少女のおかげだな!これからは師匠って呼ぼう!
で、精霊女王だがなんか十大魔王の一人でもあるらしい。
普通に驚いたが、まあそういうこともあるだろう。
精霊女王ことラミリスに私は精霊について色々講義を受けた。
知識を得る機会を無駄にしてはいけない。
「そうだ、試しに精霊と契約しとく?」
「お、いいのか?」
精霊魔法で上位精霊と契約してみたいと伝えると、まさかのオッケーが。
子供たちに宿らせる前に私に宿らせてみるのもアリだろう。
……万が一、私がああならない為にもな。
保険としてやるに越したことはない。
「てことで、アンタに加護を授けてやるのさ!さあ、呼び出すといい!」
道みたいなものの上に行き、そこで私は祈る。
チカラが欲しい、と。
随分時間がかかったが、反応を感じた。
そこで私は、何故時間がかかったのかを知る。
「げえっ!?アンタ、全属性の精霊が来てるのよさ!しかも、人の家に勝手に入り込んだ奴もいるし!」
「ふむ。我が来た所で問題はあるまい」
「どっちがコイツを助けるかで二人で揉めてたんだが、俺様達が行く前に下級精霊が行きそうだったから喧嘩してたんだ」
「醜すぎるでしょ……」
「なんだなんだなにがあった」
聞くところによると、なんと全属性の精霊、そして光と闇の精霊は上位精霊だった。
火、水、風、土、空の精霊は中から下くらいのがいくつかなんだけどな。
はたから見たらめっちゃ神々しいんじゃ?
とりあえず侵蝕して統合していい?
今のままだと何人もいるからめっちゃ会話しにくいんだよ。
今の自我は間違いなく消えるし、原型を保てないと思うけど。
「我は良いぞ」
「俺様もだ」
許可は取ったので侵蝕し解析、そして統合した。
その瞬間、情報者が待ってましたと言わんばかりに説明を始める。
《告。「形容変化」により、精霊王として統合が完了しました。属性は「廻」です。続いて、自我情報を統合し新たな自我を植え付けます……成功しました。
こりゃまた随分と凄そうなもんになったな。
内面に語りかけると、それっぽい自我が帰ってくる。
うむ、さっさとリムルに報告しなければ。
……ん?勇者?