転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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15:閉ざす者

子供たちに一時の別れを告げ、私達はテンペストに帰る。

ある程度イングラシアの街から離れ、名残惜しいが空間転移を発動――

……?

リムルが驚いた顔をしている。

どうしたんだ?

 

《告。広範囲結界に囚われました。外部の情報が遮断されました。情報感知が無効化……抵抗(レジスト)に成功しました。一部機能が制限を受けます》

 

なっ!?

広範囲結界に囚われただと!?

心なしか体がだるいような気がする。

 

《告。広範囲結界に囚われました。身体能力に制限……「勇者の卵」の聖属性エネルギーにより一部抵抗(レジスト)に成功しました》

《告。広範囲結界に囚われました。放出系の能力(スキル)、魔法が制限されます》

 

やばい、なんか知らないがとてつもなく嫌な予感がする。

白い、灰?みたいなのが降ってきてるし……。

あ、止んだ。

なんだったんだ……。

 

「初めましてかな。もうすぐサヨウナラだけど」

 

後ろにすさまじい殺気を感じて私は振り向く。

そこには、男装の麗人のような剣士が立っていた。

その、突き刺すような目。

魔物を狩る組織、西方聖教会の服。

そして……一般の聖騎士とは比べ物にならないほどの覇気。

こいつが、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)か。

は、はは。

とてもじゃないが、勝てるとは思えないな。

ビリビリとした刺すような殺気……。

うぉっ!?

話しながら斬りかかってきた!

それを避けつつ、ヒナタを観察する。

……やばいな。

リムルと私、同時に相手をして全く疲れた素振りを見せない。

しかも、ダメージがあるわけじゃないが突きが武器を貫通してくる。

なんだこの突き。

……七回目の刺突で確実な死をもたらす、だって?

 

《解。暴風大妖渦(カリュブディス)によって傷ついた魂を最適化させているため、無効化に成功しています》

 

成功しちゃってる……。

まあ勝てるわけじゃないけどさ。

だって、用心深そうなのに切り札をこんなに喋るわけないもんな。

絶対なんか他に持ってるよ。

侵蝕をするための鱗粉は、もはや解析ができるほどの機能は停止している。

……あれ?詰んでる?

ま、まあ、いちおう保険はかけてるから大丈夫だ。

最悪はデータを全て分身に移せばいい。

だが、おかしいな?

警鐘が鳴り止まない。

なぜこんなにも私は焦っているんだ……?

くそ、意味がわからん。

右頬をバリバリと掻き、私は再びヒナタを見据える。

……もう、死んだふりしたほうがいいかもな。

全力で戦ってる風に装い、七撃目を受けたところで私は倒れる。

あとはリムルだが……。

最初から保険をかけてるっぽいし、問題ないだろう。

 

……なんだあれぇ。

ヒナタは結局私達を始末したと思ったのか去っていったが……。

リムルを葬るのにすさまじい技を出したものだ。

霊子崩壊(ディスインテグレーション)という技らしいが、師匠から教わったあの技と同じくらい危険なんじゃないか?

びくびくしつつ私は体を起こす。

さて、さっさと帰らねば。

……は?

転移が発動しない……?

とてつもなく、とてつもなく、嫌な感じが……。

とりあえず、最寄りの転移ポイントに転移。

ガビル、ベスターと合流し、街に結界が張られたことを知る。

魔法を無効化する結界と、あの結界の劣化版のような結界。

多重鱗粉で無効化できる程度らしいが、厄介なことに変わりはない。

結界の中に入る前に、街に入れず困っているフウガとスズネを救出。

ネーロ、ビアンカ、ロッサは森だが、後で呼び戻そうか……?

とりあえず、結界の中に入って現状確認だ。

広場がざわついているが、明確に戦闘の気配がある路地裏へ進む。

そこには、リムルが英雄に仕立てたヨウムとカリオンの部下のグルーシス、そして見慣れない魔人がいた。

ベニマルと、普段怒ることのないゲルドまで激怒し、戦闘をしていた。

リムルはそれを止め、事情を聞く。

どうやら、襲撃があったようだ。

しかし、その先の発言を聞いて私は顔を勢いよく上げることになる。

 

仲間が、死んでいた。

 

私は、それを呆然と見つめる。

……おいおい、嘘だろ?

嘘だと言ってくれ。

意識がフワフワしたままリムルについてゆき、詳しい事情を話半分で聞く。

ファルムス王国、西方聖教会……。

そして三人の異世界人。

怪我をしていたが、ハクロウとゴブタが生きているのはホッとした。

だが……。

 

「あいつはどこだ?」

 

リムルが、ベニマルにそう聞く。

ベニマルからは表情が抜け落ち、ただ一言「着いてきてください」と言った。

広場の隅、ひっそりと隠すように、彼女はいた。

……そんな。

 

 

 

「シオン……?」

 

 

 

あぁ、そんな。

そんなことが。

待ってくれ。止めてくれ。

嘘だろ。止めろ。

 

「あぁ……ああああああああーーーーーッ!!!」

 

死んでいた。

約束、したじゃないか。

料理を食わせてくれるって。

どうして、どうしてッ!

横で怒りのオーラが爆発しても、それと同種のオーラが私から噴き出ても、それがまるで涙のように無尽蔵に湧き出る。

私には目がないから、涙を流すことはできない。

それが、今、どうしようもなく悔しい。

仲間たちがオーラに怯えている。

あぁ、私は、そうだ。

私はいない方がいい。

私が悪いんだ。

皆がいるからといって情報者による監視を怠り、助けられる状況にあったにも関わらず助けられなかった。

私なら、できたはずだ。

何が、死んだふりをして生き延びればなんとかなるだろ、だ。

もう、ここには居たくない。

 

《……了》

《確認しました。ユニークスキル「冰纏者(トザスモノ)」を獲得……成功しました》

 

そう聞こえた瞬間、私は瞬時にそれを発動する。

私の存在が極限まで隠蔽され、あれほど溢れていた妖気(オーラ)が消えた。

氷の塊を作り、その中で私は蹲る。

 

私はココロを閉ざした。

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