転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
子供たちに一時の別れを告げ、私達はテンペストに帰る。
ある程度イングラシアの街から離れ、名残惜しいが空間転移を発動――
……?
リムルが驚いた顔をしている。
どうしたんだ?
《告。広範囲結界に囚われました。外部の情報が遮断されました。情報感知が無効化……
なっ!?
広範囲結界に囚われただと!?
心なしか体がだるいような気がする。
《告。広範囲結界に囚われました。身体能力に制限……「勇者の卵」の聖属性エネルギーにより一部
《告。広範囲結界に囚われました。放出系の
やばい、なんか知らないがとてつもなく嫌な予感がする。
白い、灰?みたいなのが降ってきてるし……。
あ、止んだ。
なんだったんだ……。
「初めましてかな。もうすぐサヨウナラだけど」
後ろにすさまじい殺気を感じて私は振り向く。
そこには、男装の麗人のような剣士が立っていた。
その、突き刺すような目。
魔物を狩る組織、西方聖教会の服。
そして……一般の聖騎士とは比べ物にならないほどの覇気。
こいつが、
は、はは。
とてもじゃないが、勝てるとは思えないな。
ビリビリとした刺すような殺気……。
うぉっ!?
話しながら斬りかかってきた!
それを避けつつ、ヒナタを観察する。
……やばいな。
リムルと私、同時に相手をして全く疲れた素振りを見せない。
しかも、ダメージがあるわけじゃないが突きが武器を貫通してくる。
なんだこの突き。
……七回目の刺突で確実な死をもたらす、だって?
《解。
成功しちゃってる……。
まあ勝てるわけじゃないけどさ。
だって、用心深そうなのに切り札をこんなに喋るわけないもんな。
絶対なんか他に持ってるよ。
侵蝕をするための鱗粉は、もはや解析ができるほどの機能は停止している。
……あれ?詰んでる?
ま、まあ、いちおう保険はかけてるから大丈夫だ。
最悪はデータを全て分身に移せばいい。
だが、おかしいな?
警鐘が鳴り止まない。
なぜこんなにも私は焦っているんだ……?
くそ、意味がわからん。
右頬をバリバリと掻き、私は再びヒナタを見据える。
……もう、死んだふりしたほうがいいかもな。
全力で戦ってる風に装い、七撃目を受けたところで私は倒れる。
あとはリムルだが……。
最初から保険をかけてるっぽいし、問題ないだろう。
……なんだあれぇ。
ヒナタは結局私達を始末したと思ったのか去っていったが……。
リムルを葬るのにすさまじい技を出したものだ。
びくびくしつつ私は体を起こす。
さて、さっさと帰らねば。
……は?
転移が発動しない……?
とてつもなく、とてつもなく、嫌な感じが……。
とりあえず、最寄りの転移ポイントに転移。
ガビル、ベスターと合流し、街に結界が張られたことを知る。
魔法を無効化する結界と、あの結界の劣化版のような結界。
多重鱗粉で無効化できる程度らしいが、厄介なことに変わりはない。
結界の中に入る前に、街に入れず困っているフウガとスズネを救出。
ネーロ、ビアンカ、ロッサは森だが、後で呼び戻そうか……?
とりあえず、結界の中に入って現状確認だ。
広場がざわついているが、明確に戦闘の気配がある路地裏へ進む。
そこには、リムルが英雄に仕立てたヨウムとカリオンの部下のグルーシス、そして見慣れない魔人がいた。
ベニマルと、普段怒ることのないゲルドまで激怒し、戦闘をしていた。
リムルはそれを止め、事情を聞く。
どうやら、襲撃があったようだ。
しかし、その先の発言を聞いて私は顔を勢いよく上げることになる。
仲間が、死んでいた。
私は、それを呆然と見つめる。
……おいおい、嘘だろ?
嘘だと言ってくれ。
意識がフワフワしたままリムルについてゆき、詳しい事情を話半分で聞く。
ファルムス王国、西方聖教会……。
そして三人の異世界人。
怪我をしていたが、ハクロウとゴブタが生きているのはホッとした。
だが……。
「あいつはどこだ?」
リムルが、ベニマルにそう聞く。
ベニマルからは表情が抜け落ち、ただ一言「着いてきてください」と言った。
広場の隅、ひっそりと隠すように、彼女はいた。
……そんな。
「シオン……?」
あぁ、そんな。
そんなことが。
待ってくれ。止めてくれ。
嘘だろ。止めろ。
「あぁ……ああああああああーーーーーッ!!!」
死んでいた。
約束、したじゃないか。
料理を食わせてくれるって。
どうして、どうしてッ!
横で怒りのオーラが爆発しても、それと同種のオーラが私から噴き出ても、それがまるで涙のように無尽蔵に湧き出る。
私には目がないから、涙を流すことはできない。
それが、今、どうしようもなく悔しい。
仲間たちがオーラに怯えている。
あぁ、私は、そうだ。
私はいない方がいい。
私が悪いんだ。
皆がいるからといって情報者による監視を怠り、助けられる状況にあったにも関わらず助けられなかった。
私なら、できたはずだ。
何が、死んだふりをして生き延びればなんとかなるだろ、だ。
もう、ここには居たくない。
《……了》
《確認しました。ユニークスキル「
そう聞こえた瞬間、私は瞬時にそれを発動する。
私の存在が極限まで隠蔽され、あれほど溢れていた
氷の塊を作り、その中で私は蹲る。
私はココロを閉ざした。