転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
シャガリの存在が感じられなくなった。
それをいち早く感知した俺は、すぐ大賢者に命令し探させる。
幸いにも、「テンペスト」の名でつながっているためすぐに位置を特定。
極限まで存在感が薄い氷の塊、その中にシャガリはいた。
もう、仲間を失うわけにはいかない。
ヴェルドラとほぼ同時期に友達になり、これまでもずっと俺の仲間だったシャガリ。
こいつまでいなくなったら、俺は壊れていたかもしれない。
しかしあの頼れるシャガリまでこうなってしまった今、後は俺がなんとかするしかない……。
だが、どうする?
検索しても、完全な死者の蘇生なんて魔法は存在しない。
このまま、俺は仲間を失うのか?
心を閉ざし、ほぼ死んでいるようなシャガリもいる。
……どうしてこんなことになったんだろう。
どうするのが正解だった?
なぁ、俺が間違っていたのか?
そのまま、俺は立ち尽くす。
シャガリは生きている。
だが、それはもう生きている状態とはいえないほど……。
そう考えた瞬間、どうしようもなく感情が渦巻いた。
シャガリ、どうか、どうか返事をしてくれ。
いつも、どこか先回りをしているお前にしか頼めない。
ミリムといち早く仲良くなり、ラミリスとも仲良くなり、いつもどこかへふらふらとしているが、目を合わせるたび成長しているお前にしか。
俺は、何か成長しているか?
全部、大賢者に任せきりじゃないか。
……あぁ、消えてしまう。
皆が。
――ビシッ――
諦めきれず、ただじっとしていた俺の元へエレン達が駆け付けてきた。
そして、俺にとっての福音となる発言をした。
死者の、蘇生?
それがあれば、シオン達は、生き返るのか?
シャガリは、再び目を覚ましてくれるのか……?
俺は顔を上げ、エレン達を見やる。
「詳しく聞かせてくれ、エレン」
エレンは語った。
竜皇女ミリムの御伽話を。
魔王に覚醒し、系譜に連なる者が生き返ったという伝承を。
残念ながら、その御伽話では魂が無かったために死者の蘇生はできなかったようだが……。
そこに魂さえあれば、死者の蘇生が可能となる。
そして、今この街は二種の結界に覆われていて――
《告。ユニークスキル「情報者」からの演算補助を受け、検索。二種の結界に阻まれ、魂が残存している確率は3.14%です》
は、はは。
そうか。
シャガリは俺と似たスキルの構成をしていた。
演算に特化したユニークスキルと、捕食に特化したユニークスキル。
そのうちの一つ、演算に特化したユニークスキル。
シャガリは、まだ諦めていない。
俺が魔王になりさえすれば、皆を救える。
その話に、乗ってやろうじゃないか。
魔王に覚醒するための資格、魔王種を俺は既に持っている。
後はそれを覚醒させるだけ。
それに必要なのは、人間の魂、約一万名。
ちょうど、ファルムス王国の軍二万名がここに向かってきているらしい。
……いいタイミングだ。
今回は、俺自身の手でケジメをつける。
事前準備として、死者蘇生の事例を増やしておこうと思う。
ミュウランを呼び、いかにも殺すかのような演技をした後、心臓を交換して蘇生。
魔王クレイマンの盗聴に使われていた信号を検知したため、強硬策を取らせてもらった。
この地脈を応用した情報収集はシャガリがよくやっていた。
これの仕組みは俺がよーく知ってる。
微弱な信号でも朝飯前だ。
次に、俺が魔王になるうえでの会議。
これから人間とどう関わっていくか。
多種多様な意見が飛び交い、俺は嬉しく思う。
恵まれているな、と。
たくさんの仲間に出会い、俺はここまで来ることができた。
俺が転生者……元人間だと話しても、受け入れてくれる。
これは、こんなことが起こったのはここにいる全員の責任だと、そう言ってくれた。
そうだな。前世がとか関係なく、今を大切にしなければ。
そのためにも、俺は魔王になる。
ファルムス王国軍の上空に俺は浮かぶ。
そして水の精霊に命令しレンズを作らせる。
これは、太陽のある限り低コストで行える、法則にしたがった物理魔法。
大賢者と情報者が最適化させ、大賢者が演算を、情報者が情報の把握をする。
この戦場にいる者を、皆殺しにするために。
死ね。神の怒りに焼き貫かれて。
「
どんな者でも等しく命を奪われ、その情報は即座に処理される。
ユニークスキル「情報者」
大賢者より解析が遅めだとシャガリは言っていたが、それは間違いだ。
これはありとあらゆる情報を集めるスキル。
《解。その効果は、「情報子」の認識です》
解析するものが多すぎるが故の、解析の遅さ。
だがそれを俺の大賢者と組み合わせる。
そうすれば、この戦場の全ての情報は掌の上となる。
現に情報者は戦場の全ての情報を把握していた。
四方の陣の勝利、新たなユニークスキルの解析など。
シャガリが協力してくれているのを感じる。
待っていてくれ、シャガリ。
もうすぐ俺は皆を生き返らせるから。
ユニークスキル達は、主の願いを叶えるため、最適化を続ける――