転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
あれ……?
私は目を覚ます。
おかしいな、確実に死んだと思ったんだが。
なんで洞窟の中にいるんだ?
しかも、目線が妙に低い。
一歩踏み出そうとすると、私は四足で歩行していることに気づいた。
恐る恐る自分の手、なのか足なのか分からん場所を見ると……。
黒くて、爪?
うん?
多分人間じゃないことだけは分かる。
後ろを向いてみる。
いや、そんなことしなくても、意識を後ろに向けるだけでなんか後ろが見えた。
そこには、ガブラスをクソデカくして翼を無くしたみたいなモンスターが横たわっていた。
なんだこいつ。新種か?
と、いうか私はなんでこいつの上に乗ってるんだ?
とりあえず腕とか足とか全部動かそうとすると、なんか違和感があることに気づく。
……私、腕っぽいの四本ありますやん。
背中に腕っぽいのがある。
そして、開いてみるとまるでマントのようだった。
うむ、一回自分を俯瞰して見てみるか。
ゴア・マガラだった。
もう一度言おう。
ゴア・マガラだったわ。
ゴコクという有名な画家が描いた絵にそっくり……というか私が昔見たやつにそっくりだ。
あの時は逃げることしか頭になくて深く観察はしてなかったが。
まさかのまさかで私はゴア・マガラになってしまったようだ。
あの時シャガルマガラに負けて死んでるし、なんという偶然だろうか。
とにかく、ここでずっと考え事をしている訳にはいかない。
動くとしよう。
しばらく歩くと、草が沢山生い茂っている所に出た。
薬草やげどく草があればいいんだが。
キノコっぽいのは無いし、漢方薬とかは作れそうにないな。
とりあえず食ってみよう。
……うむ。
味なんてものは無いな。
てかこれなんていう草なんだ?
《解。ヒポクテ草》
ぬおっ!?
なんか声が聞こえたぞ!?
お前は誰だ!?
《解。ユニークスキル「情報者」です》
ユニークスキルだと?
私はそんな護石を持っている覚えはないし、装飾品だってそんなものを積んでないぞ?
そもそもユニークってなんだ。
スロットが4でスキルレベルが0.5、なんて積みにくい感じか?
《解。この世界では強い意志を持つ者の魂の形がスキルとして発現します。普通のスキル、コモンスキルやエクストラスキルは凡人でも習得可能ですが、ユニークスキルは本人の意志や感情が深く関係するので千差万別です》
ほう。なるほど。
わざわざ装飾品などを積まなくていいのはありがたいな。
で、私は「情報者」というユニークスキルを持っているというわけだな。
《解。「情報者」の他に「
二つもスキルがあるのか。
これはどんな効果なんだ?
《解。ユニークスキル「
侵蝕:生物、非生物問わず侵蝕する。対象の意識の有無により多少効果は変動するが、上回れば妨害されることはない。
解析:侵蝕した対象を解析する。材料がそろっている場合、創造、調合が可能。術式の解析が完了すると習得も可能。
形容変化:姿を侵蝕し、変化させる。自身、他者問わず使用可。ただし、情報の解析に成功したものでないと効果は著しく低下する》
なるほどな。
つまり、この草とかを侵蝕して解析したら、回復薬が作れるかもってことね。
早速やってみよう。
私が草に触れると、草は鱗粉に覆いつくされて消失した。
ほうほう。
では解析だ。
……結構時間かかるんだな。
解析を待っている間、とりあえず侵蝕したり草食ったりして暇を潰した。
草ばっか食ってるゴア・マガラって特殊個体になりそうじゃないか?
そういえば、情報者の効果ってどんな感じなんだ?
《解。ユニークスキル「情報者」の効果――
思考加速:通常の1000倍に知覚速度を上昇させる。
解析鑑定:対象の解析及び、鑑定を行う。
並列演算:解析したい事象を思考と切り離して演算を行う。
情報保存:取り込んだ情報を保存する。
情報出力:この世界の情報を出力し、閲覧する
情報感知:周囲の情報を感知する。さらに取り込んだデータを元に最適化される》
なかなかに解析に特化したスキルって感じだな。
とはいえ思考加速は私がハンターしてる時も欲しかったぞ!
1000倍ってことは、モンスターの攻撃の予備動作を瞬時に読み取って避けることも可能かもしれないじゃないか。
あと、解析に特化してるってことは闇纏者の解析とリンクできたりしない?
《解。可能です。リンクしますか?yes/no》
yesっと。
そう言った瞬間、食ってた草、ヒポクテ草の解析が完了したらしい。
どうやらこれで回復薬が作れるらしい。
情報保存とやらがアイテムポーチ、というかアイテムボックスっぽくなってるから作ってその中に保存。
もし私が傷を負うことがあったらがぶ飲みしなきゃな。
草の解析も終わったことだし、この洞窟を出たいな。
どこに出口があるのやら。
歩いていると、横から凄まじい威圧感を感じた。
なんだかやばいものがいそうだが横を見ると、そこには新種の飛竜のようなものがいた。
クシャルダオラ……?
にしては大きすぎる、というか威圧感が比じゃない。
古龍よりもさらに上位の存在……まさか、伝説に聞くあの黒龍……?
『そこに隠れている者よ。貴様も遠慮せず出てくるがよい』
なんか知らないけど、頭の中に声が響く。
「も」ということから推測するに、どうやらあの龍の近くにいる丸い物体も生命体のようだ。
『どうも、こんにちは。貴方も転生者ですか?……また難儀なのに転生したな』
これは、あの丸い物体の思念か。
その問いに対して、私はyesと答える。
あの状況からでは転生としか思えん。
情報者に頼んで死ぬ直前あたりの記憶を見せる。
その情報に驚いたり興奮したりで喧しい奴だ。
それについて語ってると、ある程度仲良くなった。
ま、ヘルブラザーズの舎弟をしてた時期がある私だ。
愛想を振りまくくらいすぐできる。
『え!?モンハンから!?そんなことある!?お前も苦労してるんだな……』
『なんだ、異世界から魔物に転生する者が二人もいるとはな』
『ヴェルドラ、名前っていうならこの人にもつけてあげたら?』
『む?そうだな』
名前?
私は元々名があるのだが……。
シャガリという名が。
流石にそれを変えられるわけにはいかん。
『なるほど、シャガリか。ではシャガリ=テンペストと名乗るがよい!我はヴェルドラ=テンペスト、こっちのスライムはリムル=テンペストだ』
『よろしくな、サトル……いや、リムル』
『おう!』
ちなみに、リムルはスライムというモンスターだそうだ。
これをギルドに報告したら、新しいモンスターの区分ができそうだな。
粘性種、みたいな感じか。
あのクソデカいヴェルドラを吸収できるんだから、すさまじく危険なモンスターだよ。
どうやら封印を解くために喰ったらしい。
なんと出鱈目な。
『お前って実力どれくらいだったの?』
『王域三公は倒したが、その程度だ』
『てことは古龍、メル・ゼナと戦ったのか?』
『いや、メル・ゼナと戦ってから限界を感じてな。死に物狂いで倒したことはあるんだが、それからは古龍とは滅多に戦ったことないな』
『なるほどな、でもメル・ゼナを倒せるなんて、かなりの上級者ハンターだったんだな』
『そうでもないさ。小型モンスターや乱入してきたモンスターを誘導してある程度弱らせたら双剣でいたるところを出血させ、逃げる。そして寝たら爆弾、小型モンスターを襲う行動になったら毒テング茸を死体に混ぜる、みたいな感じで衰弱させて討伐するんだ』
『うわ、やっぱ現実だとそうなるんだな……』