転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
力を練る。
全身に満ちる様々なエネルギーは、常に私を強化してくれている。
魔力をはじめとする、龍気、嵐纏などのエネルギーが代表的だ。
無意識的に至る所を駆け巡るこれらの力は、普段私を充分に強化してくれている。
が、別に制御してる訳でもないのでついつい力を込めすぎてドアを破壊することがよくある。
これを制御できればいいんだが、そもそも私の
迷宮を作ってから増え方は加速し、今ではヴェルドラの足元を通り越した。
だから、その制御を覚えるために力を練っているわけだが……。
なんか、上手くいってるけどどうにも暴走しそうな気配を隠し切れない。
いや、間違いなく強い力なんだぞ?
様々なオーラが混ざり合った結果なのか知らないけど、この強い力は金色に輝いている。
……頬を軽く掻く。
まあ、最悪
私のやることといえば、力を練りつつさらに力を求めること。
この程度じゃ足りない。
ジュラの大森林にある龍脈を全てこの迷宮に集め、私へと集約させている。
その結果地面が若干上がってきているような気がするが。
どうせすぐ直せるし大した問題じゃあないだろう。
龍気は私の体を強靭に作り変え、私の体を構成する魔鋼もさらに強度を増してゆく。
金色のオーラも合わさり、輝いている。
リムルにこれを見せると、お前、金を創造できたのか……と驚かれた。
これは錬金術と言うらしいな。
いつもはそんなに使ってないが。
……こうして精神統一していると、自分の力が増えていくのが感じられる。
この感覚が、私は好きだ。
力がみなぎって暴れたくなるな。
この体の内から湧いてくる破壊衝動。
これは意外なことに問題にはなってない。
情報世界で散々暴れているからな。
情報世界が無かったらどうなってるか分からん。
今でも迷宮を作っているのと同時に情報世界で様々な実験が行われている。
龍気は龍属性を帯びているが、これを変換すると様々な属性になる。
これをスムーズに行うことが今の所普通の状態だとできない。
後は、天候を変えるのも普通の状態だとできない。
どうやってそれをスムーズに可能とするか?
私の触角が制御器官になっているため、これを出して制御するわけだ。
古龍も角で力を制御すると聞いたことがあるし、そんな感じだろうな。
妖しく輝く触角は、深淵をこの世に顕現させたように漆黒だ。
隙間から紫色と赤色の光が溢れ、たまに金色も混じる。
それでも、目が見えるようになることはないが。
気が付けば、暗い異界に私はいた。
この状態でも異界へとスムーズに行けるんだな。
それにしても、今回の異界は気配が違う。
特にデバフがかかるわけでもないので、私はそのまま進むことにした。
たまに人型に近い
こいつら、たしかに保有してる力は多い。
だが私の
もっとましなの出てこないのか?
そんなことを考えていたのがいけなかったのか……。
「見慣れヌ
私の後ろに、凄まじいオーラを放つ者がいる。
その存在力は私どころかヴェルドラすら超えているように感じる。
なんだ、コイツは。
ゆっくり後ろを振り向くと、ゼギオンと似た、しかしもっと戦闘に適している肉体を持つ
腕は六本。
全身が虹色に輝き、神々しい雰囲気が漂う。
出るはずのない冷や汗が流れるような感覚がした。
勝てるわけが、ない。
恐らく、私がコイツに攻撃を加えた瞬間……私は粉微塵に切り刻まれいるだろう。
並列存在とラミリスがいるためまず負けることはないが、私はコイツに有効打を与えられる気がしないぞ。
「先に名乗るのが礼儀だと思わないか?」
「笑止。弱者に名乗る名など無イ」
「あぁそうかい。私はシャガリ。しがない竜さ」
少しでもコイツの情報を手に入れるため、時間稼ぎとして
これで怯んでくれればいいんだが、そう上手くはいかないよな……。
「成程。多少力があるようダ。十二蟲将に届いてもおかしくは無イ……」
「そうだろう?私は強い」
「その強さは想定外ダ。名くらいは名乗ってやろウ。ワレは蟲魔王、ゼラヌス。では、死ネ」
――ッ!?
気が付いた時には、私は瞑想の状態のまま意識を取り戻した。
夢、か?
妙にリアルだった。
まだ動悸が治まらないので、息を整えることに意識を注いだ。
一瞬で粉砕された気がしたが、私は無傷だった。
《謝。精神を異界に飛ばす実験の結果です。精神の本体は迷宮に接続しているため不死になっていますが、疑似的な死を体験しました》
死なないなら別に大したことはないな。
私はモンスターに何度ボコられたことか。
腕の骨がありえない方向に曲がったり体が貫通したりした時にネコタクシーを呼んで、秘薬をがぶ飲みしたものだ。
死ななきゃ安いという。
ま、流石に腹にクソデカい穴が空いて、狂竜症にも感染してキュリアに血液を吸われている状態でネコタクシーを呼べなかったら死ぬけど。
それが私の死因だ。
さて、随分瞑想してたみたいだし、そろそろここから出るか。
「あ、シャガリ、大丈夫?顔色悪いよ?」
「む?少し遅かったな。楽しいことをしていたのだが、シャガリも誘いたかったぞ」
「なんかあったのか?」
「我等が別の魔物に憑依して冒険者を撃退していたのだ。シャガリの分の
「あ、リムル達ならイングラシア王国に行ったのよさ!行きたいのなら早く行った方がいいと思う」
「ありがとうラミリス。ヴェルドラ、それ面白そうだしまた誘ってくれな!」
ラミリスとヴェルドラに挨拶して、リムルにも挨拶しようと思ったんだがイングラシア王国にいるらしい。
ちょっと様子を見に行くか。
空間転移をして、イングラシアに侵入。
リムルが喫茶店の中にいたので、その横の席に転移。
まるで元からそこにいたかのように自然に着席。
「そうそう、何か企んでる馬鹿共もいるみたいだから、用心は怠らないように」
「心配しすぎだ。……それにしてもシャガリ、いつの間にそこに?」
「お、気づいたか」
「あら、随分器用に気配を隠すのね」
どうやら評議会とやらの会議があるらしいので、私もそれについてゆくことにする。
スーツは
似合うだろう?
「馬子にも衣装だな」
「失礼だな。身長のことか?」
「子供がスーツのコスプレをしてるようにしか……」
「ま、リムルの妹という設定でやってるんだ。スーツくらい着た方がいいだろ」
「リムルの妹……?それにしては貴方の情報は不自然なくらい無いのだけど」
ヒナタがよく分からないことを言い始めた。
私の情報がない?
近くにいたベニマル達にも聞いてみたが、たしかにそんなに表舞台に出てないですねと言われた。
そういえば異界に行ったり迷宮に引きこもったりしてるし、そんなに人前には顔を見せてないな。
というかそもそも私、常に自分に隠蔽かけてるし印象に残らないと思う。
それはそれで常に初見殺しができていいんだけどね。
会議室。
小汚いオッサンをぶん殴ってリムルに取り押さえられるというトラブルはあったが、無事に評議会の会議に参加できてるな。
私はリムルの横で話を聞いてるだけなんだけど。
議員達を観察していると、ガイにかけられていたのと似たようなモヤがあるのが分かる。
そいつらは限って塗りつぶされてるモヤが大きいのはなんなんだろうか。
リムルの不都合にならないように順番に解除していく。
強力な洗脳っぽいが、所詮はユニークレベルの洗脳。
リムルが怒鳴ることによって綻びも生まれたし、簡単だな。
解析系
私もこんな感じの洗脳、使ってみたいな。
そんなことをしていると、なんか騎士がぞろぞろと入ってきた。
取るに足らない雑魚共だが、なんだか皆は迷惑そうだ。
お?なんかミリムが支配されたフリをしてた宝珠を持ってるぞ、先頭のあいつ。
《解。
偉そうになんか喚いてるし、なんか横にガイもいる。
ここは私が成敗するとしよう。
エルリックとかいう王子がなんか言ってるけど、私がさっき洗脳を解いたから意味ない感じだな。
リムルが途中で怒鳴ってくれたおかげで簡単に解けた程度のものだぞ。
間違いなく道化だな。
いやぁ、それほどでも。
騎士共は策が失敗したのを悟ったのか、今度は強硬手段に出るようだ。
シュナが出ようとしたのを手で制し、私は前へ出た。
まあ、シュナがやろうとしたことを私がやってみるだけだが。
それをちょっくらリメイクでもしてやろうかと思ってな。
「神へ祈りを捧げ給う。我は望み、聖霊の御力を欲する。我が願い、聞き届け給え」
神聖魔法は、自分へ祈ることでも普通に使える。
本当は詠唱なんて必要ないけど、ビビらせるためにあえてやってる。
これを両手に集め、剣……ではなく爪の形にしてゆく。
一本で放てば
私は双剣使い。一本で放つはずないだろう。
「万物よ尽きよ――
ガイは一瞬にして消滅した。
リムルから「あちゃあ……殺っちまったか……」と思念が飛んでくるが、失礼だな!
ガイの身体情報はとっくに取得済みだ。
ガイの体を構成する情報子、それを再生してゆく。
最後に保護しておいた魂を付与すれば、完成だ。
これが一回殺して蘇生するという荒業である!
「ヒ……ヒィ!」
戦意は喪失したっぽいので、放置。
それより結構先の方にいるワイルドなガンナーを警戒した方がいいと思うな。
私はそいつの方向を向き、ニッコリと笑顔を作る。
あいつが何をしようと、リムルの
だからゆったりと観戦できる。
あらゆる放射攻撃を喰らうこのスキル、やっぱチートだよね。
今でもなお勝てる気がしない。
その後は波乱なこともなく会議が収束していった。
私はただニコニコしてるだけだったけどな!
勝手にリムル達が色々解決してくれた。
私が出しゃばらなくても余裕だっただろう。
さて、今回の会議でこのモヤの正体が掴めてきたぞ。
これは欲望。
欲望を操るユニークスキルを持っている奴がいるということだろう。
あえて操られて力を奪うのもいいかもな。
人の欲望を塗りつぶすなんてどんな強欲な奴なのか。
私の貪欲と勝負しようじゃないか。
"力"を求める心だけなら、だれにも負ける気はない。
楽しみだなぁと思い、私はニヤリと笑みを浮かべた。