転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
今日は待ちに待った遺跡探索の日。
リムル、ミリム、シオン、ゴブタ、ランガと一緒にジスターヴという国にある遺跡探索に行くぞ。
探索用の服を用意してあるので、私はそれを着る。
もっふもふで、ゴーグル付きだ。
「アイボーが口癖になりそうな服だな」とはリムル談。
カガリという名の遺跡探索プロの人が率いる部隊と合流し、"アムリタ"という名の遺跡に来ている。
遺跡内部を見ると、なんだか古代のロマンを感じさせる装飾がいっぱいだな。
龍脈も通っているので、それで罠を感知して進む。
……そもそも存在を隠蔽している私が罠に引っかかるとも思えないが。
ミリムの
ゴブタと小型のボウガンについて語ったり、シオンの淹れた紅茶に驚いたり。
随分と楽しい一時。
ラミリスとヴェルドラも一緒に探索したいし、今度誘ってみよう。
……ま、幸せな時間ってのは長く続かないもんだよな。
「あれは、やばくね?」
「ヤバイ、ヤバイぞ……」
「あれは――ッ!リムル、シャガリ、ワタシは急用ができたのだ」
「待てミリム。私も行く」
禍々しい気配が出現したと思えば、ミリムが焦って遺跡の外に飛び出していった。
ミリムが焦るということは、あれが、あの巨大な竜が
私もミリムについてゆく。
が、近づけば近づくほどヤバイのが分かる。
私より
とはいえ、ヴェルドラより少ないが。
それでも私の五倍以上……。
全てを腐食させるブレスが飛んできたので、結界で防御をする。
ひぇぇ……これは結界が無かったらやばかったぞ。
とにかく、カオスドラゴンを抑えないことには力を絞った並列存在でしかリムルの加勢に行けない。
私は双剣を装備し、カオスドラゴンと対峙する。
……行くか。
私はミリムと共にカオスドラゴンに攻撃をしかけている、のだが……。
ミリムの友達を私は破壊したくない。
だが手加減して倒せるような敵でもない。
生半可なダメージはすぐに回復するし、エネルギーを侵蝕してチクチク攻撃を加えていくくらいしかできることがない。
しかし、
普段はある程度実力差があっても侵蝕できるのだが、こいつはダメだ。
"竜の因子"というものもあるらしく、侵蝕する度全身に痛みが走るのだ。
しかも一度に侵蝕できる量も少なく、"竜の因子"はボロボロだから解析してその力を取り込もうとしてもできないっぽい。
ダメージはこっちに来るのに相手にないってどういうことだよ。
しかも、モヤを見るとやはり支配されている。
ちょっとでもミスをすると崩れそうな、危うい戦闘だ。
とっくに
痛覚無効でも遮断できないこの痛み、頭がおかしくなりそう。
私を侵蝕しようとしてるのか?
……ふざけるな。
私は
蝕まれてたまるものか。
力が、力が欲しい。
リムルの元に残している並列存在で、元凶を観察しているのだが……。
イマイチ要領を得ない。
元凶を観察すれば、何かつかめるかもしれないかもと思ったんだが。
そんなことを考えていた私に、
《……告!緊急回避してください!》
――白い灰のようなものが、ひらりと私の頬へと降る
……ぐあっ!
ぎ、ぐ……あぁああ!!!
なんだ!?何が起こった!?
急に凄まじい痛みが体の内側から溢れる。
焼けるように痛い。
まるで、熱い鉄板で頬に何度もぶん殴られているかのような。
いや、それどころではないッ!
あああああ!!!
痛い……痛い?
いや、痒い。
痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い痒い。
《告kk……ザザザ……制gyaaよzz》
バリバリと頬から頭にかけて掻くと、金色の髪の毛が抜け落ちる。
……金色?
バカな、私の髪色は黒だったはず。
「シャガリ!」
ミリムの声が聞こえて、私は正気に戻る。
だが、もう遅かった。
痒みで意識が途切れたから、私は今
つまり……あらゆる防御手段が機能しない。
くそったれがァ――!
カオスドラゴンと戦っていた並列存在との連絡が途絶えた。
何かあったのかもしれない。
どうやら相当本体が錯乱しているようだ。
シオンは操られているユウキに倒され、リムルがユウキを相手しているのだが……。
元凶――金髪の少女、マリアベルがこちらを見る。
そして、笑みを浮かべた。
ゴブタも他の奴の相手をしているので、マリアベルがフリーになっている状況だ。
くそっ、本体は一体何をしてるんだ。
「貴方、そう貴方よ。上質な欲望なの。大きな欲望を持ったことを後悔するの、後悔するのよ」
マリアベルは子供とは思えない速度で私に肉薄する。
私からしたら遅いんだが、今持っている力が少ししかないのもあって予想以上の衝撃が来た。
普段なら受け止めても全くダメージなんて受けないんだが、本体の影響か結界が使えない。
私に傷をつけるほどではないにしろ、黒いモヤは纏わりついてくるし危険だ。
それに、体が重い。
イライラしたので頬を掻く。
すると、金色のオーラが溢れるように私の頬から放たれ始める。
なんだ?何が起こった。
バリバリと頬を掻くが、急に襲い掛かってきたこの痒みは治まる気がしない。
このままでは、集中してマリアベルと戦うことが……。
マリアベルは何か準備してる感じだし、それを私は継続して喰らってる。
このままじゃ不味いな……。
ある程度攻防を交わし合うと、マリアベルはついにその権能を放った。
「支配するのよ!
黒いモヤが私を包み、思考が上書きされてゆく。
これは……!?
やめろ……やめろやめろやめろ。
私は、私は!
蝕まれたくない。
蝕まれてたまるか!
力が欲しい。もっと、もっともっともっと!!!
だが、進化もしていないこの能力にできることはあるのか?
「シャガリ!」
リムルの声が聞こえる。
あぁ、だめだ……。
そして私の思考は黒く塗りつぶされてゆき――