転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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31:その姿、渾沌

私は、どれだけ叡智之王(ラジエル)に依存していたのだろう。

最初は自分の力で解決しようとしていたのに、いつの間にか叡智之王(ラジエル)がいないと何もできない木偶の棒と化してしまった。

黒く、黒く、感情が塗りつぶされる。

助けて、リムル、ラミリス、ヴェルドラ――

 

待て、私は何を考えた?

この期に及んで、まだ人に頼ると?

何が、楽しみ、だ。

叡智之王(ラジエル)に頼らなければ何もできない癖に。

思い出せ、最初の願いを。

私は力を欲したはずだ。

何者にも負けない力を。

全てを蝕む力を。

情報が欲しい、それもまた私の願い。

だが、もう一つ、蝕みたいという願いを忘れるな!

支配されているが、無理矢理自身の欲望を侵蝕する。

そして、見つけた。

欲望の支配の鍵を。

そうさ!私は貪欲なる者!

 

《確認しました。ユニークスキル「強欲者(グリード)」を獲得。……失敗しました》

《確認しました。ユニークスキル「強欲者(グリード)」を獲得。……失敗しました》

《確認しました。ユニークスキル「強欲者(グリード)」を獲得。……失敗しました》

 

――――――

 

《確認しました。ユニークスキル「貪欲者(アヴァリス)」を獲得……成功しました》

 

これを、自分で統合する。

いつまでも頼ってばかりでいられるか!

 

《確認しました。ユニークスキル「闇纏者(ムシバムモノ)」と「貪欲者(アヴァリス)」を統合――》

《ユニークスキル「蝕欲者(ネフィリム)」を獲得しました》

 

その瞬間、私を支配する枷が壊れたのを感じた。

そして解放する。

闇纏者(ムシバムモノ)とは比べ物にならない、侵蝕の力を。

早くそこから抜け出せ!本体!

私は支配から抜け出したのと同時に、その存在を消滅させた。

最後に、マリアベルの驚く顔を見られたのがスッとしたよ……。

 

 

 

……?

私は、どうなった?

何故か、奥底から力が湧いてくるようだ。

侵蝕の波動を周囲に放つと、少し前とは比べ物にならないほど出力が強いものが出た。

しかし、それも周囲のエネルギーに離散してゆく。

叡智之王(ラジエル)

……あぁ、そうか。

並列存在との同期が終わり、私は心の底から怒りがわいてくるのを感じる。

油断だ。私は油断していた。

どんな敵が来ようとも絶対勝てると。

そんな訳がないだろう。

ゼラヌスの例を忘れたか?

ギィ・クリムゾンの不気味さは覚えていないか?

シオンを、街の皆を一度失ったあの痛みを、私は忘却してしまったのか?

否。否!否!!否!!!

溢れるチカラはあの灰に触れた時のように激しく溢れてはいない。

ならば、侵蝕すれば制御できるはずだ。

このユニークスキル「蝕欲者(ネフィリム)」ならば。

侵蝕、いや、違う。

蝕み尽くせ――"暴蝕"

 

『シャガリ!今助けるぞ!』

『星々よ!その輝きを目に焼き付けよ――竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)――ッ!』

 

外から、リムルとミリムの声が聞こえる。

私を助けようとしてくれているのか?

ならば、私もそれを手助けするとしよう。

近くにあった傷だらけのカオスドラゴンの心核(ココロ)を保護し、リムルが私を喰らうのを待つ。

あぁ、それにしてもやはり美しい。

星が瞬くように、ミリムの放った技は輝いている。

私も、その技を使ってみたい!

チカラ、いや。

情報も欲しい!

 

《……ザザザ……告。再接続が完了しました。直ちに実行に移します》

 

一瞬私の体がオレンジ色に輝いたような気がした。

そして、前方に情報を侵蝕する波動が撃ち出される。

情報侵蝕波(インフォエロ―ジョン)……。

いや、もう名前を変えてしまおう。

 

「来い、ミリム!情報暴蝕覇(インフォエロ―ジョン)――ッ!!!」

 

『うぉおおおおお!竜星爆炎覇(ドラゴ・ノヴァ)!』

『食らい尽くせ――暴食之王(ベルゼビュート)

 

凄まじいエネルギーが、眩いエネルギーが、あたりを照らす。

コンマ一秒もない、私の抱えている心核(ココロ)が砕けそうになる刹那、リムルの権能が発動する。

私は、それをリムルに差し出した。

私は自力でここから生き延びてみせるさ。

 

『シャガリ――?』

 

角が私の額から生え、片目が赤く輝く。

……まだ、見えない。

だが、今はそんなことはどうでもいい。

ミリムの放った技の余波を、私はどんどんと侵蝕していく。

そして、その力を解析。

まだ再現はできないが、何かはつかめた。

 

「ごちそう、さま!」

「後は任せろ」

 

今にも倒れそうだが、私はリムルとバトンタッチをして後ろに下がってゆく。

まだカオスドラゴンの残骸、エネルギーの塊が残っているからだ。

本当に大丈夫なのかと一瞬疑ったが、タイムラグもなくリムルは一瞬でそれを喰らった。

さらに、ミリムの友達も復活させようとしている。

はは、マジで流石だよ。

 

ズキズキと痛む右頬を押さえ、私は地面へと降り立った。

リムル達と合流したが、意識が朦朧として上手く立てない。

 

「シャガリ……その姿」

「言うな。私が、一番よくわかってる――」

 

黒蝕竜(ゴア・マガラ)は、古龍である天廻龍(シャガルマガラ)の幼体。

脱皮して成体になるのだが……。

天廻龍(シャガルマガラ)は絶対に一体しか存在できない。

その放つ鱗粉の効果が、あまりにも致命的すぎるのだ。

黒蝕竜(ゴア・マガラ)の脱皮の阻害。

その姿になってしまった黒蝕竜(ゴア・マガラ)は二度と成体になることができない。

内に秘める、大きすぎる古龍の力が肉体には耐えられないのだ。

今の私の姿は、紛れもなく――

 

渾沌に呻く黒蝕竜(ゴア・マガラ)そのものだった。

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