転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
ドクン、ドクン、と脈打つように、鼓動を感じる。
薄っすらと目を開けると、どうやら私は液体の中に入っているということが分かった。
意識が覚醒してくると同時に、私の体の中に凄まじいエネルギーが荒れ狂っているのが分かる。
ただ、それは暴蝕によって取り込まれて情報世界に隔離されているようだが。
さて、私は一体どこにいるんだ?
不思議なことに痒みは今は感じない。
情報感知で今の自分を見ると、やはり金色と黒色が混ざったような見た目をしているな。
どうやら武器をつけたままだったようで、魔素に馴染んで強化されている。
名付けるとすれば
そこまで考えて、私は自嘲する。
私は無様にも
腕を動かし、私は額を触った。
硬質な角の感覚。
私の右側は金色に変色しており、片方だけ角が生えた歪な姿となっているようだ。
翼脚を動かして見てみると、しっかりそこも金色に変色している。
……ハハッ。
恐らく、このまま放置していれば私はもう長くは生きられないだろう。
そういえば、先程から体に違和感を感じる。
心臓周辺に意識を向けると、そこには"精霊魔導核"が脈打っていた。
これのおかげで、私の中にいる
十中八九これを用意してくれたのはラミリスだろう。
精霊による中和は無駄ではなかったようだ。
そういえば、もし精霊による中和とかが無い状態で、この力が暴走して死んだら私は生き返れるのだろうか。
そこまで考えて、ゾッとした。
もしかしたら渾沌に呻いている状態で復活するかもしれない。
……まだ絶望するには早い。そうだろう、
この世界は私の前世とは違う。
もしかしたら、この姿のまま生き永らえる手段があるかもしれない。
幸い、今は特に不調を感じない。
強いて言うのなら、随分
私の浸かっている液体の魔素濃度を計測する。
異常な数値を記録しているな。
この液体の中は、Aランクの者でも耐えられるかどうかといった感じだ。
何せ、濃縮した魔王覇気を至近距離から浴びているようなものだからな。
というかこれは魔王覇気なのか?若干違うような気がするが。
そもそも私は魔王覇気持ってなかったよな。
《解。現在放っている覇気は固有
なるほど。
どうやらこの姿になったことで獲得した能力のようだ。
渾沌覇気を練ると、この液体が震え始めた。
……私はどうやらガラスの何かに入れられているようだが、割れそうになってるな。
あ、やべ。
ヒビが入り、少し水が漏れ始めた。
水が地面に触れると、地面が腐蝕し始める。
ジュゥウウウウと音をたてているぞ。
これ、まずいんじゃないか?
「リムルよ!シャガリが目覚めたぞ!」
「あわわわわ!培養槽が割れてるのよさ!」
ラミリスとヴェルドラの声が聞こえる。
培養槽とやらに私は入っているようだな。
リムルも来たので、ささっと培養槽を修理してもらう。
この水はリムルが保存することになった。
リムルの「なんだこれ、魔素濃度高すぎだろ……」という呟きが聞こえた。
ま、無意識だったってことで許してくれな。
リムル達に何があったのか事情を説明してもらう。
どうやらあの戦いが終わった後私は息絶えるように倒れたのだという。
リムルがすぐさま私を捕食し、
そしてこの培養槽に私を入れ、回復薬を投下したり精霊魔導核を付与したりして治療を試みた、ということらしい。
たしかに随分体は楽になった。
何なら、前よりはるかに強くなったと思えるほどだ。
痒みもほとんどないし、延命できたと思っていいだろう。
「一時期は
「ありがとう。随分楽になった」
「それにしてもシャガリよ、"魂の回廊"から伝わってくるが、随分威圧感が増したな」
「あぁ。今ではあの
強さが増していることがよく感じられる。
最近開発中の存在値というものに換算するなら、並列存在を合流させて2000万くらいの量になるだろう。
今なら存在値だけならザラリオさんともいい勝負するんじゃないか?
まあ大雑把にしか測れないし、参考程度にしかならないだろう。
ヴェルドラは確実に5000万は超えてるし。
計測不能になって上手く測れていないのが現状だ。
私がすやすやと寝ている間も、
リムル達の研究を手伝ったり、解放した迷宮の調整をしたり。
解放した迷宮のことについて聞くと、評価は上々だといったところだと。
ギルドでクエストを受け、フィールドに向かい、クエストをクリアする。
そして採取だったりモンスターの素材だったりで装備を作り、さらに難易度の高いクエストをクリアすると。
そして、その中でも目玉となるものはもうすでに実装済みだ。
火山地帯の鉱石採掘ポイントや、ラミリスの迷宮に稀に生成される採掘ポイントから出てくる石。
その名も、護石。
様々な効果がランダムで付与されている石のことだ。
全自動で
冒険者、いやここではハンターだな。
ハンター達は一喜一憂しながら迷宮を楽しんでくれているようだ。
Aランクとか関係なく、技術と装備さえあればクエストはクリアできる。
そのため、ランクが低い者達にも人気のようだ。
嬉しい限り。
人が増えれば増えるほど、私は強くなるのだから。
これは、私を上位者として契約を交わした者達全てに適用される。
最近分かってきたのだが、中々凶悪な権能だ。
ハンターになると決意し、私の鱗粉から作られたギルドカードを持って成体認証をする。
その瞬間、私との契約が結ばれる。
すると、その者の持つエネルギーと技術をコピーすることができるようになるのだ。
繋がりが強ければ強いほどコピー効率が上がり、"魂の系譜"ほどの繋がりがあれば私からかなり干渉ができるようになる。
まあそれはスズネとネーロが率いている軍団とかにしかできないが。
私のエネルギーが増えたということは、あいつらも強くなってるかもな。
あ、そうだ。
《了。ユニークスキル「
それぞれの権能について解説してもらうと、中々強力な権能であることが分かった。
暴蝕は侵蝕だけではなく
マリアベルは使いこなせていなかったみたいだが、相手の魔素やスキルなど、さまざまなものが奪える。
次の
私の
存在値を超えるような支配はできないようだが、私の存在値を超える奴なんてそうそういない。
ただ……リムルを支配できるかと言われたら無理なんだよな。
本当にやばいのは最後のこれだ。
これの効果だが……。
私の鱗粉を吸い、狂竜症に感染し、そして私と視線を交わす。
これだけで、本人には意識もできないが支配している状態となる。
凶悪だ。とても凶悪である。
使い方には気を付けよう。
鱗粉が結構危険なことになってるぞ。
《告。現在、様々な能力を最適化、同時発動し、
おっと。
まだ報告は終わっていなかったみたいだ。
軽く聞き流したが、中々やべぇこと言ってたぞ。
ユニークスキルは
私が化け物になっていってる自覚はあるが、正直技術が無さ過ぎて使いこなせないんだよな……。
その点リムルの
……ただ、これだけ力があっても、脱皮不全は治らない、か。
これを治す術、考えといてくれよ。
《了。必ずや探し当てます》