転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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34:白い光が満ちる

ルベリオス、ルミナスがいる国に来た。

音楽交流会をするらしいな。

タクトという名の小人族(ハーフリング)が率いる楽団は随分と大所帯だ。

私は楽器なんて狩猟笛しか知らないが、笛ではない色んな楽器も持ってるな。

豪華なご飯がたくさん出てきたので、しっかり腹に入れるとする。

深夜にはルミナスに呼び出されたので、そこで軽く挨拶をした。

グランベルという奴が暗躍をしていると聞かされたが、リムルがいるんだし心配することはないだろう。

リムルならどんな敵が来ようとも負けないはずだ。

ギィ・クリムゾンとかは流石に無茶かもしれないが。

 

「して、シャガリよ。貴様はどこから来たのじゃ?」

 

ちょうど話も終わり、リムル達が退出し、私もここから去ろうと思った瞬間ルミナスから話しかけられた。

どこから……って、魔国連邦(テンペスト)に決まってるだろう。

「妾は貴様のような存在は見たことがない」と言っているが、そりゃあ黒蝕竜(ゴア・マガラ)なんて珍しいに決まっているだろう。

 

「まあよい。本当に何も知らないようじゃからな。くれぐれも勝手な行動をするでないぞ」

 

何故か釘を刺され、釈然としないなぁと思いながら私は部屋から退出した。

勝手な行動とはどこまでを指すのか、それも分からないし。

それにしても、今日は随分と月が綺麗だ。

眺めていると、月が雲で隠れた。

区切りがついたので私はあてがわれた部屋に戻ろうとして……。

 

「うふふ、貴方シャガリでしょう?」

「ん?あぁ、その通りだが」

 

見かけたことのない少女に話しかけられた。

ふむ……私、この少女が誰だか全く分からないぞ。

人間、だよな?

妙に神秘的な雰囲気を放っているが、別にそういう類の妖気(オーラ)を纏っているわけでもなさそう。

 

「ある場所まで一緒に来てほしいの。素敵な所よ」

 

不思議なことに、私はその言葉を断る気になれなかった。

眠らなくてもいいし、少女――私より身長は高いが――の頼みを聞くことにする。

腕を引かれて、私はバルコニーに出てきた。

星が綺麗に瞬いているな……。

その場所で少女を見ていると、何故だろう、底知れない恐怖が湧き上がってきた。

それと同時に、よく分からない安心感も。

 

「時は、常に作り変えられ、新しくなってゆくものよ」

「は?何を言って……」

「運命。そんなものは、外部からの刺激さえあれば方向が変わる。不変なんて存在しないの」

「まあ、それはそうだろうけど……」

「きっと、貴方は退屈しないわ。頑張ってね」

 

少女は、私の顎に手を触れ、ニッコリと笑った。

月が、後ろでとても輝いている。

白いドレスの少女は、妖しく微笑み――

 

月が再び雲で隠れたと思ったら、そこに彼女はいなかった。

 

……なんだ?

私は白昼夢でも見てたのか?

フラフラと部屋へと戻り、私は眠りについた。

 

翌日、なんだか清々しい目覚めだ。

いや、正確には翌日ではなく二日後なのだが。

眠りすぎたようだな。

ただ、久しぶりにぐっすりと眠れたのでヨシとしよう。

もうリムル達は朝食を食べに行っているようである。

私が寝ていると知ってからはまあそんなもんかと心配してないっぽい。

あんまり心配されてないなぁ。

渾沌に呻いても生きているのだから喰う寝るは当たり前だろう。

ゆったりとリムル達のもとに向かうと、なんだかトラブルが起こっているっぽい。

侵入者、侵入者ねぇ。

それって不味いんじゃないのか?

スズネ……はテスタロッサの補助についてるので、ネーロを呼び出す。

 

「ネーロ、只今参上」

王女近衛執行委員会(インペリアルエージェンツ)を呼び出して侵入者の撃退だ」

「数はどれくらい?百体までなら可能だけど……」

「ん?そうだな……まあ侵入者を倒せるくらいの人数を直感でやってくれ」

「了解。楽勝だね」

 

まるでソウエイのように影からスルッと出てきたが、いつのまに覚えたのやら。

人型になっているが、印象としてはフードを被った少女といった感じだ。

ただ、背中に収納されている人間の腕とは別の八本足で異形なのが分かる。

限りなく人に近くはあるけどね。

大聖堂とやらが襲われてるらしいが、そこは楽団がいた場所のはず。

鱗粉転移をして、私はそこに向かった。

そして、情報遮断防御領域(シャットオフサンクチュアリ)を楽団と子供達周辺に展開する。

これでひとまずは安心、か。

こんなことをした奴は誰だろうと思い強い気配を感じた場所を見ると、そこには老人がいた。

かなりの威圧感だな。

あいつが噂に聞くグランベル・ロッゾだろう。

ちょうどやってきたリムルを怨嗟の瞳で凝視している。

なんだ、随分物騒な雰囲気じゃないか。

ヒナタが前に出ようとしたが、隊長の人達と枢機卿が見事な連携でグランベルを追い詰める。

そして、枢機卿が霊子崩壊(ディスインテグレーション)を撃った。

 

「やったか?」

「シャガリ、それダメなやつ」

 

まあ、グランベルにそんなものが易々と通じるはずもなく。

グランベルの剣に吸い込まれてゆき、超絶聖剣技(オーバーブレイド)崩魔霊子斬(メルトスラッシュ)を放たれてしまうことになった。

ヒナタが退避!と焦っているが、ここで私のかっこいいところを見せておこう。

颯爽と前に出て、腕を突き出す。

 

魔法の消去(ディスペル)

 

これは、悪魔族(デーモン)にとって基本のような技の一つ。

魔法を阻害して消去する技だが、極めればありとあらゆる魔法を事前に消去、みたいなことができるぞ。

悪魔同士の戦いにおいて、相手の魔法をどう無効化して自分の魔法を叩き込むか、それはすごい大事なのだ。

師匠はその辺厳しかったし、古い悪魔なだけあってそういうのには熟知していた。

私はそれに叡智之王(ラジエル)の権能を乗せ、嵐纏之王(オーディーン)の権能も乗せる。

その結果高性能な魔法の消去(ディスペル)が連発できるようになる、というわけだ。

たとえそれが神聖系最強魔法でも変わらない。

当たらなければ、どうということはないのだぁ。

 

「げっ」

 

やべっ。

魔法効果は消去したんだが、普通に斬撃の衝撃波自体は飛んできた。

ただ、それは情報遮断防御領域(シャットオフサンクチュアリ)によって無効化されて効果を失う。

ふぅ、あぶねえな。

ヒナタからも怪訝な目で見られているし、いやぁ失敗失敗。

じゃあ次はこちらから攻撃をするとしようか。

 

「核撃魔法:熱収束砲(ニュークリアカノン)

「何……ッ!?崩魔霊子斬(メルトスラッシュ)!」

 

おや?

軽く魔素を込めて撃っただけのつもりだったのだが、予想以上に威力が出た。

まあこれより威力を上げ続けると私の腕にも熱が伝わってくるともいう。

私の総魔素量は前よりかなり増えてるし、ちょっと調整をミスったな。

ウルティマ師匠とかと戦ってると感覚がおかしくなるぞ。

さて、ここでこいつを殺してしまってはまずい。

リムルは極力殺しなどしないし、反省させてから処遇を決めるのだ。

私が全力を出してしまえば、グランベルどころかこの国が灰になってしまう。

ルミナスに怒られるのは勘弁してほしいところ。

後ろで炸裂したエネルギーの塊の方が丈夫そうだし、そっちに行くとしよう。

グランベルは追撃を加えてこない私にも油断せず、鋭い眼光を向けている。

後はヒナタとリムルに任せておけばいいだろう。

リムルがいるならば大抵なんとかなるはずだ。

とか思ってたら、グランベルが大量の異世界人を出してきた。

あちゃあ、リムルは優しいからこういう手に弱いんだよなぁ。

エネルギーの塊は後回しにして、先にこっちを片付けなきゃな。

並列存在はもう既に結構分離しちゃってるし。

迷宮に三体。

ラミリスに一体。

そして本体()が一体。

思考を分割するのは負担が大きくて、私だけじゃ二体が限界だ。

ただ、この状況で出したとして保有魔素量が減るから役に立つかと言われたら……。

とりあえずリムルに目配せをして、思念伝達を繋いだ。

 

『おいおい、どうするよ』

『殺すなよ?流石に操られてるだけなのは可哀想だ』

『だよな。私の権能を使ってこいつらを対処してもいいか?狂竜ウイルスを使うから安全性は保障し辛いが』

『死ぬようなことがないなら別にいいよ』

『サンキュ!』

 

不敵な笑みを浮かべているグランベル。

だがこれで私達を足止めしたと思ったのなら間違いだ。

翼脚を広げる。

「嵐纏」も発動し、風を吹かせて鱗粉を拡散させてゆく。

その間は少し時間がかかるので、リムルには呪言を解いてもらう。

私のこれは一気に大量の人間に対処可能ではあるが時間がかかるのが欠点だな。

 

……よし、異世界人達はある程度鱗粉を吸い込んだな。

私は権能を発動させる。

普段はあまりにも危険すぎて封印している、蝕欲者(ネフィリム)の権能を。

 

――さらに強く!さらに強く!もっと力を!もっと力を!――

――もっと、もっと、もっともっと!!!――

 

果てしなき力への貪欲が、心の奥底から湧き出してくる。

それを押しこみ、外へ出てこないようにして、と。

いや、これが中々難しい。

今にも爆発しそうな欲望が湧き出てくる。

とりあえず私は大悪魔の支配(エゴイスティックドミニオン)を発動した。

その瞬間、全て異世界人の動きが止まった。

そして盟約之支配(ファミリアドミニオン)を経由させて防御結界を張り、一塊にして集めておいた。

……くぅ、ちょっと座らなきゃな。

やば、ぐあ……。

 

「流石だな」

「――ッ!?――ッ!!」

「ちょ、大丈夫か?」

「力、力、力が――欲し――ッ!……はぁ、はぁ、はぁ」

「おい、平気か?お前が暴走したら色々やばいぞ」

「……も、もう大丈夫だ」

 

大量に流れ落ちていた涎を拭い、私は立ち上がる。

ボリボリと頬を掻いて落ち着けてから、ディアブロのもとへ向かうとリムルに伝えた。

かなり不気味な反応が現れたので、これは私が行った方がいいだろう。

リムルにはエネルギーの塊、ラズルとやらを任せて……おや?

遠くから魔王レオンが近づいてくる気配がする。

一応警戒するよう伝え、私は転移した。

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