転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
ディアブロが向かったのは、ルベリオスから少し離れた場所にある荒野だった。
そこには、暗紅色のメイド服を着た青髪の悪魔……レインがいた。
流石、ギィ・クリムゾンの配下なだけあってすさまじい威圧感だ。
エネルギー自体は私の方が多いからな、私は負けてないぞ!
「お久しぶりですね、ノワール。そして、シャガリ殿」
「熱烈な
「久しぶり!レインさん!」
私は挨拶をしてから、笑顔なまま双剣を振りかぶり攻撃を仕掛けた。
会話の途中?
悲しいけどこれ戦争なのよね。
殺意があるなら殴る。これにつきる。
悪魔なんだからこの程度で死ぬことはないだろう。
「ゲェッ!?笑顔で斬りかかってくるのは正直やばいですよ!」
私はディアブロに
さ、ウルティマ師匠と互角に戦う私だが、レインにはどれくらい通用するだろうか。
……むむ?
レインは受けるのが精一杯という感じで、反撃をしてこない。
このままやってても私の方が先に疲れるとは思うのだが、もっと反撃してくるものだと思っていたぞ。
……そういえば、うちの
攻撃方法を魔法に切り替えてみる。
「ちょっ!そんな当然みたいな顔して
「お?気づいた?ウルティマ師匠と考案した技なんだよね」
正確には完全な炎って訳でもないんだが、触れると熱いから炎だと認識している。
そのまま使うもよし。
潰して拡散させるもよし。
圧縮させてぶっ放すもよし。
魔法に混ぜて使うもよし。
中々便利な炎だ。
ただ制御を間違うと燃え尽きて肉体が滅ぶけど。
間違えなければいいだけの話だな。
今回私が行っているのは、この
名付けて
氷属性は得意分野なので、特に躊躇なく振り回せる。
まあ、たまに内部から溶けてダメージが来るけど……。
……っと、そろそろ完成か。
「全く。結果の見えた勝負とはつまらないものですね。とはいえ、シャガリ様に大体任せてしまいましたが」
「なっ、何故自分の身を砕くようなこんな魔法を――」
「主への信心深さがあれば、こんなもの造作もないですよ。
レインは光線に貫かれ、ボロボロになる。
……ていうかまだ生きてるのか。
私のように分身を残してるっぽいし、この程度で死ぬはずもなかったか。
ちょっと時間はかかるが、繋がりを辿って破壊することも私なら可能だ。
ゼギオンに聞いたところによると、リムルは時空を超えた一撃であらゆる敵を粉砕可能、らしいからな。
私もそれを再現しようと頑張った結果、時空連続攻撃という技ができた。
時間かかるし、実用的ではない。
こういうトドメの場面で仕様するのが一番いいだろう。
とはいえ別に無意味に殺すつもりもないので、さっさと本体に出てきてもらおう。
ディアブロの横で突っ立っていると、空から閃光が降ってきた。
相変わらず不気味な威圧感を放つ魔王、ギィ・クリムゾンの降臨、だな。
恭しく礼をしてみる。
私別に魔王じゃないし。
「ああ、よせよせ。ルミナスより不気味な奴が俺に頭を垂れても不気味でしかない」
「私の実力に気づいていたのか?」
「いんや?オレの解析能力は高い。お前の張っていた偽装は全て見抜いたつもりだが、唯一見抜けない偽装があってな。どれだけ解析しても、お前がそこらの空気と同じだという結果しか出てこないんだよな」
「そりゃあ、私はそういう権能持ってるし」
「へぇ、
「お前に教えるつもりは全くないけどな!」
「このオレに大見得を切るかよ。気に入ったぜ」
が、当然のように私が
ただ、"情報支配"で完全に隠蔽してるから詳細がバレることはないだろう。
何ならそれに
このリソース消したら、たしかに私はリムルに匹敵するくらいのことができるだろう。
だがそれじゃあリムルに戦略を学ばれてしまって、二回目は通じないからな。
これくらいのリソース配分がちょうどいいのさ。
リムルは強いからな。
西側も、なんかもう掌握しそうだし。
「だが、残念だったな。今頃オレの配下がリムルの野郎が大暴れしてるぜ?」
「ふーん。なぁ、ディアブロ……」
「ええ、テスタロッサとスズネ殿がそこにいるので問題ないかと」
流石はリムルだな。
これを見越してテスタロッサを派遣させていたとは。
その智慧には毎回驚かされる。
「おい、ギィ・クリムゾン」
「あん?何だよ」
「ちょっと私と手合わせしてくれないか?」
「負ける勝負を挑むとは、中々剛胆な奴だな。いいぜ、遊んでやるよ」
私がここに向かったのも、リムルの計画の内だとしたらこれを逃す意味はない。
この機会を活用して、ギィ・クリムゾンの情報を収集してやろうじゃないの。
私の情報は、この情報支配が情報隠蔽だった頃――
情報世界と同じくらい、というかそれを上回るほど練度が高い。
あと何故か世界からはじき出されてる感じがしなくもない。
まあそれは気のせいかもしれないが、便利な能力なことには変わりないだろう。
それじゃあ、ギィ・クリムゾンの強さを体感するとしようか。
――――――――
その頃、西側諸国は未曾有の危機に晒されようとしていた。
北から侵攻してくる悪魔を防ぐはずのシードル伯爵領の戦力が消えたというのだ。
緊急招集された評議会では、各国の代表が喚いていた。
多数決という決定の仕方の都合上、どうしても決定に送れが生じてしまう。
発言権は大きいが、各国の利権が絡んでいることもあり地獄のような雰囲気となっている。
そこに、スズネが発言をした。
「はいはぁい。皆さんお聞きくださぁい。現在私の配下が対応に向かっているので、問題はありませんよぉ」
その言葉は議員達に波紋を広げ、安心が広がってゆく。
その言葉を信じない者もいるが、立って意見するような者はいなかった。
この言葉に皆が静かになった瞬間、議長がテスタロッサについて紹介をする。
テスタロッサは軍事にも明るいため、この程度の些事であれば難なく対処可能なのだ。
さらに、テスタロッサの配下、モスからの連絡で更なる援軍が到着したと知らされる。
魔導王朝サリオンの兵士たちである。
このまま、普通に事態は収束する……かに思われた。
「あららぁ。やっぱりいたんですねぇ」
「やはりいると思いましたわ」
テスタロッサとスズネの視線が、一人の議員を射抜く。
その議員の名はヨハン・ロスティア。
ロスティア王国の公爵にして、五大老の一人である。
「結界の破壊なんて命令して、どうなるか分かってるんですかぁ?」
「何故そんな連絡をしていたか、教えてくださらない?」
スズネは静かに問い詰めるように。
テスタロッサはまるでお茶会にでも誘うようにヨハンを問い質す。
ヨハンはそれを聞いて青褪めた。
このイングラシア王都を覆う結界の破壊。
その発言を聞いた他の議員達も慌て始める。
しかし、そんなことをしている暇など無いと叱るように四方八方から揺れが確認された。
本当に結界が破壊されたようで、スズネは不機嫌に顔を歪める。
ヨハンは自分の計画が達成されたことを確信し、安堵の笑みを浮かべ、横にいる傭兵団、
ジラートはそれを了承し、召喚士のアインが召喚の魔法を詠唱し始める。
アインは精霊を使役する者だが、今回呼び出されるのはそのような生ぬるいものではない。
彼らが信仰する神――
その者の
麗しい見た目とは裏腹に、すさまじいまでの存在感を放っている。
駆けつけてきた魔法審問官でさえ、その者の気配を感じ取って硬直していた。
ヨハンは計画の成功を確信するが、萎縮していない三人を見て信じられないものを見る顔をする。
(な、何なのじゃ、アイツ等は!やはり、魔物とは自信過剰の者が多いのか……?)
テスタロッサ、その従者のモスと、付き添いのスズネ。
だが、それも当然の話である。
ミザリーは
スズネはシャガリから究極の力を貸し与えられている。
「ふぅ。本当なら、私のような源蟲五神が出るような問題ではないのですがねぇ……」
「滑稽だこと。私がここにいるのだから、計画の失敗は約束されていますのよ?」
ヨハンとジラートはミザリーに向かって愚か者を粛清するように頼み込むが、ミザリーは黙ったままであった。
そしてやっと口を開いて出てきたのは、驚愕の言葉。
「嘘でしょう。ブラン、何故貴方が受肉しているの?」
ミザリーは考える。
その戦力差を一瞬で計算し、ここで暴れても全く意味が無いと悟った。
テスタロッサとモスは戦闘経験が豊富で、ミザリーでは分が悪い。
さらに、スズネの周囲には強力な気配がいくつも感じられた。
(究極の力が、あの
暫しテスタロッサとミザリーの二人はにらみ合い、最終的にミザリーは去っていった。
それを見届けると、スズネはシャガリに報を入れる。
「問題無く、対処できましたよぉ」と。