転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
その攻防はまるで演舞のようだった。
私が攻撃を加え、それをギィ・クリムゾンが的確に迎撃する。
美しい。とても……美しい。
「螺旋
「
「喰らえッ!
「……チッ。
ギィ・クリムゾンの権能を解析して分かったことは、こいつの権能は権能のコピーだということだ。
今まで見たことのある権能全てを再現できるのか、とんでもない対応力である。
最初の方は権能を出し渋って魔法だけで私と戦っていたのだが、そんな舐めプを許すはずも無し。
その魔法を解析し、次の瞬間には
情報支配で情報子の動きを遮断することによって結界を作っているのだが、それが物理的な壁としても生成できることに気づいたのだ。
隠蔽をかけているとはいえ、権能を分かりづらくするために大気中の分子を凝固させて作った。
その技をギィ・クリムゾンも使ってきた時は焦ったが、どうやら違う権能のようだな。
着々とギィ・クリムゾンの手札を暴いている。
勿論ギィ・クリムゾンからの反撃はクッソ強いが、結界でそれとなく防いだり、虚無で無効化したり、暴蝕で吸収したり……などなど対抗手段はいくらでもある。
途中からだんだん出力が上がってきて、順調に本気を出させてきているな。
まあ、まだ全然本気じゃないんだろうけど。
コイツ、絶対なんか隠してる。
魔王が武器を使わないなんてありえないもんな。
とはいえ、舌打ちをしてリムルの権能を使ってきたってことは奥の手の一つを開示させたってことだろう。
「まさかこんなに厄介だとは思わなかったぜ」
「お褒めにあずかり光栄だな」
「お前、地表を結界か何かで保護してるだろ?あと、本気じゃねぇよな」
「それはギィ・クリムゾン、お前もだろう」
「あー、そうだな。じゃあ一発くらい本気を見せてやるか。お前だったら死ぬことはないだろうさ。今からお前ができる強い攻撃をしてこい。それを破壊してやるから」
そろそろ情報も収集できたとか思ったら、突如としてギィ・クリムゾンが提案をしてきた。
なかなか、良い提案じゃないか。
私も自分の渾身の一撃を喰らわせてみたかった所だ。
ということで、サッと離れてオーラを練る。
ギィ・クリムゾンはその間じっとこちらを見ていた。
……
数々の力を練り上げ、一つにまとめてゆく。
さらに、情報子の流れを乱して
ただ、ベースとしては龍気を属性に変換して混ぜ合わせてる感じだが。
私が持つ最恐の権能、暴蝕も纏わせよう。
――力を奪え、力を欲せよ、力を求めよ――
短時間発動する分にはいいんだが、長時間の暴蝕は欲望が刺激される。
さっさと終わらせないとな。
「――
「……誇っていいぜ。このオレに剣を抜かせたことを」
虹色の闇が輝き、凄まじい衝撃と共に辺りに衝撃を齎す。
放った私の腕すら破壊し、情報を遮断する結界にまで揺れが観測された。
恐らく惑星上で使うようなものではない。
視界を持つ者にとっては想像を絶するほどの光が瞬いたように見えるだろう。
勿論、結界で保護しているので周囲に被害は出てないが。
というか、ギィ・クリムゾンは剣を持っているだけだが大丈夫なのか――
その剣を見て、私はすさまじいまでの怖気を感じた。
なんだ?
アレは、あれは何なんだ?
私の放った直撃しようという直前、ギィ・クリムゾンは剣を振るった。
……ハハッ。
あれが、最強の魔王、
私のあの技を、真っ二つに切り裂きやがった。
今までの攻防は全然本気じゃなかったんだな。
私は地面に勢いよく倒れる。
先程の技でほとんどの
意識はあるんだが、動けない。
これがあれか、リムルの言ってたスリープモード……。
うーむ。だが、中々やった方だと思うぞ。
「竜種に匹敵する技だったぜ。やはりお前は面白い」
そう褒めてもらったし、私はもう働かなくてもいいだろう。
このままゆっくり――
《告。情報子の停止が確認されました。これは、呼称をするならば「時間停止」です》
突如として、周囲の空気の流れが全て停止した。
それは一瞬だったが、停止した瞬間にギィが動いたのを私は見逃さない。
こいつ、動けるってことは時間を止められそうだな……。
やはり私と戦っている時は適した全力ではあったが、
ていうか、私は何故停止した世界の中で意識があったんだ?
《解。結界が情報子を停止させているため、別の停止による上書きは不可能です。また、"無限思考"による限定停止を経験しているため、結界が無い場合でも思考だけは維持可能です》
呆然としていると、リムルのいる方角からすさまじいエネルギー反応を検知した。
やばい。
これはやばいぞ。
体が動かない。
エネルギーを使い果たしたから、リムルの助けになれる気もしない。
「おい、お前はここに置いていくけど文句は言うなよ」
『チッ』
なにか、なにか今すぐエネルギーを回復できる手段はないか。
鱗粉で魔素を生み出す?
いや、すると鱗粉が全部無くなってしまう。
しかし魔素を鱗粉に変換しても、等価交換だから量が増えることはない。
どうすれば――
《否。回復を大人しく待ってください。危険です》
何故か、何故かは知らないが焦燥が感情を支配する。
どうして、私はこんなに焦っている?
分からない。分からないぞ。
まあいい。とにかく、魔素を回復しないと。
……そうだ!
あるじゃないか、湧き出るものが……。
私の、欲望。
欲望を鱗粉に変換してみて欲望に変えたが、何故か欲望が増えた。
なんかよく分かんないけど好都合だぞ。
欲望を魔素を燃料にして、欲望と魔素を生み出す。
これが永久機関ってやつか。
――アハハハハハハッ!力だ!力だぞ!!!――
魔素がどんどん回復してゆく。
それと同時に、なんか魔素を凝縮した変な物質が出現するようになっている。
なんだこれは。
別に、変換効率が段違いだし全く不都合はないが。
だが何故だろう。
すごく、すごく心に穴が空いたかのように苦しい。
力を、もっと、もっと力を――
「……シャガリ様?」
「アハハハハハッ!行くぞディアブロ!」
「……ハッ」
私はディアブロを連れて転移をした。
リムルの元へ向かうためだ。
あのエネルギー反応……一体侵蝕すればどれほどの力になることやら。
まだまだ力が湧き出てくる。
だが、足りない。
足りない!足りない!足りないんだよ!
出現すると、黒髪をはためかせる美女が凄まじい威圧感を放っているのが見えた。
あいつか。あいつか……アハハハハッ!
双剣に力を入れ、私は勢いよく飛び出した。
そのまま溢れる力に任せて無造作に振るう。
それは美女が持っていたレイピアによって受け止められたが、ならばもっと力を入れればいい。
徐々に出力を上げていくと、美女は私の力を逸らし、攻撃から逃れた。
へぇ……やはり力で押せば勝てるんだな。
「アハハハッ!アハハハハハ――ッ!」
おかしいなぁ。
何故だか笑いが止まらない。
……足りない。まだ力が足りないぞ。
『待てシャガリ!そいつを殺すなよ!ルミナスから聞いたが、ヒナタの魂が入っているかもしれないからな!』
……?
リムルから暗号化された思念が飛ばされてきた。
ヒナタ?ヒナタって、何で?
横を見ると、ヒナタが横たわっていた。
……死んでる。
そ、そんな!しかしその美女に入っているということは生き返るということか?
なら、私は別の奴に行くとしよう。
魔王レオンに笑みを向けると、首を振られた。
なんだ、味方なのか。
なので、次の標的。
ユウキ・カグラザカに向かって私は飛ぶ。
「ちょ!早すぎるって!」
「アハハッ!遊ぼうぜ、ユウキ・カグラザカ!」
「チィ、リムルさんの妹はやっぱり出鱈目だぜ!」
ユウキは拳で応戦してきたので、私も双剣を仕舞って拳を突き出した。
ヴェルドラ流闘殺法がここで生きるぜ!
右と左からピエロが二人襲い掛かってきたが、私はその攻撃を普通に受ける。
「はっ!思ったより呆気な――って!傷一つないやん!」
「ホッホッホ。避ける必要もなかったということでしょうか」
魔素を凝縮した物質がその攻撃を遮断する。
このくらい大したことないな。
もっと、もっと私に学ばせてくれよ。
《告。個体名:フットマンと個体名:ラプラスのユニークスキルの解析が完了しました》
あぁ、素晴らしい!
素晴らしいぞ、強くなるというのは!
だが情報支配の隠蔽に統合された「
学ぶことが何もない。
しかしもう一つの「
後、ユニークスキル「
統合したということは私もそれができるということ。
私の魔素の回復量がさらに増加した。
常に体を強化しているのに、魔素はどんどん回復してゆく。
しかも、速度が上がっているぞ。
アハハハハハハハハッ!!!
「嘘だろ、なんでこんな強い奴が情報出てないんだよ……」
「ヴェルドラ流闘殺法<格闘の章>!鬼蛙掌!」
有り余る魔素を闘気に変換し、練り上げ、腕に纏わせて殴る。
確か、素手でモンスターと戦うハンターが使っていたという技のはずだ。
魔力と似たような性質の一種の覇気だな。
おや?この纏わせている闘気が消されているような気がする。
いや、魔法を消してるのか。
《解。解析が完了しました。特異体質「
なら、情報支配でその情報を捻じ曲げればいい。
スキルと魔法という情報を遮断している体質。
遮断できないというもっと大きな情報で塗りつぶしてしまえばいい。
相手が私と似たような解析系の
……アハハハハハッ!やはりな!
ユウキ・カグラザカが吹っ飛ぶ。
その顔は驚愕に彩られていた。
「何をした……?」
「簡単なことさ。ゴリ押しってわかるだろ?」
「……ふん、本当ならこの手は使いたくなかったんだけどね」
ユウキ・カグラザカはまだ手を残していたようである。
私に近づいてきたが、無造作に手を振るう。
それにユウキ・カグラザカは触れて――
「ガハッ!」
「……?」
なんか知らないが、溢れていたエネルギーが吸われたような気がする。
この感触、覚えがあるぞ。
これ、暴蝕とちょっと似てるな。
ユウキ・カグラザカは何故か地面に倒れ伏しているが、大方私かた奪ったエネルギーで自滅したってとこだろう。
くそっ、折角増えていたエネルギーがまた減ってしまった。
クソッ!クソッ!クソッ!!
欲望はさらに大きく燃え上がり、魔素の回復速度はまた上がってゆく。
もっと、もっと力を!
――アッハハハハハハハハハ―――ッ!――
……ふと横を見ると、夜に見た白いドレスの少女が佇んでいた。
その少女は、私に何かを伝えようとしているように見える。
……よ、け、ろ?
聞き返そうとすると、少女はまるで幻だったかのようにいなかった。
チッ、とりあえずユウキ・カグラザカに最後の一撃を入れるところだ。
避けろだろうが何だろうがそんなもん知るか。
さあ、これでトドメ――
――あの時のように、空から降ってきた白い灰のようなナニカが、私に触れ――
「ぐ!がぁ!グルオオオオオ――ッ!」
なんだ?痒い。
痒い。内から、かゆ。
あ、アァァ。かゆいかユイかゆい痒い。
痒い痒い痒い痒い痒い!!!
「なんかよく分からないけどチャンスだ!逃げるぞ皆!」
逃がした!アァァ痒い!
ふざけるなァ――――ッ!