転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
力が、力が……。
私の体に入ったヒビから溢れ出ている。
しかし、掻くのをやめられない。
まずい、このままではこの国が更地になってしまうぞ!
私は意を決して空間に裂け目を作り、そこから中へ入った。
異界なら、私の力にも耐えられるはず……。
「グルオオオオォォォォ――ッ!!!」
魔素を爆発させ、拡散させる。
周囲で大規模な時空嵐が起きているが、知ったことか。
魔素をある程度出すと、やっと落ち着いてきた。
気が付けば、欲望と魔素はもう増えていない。
いつの間にか
それにしても、凄まじい感じだった。
妙にテンションが高くなってたし、好戦的になってた気がする。
この、名付けるとするならば"魔素増殖炉"は、危険な代物だ。
軽々しく使えば、また私は暴走するだろう。
私は"欲望"が燃料だったからどうにかなったが、もしこれが"悲しみ"や"怒り"だったらと思うとゾッとする。
……さて、咄嗟に来てしまったが大丈夫だろうか。
周囲を見渡すも、生命体の気配はしない。
さっきので消し飛んだか?
まだ力が少し放出されてるし、戻っても危険だろう。
少しここで過ごすとするか。
また私の保有魔素量が増えている。
魔素を増殖したのが原因だろうが、中々ヤバイもんだ。
前の私の魔素量でギィ・クリムゾンにぶっ放したあの技……。
あの状態でも完成には程遠い感じがした。
それでも前の私の保有魔素をほとんど使うんだから、どれだけヤバイ技なのかが分かる。
あれが、禁忌の力か。
もうちょっと使いやすくできないもんかね?
ちょうどこの、魔素を凝縮した物質があるし。
これを解析した結果、ミリムの持つ"星粒子"と同様な性質があることが分かった。
つまり私も
まあ手加減ミスってやばいことになりそうだけども。
とりあえず普通にビームとして撃ってみる。
……まあまあな威力のビームが出たぞ。
「また、貴方ですか」
「や、オベーラさん」
傷もふさがってきたし、痒みも収まってきた。
そろそろ帰るかと思った時、オベーラさんが話しかけてきた。
今回は来ないのかと思ったが、やっぱり来てくれたな。
「また
「魔素を増殖すれば増えるさ」
「それは竜皇女であるミリム様の御業……まさかそこまでの高みにたどり着いたと言うのです?」
「いやぁ、それはどうだろう。リムルには勝てる気がしないし、ミリムやギィ・クリムゾンだって勝てるビジョンが思い浮かばない」
「そのリムルとやらが誰なのか分かりませんが、ギィ・クリムゾンが強いのは共感しますよ」
オベーラさんとは他愛もない会話をした。
今回は禁呪を使ったわけでも暴れまくったわけでもないしな。
そのノワール、まさかディアブロのことじゃないよな。
上司の名はフェルドウェイというらしいが、そいつも中々ヤバイやつらしい。
人間を滅ぼそうとしてるとか。
まあ、私に危害を加えてくるなら撃退するだけだ。
「私はそろそろ行きます。……久しぶりの刺激は楽しかったですよ」
オベーラさんと別れ、私は現世に戻る。
そこには、リムルがあの黒髪の美女の顔に仮面を被せたまま突っ立っている光景があった。
……いやいや、何が起こってるんだよ。
近くに何故かいたヴェルドラに話を聞くと、リムルはヒナタを救いに行ったらしい。
それなら私はここで待つことにしよう。
ラズルはシオンに、グランベルはルミナスに敗れていて、もう戦闘の気配はない。
ゆったりと大聖堂の方へ歩いてゆき、椅子に座る。
「あら、奇遇ね」
「ああ、まさかお前がいるとはな」
気が付けば、周囲は静寂に満ちている。
奇遇だと?ふざけたことを言うんじゃない。
恐らく、何らかの結界で外界と遮断しているのだろう。
白いドレスの少女は、私にニッコリと笑顔を向けた。
「何か用か?」
「用ってほどでもないわ。ただ元気かなって思っただけよ」
「生憎元気じゃないな。頬が痒くてしかたなかったぞ」
「あら、そう。大変そうねー。相変わらず貴方は面白いわ」
不機嫌な顔をしながら椅子に座っているはずの私に向かって、少女は気楽に話しかけてくる。
こいつは空気を読むということができないのか?
奇遇ね、じゃないんだよ、全く。
その後も何の用か問い質したが、のらりくらりと躱されている気がする。
屈託のない笑顔で笑う少女は、年相応の娘にしか見えない。
だが、分かる。
笑うのを止め、微笑む程度にとどめた顔は違う。
不気味で、神秘的で、妖しい。
「お前は何なんだ」
「私?そうね、プロトって呼んでほしいわね」
「"名前"を聞いたわけじゃないんだが……」
少女……プロトの後ろには、とてつもなく得体の知れないものがいる気がする。
これは直感だ。何も根拠はない。
威圧感として感じられるわけではない。
自然と発せられている近寄りがたい気配……それが恐ろしくてたまらない。
もし何らかのモンスターだとしても、私はこんなモンスターは知らない。
黒くないということは、例の龍でもないということ。
「さて、それじゃあ本題に入ろうかしら」
「元気かなーって見に来たという訳じゃなかったのか?」
「それもあるけど、一つ伝えたいことがあったの」
「……何だよ」
「貴方の相棒、大事にするのよ。克服することをオススメするわ」
「は?それは、どういう――」
肝心なところで、私は夢から覚めたかのように正気に戻った。
プロトはもうおらず、私一人だけが椅子に座っている。
眠っていた……のか?
《……謝。個体名:プロトの記録は存在しません。データの検出に失敗しました》
ますます混乱してきた。
あれは夢?それとも現実?
止めてほしいよ、ホント。
いつの間にか疲れはすっかり取れていたので、私は椅子から立ち上がる。
そしてリムルの元へ向かうと、既にリムルは動いていた。
どうやら、ヒナタも救えたようだ。
リムルに何があったのかを聞くと、精神世界のような場所で色々あったらしい。
情報子への干渉とか、
今は
どんな結果が出るのか楽しみだ。
その日は色々あって疲れているだろうということで、皆は休むことになった。
私は何故か全く疲れていなかったので、瞑想でもして暇をつぶす。
色々なデータが手に入ったので、それを使って何かできることがないか探るとしよう。
今回手に入った一番大きなデータは、"聖霊武装"だ。
それを解析し、私は装備を作った。
聖霊武装とは似ても似つかない……いや、ちょっとは似てるか。
悪魔のような装備にはなったが。
私の体の一部を使い、大量の魔素を込めた装備。
外見を見てみると、暗いがたまに虹色に輝く夜空のようなマントがまず目につく。
金と黒の混ざり合ったインナーと、その上の虹色の線が入った金黒の鎧。
全体的にシックでおしゃれな感じである。
頭には、羽を模した飾りをつけた。
角でもよかったが、四本あるのはちょっとな。
それなら羽の方がいい。
そうだな……アポピスシリーズと呼称するか。
中々かっこいいじゃないか。
瞑想を止め、鏡でポーズを取ったり、かっこよく技名を叫んだりして一日は過ぎた。