転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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40:断章、殲滅

私を呼び出した責任者はこのコロニーのリーダーだ。

顔に大きな傷のある強面の男だな。

かなりの威圧感を放っているが、強さは精々Aランクにギリ届くといったくらいだろう。

よく魔素の薄いこの場所でここまで強くなれたもんだ。

魔素を上手く取り込めば仙人にも至れるだろう。

さて、どんな要件かな?

 

「君は、シャガリといったね。君の行動は少々目に余る。もう少し自重してくれないか」

「そうか?私はただダンジョンを攻略しただけなんだけど……」

「その速度が異常なのだ。人の身ではとても不可能な速度を出しているという報告も上がっている。君は、人間ではないのだろう?」

 

あちゃあ。

怒られてしまった。

調子に乗って走りまくってたから怪しまれた。

別に戦力が増えるだけだし問題ないとは思うんだが。

 

「なので、君には屍鬼族(ゾンビ)の生息域への調査に向かってもらう。あぁ、別に死ねと言っているわけではない。受けるかは君の自由だ。……もっとも、このコロニーから追い出されたくなかったら受けるのをオススメするがね」

「別にそれくらいならお安い御用だ」

『嫌な奴ね……』

 

どんな理不尽なことが飛び出してくるのかと思ったが、ゾンビの生息域への調査なんて簡単なものでいいらしい。

そこにいるゾンビを駆逐してくればいいんだろう?

アダルマンと似たようなことをやらされているような気がするが、私はしっかり強い。

準竜種といった魔素(エネルギー)量をしているし、状態異常無効もある。

嫌がらせとは心が狭いなぁと思うが、この人もこのコロニーを守るために必死なんだろう。

颯爽とゾンビ共を駆逐して凱旋するとしよう。

私は入口の方へ向かう。

すると、あの時の聖職者がこちらへ走ってきた。

 

「待ってください。防護服は着ないんですか?」

「ああ。私にはウイルスは効かん」

「あはは、やっぱりシャガリさんは人じゃないんですね」

「気づいていたか。ま、私の溢れ出るオーラは隠せないな」

 

聖職者にウインクをして、私は外へ出た。

さて、それじゃあ行くとしようか。

いっぱいゾンビの反応がある場所がこの星にはいくつかあるが、とりあえず一番近い場所へ向かうとしよう。

途中まで走り、近くなってきたら空を飛ぶことにする。

上空へ移動してゆき、中心あたりに陣取る。

さて、んじゃあ浄化するか。

そんなに威力は高くなくていいだろう。

これは威力を絞ってやらないと、普通に大量のエネルギー持ってくからな。

 

 

炎王竜星爆(スーパーノヴァ)!」

 

 

星粒子を混ぜた粉塵を広範囲に撒き、龍気を込めて爆破。

ロッサの持つ爆纏者(トケルモノ)の権能は嵐纏之王(オーディーン)で再現できる。

それと、ロッサには勿論代替執行(エージェント)も付与している。

私の権能を一部借り受け、必殺技の開発に勤しんだ。

その結果、ロッサはこの技を再現するまでに至ったというわけだ。

私から星粒子を借り受けて行うこの技は、かの炎の古龍――

炎王龍(テオ・テスカトル)の大技だ。

周囲に大規模な光り輝く爆発が発生する。

超新星の爆発を連想させるような美しい爆発だ。

ゾンビ共は大体が跡形もなく消滅し、ビルの残骸と思わしきものごと破滅的被害が起きている。

……古龍の力なだけあって、かなり力を消費するな。

さて、この爆発で一部のゾンビはまだ残っているな。

強そうな奴だけ選別したと思えば、いい結果なんじゃないだろうか。

その数は大体十体にも満たないほど。

火傷に全身が侵され、再生したそばからそれが焼けただれている。

そこに降り立ち、私は強そうなゾンビを睥睨する。

 

「オ……オオオオ……」

 

強そうとはいっても、あくまでAランクオーバーといったくらいだ。

ガイよりかは強いが、トレイニーさんとかに比べれたらなぁ……。

再生能力と生命力に全ツッパして私の爆発を耐えた感じか?

威厳を感じるし王様的な存在なんだろうか。

このまま生かしておいても苦しむだけだろうし、始末してやろう。

それもとっておきの奴をお見舞いしてやるか。

本物の<聖術>を私が見せてやるよ。

神へ祈りを捧げ給う。我は望み、聖霊の御力を欲する。我が願い、聞き届け給え。

万物よ尽きよ!

 

「多重起動、霊子崩壊(ディスインテグレーション)!」

 

亜光速で放たれた閃光に撃ち抜かれ、強そうなゾンビ達は跡形もなく消滅した。

爆発に比べ音は控えめなため、そんなに目立ちはしない。

っというか、頭痛ァ……。

演算領域がいくら膨大だからって、無理してまでやるもんじゃないな。

明らかにオーバーキルだ。

……それじゃあ殲滅したと報告しに戻るとしようか。

 

――――――

 

「何、大規模な爆発だと!?」

「は、はい。シャガリという者が向かった場所で――」

「あのシャガリという人間もどきは、それほどまでの力を持っているとでも?」

 

コロニーのリーダーはその報告を聞き顔をしかめた。

シャガリという、突如現れて数時間でAランクの聖職者になった異端者(イレギュラー)

その対応に追われ、彼は激務に追われているのだ。

実の所、彼はシャガリを殺すつもりなど無かった。

ひっそりとシャガリの後を諜報聖職者に尾行させ、負けそうな時に助けて恩を売るつもりだったのだ。

それが、誤算も大誤算である。

防護服を着ることなく外へ出て、空を飛ぶという暴挙。

それは到底人間にできるような所業ではないが、問題はそこではない。

大規模な爆発……それは、諜報聖職者が目撃した奇跡である。

戦略級<聖術>など比べ物にならず、年単位の儀式で行われる<聖術>ですら軽く超える威力。

そんなものは、一人の人間が出していいものではない。

リーダーは頭を抱え、どうしたものかと思案する。

恐らく悪魔か何かだと思っていたが、あれはこの世界を救いに来た天使なのかもしれない。

そうなのだとしたら、自分が取った態度のなんと横暴なことかとリーダーは思い詰めた。

あの時も声が震えないよう威厳を保ったが、想定を大幅に超えてきた。

リーダーはシャガリと親交のあるCランク聖職者を呼び出し、それとなく機嫌を保つよう命令した。

あの調子では、あのゾンビの生息域は更地になったことだろうとリーダーは確信する。

民衆は新たな英雄の誕生に歓喜をしているため、これも好都合だったのだと自分に言い聞かせながら……。

 

「聖術神プルチ様……どうか我等に救いを……」

 

生命体をゾンビにするウイルスをバラ撒いた邪神ネルラと敵対する聖術神プルチ。

人間に聖術を授ける場としてダンジョンを作ったとされている。

その素性は謎に包まれているが、彼らにとっては救いの神なのだった。

 

――――――

 

私は今パレードに参加している。

とはいえ物資もそんなにあるわけではなく質素なもんだが。

ただ、やはりちやほやされるというのは気持ちのいいもんだ。

ここで私が神とあがめられるようになればこいつらも神聖魔法が使えると思うんだが、生憎もう神はいるらしい。

その神の人望を超えてここで影響力を持つことができれば、盟約之支配(ファミリアドミニオン)で私は強化されるだろう。

そのためにはもっと活躍しないとな。

まだゾンビの生息域はいっぱいあるし、それを殲滅して周ろうか。

キラキラした瞳の民衆たちに手を振り、私は影響力を強めてゆく。

マサユキの権能を解析して手に入れたのだが、この能力は中々強いな。

「英雄魅了」は高度な洗脳というか、本人が良い行いをすれば必ずいい評価がついてくる。

マサユキほどの影響力は無いのだが、それは私の解析能力を持ってさえ完全再現できていないということ。

もっと頑張らねばならないな。

 

『凶悪よねー、マサユキの能力って』

『あぁ。落とし穴もめっちゃ利用されたし』

『あれはビックリよ。マサユキはやっぱり強いのよさ……』

『本人はかなり卑下してるが、その力は有効に使えばめっちゃ強いと思うんだよな……』

 

ある程度顔を売ったので、また殲滅しに行こう。

パレードも終わりに近づいてきたので、私はまた外へ向かった。

例のCランク聖職者もついてきたのだが、私の監視かな?

申し訳なさそうな顔をしているのを見るに、本意ではないようだ。

なんだか可哀想なので、護石を作って渡してやる。

"炎鱗の恩恵"というスキルがレベル2、"防御"も2ついてて、スロットの空きが4、1だ。

4に防御のスキルを高める装飾品を入れ、1には炎鱗の恩恵を1上げる装飾品を入れた。

これで毒を無効化できるし防御力も高まるからそう簡単には死ななくなるだろう。

翼脚でCランク聖職者……長いからC君を支え、私は飛び立つ。

 

次はどんな手段でゾンビ共を殲滅しようか。

とりあえず黒炎核(アビスコア)を召喚してみた。

……よし、この世界では別に禁呪でもなんでもないだろうし、使うとしよう。

結構熱いが黒炎核(アビスコア)を握りつぶし、拡散させた。

それはゾンビ共の遺伝子配列を乱し、尽くが地に伏してゆく。

死の祝福(デスストリーク)という、ギィ・クリムゾンが昔使った技だ。

意外とゾンビにも効くな。

死体は黒炎獄(ヘルフレア)で燃焼させた。

……そういえば同じ名前の炎妃竜星爆(ヘルフレア)という技を開発中なんだった。

大量のエネルギー使うしやらないけどね。

 

次の生息域は山の中だった。

折角だしここら一体を破壊せずにゾンビだけを殲滅するとしよう。

叡智之王(ラジエル)の演算領域と私の膨大な魔素(エネルギー)を用いてなんかするとしよう。

黒炎核(アビスコア)を凝縮し、強力な重力場を発生させる。

それは黒い柱となってゾンビ共を巻き上げてゆく。

重力崩壊(グラビティーコラプス)は制御は難しいが周囲に被害を出さずに敵を一掃できる。

制御ミスったら地軸歪むかもだけど。

とりあえず、ゾンビの魂だけを回収し、肉体はある実験に使う。

全部回収して後は叡智之王(ラジエル)が色々してくれるはずだ。

肉体はあればあるほどいいから、これからはその方針でいこう。

だとすると破壊した奴は惜しかったな……。

威力の確認や情報の収集ができたし問題ないか。

炎王竜星爆(スーパーノヴァ)は燃費が悪そうに見えて威力を絞ったからそう見えただけだったとか。

 

 

 

数時間程度でゾンビの大軍を破壊して周り、気配がしなくなった。

掃討できたってことでいいかな。

そろそろ戻るかといった感じで、私は空へ飛び立とうとした。

すると、私の足を掴む者が一人。

聖職者のような恰好をした天使のような奴がそこには立っていた。

 

「全く。あれから準備を重ねて拙者の力を底上げすることに成功しつつあったというのに、ここで邪魔にあうとはな」

「誰だ、お前は」

「拙者はこの世界の神となった者である!ひれ伏せい!」

 

その法衣は凄まじい覇気を放ち、手に持つ錫杖もとてつもない輝きを放っている。

一見天使だが、どこか人間のような不気味さがあるな。

その身に纏う聖なる覇気と邪なる魔力がちぐはぐだ。

魔素(エネルギー)量は……っと、こいつかなり多いな。

普通に強そうだぞ。

 

『あいつ、二つも神話級(ゴッズ)持ってるのよさ!』

『マジか。道理で威圧感あると思ったぜ』

 

天使はこちら向いて、まるで射殺さんばかりの視線を向けてきた。

 

「前はヴェルグリンドに邪魔されたが、今回はそうはいかないのである!」

「ヴェルグリンド……?」

「破邪撃滅神光祈――ッ!」

 

なにかブツブツ言ってると思ったら、いきなり攻撃してきやがった。

C君に当たりそうだったので、咄嗟に庇う。

ぐおっ!?

こいつ、私の空間歪曲防御領域(ディストーションフィールド)を破壊してきたぞ!?

エネルギー喰うから情報遮断防御領域(シャットオフサンクチュアリ)を展開してなかったのが仇となったか。

ってぇ、C君余波で死にかけてるじゃんか。

 

「このままトドメを――」

 

預かったからにはなんとか回復しないと……。

焦る私の前には、例の天使と――

 

蒼髪の、美女?

 

突然現れた、深紅色(カーディナル)覇気(オーラ)を持つ美女がそこにはいた。

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