転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
シャガリの迷宮。
集会所と呼ばれているこの迷宮では、今日も
四人で協力してモンスターに挑む者。
一人でモンスターに挑む者。
採集をする者もいる。
だがその者達に共通するものとして、それは目の光だった。
ここでは、あらゆる
その代わり、各々の
そのため、挑めば挑むほど彼らは強くなってゆくのだ。
ラミリスの作る
その中に、焦った様子ハンターが駆け込む。
調査クエストを受けたハンターのようだが、余程怖い思いをしたのか全身が震えている。
そのハンターは最近観測され始めた新たなモンスターの情報を持ち帰ったのだ。
彼は仮にもHRが6である。
そんな彼の報告を聞き、ハンター達は物思いに耽る。
最近観測された、新たな
それは集会所の職員やハンター達によって、とても
そんなモンスターを、彼らはこう呼ぶのだ。
――――――――
この数か月で古龍を再現することに成功した。
ただ、私の体に古龍の血を入れてみたが特に変化は見られないのは残念だ。
しかし……古龍を間近で見られるのは何とも素晴らしいな。
たまに出現する超大型の古龍、
こいつらみたいな超大型は基本的に眠ってるけどな。
普通の大きさの五体の古龍は普通にその辺で現れる。
さて、再現したらまずすることとして模擬戦があると思うのだが、普通にクッソ強いな。
油断したら負けるし、テスカト種の二体は特に相性が悪い。
素で究極の力を持ってる感じの動きをしてくるから、普通にやばいぞ。
恐らく
私には効果が無かったが、プルチネルラとか配下の蟲に血を入れたら強くなった。
多分血にそういう効果があるんだろうな……。
スズネから手渡された資料を見て、私は偉そうに頷く。
リムルが自分の軍団を確認しているとの情報を仕入れたので、この機に私もやってみようとなったのだ。
リムルと同じように両翼の関係になっていて、それぞれ色々書いてあるな。
まずは右翼。
蠱毒猟団と大きく示してあり、その中に三つの師団がある。
龍教蟲師団、魔導蟲師団、工兵蟲師団となっている。
龍教蟲師団は私を神とあがめる暑苦しい蟲共が集まっている場所だ。
雑兵という雑兵がたくさんいるが、
他の師団も大概不死身だというのに、肉壁としてこんなに有能なのないな。
魂は一瞬で私の元へ帰属し、普通に生き返るという。
いちおう全員が神聖魔法を使えるし、ほんと暑苦しい。
ただし強さ的には一体一体は大したことない。
一対一では同じ不死身系の
ただこいつらは群れることによって真価を発揮するのだ。
数千匹の集団で儀式魔法をして
その数、なんと脅威の五千万。
しかも死なないときた。
ベニマルの
さて、次の魔導蟲師団だが、こいつらは個の力も集団の力もやばい。
各々が好き勝手に自分の体を改造し、様々な特殊能力を有する集団である。
各人にユニークコヴェナントと称して
翔蟲を使いこなして縦横無尽に駆け回る者
粘菌で爆発を行なう者。
体を機械化させる者。
竜の特徴を取り込む者。
武器を使いだす者。
糸を使って戦う者などなど。
魔導とは何なのかと思うくらい癖の強い奴らだ。
一応原理は魔導っぽいし間違ってはない、のか?
この師団は強くなって人型になり、昇給する率が最も高いな。
数は恐ろしいことに八百万ほど。
少数精鋭の軍団というが、あくまで他の師団に比べれば少ないだけだ。
次は工兵蟲師団だ。
ネーロが育てた隠密に特化した奴とか、幻覚とか洗脳とか、生命力吸収とか色々凶悪な寄生系とか、工作や建築を得意とする奴とか。
そんな感じの裏方を担当することが多い師団だな。
今も色んな所に偵察に行ってもらってたり、建造物の建設を手伝ってもらったり。
確かリムルとミョルマイルとエルメシアの三人衆の作った秘密結社の手伝いとかもしてたっけ。
後は集会所のメンテナンスとか、兵器とかを作るだとか。
銃や爆弾は勿論のこと。
戦車、飛行船、戦艦、戦闘機。
数はこれもまたやばいことに三千万ほど。
これだけ聞くと魔導蟲師団が少なく見えてくるのが恐ろしい。
こんな感じの師団だが、これだけでもアホみたいな大戦力である。
まだ左翼もあるのだが、これはサラッといこう。
まずはハンター達。
ただこれはそんなに期待はできない。
次は私が作ったモンスター達。
特に名前はつけてないが、そこそこ強い奴らだ。
とはいえ、こいつらはリムルからパクってきた組織表には乗ってない迷宮の戦力に含まれる。
迷宮十傑とかと似たようなもん。
左翼は大して期待できるような戦力ではない。
問題は両翼を統べる統括組織だな。
王女……まあつまりは私の近衛だな。
近衛騎士というと、全然そんなことはない。
そもそも騎士じゃないしな。
執行委員会とかいう、裏組織のやべー所みたいな感じだ。
全員が人っぽい形の集団である、
人っぽいと形容したのは、完全に人のような奴もいれば私のように腕が複数ある奴もいるからだ。
ただ間違いなく魔人化した
全員に古龍の血を支給し、全員が好き勝手に自分の体を改造している。
これは果たして、
私も似たようなもんだが、あえて呼称するなら蟲竜族かな。
さて、そんなこいつらだが、かなりオカシイ性能をしている。
そこそこいるのは色んな能力を伸ばした万能型だ。
それはもう色んなことができる。
物理、魔法、隠密、工作なんでもござれ。
こいつらに大体付与してる
私から色んな力をその場で借り受けて戦う。
例えば、星粒子を借りて大規模な攻撃をしたり。
魔素そのものを借りて大きな技を出したり。
情報支配の権能を借りて隠密能力を強化したり。
色んな技を使える万能型御用達の権能。
次は特化型だな。
こいつらにはそれぞれの特性に合わせた権能を追加付与している。
ある程度まで万能のまま進むが、得意なものを極める過程で偏りが出る感じだな。
恐ろしい所は、別に特化とはいえ他のことができない訳ではないということ。
他のことをやるときにも究極の力は乗るから結構やばい。
その数、二万名ほど。
ここまでの話を聞けば、少ないと感じるな。
だが血迷ってはいけない。
究極の力を持っている奴らが二万もいるのだ。
最後に、この大軍勢を統べる指揮官が五人。
源蟲五神こと、フウガ、スズネ、ネーロ、ロッサ、ビアンカだ。
全員に等しく
まずはフウガ。
付与している権能は「盟約執行」「瞬間移動」「確定結果」「最適行動」「万象加速」だ。
そう。なんと私はこの数か月で瞬間移動を短距離だけなら扱えるようになったのだ。
加速し、法則を書き換え、ぶん殴る。
そんな感じの性能になってるな。
次はスズネ。
「盟約執行」「意志統制」「情報解析」「並列存在」「無限思考」だ。
かなり指揮官向けの性能になっている。
ベニマルのように種族関係なく指揮するというのは不可能だが、蟲相手なら無双の指揮官となる。
しかも並列存在で個別に指揮もできるし、無限思考で作戦を無限に考えられる。
そんな感じの性能だ。
次はネーロ。
「盟約執行」「情報隠蔽」「並列存在」「情報感知」「環境適応」だ。
隠れたらほとんど見つけられないんじゃないか?
しかも本人の槍術も怪物だし、隠れられて槍でヒットアンドアウェイされたらやばい。
情報収集能力も感知や並列存在でピカイチだ。
次はロッサ。
「盟約執行」「星粒操作」「万能結界」「次元破断」だ。
次元破断にかなり容量を取られて四つしか付与できてないが、その分強力だ。
万能結界で空間を指定し、私から星粒子を借りて次元破断で空間ごと爆破、みたいな。
攻撃力がめっちゃ高いな。
次はビアンカ。
「盟約執行」「万物創造」「情報解析」「意志具現」「並列存在」だ。
私の影武者の名に恥じぬ性能だな。
この面子の中では珍しく万能型で、私と似たようなことができる。
人型を最も使いこなしてると言ってもいい。
やっぱり、かなりの大戦力だな。
資料から目を離し、私は鷹揚に頷く。
これだけの戦力があれば帝国なんて楽勝だろう。多分な!
さて、これをリムルに提出……するか?
報連相は大事だと言われたけど、この大戦力を見せたら一体なんて言われるか……。
なんで今まで黙ってたんだとか言われるかもな。
そんなこと言われても知らなかったんだから仕方ないじゃん!で乗り切るか?
リムルも知らないままに原初の悪魔を仲間にしたくらいには大物だし、案外許してくれるかも。
……それにしても、この戦力でヤバイ所は不死身なとこだよな。
リムルは味方側に犠牲者が出ることを極端に嫌うし、私だってそうだ。
だが、この軍勢は魂を私が預かってるみたいなもんだから不死身にも等しい。
それと同時に、
要するにこいつら全員と私を同時に殺し、なおかつラミリスも同時に殺さなきゃ私は死なない。
圧倒的な強敵にはゾンビ戦法ができるわけだな。
……ギィ・クリムゾンみたいな奴には効果薄いかもだけど。
「戦争ねぇ、簡単に終わるといいけど」
私はそう呟きつつ、どこか不安が頭をよぎるのを無視できなかった。
――――――――
東の帝国。
豪奢な椅子に腰かける男の両側に、蒼髪の美女と金髪の少女が立っていた。
男の名は、ルドラ・ナム・ウル・ナスカ。
東の帝国、ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国の皇帝その人である。
「ルドラ、今回こそ世界を平定できるかしら」
「あぁ。新参の魔王を滅ぼし、西側を蹂躙し、今回の戦争でギィの手駒に王手をかけてみせよう」
その皇帝に気兼ねなく話しかける美女――帝国で"元帥"と呼ばれているその者。
帝国最高の指揮官にして、最高戦力の一角。
その名は、灼熱竜ヴェルグリンド。
二人は語り合う。
今回の戦争の行き先を。
暴風竜ヴェルドラを支配し、ギィ・クリムゾンとのゲームに勝利する。
そのゲームとは、世界を盤上とした"駒"同士を戦わせ、どちらが先に世界を征服するかというものである。
長い、長い時が過ぎた。
今は過去に類を見ない絶好の好機。
西側の主力だった"勇者"グランベルや七曜の老師は死に、神ルミナスの正体が魔王ルミナスだと判明した。
ギィ・クリムゾンは魔王達を完全に統率できてはいない。
様々な条件がルドラの味方をしているのだ。
そして、帝国の最強戦力がもう一人。
彼女もまたルドラに協力する竜種。
「ヴェルシャリカよ、作戦は完璧であろうな?」
「勿論です。護竜軍団の出撃準備は万全。いつでもジュラの大森林を蹂躙できるかと」
光輪竜ヴェルシャリカ。
五番目の竜種にして、ルドラが勝利を確信する駒の一人である。
"竜種"が二体。
弱り切った西側。
そして、類を見ない大軍勢。
帝国には三大軍団の他に、ヴェルシャリカが率いる闇の軍団がある。
それこそが、護竜軍団。
帝国の秘匿戦力である護竜軍団は、その総数が五十万の軍団である。
魔獣軍団や混成軍団から制御不能の魔獣を集め、竜の遺伝子と共に改造。
他にも、異世界へと条件付きで飛ぶことのできるヴェルシャリカの知識を活用した技術など。
それを可能としたのは、ヴェルシャリカの知識欲である。
大魔導士ガドラから知識を盗み、数々の非道な実験を通して、彼女はとある技術を完成させた。
造竜技術という、竜を人工的に作る技術である。
「あら、貴女の出番があるか怪しいわよ?」
「カルディナ、今回は恐らく苦戦します。例の戦力を私は確認していますから。アレを支配しない限り勝ち目はないと思いますよ?」
「ふむ、お前の"娘"だったか」
「ええ。陛下。あの子も戦力に加えれば、もう勝ちは確定したものと思っていいと思いますよ」
彼女は嗤う。
兄の封印を見に行った時、襲ってきたので戯れに狂竜症に感染させた
それからまさか自分の娘が生まれたなどと、過去の自分に言っても信じはしない。
定期的に様子を見に行っているものの、彼女の鱗粉の力が強力すぎて簡単に渾沌と化してしまった
その、彼女の娘の名。
それは――
――シャガリ