転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
戦争が始まった。
リムルと共に"管制室"のモニターを覗き、戦況を見ている。
横にはラミリスとヴェルドラ、そしてプルチネルラ。
皆、食い入るようにモニターを見つめているな。
そんなに気になるか?
「当然である。拙者達が開発した兵器が火を噴くのだからな」
「ふっ、見せてもらおうか。帝国軍の戦車の性能とやらを」
「アタシ達が作った戦車の方が強いもんね!」
リムルは、私が戦車を作っていたことを暴露したら絶句していた。
ベニマルも顔が引きつっていたな。
今まで考えてきた作戦とかあったらしいのだが、戦車と戦闘機があるだけでそれが必要ないと思えるほどの戦力になってしまった。
帝国にも戦車はあるしそれにも驚いたのだが、私の作った戦車はそもそも構造からして違うだろうなぁ。
装甲には常に
ベニマルは「これ、戦争の概念ぶっ壊してますよ……」と言っていた。
私達の軍は強いんだからとっくにぶっ壊れてるだろうに。
「帝国軍は降伏勧告を無視したのか……それじゃあ、始めるか」
「リムル様、どうぞ言葉を戦場にいる者達へ」
「――持てる力の全てを使い、帝国軍を殲滅せよ!ただし、絶対に死ぬなよ」
それに、何も戦車だけが強いわけではない。
ゴブタは早速ランガと同一化し、戦場を縦横無尽に駆け回っている。
帝国の戦車を破壊して周っているな。
ゴブタも強くなったもんだ。
ガビル達は飛行船という帝国の兵器に自分達の攻撃が通用しないと見るや、全員が一気にかっこいい姿に変貌した。
一撃で普通に高性能そうな飛行船を打ち落としている。
ま、私の作った飛行船の方が強いぞ、うん。
さて、後方にいる帝国軍の補給部隊と思わしき者達は、突如として現れた戦車と戦闘機に殲滅されている。
打ち出されるのは砲弾とか銃弾ではなく、
私の部下がカリスと協力して作りまくった結果、アホみたいな量できたやつだな。
それには粘菌が付着しており、まあ当然のように着弾したら爆発、そして連鎖する。
その者達の顔は、何故敵軍に戦車があるのだ……みたいな顔だな。
驚くのは分かるが、私も帝国軍に戦車があるなんて思ってもみなかった。
運が悪かったと思って諦めてくれ。
そういうのにはウルティマ師匠とテスタロッサが向かった。
ヴェイロンやゾンダも奮闘している。
一兵卒、階級関係なく始末していく様はやはり美しい。
あと数時間もせず終わりそうだ。
「お?」
「ん?どうしたリムル」
「いや、なんか魂の系譜にいる皆を進化させられるっぽくて――」
「なんだそれ、私にもできるのか?」
《解。再現は可能です。ですが、
四十億ぅ!?
逆に使いにくそうな数だな。
そういえばゾンビは元々人間で、魂は流用してたんだったか。
そりゃあ貯まるよな。
今回の戦争で貯まった魂は全部リムルにあげても問題なさそうだ。
「お、今度は迷宮に突入してくるみたいだな」
「上手くいきすぎて不気味なくらいですよ」
リムルとベニマルが帝国の現状について話してる。
戦車が全滅したことに気づいてないのか。
まあそんな報告信じられないだろうけど。
もう勝ちが確定してるみたいな感じだ。
なんか特殊な動きがあったら呼んでくれとリムルに通達し、私ははしゃいでいるラミリスの方へ向かう。
迷宮の最深部。
リムルも知らない広間がここにある。
中央には円卓があり、迷宮の
迷宮十傑と呼ばれる者達だな。
周囲には他にもいくつか円卓があり、普段はここで会食とかをしているのがうかがえる。
源蟲五神や古龍達も座っている。
古龍達はそれぞれ化身として
共鳴用に作った依代だが、気に入ってくれたようで何より。
「諸君、よく集まってくれた」
「迷宮の侵入者について話そうと思うのよさ!」
ヴェルドラとラミリスが話を切り出した。
それに守護者達は色めき立つ。
それぞれが野心を抱き、興奮を隠せていない様子。
ただ……。
「すまんな。源蟲五神と古龍軍団は出番がないんだ」
私は残酷な一言を発した。
別に出番を用意しても問題はないのだが、あまりにも過剰戦力すぎる。
情報は来たるべき時に出してこそ意味がある。
そうヴェルドラが言っていた。
ここで過剰に戦力を投入して情報を漏洩させるより、隠しておいた方がいいだろう。
「リムルが見てるみたいだから、頑張ってね!」
迷宮十傑に対して、ラミリスが激励をする。
私もそれに続いて鼓舞でもしようと思ったが、ゼギオンが先に発言した。
「リムル様が御覧なさっている、だと?」
ゼギオンが言葉を発しただけで空気が震える。
私は鼓舞よりただ頷くだけに留めた。
ここはゼギオンが発言するだけで場が整うだろう。
普段は滅多に言葉を発することのない迷宮における王者。
この迷宮でゼギオンと対等に格闘戦ができる者など、私やヴェルドラ、フウガくらいだ。
それも、全員が究極の力に目覚めているにも関わらず対等なのだ。
ゼギオンは、強い。
格闘戦だけではなく、自ら"鉄蟲糸"を操って大剣を使うこともできる。
それは古龍の鱗も易々と切り裂き、優に究極に届くという域なのだ。
ゼギオンという、この迷宮における絶対強者がいれば古龍達を投入する必要など無い。
ラミリスは無邪気に微笑み、これから来る侵入者の説明をし始めた。
さて、どうなることやら。
帝国軍が迷宮へと突入してから数日。
各階層へと飛ばされた帝国軍は、ことごとくが殲滅された。
迷宮内の生存者、ゼロ。
帝国有数の実力者が持つと予測される
それぞれのユニークスキルとか。
肉体情報や魂の情報も。
後は迷宮の外に残る二十万弱の戦力を殲滅すれば終了だ。
その案は戦時下では行えそうもないので、まずは敵軍の殲滅からだ。
幹部とリムルの軍団を広間に呼び出し、リムルが戦場へと転移を行うことになった。
念のため、
問題はないと思うが、帝国軍に逃げ出されたらダメだからな。
転移を終えると、急に静かになった。
ここにはリムル、ベニマル、私しかいない。
……ふと、嫌な予感がした。
リムルと目を合わせると、リムルも頷く。
やはり、何か見落としがある。
「リムルさーん!」
遠くから、マサユキが走ってきた。
マサユキがその見落とし?
いや、ないだろう。
頬を掻き、不安を紛らわせる。
大丈夫だ。何も問題ない。
リムルとマサユキが言い合いをしているのを見て、私はやはり杞憂かと力を抜く。
――そんな時、バーニィが動いた。
「
《――告!殺意を感知しました!個体名:バーニィは敵です!》
それを聞いた瞬間、私は剣閃が煌くのを見た。
ベニマルとバーニィが剣を打ち合わせたのだ。
……バーニィがその嫌な予感の正体だったとは。
それに、マサユキにはもう一人仲間がいたはず……。
《告。個体名:ジウの"存在隠蔽"を看破しました。位置は――》
リムルの後ろ、そこに私は勢いよく"跳んだ"
"瞬間移動"だ。
「死ね!」
そこにいたのは、
危ない。あのままではリムルが刺し貫かれる所だった。
私はそれを
遅れて、後ろからクロエが現れた。
これで数では二倍に上回ったな。
だが、私の目を長い間誤魔化していたことから分かってしまう。
バーニィとジウには、
「やばいな。リムル、どうするよ」
「今
『待って!私にいい案があるわ!』
リムルと相談すると、クロエから思念が飛んできた。
クロエの
何かこの状況を打開するような特別なことをしてくれるのか?
なんでもやってみろとイエスを出し、私はジウに向けて双剣を構えた。
その瞬間、世界が暗転する。
……これは、時が止まっている?
しかし、その感覚は一瞬で終わった。
クロエが子供の姿に戻ってしまったためだ。
どうやらエネルギー効率が悪すぎて時間を止められないっぽい。
……それ、ヤバイんじゃあ?
ジウの嫌がらせみたいな攻撃を相殺しつつ、逃げるジウを追う。
こいつ、ムカつく戦い方しやがって。
私もその、何だ、時間停止を使えれば勝てるのか?
《――告。複数回時間停止を確認したことにより、事象の再現に成功しました。エネルギーが膨大であれば発動が可能です》
よっし!なんか知らんけどビンゴ!
私の中にあるエネルギーの総量を見ると、ヴェルドラの半分弱くらいはある。
これだったら発動しても問題ないな。
『クロエ、後は私に任せろ。私が時を止める!』
『ダメ!私が倒す!』
『……うーん、それじゃあ私のエネルギーを貸すからそれで倒せ』
『ありがとう、シャガリさん』
次に、私はベニマルに向かって思念を飛ばした。
リムルから解析が終了したとの思念が飛んできたのだ。
どうやら
それなら"絶対切断"をベニマルに付与してやればいいということだな。
リムルの"絶対防御"の権能を反転させ、それに私が"意志具現"の力を付与する。
これで斬れるはず。
そこからはあっという間だった。
ベニマルがバーニィを圧倒し、切り捨てる。
そしてクロエは私から大量のエネルギーを奪ってジウを粉微塵にした。
……はぁ、すさまじく神経を使う戦いだった。
ハッキリ言えば油断していた。
まさかあの二人が裏切り者だったとは。
いや、別に裏切っていたわけでもないのか。
とにかく、これからは気をつけないと。
脅威はあの二人だけだったようで、迷宮外部はもう終わったようだ。
魂がリムルに集っていくのが感じる。
それと同時に、戦場に張り巡らされた情報を
それじゃあ例の案とやらをやるとしようか。
私は外に広がる死体の山や迷宮に散らばる死体の山を
横でリムルは
私は今まで集めた情報から帝国兵全員の身体情報を再生し、七十階層の広間に並べる。
指揮官と思わしき奴らは別のテントだ。
そして、
まずは指揮官っぽい奴らから生き返らせた。
次に、個人の特定だな。
私は指揮官用に用意されたテントから出てくるリムルをチラリと見ると、そのまま作業を続ける。
リムルも参加してくれたので効率が上がり、半日もかからずに蘇生に成功した。
それを見ていた指揮官達は跪いていたが、これは考えたリムルの方へやってほしいな。
失われていた情報子を作ったのは私だが、考えたのはほとんどリムル。
この
とはいえ、私が強くなるよう細工はさせてもらった。
エネルギーを注入したが、それは魂のエネルギーとはまた別の代物だ。
一部が定期的に私へと支給され、強制的に
最初は全部抜き取る感じだったが、私が提案したのだ。
これは感謝してほしいな。
チヤホヤされるのは悪い気分ではないので、若干リムルに向けてほしいとは思いながら私は状況を楽しんだ。