転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
ドワルゴン付近には、ヴェルグリンドや
リムルはそこに悪魔三人娘、ガビル、ゴブア達などの援軍を送り込んでいた。
だが、悪魔三人娘はヴェルグリンドの"並列存在"に苦戦し、ガビルは
ここで役立つのが肉壁として有能な百万の竜教蟲師団――だったのだが、想定外の帝国側の援軍によって窮地に晒されている。
護竜軍団――帝国の秘匿戦力が、牙をむく。
指揮官もおらず、各自の判断で神聖魔法を扱い戦闘する龍教蟲師団。
しかし、いくら無限に復活するといっても弱点はある。
一つは、広範囲攻撃。
そしてもう一つは、同じような力を持つ者との相性の悪さである。
護竜軍団はヴェルシャリカの
"疑似竜乳"というエネルギーであり、それが一定以上供給され続けている限り不滅なのである。
龍教蟲師団の不死性に比べれば十分滅びる可能性が高いが、一個体の能力が高いため問題となっていない。
末端の兵でもAランクオーバーの実力を有しており、
しかし、それはあくまで
主戦力として運用されている
今もまた、
蟲達には恐怖心が無い。
だが、復活速度よりも滅びる速度の方が速いため、数が減ってゆく。
それは絶望的な光景だった。
しかし、そんな場所に援軍が現れる。
迷宮の守護という役目を放棄し、残りの龍教蟲師団と魔導蟲師団が駆け付けた。
これにより、戦場は膠着状態へと移行した。
軍団を転移させ、魔素を大量に消耗したネーロが遠くから戦場を見る。
そして、分が悪いことを悟った。
(これは……母上からの支援が途絶えている今は厳しいね……)
シャガリが異なる座標に転移してしまったことを察しており、支援が最小限になってしまっている。
総数にして五千七百万ほどの軍を転移させてきたため、意識を失ってもおかしくない状態なのだ。
そんなネーロに、また不幸が訪れる。
「おや、こんな所に強そうな者がいますね」
ヴェルグリンドがヴェルドラへと集中すると宣言したとの情報を入手した直後、目の前に悪夢が転移してきた。
その者の名はヴェルシャリカ。
ヴェルグリンドに代わって、戦場の監視をしに来たのである。
警戒する暇もなく、ネーロはヴェルシャリカに粉々にされてしまう。
それに動揺する魔導蟲師団達。
不運であったのは、魔導蟲師団は実力があるばかりに恐怖を理解してしまっていた所だろう。
そして――ヴェルグリンドが時空を連結し連れてきた魔獣軍団によって
殲滅戦の始まりであった。
一方その頃迷宮では、唐突に表れた侵入者の対応に追われていた。
神々しい覇気を放つ、三対の羽を持つ天使――
フウガ、ロッサ、カリス、トレイニーはとある天使の対応をしていた。
ザラリオ――シャガリの螺旋斬を受け止めた怪物である。
四人がかりであってなお、ザラリオは涼しい顔で戦っていた。
フウガ、ロッサは究極の権能があるにも関わらず、ザラリオに決定打を与えられていない。
ほぼ全ての攻撃は
その結果、「確定結果」や「次元破断」などの権能でしかダメージを与えられていない。
それも、ザラリオの圧倒的な
最初は軽く戦うつもりだったザラリオにそこまでの力を出すことを強要しただけ、彼らは奮闘したといえるだろう。
迷宮をラミリスと共に調整しているスズネの支援は期待できず、マサユキの護衛についているビアンカを呼び戻すことはできない。
当のビアンカは、コルヌという
ヴェノム、カリギュリオ、ミニッツと協力し、マサユキの支援もあり戦えている状態だ。
地上にはさらに二柱の
この状況で想定以上の事態が起こっても対応できるはずもなく――
唐突なディーノの裏切りによって、スズネも窮地に立たされていた。
ラミリスを狙ったディーノの攻撃を、帝国から寝返った異世界人の一人、シンジが反応した。
それに気づいたスズネは、身を挺してラミリスを庇う。
ラミリスはシャガリが最も優先する最優先事項――絶対に傷を負わせてはならない。
ベレッタが止めたとはいえ、不意打ちが決まったことによってスズネは攻撃が掠る。
凄まじい眠気に対抗するため、大量のエネルギーを使うことになった。
こうして、地上でも迷宮でも厳しい戦いが始まることとなる――
――――――――
目の前が真っ暗になるとはこういうことを言うのだろう。
あのファルムスの惨劇の時は閉じこもりたいと思ったが、今回は全てを破壊しつくしたいと思うほどの魂の痛みを感じる。
権能も使える。
……だが、私が問いかけても反応を返すことはない。
"ラジエル"は、消えてしまったのだ。
それを考えるだけで、全身が燃え尽きるような感覚がある。
魔素増殖炉によってどんどんと魔素が増え続けているが、私はそれを"暴蝕"で喰らい、"情報世界"に無理矢理入れている。
前回のような楽しさも、高揚感も、今回は全く感じない。
とりあえず、私はラミリスへ連絡をとった。
『ラミリス、ヴェルドラからの補給が今はないな?私の魔素を使ってくれ』
『あばばばば!シャガリ、今大変な状況で……天使が攻めてきたのよさ!』
『なるほど。源蟲五神は?』
『ザラリオって奴に苦戦してて……』
『……あぁ、アイツなら確かに苦戦するだろうな』
ザラリオ、か。
オベーラさんは来てないのか?
私が向かえる状況だったら説得に行っていた所だが……残念ながら今は無理だ。
その代わり、源蟲五神に力を与えてやるとしよう。
アイツ等はまだ魔王種だったはずだし、覚醒できるはずだ。
それに……どうやら戦況を見た所、あの変な
あれをまずは解決するとしよう。
リムルについてゆき、この"夢幻要塞"から外へ出た私は、横で悪魔を召喚するリムルを横目に見てから準備を進めた。
これもまた<召喚魔法>であり、ウルティマ師匠から教わった技を独自に発展させたものだ。
「顕現せよ、我が忠実なる近衛達よ!
総数にして二万の究極保持者が私の目の前に整列する。
消費魔素は、魔素増殖炉のおかげでゼロに等しい。
遠くの方で爆散してるネーロにも魔素を分け与え、それから全員に魂を与えた。
規定量"十万の魂"を二万と五人に与え、合わせて二十億もの魂が一瞬で消し飛んだ。
だが、後悔など無い。
そんなことをしていると、遠くからボウガンの弾のようなものが飛んできた。
これはなんだ?
とりあえず情報を遮断して防ぎ、効果を解析する。
結界破壊効果と、魔力回路破壊効果、か。
ヴェルドラに撃ったと思わしきものと比べればお粗末なものだな。
リムルに効かなかったのなら私に効くと思ったのかもしれない。
ま、防御できなかったとしても"暴蝕"してるだけだが。
さて、近衛達に激励だ。
「リムルに先を越されてしまったが、お前らにも言っておこう。好きに暴れて構わない。どれだけけの破壊を撒き散らしてもいい。死んでも生き返らせてやる。蟲として、全てを喰らってやれ」
そう言って、私は二万の近衛を見わたす。
蟲の覇者は何者だ?
お前ら、
全体を鼓舞し、魔素を行き渡らせる。
足りなければ補填してやる。行け。
私はリムルの横へと移動した。
そして、作戦を話し合う。
リムルは操られたヴェルドラとヴェルグリンドを相手するようだ。
なら私はヴェルシャリカ――母を相手にするとしよう。
"瞬間移動"で、母が暴れている戦場へ移動。
ちょうど目の前に転移した。
「あの牢獄から脱出するとは。中々やりますね」
「ハッ。私にはすごい兄がいるもんでね」
「……さて、やはり貴女は私の支配下に入ってもらいますよ。ギィ・クリムゾンとの勝負には貴女が必要なのです」
「断る。私の相棒を奪った罪を贖うがいい」
私は双剣を顕現させた。
黒く輝き、虹色に瞬く
それに対して、母も双剣を取り出した。
純白の装甲に、虹色に光る薄刃を持つ双剣、
その等級は――
魅入られるような刃は、忌まわしい天廻を彷彿とされる
片や廻ることができ、片やその輪廻から弾かれた状況だ。
私が
「貴女も双剣を使うのですね。竜人族の血を混ぜた依代で冒険していた時代を思い出します」
双剣を使うということは、それぞれの動きを把握しているということだろう。
数度打ち合い、私はそれを確信した。
双剣の使い方を熟知しているが故に、次に何が来るのかが分かる。
どうしても避けられないような攻撃は朧翔けで回避され、隙を見計らって鬼人突進連斬が。
そんな攻防を繰り返し、分が悪いと悟った。
戦闘経験が足りない。
私が十数年ほどの期間しか双剣を使っていないにも関わらず、母からは数百年の積み重ねが感じられる。
それに、武器の等級の差も致命的だ。
打ち合うと武器にダメージが来るため、受け流すことを強要される。
それに対し、母の双剣は打ち合っても傷がつくことがないようだ。
そもそも、刃が虹色な時点で
それじゃあ、やっぱり竜種とそのなりそこないとしてはこれが一番いいだろう。
私は人化を止め、元の
体積も盛り、巨大化する。
それを見て、母も
黒金色の姿の特殊な感じだ。
両者共に咆哮し、一気に攻撃にかかる。
殴り、殴られ、爆発し……。
鱗粉が周囲に散ってゆく。
それを吸う度、私に形容し難い痒みと痛みが全身を駆け巡る。
「もう限界でしょう?軍門に下れば――」
「黙れ。
私が禁忌なる技を放ち、それを母はまともに受けた。
これなら――
「やれやれ。反抗期とは面白いものですね。
橙色の
たしかに、母は傷ついていた。
だが、同質の
私のあの技は鱗粉を基にして作られている。
やはり、同じような鱗粉を使える者とは相性が悪い……。
この橙黒色の姿、私を殺した
まさか……。
「私も鱗粉を使った技は使えるのですよ」
母がそう言うと、紫色の柱が回転しながら私を狙い、収束してゆく。
これは、書物で見たことがある。
あの「猛き炎」が体験したという、
「
光の柱が収束し、楽園の名を冠する終末が訪れる。
その魔の光は私を刺し貫き、生命を終わらせようとしていた。
は……ハハッ。
結局、私はこのザマか。
情けない。
情けなくて、惨めで、憎い。
母が優しく愛で溢れた視線でこちらを見るのも不愉快極まりない。
どうして、憐れまなければならない?
どうして、蝕まれないといけない?
どうして、渾沌に呻かないといけない?
どうして、天に廻ることを許されない?
どうして、どうしてなんだ?
教えてくれよ、
――その時、私の中にある"魂"と"盟約"が脈動し始める。
そして、"世界の言葉"が響いた。
《告。
《告。
《告。
《これより