転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
"世界の言葉"が聞こえた直後、私は「情報感知」の感覚を失いその場に崩れ落ちた。
体が動かない。
意識が闇へと落ちていくような感覚があるが、なんとかそれを留めた。
「並列存在」の権能の影響か、思考だけはできるようだ。
体が動かないことには戦うこともできないので、内面に意識を向ける。
私に何が起こっているのか、それを確かめなければ。
《告。
内面へ意識を向けると、私の"魂"を知覚することができた。
中々に歪な形をしている。
"魂"にある力はリムルやマサユキのような大きなものではないのだが、二人分くらいの大きな魂の容量が合体している感じだ。
その結果、リムルのような大きな容量があるものだと分かる。
そして、魂の周りには
それにしても、なんで二人分くらいあるんだ?
《確認しました。"意志の力"により、支配系能力の効果を消去。「狂竜ウイルス」を克服しました。これより、「極限化」を開始します》
魂を見ると、ユニークスキル「
そして、「
語りかけるも、返事が返ってくる様子はない。
しかし、私の魂の内部に「
《各種耐性を再取得します……成功しました。「物理攻撃無効」「自然影響無効」「状態異常無効」「精神攻撃無効」「聖魔攻撃無効」「龍属性耐性」を獲得――成功しました》
それは、私のような小さい少女の姿をとって静かに眠っていた。
赤髪の綺麗な少女だ。
……私は、この少女を見たことがある。
「……ラジエル」
頬を優しく撫でる。
あぁ、消えていなかったのか。
しかし、会話できる様子はない。
原因を探ると、
これは、支配回路か?
どうにかしてこれを中和できないかと魂を探る。
すると、
しかしそれは不完全なもので、究極ではないからか完全に中和できている訳ではない。
大罪系というものの亜種って感じだな。
これが両方究極であれば中和に成功する訳だ。
しかし、
何か別のアプローチをしなければ。
別の場所に手を伸ばす。
持ってきたのは、
私の
これを進化させれば、何とかならないだろうか。
《告。
《成功しました。
成功、だ。
その効果の使い方が私の脳内を駆け巡る。
これならいけるかもしれない。
"魂"が脈動し、ラジエルが薄目を開けた。
「否。……ワタシはいてはならないのです。主の役に立たない
すると、私から目を逸らして俯く。
私はラジエルを抱きしめ、背中を優しく叩く。
いらない?そんなことはない。
たとえラジエルが
薄々気が付いてはいた。
傀異化ができて、劫血やられも発動でき、伏魔響命すら発動できる私。
それは、
ラジエルがどこから来たのか?
それは、私が死ぬときに遡る。
あの時、私は狂竜ウイルスと
狂竜ウイルスは生物ではないが、
私が死んだ余波で私の中にいた
思えば、ラジエルが「
魂が二人分あるのもそれが原因かな?
――貴方の相棒、大事にするのよ。克服することをオススメするわ――
プロトの言葉を思い出す。
これを全部知っていたと思うと、やはり恐ろしいな。
克服――つまりは、
無茶を言う。
「ラジエル、この機に正式に名付けをしよう」
「――!?乱。……プロンプトを処理できません」
存在を認めて、受け入れ、そして克服する。
これをするなら"名付け"が一番ちょうどいいだろう。
そうだな……キュリアだから――
「お前は、ユリアだ」
「――!!!!!」
「よろしくな、ユリア」
「……はい。私はユリア。ありがとうございます」
橙色の
精神は肉体の限界を超え、ため込むばかりだった魔素が私を満たす。
貪欲に、まだ足りないと。
傀異克服。
私は、古龍の仲間入りをした、ということでいいのか?
じゃあ、これからはヴェルシャガリとでも名乗るとしようか。
《
《確認しました。「
それを聞いて、私は満足した。
これは新種だな。
「
「母のことか?確かにそろそろ動きを止めないとな」
ユリアの案に同意し、私は精神世界から現実世界に戻る。
求めていた
母が横で立っているのを「情報感知」で認識。
どうやらまだ連れていかれているわけではないようだ。
なんだか縛られているが、私を捕獲するつもりか?
四肢を切断しようとしてくるが、それを弾く。
今の私の甲殻は全てが
ゆらり、と起き上がり、肉体を急速に変質させてゆく。
斬られそうだった四肢のみを先に変化させたし、今度は全身を進化させなければ。
私の甲殻にヒビが入り、隙間から赤紫色の
やがて橙色へと変化し、龍気の赤も混じる。
その余波で、私を縛っていた鎖は勝手に塵になった。
ピタリと
中から現れたのは、虹銀色で妖しい赤いメタリックな輝きを放つ甲殻。
金色ではなく、銀色に変化したっぽいな。
人化をしてみる。
虹色の
流石にこれはまずいな。
周囲の
さしずめ、アポピスXシリーズといったところか。
さて、私の見た目だが、身長は随分伸びて、少し癖のある黒銀色の髪が肩まで伸びている。
プロトみたいな見た目になったな、と思う。
アイツは白い髪だがな。
双剣を呼び出してみるが、コイツも進化している。
この装備と双剣の強さは?
《
そっかー、
普通に凄まじい武具になったな。
新しいカッコイイ名前を考えなければ。
虹銀色に変化した双剣は……うん、暫定だが
そんなことをしていると、母が後ずさったのが見えた。
「……あれほどの攻撃を加えたというのに」
「ふっ。私には頼りになる相棒がいるからな」
見えた、見えた、か。
今の私は瞳があり、景色をしっかりと"見る"ことができる。
力も溢れるようだ。
今なら炎だって笑って耐えられる気がするぞ。
母の言葉に笑って返答し、武器を構えた。
母も人化して双剣による攻撃を加えてくるが、思考加速の速度が数億倍になっている私にとっては遅い。
余裕を持って"瞬間移動"し、後ろから斬りかかる。
母は反応できずに翼脚が切り裂かれた。
それに飛び退く母だが、また後ろに移動して斬る。
卑怯は誉め言葉だ!
「くっ、生意気ですね。仕方ない。暴走の危険性があるので使いたくなかったのですが――」
母は何か覚悟を決めたのか、懐からカプセルを取り出した。
そのカプセルを放り投げる。
かなり危険なものだと分かるが、私に比べればそうでもないな。ふふん。
「開封、
母が叫ぶ。
すると、カプセルが白い鎖を纏った
どうやら二対一のようだが、卑怯だなぁ。
まあ私もユリアがいるし問題ない。
「これで終わりとは思わないことですね。
「……ん?」
母がまた叫ぶも、
チラリと戦場の方を見ると、ネーロが吸収していた。
結局二対二か。
《お任せを!》
母が悔しそうにしながら私を貫いた大技の準備を始める。
そして、
鎖の攻撃を駆使し、私を捕えようとしてくる。
だが、甘いね!
「
リムルがベニマルに与えてたやつをパクった。
しかし、その効果は絶大。
鎖だろうが何だろうが、切り裂いて
次は
怯んでいる隙に、私は空気を体に取り入れて龍気に変換する。
そして、地面の龍脈とリンクさせて
「
そんなことをしてるうちに母の準備が完了したようだ。
前のような、即席の力ではない。
しっかり力を貯めたバージョンだ。
ふむ。じゃあ全力で正面から破壊するとしよう。
ブレスを生成し、純粋な破壊のエネルギーへと変換する。
それは自然と炎を形作るが、炎が平気になった今だからこそ使える技だな。
原点にして、頂点。
「
その炎は全てを焼き尽くし、
口の中がチリチリする。
炎は効かなくなったと思ったが、これは別らしい。
さて、それじゃあ母の支配回路を破壊するとしようか。
なんか母も見た感じ支配されてる。
この支配回路を消せば、母も正気を取り戻すだろう。
致命傷ではあるが、竜種だし最悪の場合も滅びることはない。
「ご、ふっ。まさか、あの男のような……禁忌に……」
「ん?まあ近い感じではありそうだな」
母に触れ、その権能を確認する。
やはり、支配回路がある。
さっとそれを消去し、再び語りかける。
「あ、れ?なぜ私は……陛下は?」
なんか放心してしまった。
話しかけても反応が返ってこない。
ユリアに聞くも、正常に支配回路の破壊は完了している。
単純に混乱しているだけか。
とりあえず、リムルに「倒した」と伝えなければ。
私はリムルの元へ母を連れて"瞬間移動"した。