転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

54 / 64
53:魔王の役割も手に入れた龍

会議は続く。

リムルが魔王達の領地に援軍を派遣するみたいな話になっているな。

地下に私の「情報世界」を設置すれば一般人の避難も楽々である。

消費は馬鹿にならない、のだが。

世界創造(イツワリノセカイ)」から湧き出る情報子を魔素に変換するだけで賄えてしまう。

ということで、主力勢による本気の戦いもできる感じである。

念のため、「情報支配」による結界を張る装置も設置するとしようか。

流石にギィとヴェルザードが戦うみたいなことになったら星が壊れてしまう。

地形や建造物にのみ効果を及ぼす感じの性能だから、防御には使えないけど。

というかそんなことをしたら私の魔素が一瞬で無くなってしまうわ。

さて、リムルが戦力を派遣するなら私も誰かを派遣するとしよう。

 

「え、別にお前の配下はいいんだぞ」

「いや、仲の良い所には置いておきたいだろう」

 

ミリムの所には確実に配置しておきたい。

……そういえば、今の王女近衛執行委員会(インペリアルエージェンツ)はどうなっているんだろう。

何人か配置すべきだとは思うが。

スズネに連絡を取り、存在値がどんなもんか聞く。

 

『皆さん百万弱程度の存在値はありますねぇ』

 

なんというか、全員が覚醒魔王になるとこんなにバケモンのような軍団ができるんだな。

所謂、聖人の強さの奴らがウジャウジャいる訳だから。

ここは大判振る舞いで一万名を派遣しておこう。

何だか嫌な予感もするし、おまけで三分の一ほどの三師団を派遣するか。

残りの一万名と三分の二の三師団は本国の防衛。

ルミナスの所は……まあ臨機応変にやるって感じで。

そもそもシオンが行くなら足手まといになる可能性が高い。

必要があればネーロを派遣する、みたいな感じでいいかな。

ネーロは単体でも強いし、適任だろう。

本当ならフウガ辺りを派遣すべきかもしれんが、アイツは私の護衛だ。

流石に緊急時は考えるけども。

 

そんな感じで、魔王達の宴(ワルプルギス)は収束していく。

ある程度皆落ち着いてきたので、私は話を切り出す。

それは勿論――

 

「そうそう、私も魔王になるからな」

 

新たな魔王になるということである。

ディーノがいなくなった今、八星魔王(オクタグラム)は数が足りない。

ならばその穴は私が埋めるしかないな。

ギィは微妙な顔をしている。

この時期に色々面倒だな……って感じか?

魔王三名……私の場合はリムル、ラミリス、ミリムの承認さえあればいいんだろう?

リムルとラミリスには既に許可とってるし、ミリムは目を輝かせていることから承認待ったなし。

思念伝達で聞いてみても、ばっちり承認の構えだ。

もっと強固にするなら……。

 

「ルミナス、私の迷宮内に新しい施設を追加したんだ。紅葉といってな、すごい綺麗な光景が見られるぞ」

「……ふむ、興味深いな」

「そこには温泉もあってな、勿論ヒナタとも――」

「よし、その話乗ろうではないか」

 

よし、食いついた。

次は……。

 

「レオン、そういえば最近ぬいぐるみを開発しているんだが……お前だけに特別に、今だけ、限定で!クロエの可愛いぬいぐるみをプレゼントしようと思うんだが……?」

「……いいだろう。今回は仕方なく乗ってやろう」

 

チョロいな。

まあこんな方法を教えてくれたのリムルだけど。

確か、特別とか今回だけとかいう言葉が商売には効果的、だっけか。

 

「ダグリュール、砂漠の緑化作業の目途が実はついていてな、協力してくれたらそれを優先的に回そうと思うわけだが」

「それは本当か?」

「勿論だとも。魔素の暴走も私にとっては簡単に浄化できる」

「流石だな。ならばワシも賛成に回ろう」

 

これでギィ以外の全員が賛成に回った。

というか、ギィも実際は管理する者が増えるのは嬉しいだろう。

こんな戦時下でやられたら迷惑なのは分からんこともないが。

これだけ賛同が揃ってしまえばもう反論できないのか、そもそも予定通りだったのか知らないが承認してくれた。

あのギィだから予想しててもおかしくはない、かも。

 

ここに私、竜種であり魔王の"龍奇姫(エキセントシスター)"ヴェルシャガリ=テンペスト・アルカーノが誕生である。

最後にギィが皆に異変があったら連絡を入れてくれと発言し、会議は終わった。

 

 

 

魔国連邦(テンペスト)に戻ってきた私は、迷宮に訪れた。

そろそろプルチネルラにまかせっきりの集会所も見ておかないとな。

何か用があるとかで呼び出されたから、ちょうどいい。

迷宮最下層にある管理者用の"扉"に入り、私は集会所の裏手に足を踏み入れた。

前とどんな感じで変わっているかと思えば、どうやら集会所がデカくなっているようだな。

集会所の外にスペースが追加されて、飛行船が停泊している。

その周りにはキャラバンや店が点在しており、交易拠点のような感じになっているようだ。

道場のようなものもあり、ハンター達のオトモが修行する場所となっている感じだな。

いつの間にか、ハンター達はアイルーをオトモとして連れて狩りに行く所までこぎつけたようだ。

ハンターとアイルーが仲良く酒場で語り合っているのを見かける。

カノンに声をかけると、古龍を撃退するような猛者が数人ほど現れたという情報を伝えられた。

そんなバケモンが生まれたのか。

いやはや、人間の才能とは侮れないな。

 

ここ一帯の区画についても教えてもらう。

どうやら、飛行船を使って色々な場所へとハンターを案内しているようだ。

紅葉が綺麗な村とか、平原の中心に建つ村とか、雪に覆われた村とか、森の中にある村とかだ。

紅葉の村はルミナスと見に行こうと約束したので、完成してくれていて良かった。

私の記憶から再現した光景だが……。

確か、前世で騎士団長の妹殿のオトモアイルーが描いていた絵を見せてもらったことがあったっけ。

あの絵は素晴らしかったから、かなり記憶に焼き付いている。

 

《覚えていなくても、私が再現しましたとも》

 

……まあ、リムルもユリアもうろ覚えの知識を完璧に再現しているようだが。

覚えている必要はそんなにない。

 

さて、それじゃあプルチネルラがいる場所に向かうとしようか。

ユリアを宿した並列存在もそこにいるはずだ。

私は迷宮の中心にある塔の最上階で"鍵"を使った。

時空が裂け、門が現れる。

前は空間を無理矢理裂いて入っていたが、今はちゃんと荘厳な感じになっている。

名前もつけたからな。

"鍵"が無いと入れないような特殊な空間にある、ユリアの庭。

その名も、「天蝕宮」だ。

全体は球体な感じで、半分が地面、半分が空っぽい感じだな。

移動しにくくないのかなとは思う。

常夜の楽園とも言うべき場所で、常に夜となっている。

草は枯れず、水は濁らず、あらゆる情報子に満ちている。

世界創造(イツワリノセカイ)を具現化したような場所なのだ。

ほんのり肌寒い風が吹き、草を揺らす。

ここの中心には真っ黒な宮殿が建っていて、遠くからでもその威容が分かるな。

私は宮殿に足を踏み入れた。

 

幾何学模様の魔法陣が壁に浮かんだり消えたりを繰り返し、目がちかちかする。

ここはそんなに変わってない感じかと思いきや、肉塊とかは消えていた。

ちゃんと掃除しているようで偉いぞ。

生活感が無いから、綺麗かと言われると微妙なとこだが。

ちなみに、こんなに広い宮殿な癖して住民は少ない。

幽霊のように、精霊っぽい精神生命体が通りかかるくらいだ。

 

私が向かうのは最奥の玉座の間……ではなくその横の研究室だ。

そこにプルチネルラはいる。

 

「よっ、元気か?」

「おお、シャガリか。我輩は常に元気であるよ」

「ユリアは?」

「所長なら……そこに」

 

プルチネルラに挨拶をして、研究を任せたユリアの場所を聞く。

指をさした方を見ると、そこには何人かのユリアが作業をしている様子があった。

 

「何してるんだ?」

「本体を隔離し、死なない仕組みを作っています」

「私達の体は分身のようなものですが、本体とほぼ性能は変わりませんよ」

「定期的に思考をリンクさせ、ズレが出ないようにしています」

 

聖櫃の中にはユリアの――というか私の本体がいた。

ユリアに与えた並列存在だな。

この本体が滅ぼされない限りは死なない感じになった、という感じか。

聖櫃に保存しているし実質不可能じゃないか、殺すの。

と聞けば、ヴェルグリンドの「時空連続攻撃」への対策としてフェルドウェイの行動を複写したとか。

そういえば、あのフェルドウェイは本体じゃないんだったか。

いくら滅ぼしても本体は無事だから大丈夫、みたいな感じだった気がする。

 

「情報子を注入し、色々と改造していたのですが……」

「解放してしまえば力が暴走して、星を壊しかねないのです」

「なので封印している、という感じですね!」

 

物騒なもんである。

死ににくさだけで言えば、私はリムルよりヤバイだろう。

色んな所に死なない為の保険がかけてあって、封印くらいしか私を封じる手段が無い感じである。

……で、こんなことを報告しにプルチネルラは私を呼び出したのではないはずだ。

 

「確かにこれもすごいが、本題があるんだろう?」

「流石はシャガリよな。勿論あるとも」

 

そう言ってプルチネルラが語りだしたのは、新しい肉体について。

ハンターがモンスターを狩猟するのだが……。

その狩猟した後の死体を秘密裏に回収し、大量に集めたらしい。

それを妖死冥産(バースディ)によって肉体とし、かなりの数の妖死族(デスマン)もどきを生産したとか。

妖死族(デスマン)とは性質が違いすぎるから、竜人族(デミオルドラ)の方が正しいかもしれない。

もう既に古龍の長達は受肉している。

そして、これら数十人の肉体をどうするかだが……。

 

神霊之大戦(フィナーレ)か」

「その通り。フェルドウェイとやらが何人か熾天使(セラフィム)を召喚するなら、こちらもやってやろうと言うことなのであるよ」

「なるほどな。経験は無いが戦闘力はある肉壁を大量に召喚しようってことか」

 

ユリアに視線を送ると、ニッコリと笑顔を浮かべて頷いた。

どうやらやってくれるようだ。

私?

ユリアがやるということは私がやるのと同じだから……。

別に私がここにいる必要はない。

 

天蝕宮から出て、私はリムルのいる方へ向かった。

そろそろ、試してみたいよな。

リムルとの勝負で、今の自分がどれくらい強いのか。

色々忙しいだろうし、休暇がある時に予定を作ってもらおう。

天蝕宮なら壊れる心配もない。

今からでも楽しみで武者震いがする。

リムルは強いが、私も強くなっているはず。

 

 

 

こうして、会議のあった怒涛の一日は終わりを告げたのである。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。