転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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55:黒焔脈動、災異止まず

いつものように天蝕宮でだらだらしてた私に、報告が飛んできた。

偵察に出しているネーロからだ。

少々焦っている感じだから、何か想定外のことでも起きたのか?

聞いてみると、どうやらレオンの居住地、エルドラドに敵が来たらしい。

ディーノに確認する。

……どうやら、本当のことのようだな。

よし、救援に行くとしよう。

リムルへの報告は……後でいいだろう。

私はエルドラドに瞬間移動した。

 

転移した先は、極寒の吹雪。

魔力感知や万能感知が働かないヤバげな場所になっている。

この吹雪はヴェルザードだな。

敵側に寝返ったと聞いたが、随分と派手にやってくれる。

私が置いた装置が起動していないのを見るに、皆相当焦っているようである。

 

「情報世界・地形保護(アースプロテクト)

 

とりあえず結界を起動し、ヴェルザードと戦っているギィに目配せをする。

これで心置きなく戦えるだろう、と?

その目配せの意味を悟ったのか、協力してくれないことに憎々しい顔をしながらヴェルザードに向き直るギィ。

私は私でやることが他にある。

市街地から避難している住民達を情報感知で捕捉。

あのままだと危ないな。

 

「大規模瞬間移動」

 

全く、こんなことしてるとすぐ魔素が飛ぶんだから。

避難民たちはラミリスの所へ転移させた。

これで安全になったという認識でいいだろう。

リムルには伝えてないが……まあ、リムルなら何とかなるだろう、うん。

都市部で暴れている敵も捕捉が完了した。

特に大柄な男――ヴェガは危険そうだ。

しかし、目に見える脅威よりも私は別の場所に目が向いた。

戦場から離れた所にいる少女は、何か異質な感じがする。

権能を一目見ただけである程度解析できるユリアからの返答は、アイツは瞬間移動ができるとのこと。

瞬間移動持ちが敵にいるのはまずい。

私が使えるから分かるが、あれはマジで利便性が怪物級だ。

……先に潰しておくか?

いや、それよりも城の方にいる戦力の方を優先しよう。

城の方向に戦力が集中していて、危険そうな状況なのが分かる。

転移した場所はなんだか怒涛の展開になっていた。

ブチ切れてるフェルドウェイと、操られてる感じのカガリ、一人のラプラス……か?

そして、操られそうになっているレオン。

エルメシアそっくりの人。

 

「なんか、大変そうだなぁ……」

 

フェルドウェイの横に瞬間移動し、ぶん殴りつつ私はそう呟く。

とりあえずコイツは敵だ。

 

「フン。下らない攻撃ですね」

 

ぶん殴ってダメージを与えたかと思ったら、それは受け止められていた。

全く、面倒極まりないな。

なんなんだこの状況は。

今の一撃で大した痛痒を与えられなかったから、フェルドウェイが攻撃してくるかと思って身構える。

しかし、フェルドウェイは何もしてこなかった。

舐めプか?

攻撃してこないのなら別にいいので、警戒しつつ周囲の状況を確認する。

操られてるレオンはエルメシアそっくりの人――シルビアと戦っている。

ユウキとカガリはラプラスと、ティアとフットマンは騎士の二人と戦おうとしているな。

一番大変そうなのはラプラスだが、ユウキを見た感じ操られてないし大丈夫だろう。

問題なのはティアとフットマンだが……。

あくまでラプラスみたいな戦闘力の奴にとっては問題だという話である。

ゼギオンとかリムルならこれくらい大したことないだろう。

いっちょ遊んでやるか。

そう思い手の平から雷を出す。

何故か最近使えるようになった雷だが、どれくらいの威力なのか確かめておくべきだろう。

 

神紅色破滅雷(レッドスプライト)

 

私は軽い気持ちで雷を放った。

……放ってしまった。

この雷は、そんな軽く使っていいようなものではなかったのだ。

かなり威力を絞ったつもりだったが、地面に着弾した瞬間、大爆発。

城を半壊させ、大きなクレーターができている。

幸いにも、脅かすつもりで放ったから直撃はしていない。

ティアとフットマンは無事だし、流石に殺すのはまずい。

この威力にはフェルドウェイも絶句しており、目を見開いている。

どうしようか……とか思っていると、隙を見計らってユウキが動いた。

カガリを操っているであろう天使系の能力(スキル)を奪ったようだ。

それにより、カガリが正気に戻る。

よし!なんか知らないけど上手くいったみたいだな!

 

「全く、まさかここまで私の邪魔をする者が次々と……」

 

……驚愕している顔のフェルドウェイはいつの間にか冷静でゾッとするような表情になっていた。

ユウキがフェルドウェイを煽っていたが、何か嫌な予感がしたのか煽るのを止めた。

何だ?もうフェルドウェイには何も無いはず――

 

「――そのガキを殺せ(目覚めろ、ジャヒル)

 

フェルドウェイが何かを呟く。

私は、それを聞いた瞬間悪寒を感じた。

それは、ユウキの後ろ。

突如として禍々しい気配が出現している。

フットマンが動き、ユウキに攻撃をしかけようとしているのを加速した思考で察知した。

裏切り?いや、違う。

フットマンに何かが取り憑いていた。

ユウキは気づいていない。

助けておく必要があるな。

フットマンに取り憑いている何かは、ユウキとかなりのエネルギーの差がある。

存在値にすれば一千万は軽く超えているだろう。

とはいえ、私には届いてないし何とでもなるはずだ。

軽くぶん殴るだけで沈むだろう。

私はフットマンのすぐそこに瞬間移動し、攻撃をした。

 

 

 

――攻撃を、しようとした。

 

 

 

「分不相応、それが面白さであるというもの。しかし、貴様は危険だな。私が相手をしよう」

 

突如として私の目の前に全身鎧の男が現れ、私を弾き飛ばす。

情報遮断防御領域(シャットオフサンクチュアリ)がジュッと音を立てて融けた。

破壊された結界の隙間から衝撃波が私を襲い、私は壁に勢いよく当たる。

結界が壊されるのは完全に想定外だ。

ていうか、何の予兆も無く現れたコイツは何なんだ。

 

「な、なんだ……お前?」

「私か?私は……そうだな、フォティアと呼ぶがいい」

 

全身鎧の男に誰なのか問いかけると、返事が返ってきた。

だが、それと同時に攻撃も飛んでくる。

重そうな全身鎧を着ているとは思えないほどの速度で疾走し、距離をつめてきたのだ。

私はそれを受け流し、双剣でフォティアと名乗った男を攻撃。

出し惜しみ無しの、朧翔けだ。

しかし、朧のように舞うはずの私の斬撃は素手で受け止められた。

それでもダメージは与えたようで、痛そうにしている。

なんでダメージを受けるのに受け止めたんだよ……。

 

「この力を使えるとはな。予想外であるぞ」

 

感心したように頷くフォティア。

何か、おぞましいような、神々しいような気配を感じる。

全身鎧は脈動し、まるでロボットのよう。

しかし内側から感じる生命力がコイツがロボットではないと証明している。

それはもう、規格外なほどの生命力を感じる。

ドクン、ドクンと脈動するのは果たして鎧なのか心臓なのか。

恐ろしい。

この私が恐ろしいと感じるなど、プロトくらいのものだというのに。

 

「ふむ……"紅"か?前に封印してやった時は廻龍亜目だった故、恐らくそうだろうが……」

 

静かに、しかし堂々とフォティアは私に近づいてくる。

気圧されるような凄まじい生命力は、熱となって周囲を焼く。

私が前のままだったら焼け死んでいてもおかしくはなかったぞ。

今では炎への耐性があるが……。

それにしても、何だこの熱は。

どうして単純な生命力だけでここまでの熱を出せるのだ。

私の結界を融かすほどの規格外の熱。

情報子を融かしているのか?

 

「まあいい。この遊戯は退屈しなさそうだ」

 

あの攻撃以来、攻撃してくるような気配もなかったフォティアが突如として臨戦態勢に入る。

私はそれを再び双剣で受け流し、斬撃を叩き込んだ。

今度はダメージを受けないようしっかりと避けたのを確認。

黒蝕之鱗粉演舞(シュヴァルツマーチダンス)を放ち、反応を見計らう。

……命中した。

だが、悔しいことにそれほど効いていないようだ。

瞬く間につけた傷が再生してゆく。

感じる生命力に見合う、私の回帰再生のような再生能力である。

……ならば、なんとか再生される前に倒さなくては。

渾纏を発動し、攻撃の威力を高める。

そして、生命ならば逃れることのできない技を放つ。

生命力が高ければ高いほど致命的になるはずだ。

 

渾嵐星覇加速励起(カオティックアクセラレーション)!」

 

私が必殺の意志を込めて放ったものは、惜しいかな届かない。

フォティアの生命力は私の想定以上だった。

確かに生命力が暴走し、フォティアは粉々にはじけ飛んだのだが……。

その次の瞬間、何事も無かったかのようにフォティアは復活したのだ。

それも、鎧まで一緒に。

暴走した生命力は、更なる生命力によって無効化されてしまった。

時が巻き戻るように、信じられない速度で再生する。

少しの痛痒も感じていないかのような感じだが、果たしてダメージは与えられているのだろうか。

 

「少し焦ったな。まさかここまでの攻撃をしてくるとは。それにしても、前に言っていた"愛"は使わないのか?」

 

愛……?

何を言ってるのか分からないが、相手には余裕がある。

この状況はまずいような気がするぞ!

横をチラリと見ると、ユウキがピンチである。

しかし、フォティアが逃がしてくれるとも思えない。

今ここでコイツに勝利しなければ。

何とかリムルが来るまでに持ちこたえられればまだ勝ち目があるか……?

私は大抵の相手には負けない自信があるが、「負けない」ことを前提とした戦い方をしてくる敵は苦手なんだよな。

私自身、「負けない」ことを前提とした戦い方だ。

だから、攻撃力が無いんだよ……。

再生されたり防御されたりすると勝てない。

禁忌の力は……火属性は効かなさそうだが、全属性複合は試してみるか。

……これは、やっぱり少々ヤバイかも?

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