転生したら黒蝕竜だった件 作:転スラ好きのライズ民
テントに入り、リムルと共に「分身体」というスキルを発動する。
魔人が持っていたスキルだ。
情報者がしれっと解析をしてくれたっぽい。
「よし、じゃあ行くぞリムル」
「おうとも。発動だー!」
目の前に人が二体現れる。
まあリムルの姿はもう既に知ってるんだけどな。
自分はこんな感じだったのかーということがこれで分かる。
うん、まず最初に思うのはあれだな。
まるでタンポポみたいだ。
もっさもさの黒髪はタンポポの綿毛を黒くしたみたいな感じ。
まあそれはいいや。
大事なのは、人の姿になったのにまだ目が見えないということだ。
私は目を閉じている。
開いてみても、瞳は無く、空っぽだ。
ちょっと悲しくなった。
私が成体になれば目が見えるようになるのだろうか。
それにしても、竜人族にしては若いからなのかすごい小さいな。
私の前世の遺伝子は影も形もない。
強いて言うのなら黒い髪の毛だが、ゴア・マガラだし黒いのは当たり前だよな。
リムルの方もスライム特有の色してるし。
銀髪だけど、若干青い感じ。
私は正真正銘の黒だけどな。
光を全て吸収する感じの黒だ。
折角人型になれたことだし、服を作ってもらうことにした。
リムルより身長が低いからムズイと思うけど。
なんでこんなちっさいんだよ。
鱗粉を使えば服っぽいのは作れるから別に困りはしないけどね。
っと、人型ってことはもしかして味覚があるんじゃないか。
リグルに食べるかと聞かれて、私はリムルと顔を見合わせる。
いやまあ目がないから目は合わせてないけど。
だが味覚だ、味覚だぞ。
それを楽しみにして私達はヴェルドラが封印されていた洞窟へ向かった。
能力の実験のためだ。
範囲結界というものを実験してみよう。
これは、あの魔人、いい加減名前覚えないといけないな、そうイフリートだ。
あいつを解析して入手したスキルだ。
怪我はしたくないので実験をするのを躊躇っていたが、分身体があるのなら問題ない。
分身に結界を張り、冰蝕吐息を放ってみた。
が、脆い。脆すぎる。
これはダメだ。使えん。
とか思っていたら、横でリムルが炎化というスキルの魔素流出を抑えるとかいう頭のいい使い方をしていた。
水刃を結界で包んで放つなんてこともしていた。
なるほどな。そこまで頭が回らなかったぜ。
鱗粉を結界で包むと、鱗粉の塊ができる。
……まあ、それだけなんだけど。
ちなみに炎化だが、分身体に使わせたら一瞬で燃え尽きたから使ってない。
私に炎は相性が悪すぎるようだ。
だがもう一つ手に入った炎熱操作を捨てるのは惜しい。
そう思って水操作と形容変化で統合すると、分子操作というスキルができた。
これは中々使えそうだ。
《告。エクストラスキル「分子操作」をベースに、形容変化によってスキルを変質させます。「毒麻痺吐息」に「炎化」のデータを統合。エクストラスキル「
《告。魔法:
ちょっと待て。
湯化はいらんだろ。
お湯になってどうするよ。
《解。「
あ、そっか。
先輩ハンターが言ってたユクモ温泉とやらを真似ることができるって訳だな。
そりゃ確かに有能そうだ。
で、これらを結界と組み合わせてなんかいい感じにならないか。
リムルは「多重結界」として発動してたぞ。
《告。各種耐性、スキルを鱗粉に付属。「多重鱗粉」を発動させます》
私の場合はそれが鱗粉になるのな。
相変わらず炎には弱いみたいだけど。
ある程度は耐えられるが、リムルの「黒炎」とか喰らったら一発KOだ。
属性値に変換するなら25くらいならギリ無効化できるかなーという。
脆い。脆すぎる。
少なくとも無いよりかは格段にマシだが。
あ、リムルの黒炎は属性値100くらいだと思う。
無効化できるわけねーだろ!
……?
なんか、外に意識を向けたら……というか散布していた鱗粉が変な反応を確認したぞ。
戦闘の気配だ。
「リムル、戦闘の気配がする」
「……ッ!?本当だ!行くぞ!」
私達は反応があった場所へ走る。
ってかいつの間にかリムルは仮面をつけていた。
シズがつけていたやつだな。
私も仮面をつけようと、なんか創造してみる。
《了。仮面を作成します》
《告。「黒蝕の仮面」の作成に成功しました。効果は「魔力抵抗」「多重鱗粉」「挑戦者」「体術」「早食い」「災禍転福」です》
おお、中々強そうじゃないか。
仮面をつけると、ジャンプが少し楽になった気がした。
あと
ぱっと見人間に……は流石に無理があるか。
耳とがってるし指の本数も違うし。
とまあそんなことを考えている内についたな。
数人の男女がホブゴブリンの皆と戦っている。
どうやら昏睡の魔法をかけられているようで、誰も死んではいないっぽいが。
だが、倒れ伏している仲間たちを見るとどうにも心がざわつく。
……私は頭を振った。
ふう、少し冷静さを失っていたようだ。
リムルにも短気を起こすなと怒られているんだから、気を付けないと。
「正体を表せ!邪悪な仮面の魔人共め!」
ほら、なんか人違いっぽい雰囲気だし。
やっぱりプチッとやっちゃったら色々面倒なことになるんだ。
ランガに魔法を使う少女の牽制を頼み、私達は他の全員と戦うことにした。
人の姿でどう鱗粉を撒くんだよと思ったがとりあえず鱗粉を出してみる。
すると、背中からマントのような翼が出現し、そこから鱗粉が出てくる。
なるほどな。出すときは人の姿から離れるのね。
ふと横を見ると、リムルは大男を麻痺吐息で麻痺させ、筋肉質な女を粘鋼糸で縛り、と中々無双していた。
私の方は……っと細身の男が暗闇から刺突をかましてきた。
ま、私は仮にも闇を纏う者。
鱗粉によって位置はバレバレだ。
余裕をもって回避し、逆にカウンターをした。
鱗粉を剣のように固め、双剣にする。
前世は双剣を使っていただけあってかなり体に合う感じだな。
ちなみに殺してはいない。
ちょっと腹を切り刻んだだけだ。
回復薬ですぐ直るさ。
これで降参を……と思ったら後ろに気配を感じて慌てて回避する。
爺だ。
気配が希薄すぎて気付いていなかったが、こいつメッチャ速い!
しかもこいつ、鱗粉を全く吸わねぇ!
解析もできないし、私より強くねぇかこいつ。
ま広範囲に邪毒吐息とかを使えば一瞬なんだけど。
でもそれはなんか違うじゃん?
戦いには勝ってるけど勝負には負けてるよ。
ギャババッ!
二撃目で腕が切り飛ばされるかと思ったわ!
鱗粉を固めて甲殻的なのを作ってなかったら飛ばされてた。
ていうかこのクッソ分厚い甲殻がボロボロなんだが。
結構まずいな。
「喰らえ!
アッ。
そ、それはまずい!
《告。「多重鱗粉」で無効化……失敗しました》
《告。応急処置として、「水化」を発動して軽減に成功しました》
ゴロゴロと地面を転がって火を消す。
あぶねぇあぶねぇ。
たまーにあーいう事例があるから油断できねぇんだ。
「シャガリ!……っと大丈夫みたいだな」
「あぁ、なんとかな」
「あいつらはビビらせて帰らせるぞ。今から黒炎を出すから離れとけよ」
私は強い。
それは間違いないが、あくまでAランク程度とやらでしかないと思う。
リムルは間違いなくAランクオーバー。
あと私に特効を持つ技を持ってるので私ではボロ負けするだろう。
ま、とりあえず黒炎とか出されたら怖いよな。
覚悟を決めて特攻しようとしてきたがそれをランガが牽制していた娘が遮り、なんか場が収まった。
誤解とか色々あったっぽいし、分かってくれてよかったよ。
……プチッと皆殺しにしなくてよかった。