転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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7:豚頭の集結と異界

開戦の狼煙は、ベニマルが放った危険極まりない炎の魔法だった。

あれ喰らったら私死ぬんじゃね……?

範囲を指定し、その内部で黒炎を燃やす。

2秒ほどしか維持できていないとはいえ、やばすぎるだろ。

ちなみに、私とリムルは風上に浮いている。

リムルは羽を再現し、私は翼脚を出して空を飛んでいる。

だから戦場を俯瞰的に見ることができるんだ。

ほら、ランガが竜巻を出したのも見えた。

クシャルダオラのことを記した文献がこんな感じだったかな。

巻き込まれたら私でも……いやあれはいけるか。

込められている魔素(エネルギー)量から推定してもこの竜巻の方が大きいはずなんだが、雷の熱でダメージを受けるとはいえ風自体は大したことない。

風が吹いてても飛べるし。

リムルは涼しい顔で全部耐えそうだけどな。

多重結界が私よりかなり耐久力がある。

演算能力がアホほど高いからまあ当然だが。

 

《……謝。より精進します》

 

いや、情報者を責めてるわけじゃないさ。

解析に特化したようなリムルと、最適化に特化した情報者じゃあベクトルが違うからな。

リムルは、恐らくあのベニマルの魔法とかランガの竜巻とかが一瞬で解析できるんだろう。

だが情報者は違う。

一瞬で解析なんて器用なことはできないが、少しづつ解析して自分の物にし、他の物と組み合わせて最適化する。

ユニークスキルなんてそんなもんさ。

 

 

 

戦場を眺めていると、突如として上空から魔人が降ってきた。

そいつを追い、私達は地面に降り立つ。

ふむ、なんか勝手に計画がどーたらとか喋ってるな。

このまま流して、全部聞き出してやろう。

聞いたところ、どうやら名前を色々な奴につけていたゲルミュッドとやらはこいつらしい。

ま、もう目新しい情報はないだろうな。

ゲルミュッドはガビルに魔力弾で攻撃した。

それを鱗粉で侵蝕し、解析をする。

リムルはガビルを気に入ってるみたいだから、守ってやらないとな。

 

《告。妖気(オーラ)と魔力を掛け合わせた技術(アーツ)です》

 

成程。じゃあ再現は可能か?

というか鱗粉とかその辺でもできそうなもんだが。

魔力とかそんな感じのものを練り上げる感覚を掴もうと悪戦苦闘。

リムルが水刃の理論を応用して成功してのけたのはびびった。

私もそんな感じでやってみた結果、ちょうどリムルがゲルミュッドにトドメを刺すくらいで習得した。

なんだ、もう終わりそうだな。

と思ったら、オークロードがゲルミュッドを食いやがった。

そして、世界の言葉が響く。

どうやら豚頭魔王(オーク・ディザスター)に進化したらしい。

そいつは魔王ゲルドと名乗る。

……無理だな、あれは。

私は一歩下がり、巻き込まれないよう鱗粉で防御を固めた。

触れたものすべてを腐蝕させるであろうオーラが迫ってきたので、朧翔……あっ。

そうだ翔蟲持ってないんだった。

下がらなきゃ殺されそうだ。

回避回避っと。

さて、後はリムルが何とかしてくれるだろう。

悔しいが、これもまた戦術さ。

 

《……!》

 

あわよくばという感じでベニマル達が魔王ゲルドに攻撃をしかけたが、あっさりと無効化。

次にリムルが出てきたが、動きが変わったのが感じられた。

……誰だ、あいつは。

リムルは演算能力は高いが、何故かそれが本体と同期していないように感じられた。

そう、私と情報者のように。

まさか、あれは同調とかそんな感じのやつか?

 

《……告。個体名:リムル=テンペストはユニークスキル「情報者」のような能力を保持している可能性が高いです》

 

情報者はそれに結構前に気づいて探っていたらしいのだが、高度な隠蔽がかけられていて特定が難しかったのだと。

だがそんな感じの能力を持っているということはほぼ確定したわけだ。

リムルが実力を隠し持っていたという可能性もあるがな。

 

リムルと「テンペスト」の名でつながっている私に、感情が伝わってくる。

あいつが読み取った、魔王ゲルドの葛藤、覚悟、罪……。

スカベンジャーたるゲルドに、捕食者(プレデター)たるリムルが勝とうとしている。

侵蝕しかできない、イローダーな私にはリムルのように一瞬で取り込むなんてとてもできないだろう。

罪も、力も、全てを喰らおうとする強欲な奴。

なのに、何故か無欲に見えるんだから不思議なもんだなぁ。

……長いような、短いような時間が経ち、魔王ゲルドはリムルに喰われた。

なんだかリムルの背が少し伸びたような気がするな。

だが、なんともあっさりと終わったものだ。

 

事後処理はリムルがみんなの盟主になるとかそんな感じでいい感じに収まったようだ。

で、オークたちは大同盟とやらの一員になるとか。

労働力が増えるのはいいことだ。

これで今まで滞っていた街作りも進むと思う。

……まあ、数が減ったとはいえ十五万くらいの人数がいるから名付けは大変だろうな。

 

 

 

あれから数日。

街の建設は随分軌道に乗っているようだ。

上下水道や温泉、虫よけなど、普通に快適なレベルだ。

そんな中でもリムル用にクソデカい家が建てられたので、私もそこで暮らしている。

庭が広いので飛んでも全く問題がない。

まあクソデカい家とはいえどリムルは普段は庵でだらだらしてるけどな。

さて、こんだけでかい土地を与えられたらやることは一つだろう。

私は街をこっそり抜け出して森へ散歩に行く。

翔蟲が欲しいんだが、森の中にはそれっぽい蟲がいるだろう。

とはいえ……うーむ。

やはりそう条件に合致した蟲はいないか。

だがこの次元の裂け目みたいなのに入ればいる気がするぞ。

自分と似た気配がする。

私は正確には竜なんだが、インセクトとか言われたことあるしな。

それっぽい遺伝子が入ってるんだろ。

 

その裂け目の内部は暗かった。

まあ鱗粉で感知してるからあんまり関係ないけど。

なんか、殺伐とした雰囲気が辺りに漂っている。

一歩踏み出してみると、床がないことに気づいた。

仕方ないので翼脚を出して飛び、少し進んでみる。

ふむ、なんか魔素濃度が高いような気がするぞ。

魔素が拡散しないから能力とかが発動しやすいというか。

しばらく進むと、蟲に出会った。

空を飛ぶようなタイプでもない癖に宙に浮いている蟻だ。

リムルが雷で爆散させたやつにも似てるな。

少し戦ってみるか。

ゲルミュッドの使っていた魔力弾を真似、爆発する鱗粉の弾を撃つ。

名付けて黒蝕之鱗粉演舞(シュヴァルツマーチダンス)

まあ長いので普段は黒蝕弾とでも呼ぼうか。

……ん?ちょっと効きにくいな。

魔力妨害とかそんな感じのやつか?

まあ出力は雑魚だし容易く無効化できるが。

だがこれは出力が上がるとやばそうだ。

情報者に頼んで解析を進めてもらう。

 

蟻を粉砕してからまた飛ぶと、今度は牙竜のような獣を発見。

……やっべ。なんかめっちゃ強そう。

とそれと同時に背中に羽が生えた人?が戦っている。

なんだあれは。

外見は美しい黒髪をなびかせる美女だ。

だが、その剣撃は速く、鋭く、そして的確である。

私でも目で追うことができない。

ただ、美しいと思った。

 

「……さて、人間、ではないようですけれど、貴方は誰です?何故ここに?」

 

美女が牙竜にトドメを刺した直後、私の存在がバレた。

いやバレていたけど見逃されていたという方が正しいだろうか。

私なんて取るに足らない存在なんだろう。

実際戦えば一瞬で負けると推測できる。

 

「ああ、ちょっと散歩だ。空間に裂け目を見つけたら入りたくなるだろう?」

「それは、ちょっと分からないけれど……」

「まあ、知り合ったのなら自己紹介をしておこうか。私はシャガリ。よろしく、素敵なお姉さん」

「……悪意はないようですね。私はオベーラといいます。そして貴方に言いたいことが一つ。ここは危険ですので早く立ち去った方がいいですよ」

 

オベーラさん。

すさまじい覇気と美貌を持つ絶世の美女。

彼女の言う通り、ここは危険な気配に溢れている。

まあ、私は鱗粉と本体を入れ替えることができるため危険はないに等しいが、そういうのを滅ぼす奴がいるかもしれないということだろう。

結局、翔蟲はいない感じなのか。

 

「あぁ、それと、貴方の考えている蟲に最も近いのは恐らくこの蟲魔族(インセクター)でしょう。これがちょうどいいと思います」

「お、こりゃあありがたい」

「糸は、貴方の能力で改造するといいかと」

 

それだけ言って、オベーラさんは去っていった。

私の手にはタマムシのような蟲魔族(インセクター)が一匹のみ。

それにしても、底知れない強さを感じさせる人だった。

私のスキルと思考は見破られていてもおかしくないな。

実際思考は見破られているだろう。

ゾクゾクするなぁ。

さて、帰ったら実験するぞっと。

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