転生したら黒蝕竜だった件   作:転スラ好きのライズ民

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8:桜金色の旋風

私は出口に向かって歩く。

その過程で蟲に鱗粉を吸わせ、遺伝子を色々弄って、翔蟲っぽいのは形ができてきた。

「粘鋼糸」だとイマイチ上手くいかなかったので、スキルを変質させる。

 

《告。様々な蜘蛛型魔物、糸系能力のデータを統合し、スキル「粘鋼糸」が固有スキル「鉄蟲糸」に進化しました》

 

粘鋼糸の便利さと、さらに通常の糸ではできないような現象を再現する糸。

魔鋼製の武器が使用者の意志に合わせて進化するように、この糸は変化する。

時には大量の糸でカウンターを試みたり。

時には糸で構えを取り、攻撃を受けたら次の攻撃を強化したり。

糸でモンスターの柔らかい位置に剣を刺し、螺旋のように回りながら抉ったり。

まあそんな感じで、翔蟲は便利な糸を持ってるわけだ。

私はもう自分で作ってしまったから翔蟲は使わなくてもなんとかなるが、あるにこしたことはないだろう。

さて、それじゃあ初めての名付けでもしてみますかね。

名付けしたら翔蟲としての性質が上手く定着するかもしれない。

 

「お前は風雅(フウガ)、そしてお前は涼音(スズネ)だ」

 

そう言った瞬間、魔素が体から抜けていくような感覚がした。

やべっ。そりゃあリムルも意識を失うわけだ。

情報者!なんとかできないか!

 

《了。保存していた鱗粉(データ)を魔素に変換……成功しました。魔素の代用に成功しました》

 

意識を失うかもと思った寸前に、情報者が魔素を補完してくれた。

ふぅ、死ぬかと思ったぜ。

で、こいつらはどうなったかな。

……自分の糸で作った蛹に入って眠っているようだ。

侵蝕をいい感じに使い、情報者の「情報保存」に保存する。

目覚めたら翔蟲になっているだろう。

 

 

 

「どこ行ってたんだ……?」

 

街に戻ると、リムルに脱走したのがバレていた。

いやぁ、そんな凄みのある顔でこっちを見られてもなぁ。

どうやら数日の間私は留守だったらしい。

ま、そりゃ心配するか。

その間にドワーフの王、ガゼルが来たらしいのだが、なんとも惜しいことをしたものだ。

リムルがガゼルと戦っている所はいいデータになったと思うのになぁ。

ハクロウが習得している<気闘法>というやつの達人だったそうだが、私も気になっていた。

ただハクロウの修行は厳しいと評判だからな……。

で、もう一つの報告としてかっこいい蟲を捕まえたらしい。

私の仲間というわけでもないが、あんなところに次元の裂け目があったのはそいつらが来たからかもしれないな。

ゼギオンとアピトというらしいが、私のフウガとスズネだって負けてないぞ。

 

「翔蟲じゃねーか……」

 

蛹から出てきた二匹は、翔蟲といって差し支えない見た目になっていた。

フウガは雄なので、かなりデカい。

所謂大翔蟲だろう。

スズネは雌なので使いやすい大きさだ。

これからこいつらの遺伝子を使っていっぱい翔蟲を作るのが目標だ。

目指せ一度に10体の翔蟲。

 

そんな感じであったことを話していたんだが、唐突にやばい気配を感じた。

リムルも同じで驚いているようだ。

空を見上げると、そこには一人の少女が空を飛んでいるのが見えた。

 

《告。鑑定に失敗しました。対象は個体名:リムル=テンペストの10倍以上の魔素(エネルギー)量を保有しています》

 

やべぇよ!?

このまま街に直撃してはまずいので、近くの丘に走る。

ここまで来れば被害は出ないだろうと思った直後、衝撃が走った。

エネルギーの塊が地面に高速で激突したのだから、当たり前っちゃ当たり前だけど。

桜金色(ピンクブロンド)の髪をした少女が、私を見る。

その瞬間、全ての防御領域を貫いて私が鑑定されたのが分かった。

多重鱗粉による妨害。

微弱な意志がある鱗粉による攪乱。

そんなものは全く意味が無かった。

私の心の奥を埋める感情はただ一つ。

恐怖。

私が死ぬ原因になったシャガルマガラのような、凄まじい覇気。

その目は全てを見通し、隠蔽を許さないというのが分かる。

 

私が呆然としていると、ランガに持ち上げられて運ばれた。

どうやら少女、魔王ミリム・ナーヴァに攻撃してしまったようである。

いや、いやいやいや。

勇気ありすぎるだろ。

とりあえず、私はどうすべきだろうか。

こいつらを見捨てて逃げるのは嫌だから……。

とりあえず、私も戦ってみることにしよう。

一矢報いるくらいはしたい。

……震える足を無視し、前に進む。

古龍に殺されたこともあって、龍はトラウマなんだよ!

人間っぽい姿をしているが、魔王ミリムは間違いなく古龍と似た存在だ。

 

「お?オマエもワタシと戦うのか?」

「ちょっと手合わせでも、と思ってな」

「いいぞ。殺すつもりはないから一撃耐えられたら誉めてやろうではないか」

「光栄だ」

 

リムルのバカかお前は!?みたいな視線が飛んでくるが、無視。

一秒も経たないうちに、魔王ミリムの拳が目の前に迫る。

ほぼ避けられないであろう攻撃。

だが、私には「鉄蟲糸」がある。

久しぶりにやるとしようか。

 

「朧翔け――!」

 

凄まじい衝撃が走る。

今までありとあらゆるモンスターの攻撃を防いできた朧翔けでも、その攻撃の威力を消しきれなかった。

だが、腕は持っていかれていない!

そのまま体を回転し、双剣を振るう。

だが、魔王ミリムの体を覆う結界に阻まれ、剣撃は到達しなかった。

なんて、こった……。

衝撃はなおも私の体を蝕み、朧翔けの構えを解いた瞬間、私は地に伏した。

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