日本最強、錆白兵の友達   作:113(いちいちさん)

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第拾話 上弦の陸

 炭治郎は鬼の匂いに気付き、全速力でときと屋へ戻っていた。

 

鬼狩りの子?来たのね、そう

 

 炭治郎が部屋に戻ると、そこには上弦の陸・堕姫に捕まり身体を帯の様な物に取り込まれた鯉夏がいた。

 

「(体・・・!!どうなってる!?鯉夏さんの体が無い!?出血はしてない、血の匂いはしない!)」

 

 炭治郎はその光景に動揺するも直ぐに刀を構える。

 

「その人を放せ!!」

・・・誰に向かって口を利いてんだお前は

 

 そう言うと堕姫は身体から生えている帯を炭治郎に向かって高速で放つ。

 炭治郎はそれを咄嗟に刀で防ぐが、その勢いは殺せず隣の建物まで弾き飛ばされた。

 

「グッ!?(速い!?・・・けど何とか反応できた!!あの時より確実に強くなれてる!煉獄さんの稽古のおかげだ!)」

 

 炭治郎は上弦の強さに戦慄すると同時に、自身の成長を実感する。

 しかし、それでも相手が遥か格上である事をきちんと理解し、即座に立ち上がると油断無く刀を構え直す。

 

 

 

 

 

 京極屋の主人を尋問し、"蕨姫(わらびひめ)"と言う花魁が鬼である事を突き止めた宇髄は、しのぶ達と合流し切見世に囚われていた雛鶴の救出に成功した。

 

「解毒薬を注射しました。(じき)に動ける様になります」

「ありがとうしのぶちゃん・・・天元様、もう大丈夫です。私に構わず鬼のもとへ」

「本当に大丈夫だな?」

「音柱様、ここは私に任せて下さい」

「・・・わかった、雛鶴を頼む。行くぞ冨岡」

「御意」

 

 雛鶴の介抱をしのぶに任せ、宇髄と義勇は戦闘音の元へ向かった。

 

「二箇所で戦闘が起こっているな、俺はこっちに向かうからお前は向こうを頼む」

「御意」

 

 宇髄と義勇は二手に分かれた。

 

「(ここだ!!地面の下!!)」

 

 一人になった宇髄が暫く進むと、地面の下から戦闘音が聞こえて来た。

 彼は背中から二刀の太刀を抜くと振り上げる。

 

音の呼吸・壱ノ型 (とどろき)!!

ドゴォン!!

 

 振り下ろされた太刀は地面に触れると爆発を起こし地面に巨大な穴を開けた。

 

 

 

 炭治郎を待っていた伊之助は、いつまで経っても現れない炭治郎に痺れを切らし単独行動を開始していた。

 彼は並外れた感覚により鬼の通り道を発見し、鬼の棲家に辿り着いていた。

 そこには帯にされた大勢の女性が捕まっており、その中には善逸も含まれていた。

 伊之助は即座に救出を試みるが、堕姫の分身体である帯の鬼が守っており難航していた。

 戦闘の最中何とか数人の救出に成功し、その中には宇髄の妻である須磨とまきをがおり、二人は伊之助に加勢する。

 

「"蚯蚓帯(みみずおび)"とは上手い事を言うもんだ!」

「ほんと気持ち悪いです!ほんとその通りです!天元様に言いつけてやります!」

「誰だてめェら!!」

 

 二人の加勢と、更には帯から解放された善逸が加勢し一気に優勢になる。

 

ドゴォン!!

「「「「!?」」」」

 

 突然の爆発で天井に穴が空き、そこから宇髄が現れる。

 彼は帯の鬼を一瞬で細切れにすると、二人の妻の元へと歩み寄る。

 

「天元様・・・」

「天元様!!」

「まきを、須磨、遅れて悪かったな。こっからはド派手に行くぜ!!」

 

 

 

 

 

 炭治郎は戦闘の最中何とか鯉夏を救出するも、かなりの体力を消耗していた。

 

「(ヒノカミ神楽を連発しただけでなんて有様だ!もっと呼吸を・・・体温を上げろ!!)」

 

 炭治郎が呼吸を整えていると、帯の切れ端が堕姫に集まり融合する。

 炭治郎はその隙に斬りかかるも躱されてしまう。

 

やっぱり柱ね?柱が来てたのね?良かった、あの方に喜んで戴けるわ・・・

 

 帯と融合することで姿だけではなく力も上がったことを感じ取る炭治郎。

 

「おい何をしてるんだお前達!!」

「(しまった!!騒ぎで人が!!)」

 

 間の悪い事に騒ぎを聞きつけた人達が集まって来てしまった。

 

「人の店の前で揉め事起こすんじゃねぇぞ!!」

・・・うるさいわねぇ

「駄目だ下がってください!!建物から出るな!!」

 

 機嫌を損ねた堕姫が帯を振るい、咄嗟に炭治郎が守ろうと動いたその時、

 

シュパッ!!

 

「!!」

ッ!?

 

 突然現れた義勇により彼女の攻撃は全て斬り伏せられた。

 

「俺が来るまでよく堪えた、後は任せろ」

「冨岡さん・・・!!」

「お、おい・・・あんたら一体・・・」

死にたくなければ離れていろ!!建物から出るな!!

「は、はい!!」

 

 義勇のあまりの剣幕により離れていく民間人達。

 突然現れた義勇を見てニヤける堕姫。

 

アンタ・・・コイツより数段上の強さね。柱かしら?

「俺は柱じゃない」

そう・・・じゃあ興味ないわ。死になさい。 血鬼術 八重帯斬り(やえおびぎり)

 

 堕姫の身体から放たれた八本の帯が義勇を襲う。しかし、そんな状況でも彼は冷静に対処する。

 

「(さっきは単純な攻撃だったから防がれたけど、柱じゃないならこれでお終いね)」

水の呼吸・拾壱ノ型 (なぎ)

ザンッ!!

 

は?

 

 しかし、堕姫の思惑とは裏腹にまたも攻撃を斬り伏せられた。

 

水の呼吸・壱ノ型 水面斬り

えっ?

 

 堕姫が唖然としている隙に義勇は追撃し、彼女の頸を刎ねた。

 

「(き、斬った!!頸が落ちてる!!義勇さんがやったんだ!!凄い!!)」

 

 あれほど自身を圧倒していた上弦の鬼をあっさりと倒した義勇に羨望の眼差しを向ける炭治郎。

 

ア、アンタ!!柱じゃないなんで嘘じゃない!!騙して油断させる作戦だったのね!!

「・・・俺は柱じゃない」

その強さで柱じゃないわけ無いじゃない!!この嘘つき!!

「・・・俺は嘘つきじゃない」

「おーやったか、俺が着くまでもなかったな」

 

 頸が落とされてなお義勇と言い争う堕姫の元に宇髄が現れた。

 

「宇随さん!!伊之助達は!?」

「ああ、アイツら地味にとろいから置いてきた。それにしても流石は次期水柱だな」

「俺は水柱に相応しくない」

「上弦を倒しておいてよく言うぜ」

 

 義勇と宇髄、二人の強者が揃ったことで場の空気が和み始める。

 しかし、

 

わーん!!柱でもない奴に斬られちゃったぁ!!悔しいよぅ!!

「(おいおいギャン泣きじゃねぇか。コイツ本当に上弦か?)」

「(・・・おかしい。頸を斬られて時間が経っているというのに一向に身体が崩れない?)」

 

 首を斬られた堕姫の身体が一向に塵にならないのを疑問に持つ義勇が刀の柄に手をかけようとした、その時。

 

お兄ちゃああん!!

「「「!?」」」

 

 堕姫が叫ぶと突然彼女の身体が疼き出し、そこから()()()()()()が現れた。

 宇髄と義勇が咄嗟に斬りかかるも躱されてしまい、一瞬の内に反対側の道へと移動していた。

 

泣いたってしょうがねぇからなああ。頸くらい自分でくっつけろよなぁ。おめぇは本当に頭が足りねぇなあ

「(頸を斬り落としたのに死なない・・・)」

「(背中から出てきたもう一体は何だ?反射速度が尋常じゃねぇ)」

 

 二人は再度斬りかかるが、男の鬼が振り返ると鎌を取り出しカウンターを仕掛けた。

 

ビチッ!!

「・・・!?」

「ッ!?」

 

 二人の顔に傷が付き血飛沫を上げる。

 

へぇやるなぁあ、攻撃止めたなぁあ。殺す気で斬ったけどなあいいなあお前ら、いいなあ

 

 もう一人の上弦の陸である"妓夫太郎(ぎゅうたろう)"はそう言って振り返った。

 

お前いいなぁあ。その顔いいなぁあ、肌もいいなぁシミもアザも傷もねぇんだなあ。肉付きもいいなぁあ、俺は太れねぇんだよなぁ。上背もあるなぁあ、いいなぁあ

 

 妓夫太郎は宇髄を見て一通り感想を言うと、今度は義勇を見て口を開く。

 

お前もいいなぁあ。その黒髪いいなぁあ、艶もあってサラサラでよお。俺のは見ての通り艶も無くてボサボサでよぉお、いいなぁあ。その顔もいいなぁあ、女にもさぞかし持てはやされるんだろうなぁあ

 

 そう言って二人を交互に見ると、頭を掻き毟る妓夫太郎。

 

妬ましいなああ、妬ましいなああ、死んでくれねぇかなぁあ

 

 一見隙だらけに見えるが、その実彼の強さを感じ取り動けないでいる炭治郎達三人と箱の中で唸る禰豆子。

 そして最後に彼は炭治郎を見る。

 

お前は()()いいなぁあ。その額の傷、いいなあ愛着が湧くなああ。それにお前の背負ってる箱の中にいる奴、血縁だな?鬼になってるようだが、そりゃあ姉か?妹か?いいなぁあ。そうだ、お前も鬼になったらどうだ!!そうだそれがいい鬼になったらお前らだけは助けてやるよ

「ッ!!・・・俺は鬼にならない!!何があっても!!」

 

 妓夫太郎の提案を断固拒否する炭治郎。そこに堕姫の怒声が響く。

 

お兄ちゃんそいつら早く殺してよ!!アタシ一生懸命やってるのに、皆で邪魔してアタシをいじめたの!!

そうだなあそうだなあ、そりゃぁ許せねぇなぁ。俺の可愛い妹が足りねぇ頭で一生懸命やってるのをいじめるような奴らは皆殺しだ

 

 そう言うと彼は掻き毟るのを止め、鎌を構える。

 

取り立てるぜ俺はなぁ。やられた分は必ず取り立てる。死ぬ時グルグル巡らせる、俺の名は妓夫太郎だからなああ

「・・・!!」

「ッ!?」

「炭治郎!!」

 

 義勇が側にいた炭治郎を咄嗟に突き飛ばすと、辺り一面に斬撃が走り近くの建物は尽く崩れ落ちた。

 

 

 

 一度は倒したと思われた上弦の陸でしたが、何とそれは二人で一つの鬼でした。果たして炭治郎達はこの恐ろしい鬼達に一人も欠ける事無く勝てるのでしょうか。




大正コソコソ噂話
 胡蝶姉妹にはそれぞれ専門分野があり、姉のカナエは治療目的の薬専門。妹のしのぶは鬼を殺す為の毒専門です。
 それぞれが各分野に特化していますが、お互いの知識・技術を共有している為双方ある程度の薬・毒の調合が可能です。
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