日本最強、錆白兵の友達   作:113(いちいちさん)

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第拾肆話 克服

 黒兵衛が温泉宿へ向かっていると、森の奥から戦闘音が聞こえてきた。

 音の方へ向かうと、木々が薙ぎ倒されてできた広場の中で傷だらけの甘露寺が複数の木製石竜子(とかげ)と戦っていた。

 

川の呼吸・弐ノ型 早瀬!!

 

 黒兵衛は甘露寺に迫る石竜子を切り刻むと彼女の隣に着地する。

 

「黒兵衛さん!!」

「遅くなってすまねぇな」

「いえ!(良かった~!黒兵衛さんが来てくれたからもう安心だわ!)」

 

 頼れる援軍の登場に安堵する甘露寺。

 

「成る程、コイツがもう一体の上弦か」

 

 黒兵衛の視線の先には、石竜子の群れに守られている背中に「憎」の一字が書かれた連鼓を持つ少年のような姿の赤鬼がいた。

 

「いえ!それが炭治郎君の話では本体は別にいるそうです!」

「ほう?この鬼気で分身とは本体はさぞや強えんだろうな?」

 

 そう言うと黒兵衛は刀を構える。

 

「まっ何にせよ先ずはコイツを倒してからだ」

「石竜子と鬼の口から雷や衝撃波を撃って来るので気をつけて下さい!」

「分かった、行くぞ!」

「はい!!」

 

 黒兵衛と甘露寺は同時に走り出すと二手に分かれて攻撃を躱しつつ左右から攻める。

 

「(小娘だけでも厄介だと言うのに、何者だこの男・・・強い!!)」

 

 十二鬼月が一人上弦の肆・"半天狗(はんてんぐ)"の分身体である"憎珀天(ぞうはくてん)"は焦りを感じていた。

 甘露寺に()()()が出てから徐々に押され始めていた所に、更に格上の相手が現れたことにより一気に戦況は鬼殺隊側に傾いていた。

 

「流石は上弦、分身と言えどそこらの鬼とは訳が違ぇな!」

 

 黒兵衛は四方から放たれる電撃と衝撃波を掻い潜りながらも余裕の表情を浮かべる。

 

「久々にあれをやるか!」

「はい!!」

「(来る!!)」

 

 憎珀天は左右から迫る二人に向かって石竜子を放つ。しかし二人はそれをものともせずに斬り進む。

 

「「川の呼吸・陸ノ型 河口(かこう)!!」」

「(グッ!!捌ききれぬ!?)」

 

 二人はお互いの斬撃で同士討ちにならないよう斬撃を放つ。この技は呼吸の型としては珍しい連携技である。

 二人のしなる斬撃による左右からの同時攻撃により憎珀天の身体はバラバラに切り裂かれ塵となった。

 

「終わったな。ところでその首元の痣は何だ?」

「えっ?」

 

 黒兵衛に指摘されて懐から手鏡を取り出し確認すると、ハートか花のような痣が浮かび上がっていた。

 しかし、脈拍が落ち着くにつれて段々と薄れていき遂には消えて無くなった。

 

「何だったんでしょう?」

「・・・まぁ、後にするか。夜明けが近い・・・急ぐぞ!」

「はい!」

 

 黒兵衛と甘露寺は痣の事は一旦後回しにし炭治郎の下へと急ぐ。

 

 

 

 

 

「(勝った・・・禰豆子を犠牲にして・・・)」

 

 上弦の肆”半天狗”を討伐した炭治郎。しかし、彼の心は絶望の底に落とされていた。

 禰豆子、玄弥と共に半天狗を追い詰めた炭治郎達であったが、半天狗の悪足掻きにより里の刀鍛冶師が襲われそうになり、禰豆子が助けに向かおうとしたところで間が悪いことに夜が明けてしまったのだ。

 咄嗟に炭治郎が覆いかぶさり彼女を日光から守ったが、自身の体を小さくして分身の体中に入ることで朝日から身を守り住民を襲おうとする半天狗を放っては置けず、苦渋の決断を迫られる。

 

 決断できずに動けない炭治郎を禰豆子が蹴り飛ばしたことで覚悟が決まり、燃え尽きる禰豆子に見守られる中半天狗を討伐し鍛冶師達を守りきった。

 禰豆子は朝日に焼かれ塵となった・・・筈だった。

 

「うぅ・・・禰豆子ッ・・・」

「か・・・竈門殿・・・」

「・・・竈門殿!」

「・・・・・・?」

「竈門殿・・・」

 

 鍛冶師達の困惑した声で振り返ると、そこには何と朝日の中を歩く禰豆子の姿があった。

 

「ッ・・・」

「・・・お」

「・・・!?」

「お、は・・・」

 

おはよう

 

 口枷が外れ、たどたどしくも言葉を発する禰豆子に驚愕する炭治郎。

 目と牙がそのままなため人間に戻った訳ではなかったが、塵になって消えてしまわなかっただけで十分だった炭治郎は禰豆子に抱きつき号泣する。

 

「うわああああ!!良かった・・・!!良かったああ禰豆子無事で良かったああ!!」

「よかったねぇ」

「二人共ありがとうなぁ俺達のために・・・」

「禰豆子ちゃん死んでたら申し訳が立たなかったぜ・・・」

「うぅ・・・うぅ・・・」

 

 炭治郎に救われた鉄谷(てつたに)鉄導寺(てつどうじ)鉄本中(てつもとなか)の三人ももらい泣きする。

 そして、その光景を離れて見ていた玄弥は微笑みを浮かべて言う。

 

「良かったな・・・炭治郎、禰豆子」

 

 彼の目には、在りし日の家族の姿が浮かんだ。

 

 

 

「炭治郎大丈夫?」

「あっ!・・・時透君!良かった、無事で・・・って酷い怪我じゃないか!!」

「いや、それ君が言う?」

 

 玉壺を倒した無一郎が炭治郎達と合流する。

 炭治郎は傷だらけの無一郎を心配するが、本人も負けず劣らずの重症である。

 

「それにしても禰豆子はどうなってるの?」

「いやそれが・・・」

 

 禰豆子の変わり様をまじまじと観察する無一郎。そこに誰かが走る音が近づいて来た。

 

「みんなああああ!!」

 

 駆け寄ってきた甘露寺に纏めて抱きつかれる炭治郎、禰豆子、玄弥、無一郎の四人。

 甘露寺に思い切り抱きつかれた玄弥は赤面し頭から湯気が昇る。

 

「みんなで勝ったよおお!!生きてるよおお!!よかったああ!!」

「よかったねぇ」

「・・・・・・えっ!?」

 

 朝日の中で言葉を喋る禰豆子に驚愕する甘露寺であったが、すぐに笑顔になり彼女に抱きつく。

 

「よかったねええ!!」

「えへへ」

 

「こりゃあ・・・ぶったまげたなぁ・・・」

 

 そこに遅れて黒兵衛が現れる。

 彼は今まで見たこともない程素で驚いていた。

 

「喋ってるけど、目も牙もそのままですけど・・・」

「炭治郎・・・良かったな!これで一歩前進だ!」

「・・・はい!」

「よかったねぇ」

 

 黒兵衛は二人に近付くと頭に手を置き優しく撫でた。

 こうして上弦二体の襲撃という最悪の状況でありながら、炭治郎達の活躍により里の被害は最小限にとどめる事に成功したのであった。

 

 

 

 

 

ついに太陽を克服する者が現れた・・・!!よくやった半天狗!!

 

 とある資産家の屋敷にて、主人の養子として潜伏していた鬼舞辻無惨はその場の勢いで奥様と使用人を殺害する程狂喜乱舞していた。

 

これでもう"青い彼岸花"を探す必要もない!あの娘を喰って取り込めば私も太陽を克服できる!!

 

 彼がこの千年間鬼を増やし続けていた理由は、完全な不死身となる為に太陽を克服する為の薬の調合に必要な”青い彼岸花”の捜索と、太陽を克服できる体質の鬼を見つける為であった。

 

あの娘が太陽を克服した今、これ以上同類を増やす必要はない!それを取り込み、私は陽の光を克服する!禰豆子を手に入れ、私は完全なる存在となるのだ!!

 

 無惨は子供の姿から本来の大人の姿に戻ると、禰豆子を手に入れるため行動を開始した。

 

あの柱の男がちと厄介だが、()()()()()に比べれば恐るるに足らぬわ

 

 そう言って無惨は、炭治郎と同じ耳飾りを付け「滅」の文字が刻まれた漆黒の刃の日輪刀を持つ一人の男の姿を思い浮かべた。

 

 

 

 二体の上弦を退け刀鍛冶の里を救った炭治郎達。しかし、それと同時に鬼舞辻無惨との禰豆子を巡る新たな戦いの幕が上がったのでございます。




大正コソコソ噂話
 甘露寺と伊黒は黒兵衛の継子になっている為川の呼吸の型を一部使えます。又、炭治郎も同様に煉獄さんの継子になっていた他、身体も完治していた為代用品の刀のまま半天狗の討伐に成功しました。
 鬼舞辻無惨は黒兵衛の存在は認知していますが、緑壱に比べれば取るに足らない相手と高を括っています。
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