日本最強、錆白兵の友達   作:113(いちいちさん)

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第陸話 柱合会議

 鬼殺隊の本部である産屋敷邸。その一室にて産屋敷耀哉と黒兵衛の密会が行われていた。

 

「来てくれてありがとう、黒兵衛」

二月(ふたつき)振りだな耀哉、昔みたいに艶兄とは呼んでくれないのかい?」

「二月前にも言ったけど、私にも立場があるからね」

 

 二人はいつものやり取りを終えると本題に入る。

 

「今回の"柱合会議(ちゅうごうかいぎ)"で炭治郎達の処遇についてはっきりさせようと思う。真菰と錆兎にも苦労をかけた」

「箝口令を敷いたのは間違いじゃない、話した所で隊士達に無用な混乱を招くだけだしな」

「そうだね。それでも、もう少し穏便に話をしようと考えていたんだけど、こうなってしまったからには仕方がないね」

「柱達は簡単には納得しねぇだろうな。特に実弥を納得させるには、炭治郎と禰豆子には悪いが我慢して貰うしかねぇ」

 

 しばらく無言が続く中、黒兵衛が口を開く。

 

「人を喰わない鬼が現れたと思ったら、今度は浅草で無惨と遭遇するわ()()珠世(たまよ)”が接触してくるわと、炭治郎達が来てから状況が目まぐるしく変化している」

「そうだね」

「それに今代の柱の若いもんは俺から見てもかなりの強者(つわもの)揃いだ。柱だけじゃねぇ、錆兎、義勇、しのぶ、カナヲ、それに獪岳も。耀哉、俺はこれを()()と見てる。アンタの代で終わらせる為のな」

 

 黒兵衛は今までとは違う真剣な目で耀哉を見つめる。

 

()()()、鬼舞辻無惨は俺達の代で必ず倒す。だからまだ死ぬな」

「私も、まだ死ぬつもりはないよ」

 

 

 

 

 

「いつまで寝てんださっさと起きねぇか!!柱の前だぞ!!」

 

 那田蜘蛛山での戦いの翌日、拘束された炭治郎は裁判を受ける為、鬼殺隊本部に連行され柱達の前へと転がされていた。

 

「(柱・・・!?柱って何だ?何の事だ?この人達は誰なんだ?ここはどこだ?)」

「ここは鬼殺隊の本部です。貴方は今から裁判を受けるのですよ、竈門炭治郎君」

 

 花柱・胡蝶カナエが炭治郎に向かって説明する。

 

「裁判の必要など無いだろう!鬼を庇うなど隊律違反!我等のみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」

 

 炎の様な髪をした眼力の強い青年、炎柱・煉獄杏寿郎

 

「ならば俺が派手に頸を斬ってやろう。誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ、もう派手派手だ」

 

 白髪に派手な化粧と装飾品を身に着けた巨漢、音柱・宇髄天元

 

「(えぇぇ・・・こんな可愛い子を殺してしまうなんて、胸が苦しむわ)」

 

 桜餅色の髪を持つ可愛らしい女性、恋柱・甘露寺蜜璃

 

「あぁ・・・なんというみすぼらしい子供だ、可哀想に。生まれてきた事自体が可哀想だ」

 

 手に数珠を持ち、涙を流す額に傷がある盲目の巨漢、岩柱・悲鳴嶼行冥

 

「(何だっけあの雲の形、何て言うんだっけ)」

 

 ぼーっとしている不思議な雰囲気の黒髪の少年、霞柱・時透無一郎

 

「(禰豆子!!禰豆子何処だ!!)」

「そんなことより、鱗滝はどうするのかね?」

「!?」

 

 六人の男女に囲まれた中、炭治郎は禰豆子を探し周りを見渡していると木の上から声が聞こえた。

 

「拘束もしていない様に俺は頭痛がしてくるんだが。胡蝶めの話によると隊律違反は鱗滝も同じだろう。どう処分するどう責任を取らせるどんな目に合わせてやろうか?」

 

 口元を隠したオッドアイの青年、蛇柱・伊黒小芭内

 

「(伊黒さん相変わらずネチネチして蛇みたい。しつこくて素敵!)」

 

 ときめいている甘露寺の視線の先には真菰が申し訳なさそうな顔で立っていた。

 

「ごめんなさい、箝口令が敷かれているから私の口からは何も言えないの」

 

 炭治郎を助けた姉弟子の水柱・鱗滝真菰

 

「(真菰さん、私より歳上なのにちっちゃくて可愛い!)」

「この通り、彼女からは何も聞けないので先ずは坊やの方から話を聞きましょう」

「(俺のせいで真菰さんまで・・・)」

 

 炭治郎はカナエに促されてこれまでの事を話し出す。禰豆子が鬼になってから二年間、一度も人を喰っていない事を伝えるも、詳細を知らない柱達の反応は悪かった。

 

「あのぉ、でも箝口令が敷かれているということは当然お館様も把握しているということで・・・勝手に処分しちゃって良いんでしょうか?」

 

 甘露寺の疑問に柱達は黙り込む。

 

「オイオイ何だか面白いことになってるなァ」

 

 するとそこに新たな人物が現れる。

 

「鬼を連れてた馬鹿隊士はそいつかィ。一体全体どういうつもりだァ?」

 

 目を血走らせた全身傷だらけの青年、風柱・不死川実弥

 彼の手には禰豆子の入った箱があった。

 

「(不死川さんまた傷が増えて素敵だわ!)」

「実弥さん、勝手なことをしないで下さい」

「(カナエさん怒ってるみたい、珍しいわねカッコイイわ!)」

 

 不死川の勝手な行動を叱責するカナエと、勝手にときめいている甘露寺を無視して不死川は続ける。

 

「鬼が何だって?坊主ゥ、鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ?そんなことはなァ・・・」

ドスッ!!

ありえねぇんだよ馬鹿がァ!!

 

 すると不死川は刀を抜くと禰豆子の入った箱に突き刺した。その刃は当然中にいた禰豆子に刺さり箱から血が垂れる。

 その光景を見た炭治郎は怒り、腕を縛られたまま不死川に向かって走り出す。

 

俺の妹を傷つける奴は、柱だろうが何だろうが許さない!!

「ハハハハ!!そうかいよかったなァ!!」

「やめなさい!!もうすぐお館様がいらっしゃいます!!」

「!!」

 

 カナエの呼びかけに一瞬反応した為ほんの少し斬撃が遅れた結果、それを避けた炭治郎の頭突きをもろに食らった不死川は倒れ込む。

 

「ブフッ!・・・すみません」

「(胡蝶が横から口を挟んだとはいえ不死川に一撃を入れた?)」

 

 その光景に思わず吹き出してしまう甘露寺と、炭治郎の実力を冷静に分析する伊黒。

 炭治郎は禰豆子の入った箱の前にしゃがみ守ろうとする。

 

「おうおう賑やかなこった!」

 

 そこに現れる褐色黒髪の巨漢、川柱・艶黒兵衛

 

「(黒兵衛さん、今日も日に焼けた肌がカッコイイ!)」

「黒兵衛さん、見てたんですから止めてくださいよ」

「おっ?上手く気配を消したつもりだったんだが、流石だな!」

 

 実は一部始終を初めから隠れて見ていた黒兵衛に向かって伊黒が苦言を呈する。

 

「あっ、黒兵衛さん!!グッ!?」

「気安く呼ぶんじゃねェ!どなただと思ってんだァ!」

 

 知り合いを見つけて喜ぶ炭治郎の頭を押さえつける不死川。

 

「「お館様のお成りです」」

 

「よく来たね、私の可愛い剣士(こども)達」

 

「!?」

 

 

 すると屋敷の中から声がかかり、鬼殺隊の当主である産屋敷耀哉が現れた。

 

「お早う皆、今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?」

 

 二人の娘に手を引かれ歩みを進める耀哉。彼は病により目が見えなくなっていた。

 

「顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ」

「お館様におかれましても御創建で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

「ありがとう実弥」

「!?」

 

 不死川の変わりように驚愕する炭治郎。押さえつけられたまま周りを見渡すと、柱全員が耀哉に向かって跪いていた。

 

「畏れながら、柱合会議の前にこの竈門炭治郎なる鬼を連れた隊士について、ご説明いただきたく存じますがよろしいでしょうか」

「そうだね、驚かせてしまってすまなかった」

 

 不死川の疑問に答える耀哉。

 

「炭治郎と禰豆子のことは私が容認していた。そして皆にも認めて欲しいと思っている」

『『『「!!」』』』

 

 耀哉の言葉に動揺する柱達。

 それぞれが自身の意見を話し、半数以上が反対の異を唱えた。

 

「では手紙を」

「はい」

 

 耀哉の合図を聞き、長女の”産屋敷ひなき”は懐から手紙を取り出す。

 

「こちらの手紙は()()である鱗滝左近次様から頂いたものです。一部抜粋して読み上げます」

 

 手紙には禰豆子の存在を許して欲しい事、二年以上人を喰っていない事等が書かれており、最後には

 

『もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は、竈門炭治郎及び、鱗滝左近次、鱗滝真菰、鱗滝錆兎、そして、艶黒兵衛が腹を切ってお詫び致します

 

 と書かれていた。

 

『『『「!!」』』』

「ッ・・・!!」

 

 その言葉に驚愕する柱達と、涙を流す炭治郎。

 

「どういう事ですか!?水柱とその継子はまだしも、何故鬼殺隊の大黒柱である貴方が腹を切るのですか!!」

「どうしても何も、コイツら拾ったのは俺だからな」

「なッ!?」

 

 不死川の問にあっさりと返す黒兵衛に、真菰と時透以外の柱達は驚愕する。

 

「俺は鬼の禰豆子が炭治郎を庇い、人の血肉に興味を示さない所を実際に見てきたんだ。じゃなきゃこの俺が鬼を放っとく訳がねぇだろ?」

「禰豆子が二年以上もの間人を喰わずにいるという事実があり、禰豆子の為に五人の者の命が懸けられている。これを否定する側もそれ以上のものを差し出さなければならない」

 

「ッ・・・」

 

 黒兵衛の証言と耀哉の言葉に黙り込む柱達。

 そこに更に耀哉から衝撃の事実を聞かされる。

 

それに炭治郎は鬼舞辻と遭遇している

『『『『「!!」』』』』

 

 現鬼殺隊の誰も遭遇した事の無い鬼舞辻無惨に遭遇したという話に、事前に知らされていた黒兵衛以外の柱達は驚愕し、炭治郎に質問の嵐を投げかける。

 しかし、耀哉が指を口の前に立てた途端その勢いはピタリと止まり、全員元の位置で跪く。

 

「鬼舞辻はね、炭治郎に向けて追手を放っているんだよ。その理由は単なる口封じかもしれないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない」

「恐らくは禰豆子にも鬼舞辻にとって()()()()()()が起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな?」

「わかりませんお館様!人間ならば生かしておいてもいいが鬼は駄目です、承知できない!!」

 

 皆が沈黙する中、不死川はそう言うと自身の腕を傷つけ血を流す。

 

「お館様!!証明しますよ俺が、鬼という物の醜さを!!」

「実弥・・・」

「不死川、日向では駄目だ。日陰にいかねば鬼は出て来ない」

「お館様、失礼仕る」

 

 不死川は伊黒から助言されると耀哉に一言言うと屋敷の中に跳躍する。

 

禰豆子ォ!!

 

 炭治郎は禰豆子の下に駆け寄ろうとするが、肩を掴まれ静止される。

 振り向くと真菰が真剣な目で炭治郎を見ていた。

 

「禰豆子ちゃんを信じてあげて」

「ッ・・・!!」

 

 真菰の言葉に、固唾を呑んで見守る炭治郎。

 箱から出てきた禰豆子はこれまで見たことがない程息を荒げて不死川を見つめる。

 不死川の血は稀血と呼ばれる希少体質で、鬼を強く引き付ける効果があり禰豆子はそれに必死に抗っていた。

 

禰豆子!!

「!!」

 

 炭治郎の呼びかけに反応した禰豆子は、稀血に抗い顔を背けた。

 

「どうかしたのかな?」

「鬼の女の子はそっぽ向きました」

 

 盲目の耀哉は状況説明を受けると話し始めた。

 

「ではこれで、禰豆子が人を襲わないことの証明ができたね」

「「!!」」

 

 耀哉は炭治郎に向けてこれからの事を話す。禰豆子が鬼殺隊として戦える事の証明、十二鬼月を倒し柱達に認められる事、柱達を敬う事などを伝え、炭治郎もそれに頷く。

 

 

「炭治郎の話はこれで終わり、下がっていいよ。そろそろ柱合会議を始めようか」

「でしたら竈門君は私の屋敷でお預かりいたしましょう」

 

 炭治郎の裁判が終わるとカナエの言葉により隠に連れて行かれる炭治郎。途中、炭治郎が不死川に頭突きをしたいと申し出るが、時透に石をぶつけられてそのまま退場した。

 

 

 

 柱合会議後。

 お館様が退室し、柱達も各々の帰路に着こうとしていた所に黒兵衛が甘露寺と伊黒の肩に手を回し引き寄せる。

 

「所でお二人さん?最近どうだい?」

「ちょっ、黒兵衛さん・・・皆の前ではちょっと・・・」

「実は最近、伊黒さんが新しい靴下をくれたの!」

「なっはっはっ!!そうかいそうかい!良く似合ってるぜ!」

 

 甘露寺の話を聞いて笑いながら二人の頭を撫でる黒兵衛。満面の笑みの甘露寺と、迷惑そうな顔をしつつもされるがままの伊黒。

 

「艶の旦那の悪い癖がまた始まったよ・・・」

「あれさえなけりゃァ素直に尊敬できたんだがなァ・・・」

「うふふ、まあ良いじゃないですか」

「うむ!仲良き事はいい事だ!!」

「嗚呼・・・沙代もいつか良き伴侶に恵まれますよう、南無阿弥陀仏・・・」

「・・・私も撫でてもらいたいな」

「(何だろう・・・何だか懐かしいような・・・?)」

 

 黒兵衛達を見て各々感想を述べる柱達であった。

 

 

 

 柱達との裁判を何とか切り抜けた炭治郎と禰豆子。

 彼らは傷を癒やした後、黒兵衛と煉獄、二人の柱との初任務にて無限列車に乗り込み、そこで百年以上停滞していた歴史の大きな転換期を迎える事になるのであります。




大正コソコソ噂話
 川柱の評判
・全体的な打ち解け度数:75%
・水柱:呼吸は違えど尊敬できる兄弟子。生き残っている最後の兄弟子なので死なないで欲しい。
・音柱:実力は認めるが、妻達との仲をしつこく聞いてくるので少し苦手。
・恋柱:色黒でムキムキの格好良いオジサマ。伊黒との仲を押してもらった。
・風柱:尊敬しているが、色恋沙汰に五月蝿いのが玉に瑕。
・花柱:命の恩人。上弦と戦える身体なのに、食あたりで運び込まれるのはどうかと思う。
・炎柱:父の戦友で心から尊敬できる兄の様な存在。父と喧嘩別れしているので仲直りして欲しい。
・霞柱:良い稽古相手。山みたい。
・蛇柱:尊敬する師匠だが、人前で甘露寺との仲を聞かないで欲しい。
・岩柱:恩人。彼がいなかったら一生沙代を誤解したままだった。
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