日本最強、錆白兵の友達   作:113(いちいちさん)

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 この作品は鬼滅の刃の登場キャラクターを貶める等の目的はありませんのでご了承下さい。


第捌話 上弦の参

 煉獄と負傷した炭治郎の前に、全身に入れ墨のある若い男性の鬼、十二鬼月が一人上弦の参・"猗窩座(あかざ)"が現れた。

 猗窩座は倒れている炭治郎に目を向けると、次の瞬間目にも止まらぬ速さで炭治郎に殴りかかった。

 

「炎の呼吸・弐ノ型 昇(のぼ)り炎天(えんてん)!!」

 

 拳が当たる寸前で煉獄の技が炸裂し猗窩座の腕を真っ二つに斬り裂いた。

 猗窩座は攻撃を止め飛び退くと瞬く間に腕を再生させた。

 

「(再生が速い・・・この圧迫感と凄まじい鬼気、これが上弦!)」

「良い刀だ」

「何故手負いの者から狙うのか理解出来ない」

「話の邪魔になるかと思った。お前と俺の」

 

 煉獄が上弦の強さに戦慄する中、猗窩座は淡々と話し出す。

 

「君と俺が何の話をする?初対面だが俺は既に君のことが嫌いだ」

「そうか、俺も弱い人間が大嫌いだ。弱者を見ると虫唾が走る」

「俺と君とでは物事の価値基準が違う様だ」

「そうか、では素晴らしい提案をしよう・・・」

 

 猗窩座はそう言うと煉獄に向けて手を差し出す。

 

「お前も鬼にならないか?」

「断る」

 

 猗窩座の誘いに即答する煉獄。

 

「その闘気練り上げられている。至(・)高(・)の(・)領(・)域(・)に(・)近(・)い(・)」

「俺は炎柱・煉獄杏寿郎だ」

「俺は猗窩座。杏寿郎、何故お前が至(・)高(・)の(・)領(・)域(・)に踏み入れないのか教えてやろう」

 

 そう言うと猗窩座は煉獄を指差す。

 

「人間だからだ。老いるからだ。死ぬからだ。鬼になろう杏寿郎、そうすれば百年でも二百年でも鍛錬し続けられる。強くなれる」

「老いる事も死ぬ事も、人間という儚い生き物の美しさだ」

 

 猗窩座の言葉に反論する煉獄。彼はそのまま話を続ける。

 

「老いるからこそ、死ぬからこそ堪らなく愛おしく尊いのだ。強さというものは、肉体に対してのみ使う言葉では無い」

 

 そう言って炭治郎の方に一瞬意識を向ける。

 

「この少年は弱く無い、侮辱するな。何度でも言おう、俺は鬼にならない。俺は如何なる理由があろうとも鬼にならない」

「そうか、鬼にならないなら殺す」

 

 そう言うと猗窩座は構えを取る。

 

「術式展開 破壊殺(はかいさつ)・羅針(らしん)」

「炎の呼吸・壱ノ型 不知火(しらぬい)!!」

 

 こうして二人の戦闘が始まった。

 炭治郎が目で追えない速さで両者一歩も譲らぬ激戦を繰り広げる。

 互角の戦いをする二人であったが、無尽蔵の体力を持つ鬼の猗窩座に対し、昨夜からの戦闘続きで体力を消耗している煉獄が徐々に押され始める。

 

「(一気に決める!!)」

「全力を出せ杏寿郎!!」

 

 お互いが大技を出そうとした、その時。

 

ザンッ!!

「「!?」」

 

 突如猗窩座に対して横から斬撃が入った。

 咄嗟に飛び退く猗窩座だったが、二の腕から先を切断され、更には避けた地面が大きく抉られていた。

 

「よく避けたな?」

「黒兵衛の兄ぃ!!」

 

 土煙が晴れた先には刀を抜いた黒兵衛が立っていた。

 

「杏寿郎、よく持たせた。後は俺に任せてお前は炭治郎を守ってやれ」

「・・・わかりました!」

 

 黒兵衛は煉獄を下がらせると改めて猗窩座を見る。

 彼の腕は既に完治し構えをとっている。

 

「拳法か。何つーか、思い出すなぁ」

 

 その姿を見て黒兵衛はかつての弟分である七花の事を思い出していた。

 

「その闘気、素晴らしい!!正に至高の領域だ!これ程の人間を見たのは初めてだ!」

「そうかい?俺もまだまだなんだがな」

「黒兵衛と言ったか、お前も鬼になれ!お前の様な才能が老いて枯れるのは忍びない!」

「なるかよそんなもん」

 

 煉獄と同じく即答する黒兵衛。

 

「ならばお前も死ね! 破壊殺・乱式(らんしき)」

「川の呼吸・肆ノ型 淵(ふち)!!」

 

 猗窩座が拳を振る事で発生した衝撃波が黒兵衛を襲う。

 それに対し黒兵衛は下段の構えを取ると衝撃波を全て斬り払った。

 

「川の呼吸・弐ノ型 早瀬!!」

 

 相手の技を打ち消すと今度は黒兵衛の方から攻撃を仕掛ける。

 鞭のようにしなる斬撃を紙一重で躱しつつも反撃する猗窩座、二人の攻防の余波で地面が抉れ土埃が舞う。

 

「破壊殺・脚式(きゃくしき)”流閃群光(りゅうせんぐんこう)”!!」

「!!」

 

 猗窩座の両腕を斬り落とし頸を狙う黒兵衛に対して猗窩座の蹴り技が炸裂する。

 黒兵衛はそれを避け距離を取ると徐ろに口を開いた。

 

「凄いなアンタ!その技、その肉体、人を喰っただけじゃねぇ。鬼になってからも鍛錬を欠かさなかったんだろ?正直、鬼と戦ってこれ程楽しいと思ったのは初めてだ!」

「ならば鬼になり共に高め合おうではないか!」

「おっと、そういう意味じゃねぇ」

 

 命がけの戦いの最中でありながら突然相手を褒め始める黒兵衛。

 彼は猗窩座の勧誘を断りつつも話を続ける。

 

「できることならアンタとは人間の頃に会いたかったぜ。きっと友達になれただろうな」

 

 そう言いながら彼は前世の友である錆白兵、七花、そして旅の途中で出会った刀の所有者達を思い出す。

 

「アンタには鬼としてでは無く同じ武術家として敬意を払い、本気で行かせて貰う!!」

 

 そう言うと黒兵衛は刀を構え直す。

 

「川の呼吸・番外 爆縮地(ばくしゅくち)」

 

 

 

 煉獄と炭治郎は二人の戦いに巻き込まれないよう離れた場所から黒兵衛を見守っていた。

 

「煉獄さん・・・俺達にできることは・・・」

「無い!誠に残念だが、今の俺では足手纏になってしまう」

 

 炭治郎の問いにそう返す煉獄の表情は何時もと変わらないが、声からは悔しさが滲み出ていた。

 

「だが良く観ておけ竈門少年、あれが鬼殺隊の大黒柱、艶黒兵衛の本気の戦いだ」

 

 煉獄の目は、あの戦いを一瞬たりとも見逃すまいと二人を捉えていた。

 

 

 

「何だ?これは?」

 

 猗窩座は場の空気が変わったことに気付いた。

 黒兵衛の構えは先程と全く変わっていないが、身に纏う闘気の質が変わっていた。

 

「破壊殺・乱式!!」

 

 猗窩座が再び技を放つが、先程まではそれを斬り払っていた黒兵衛がまるで流れる水のように攻撃を避けながら近づいて来たのだ。

 黒兵衛はそのまま猗窩座に肉薄し斬撃を放つも、彼はそれを回避し距離を取る。

 

「なんという無駄の無い見事な足運び、その巨体からは考えられない、まるで重さを無くした様な自在さだ・・・」

 

 猗窩座は彼の動きに驚愕する。しかし、直ぐに気を取り直すと構えを取る。

 

「だがこれは避けられるか? 破壊殺・滅式(めっしき)」

 

 猗窩座は勢い良く地面を蹴り高速で黒兵衛に近付く。

 黒兵衛は迎え討つために構えを取るが、そこで奇妙な行動を取る。

 

「(馬鹿が!?間合いが遠いぞ!!)」

 

 なんと二人の間に距離があるにも関わらず黒兵衛が刀を振り始めたのだ。

 

「(何だ!?この嫌な予感は・・・死?)」

 

 しかしここで猗窩座の全身に鳥肌が立つような死の予感が走り、咄嗟にその場で跳躍した。

 

「川の呼吸・番外 速遅剣(そくちけん)」

 

 黒兵衛が刀を振った瞬間、猗窩座の両脚が切断され、更には背後にある森の樹が数本伐り倒された。

 何と黒兵衛は斬撃を飛ばしたのである。

 

「馬鹿な!?これが本当に人間の成せる技なのか!?」

「(ハクに追い付く為に死ぬ程鍛錬したからなぁ)どうだ?人間も捨てたもんじゃねぇだろ?」

 

 驚愕する猗窩座に向かって笑顔で応える黒兵衛。

 

「(何故だ、何故奴はあそこまで強くなれる・・・何(・)の(・)た(・)め(・)に(・)戦(・)え(・)る(・)?)」

 

 その時、猗窩座の記憶に一瞬三人の男女の姿が浮かび上がったが、直ぐに掻き消えた。

 

「ッ!?・・・黒兵衛ェ!!」

「次で終わりにするか猗窩座!!」

 

 二人はお互いの名前を叫びながら構えを取る。

 

「術式展開 終式(しゅうしき)・青銀乱残光(あおぎんらんざんこう)!!」

「川の呼吸・参ノ型 山津波(やまつなみ)!!」

 

 瞬時に放たれる無数の打撃と、空気との摩擦熱により赤(・)く(・)発(・)熱(・)す(・)る(・)斬撃が交差する。

 お互いの技で土煙が舞い二人の姿が見えなくなる。

 

「兄ぃ!!」

「黒兵衛さん!!」

 

 煉獄と炭治郎が名前を叫ぶ。

 煙が晴れ、二人の姿が見えた。

 お互いが背を向け合い立っていたが、暫くして猗窩座の身体から血飛沫が舞い頸が落ちた。

 

「(終われない、こんな所で・・・俺は強くなる、誰よりも強くならなければ・・・強く・・・)」

「凄ぇ強かったよ、お前は」

 

 地面に落ち行く猗窩座の目には笑顔で振り向く黒兵衛の姿が映る。

 

「生まれ変わったら、今度は人間として友達になれると良いな!」

『うむ!まずは生まれ変われ少年、さぁ来い!』

「(誰だ・・・この男は?)」

 

 猗窩座の記憶に、道着を着た快活な男が浮かび上がる。

 

『狛治(はくじ)さん、もう止めましょう?』

「(狛治?・・・お前は?)」

 

 猗窩座の眼の前に、着物を着た美しい女性が現れた。

 

 

 

 

 

 猗窩座の身体が完全に塵になるのを確認すると、黒兵衛は刀を鞘に納める。そこに煉獄が駆け寄ってきた。

 

「黒兵衛の兄ぃ!」

「おう!」

「百十三年振りに上弦の討伐、これは快挙です!おめでとうございます!」

「ああ、アイツが真っ向勝負を仕掛けてくれたおかげだ。鬼にしておくのが勿体無い奴だった」

 

 興奮気味の煉獄に黒兵衛はそう言うと猗窩座の消えた地面を見る。

 そして飛び散った猗窩座の血を採取する応急処置をされた炭治郎を見て見ぬふりをした。

 

「(凄かった・・・煉獄さんも黒兵衛さんも、俺はこの人達みたいに強くなれるだろうか・・・)」

「竈門少年!!」

「は、はい!」

 

 少し離れた場所で柱との実力差に悩む炭治郎に煉獄が話しかける。

 

「竈門少年、俺は君の妹を信じる!鬼殺隊の一員として認める!」

「!!」

「汽車の中であの少女が血を流しながら人々を守るのを見た!命をかけて鬼と戦い人を守る者は、誰が何と言おうと鬼殺隊の一員だ!」

「ッ・・・!」

「俺と黒兵衛の兄ぃが付いている!胸を張って生きろ!」

 

 禰豆子を煉獄に認められた事で感極まり涙を流す炭治郎。煉獄はそんな炭治郎の頭を優しく撫でた。

 そこへ伊之助と善逸、それに箱に入った禰豆子が合流し、乗客に一人も死者がいない事を報告した。

 朝日が昇り、六人を照らす。こうして長い一夜が終わったのである。

 

 

 

 

 

「そうか!倒したか上弦を・・・よくやった!煉獄!炭治郎!禰豆子!善逸!伊之助!白鴉!黒兵衛!」

 

 多くの鬼殺隊士達が眠る産屋敷家が所有する墓地にて、鎹鴉の報告を聞いた産屋敷耀哉は今まで見たこともない程上機嫌だった。

 

「耀哉様!」

「百年!!百年もの間変わらなかった状況が今変わった!!」

 

 そう言って耀哉は振り返りあまねの手を握る。

 

「あまね!」

「はい」

「艶(・)兄(・)の言っていた通りだ!これは”兆し”だ!!運命が大きく変わり始める!」

「・・・はい」

 

 耀哉の言葉を聞き、あまねも彼の手を握り返す。

 

「この波紋は広がってゆくだろう。周囲を巻き込んで大きく揺らし、やがてはあの男の元へ届く!」

 

 耀哉は喜色から一変して憎悪のこもった声になる。

 

「鬼舞辻無惨・・・お前は必ず私達が、私達の代で倒す!我(・)が(・)一(・)族(・)唯(・)一(・)の(・)汚(・)点(・)で(・)あ(・)る(・)お(・)前(・)は(・)・・・!!」

 

 

 

 こうして激闘の末、見事上弦の参を倒した黒兵衛達でありますが、その後連鎖するかの様に次々と上弦に遭遇する事になるなど、この時の炭治郎達は思いもしていないのであります。




 猗窩座ファンの方には申し訳ありませんが、煉獄さんの生存や今後の展開のために猗窩座はここで退場となります。
 主要キャラ生存のため、今後もオリ主TUEEE展開があると思いますのでそういう作品が苦手な方は今作の閲覧を控えることをお勧めします。
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