ARMORD CORE VI Revenge on the NEST   作:わるめ

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第1話 日常

  静かな工業地帯に降り注ぐ弾丸。それを遮蔽でやり過ごす。

 

 着弾の音が鳴り止んだのを確認してから身を晒す。両手に持つ二丁拳銃の引き金を何度も引く。発射されたのは、幾つもの青い光線。それらは見事敵の体を蝕み、炎と黒煙を上げる黒い塊へと変貌させた。

 

 無論これは生身の人間同士で行った戦いではない。

 

 人型兵器アーマードコア。ACと呼ばれる10メートル程の巨大なロボット同士の戦いである。

 

 ””YOU WIN””

 

 緑色の文字が目前のモニターに投影されたのが、勝負が決まったサインである。

 

 「初めてAランカーに勝てた......!」

 

 NESTと呼ばれるAC乗り同士が仮想空間で戦闘を行えるシミュレーター。そこでは勝敗によってランク付けがなされていた。現在Bランクの少年、ガードナーにとって格上相手にもぎ取った勝利はとても喜ばしいものであった。

 

 ―今日はこのくらいにしておこう。

 

 そう判断したガードナーは、ACのシステムを停止させてコックピットから出た。格納庫に直立するACは登録名””カーネーション””という。ACとしては細く軽量で、逆関節の両足が目立つ機体は白を基調としたカラーリングに彩られている。

 

 ―よし、姉さんが帰ってくる前に自室に戻ろう。

 

 そそくさと格納庫を出るため扉を開けると、真の悪いことにガードナーの姉と鉢合わせた。

 

 「お帰り、姉さん。弾丸の買い付けもう終わったんだね」

 

 「ただいま、ガードナー。そんなことより、どうして倉庫から出てくるのかしら?」

 

 姉の名はファム。火種の絶えない惑星ルビコンで独立傭兵としてACを駆る。自らはAC乗りとして依頼をこなす一方で、弟に対してはACの操縦を固く禁じていた。

 

 コーラルを巡る戦火の中で両親を失ったファムは、弟との生活を守る為に傭兵となる道を選んだ。傭兵は依頼に応じて対象の命を奪うことになる。手を汚すのは自分一人で良い。唯一生き残った家族を少しでも危険から遠ざけたかったのだ。

 

 よって弟のガードナーには傭兵としてのIDも与えていない。しかしAC乗りの姉の背中を見て育ったガードナーにとって、ACを駆り戦場に出ることは憧れであり望みであった。

 

 そんなACへの気持ちを発散するためにガードナーが取った手段。それはファムのIDを使い、バレないようにNESTでの戦闘に身を投じることであった。シミュレーターでの戦闘ならば本物同然の臨場感を味わえる上に、実際に機体が損傷することも無い。それにファムはNESTに全く興味がないので、NESTへアクセスすることは皆無である。故にタイミングさえ見計らえば、ガードナーはACによる戦闘に興じる事ができるのであった。また、NESTでの対戦前にACの操縦技法は傭兵支援シミュレーターを駆使して身につけていた。

 

 先ほどの問いにガードナーが慌てて口を開く。

 

 「そ、掃除! ACの外装に土埃がついてたのが気になってさ」

 

 「ふぅん......まぁ、ピッカピカの愛機を見る限り、嘘は言ってないようね。ありがと。」

 

 NESTにアクセスするには、ACのコックピットに入る必要がある。もしコックピットに乗り込んで何かしら操縦をしていたと思われたらどんな怒られが発生するか分かったものではない。なのでガードナーはNESTへのアクセス前にACの掃除や整備、倉庫の整理等行ってアリバイを作るようにしていた。

 

 「姉さん、疲れてるだろ。弾丸の整理は俺がやっておくから休みなよ」

 

 「気を使ってくれてありがとう、せっかくだからお言葉に甘えようかしら。シャワーを浴びてから寝るとするわ。ガードナーもあまり遅くまで無理しないでね」

 

 

 ガードナーは弾丸の整理を終え、ファムが寝室へ移動したのを確認して再び倉庫内のACに乗り込んだ。システム通常モードを起動し、NESTへアクセスする。コツコツと勝ち星を上げ続け、今はシングル戦BランクからAランクへ上がるための昇格戦の途中である。B、AランクのAC乗りとランダムマッチングで戦い規定数の勝率に達すれば晴れてAランカーの仲間入りだ。

 

 こうして、傭兵の姉を手伝いながらひっそりと世界中のAC乗りと疑似戦闘を繰り広げる事が、ガードナーの日常である。

 

 そしてこの日常は、ある日を境に大きな音を立て崩れることになる。

 

 




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