ARMORD CORE VI Revenge on the NEST   作:わるめ

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第2話 遭遇

 前回の昇格戦に敗退してから1カ月の時が過ぎていた。

 

 実のところ、ガードナーはBランクからAランクへ昇格する事にかなり苦戦していた。前回は5度目の昇格戦であった。

 

 苦戦の理由は、機体構成にある。本来、ACを駆る傭兵は自身の戦闘スタイルに合わせて機体を組み上げる。頭、腕、コアとなる胴、脚部、機体を動かすためのジェネレーター、ブースター、対象をロックするFCS。加えて両手両肩に携える武装。コアのエネルギーを開放する切り札たるエキスパンションからなるAC。これらのパーツの選定は戦場を生き残るための要と言えよう。

 

 だが、姉であるファムの機体をこっそり借りているガードナーに機体をカスタマイズするという選択肢は無い。用意された機体で戦うしかないのである。

 

 ファムの機体””カーネーション””は逆関節脚部の軽量機である。頭部にはグリーンに光る一点のカメラアイ。機体全体は白を基調としたカラーリングで、寒冷地で敵の目を欺く狙いがあった。武装は両手にレーザーハンドガン。右肩に4連装のミサイルポッド、左肩にパルスシールドという構成である。

 

 逆関節脚部の跳躍力を活かして空中からレーザーを照射、降りる際はシールドを展開して着弾に備えるという立ち回りを想定している。これは対MTを想定した任務向けの構成であり、対ACとしてはやや決め手に欠けるといったところだ。

 

 それでも辺境の無名傭兵に舞い込む小さな仕事をこなすには十分なのだ。むしろ回避性能と、いざという時の防御まで考慮されていて生きて帰る事においてかなり信頼できる機体だった。

 

 

 今回ガードナーにとって久方ぶりのNEST戦となる。ここは是非勝ちを狙っていきたい。

 

 コックピット内で深呼吸し昇格戦のマッチングを開始、対戦相手を待つ。

 

 暫くして現れた機体はAランク。AC名””カイヤナイト””という。太い2本足に細い胴体。大きな肩。青色に発光する蜘蛛の目に似た複数のカメラアイ。黒いフレームを覆う赤い装甲。まるで怒りに燃える魔物だとガードナーは思った。

 

 ””ENGAGE””

 

 こと、この世界のNESTにおける試合では、1対1の試合を1戦行い勝利者を決める仕組みが採用されいてる。つまるところ「もう一回がない試合」である。

 

 舞台は市街地。フィールド中央にクレーターがあり、それを囲むように4つの建造物が配置されている。

 

 お互いのACがブースターに火をつけ加速。クレーターを挟んで視認し合う。

 

 先手を取ろうと考えたガードナーは、自機を飛翔させ空中から両手のレーザーハンドガンと右肩のミサイルを惜しみなく放つ。

 

 相手がそれを避ける素振りは無い。被弾し、自身の装甲をすり減らしながら地面を移動し続けている。右手のライフルを連射こそしているが、機体を左右に振る事で十分回避できた。

 

 ガードナーは敵機の挙動に違和感を覚えていた。相手を仕留めようという気概を感じないのである。

 

 変わらぬ戦況に警戒をしつつレーザーとミサイルの攻撃を続ける。そして飛行に使うエネルギーを切らす前に地面に降りた。

 

 カーネーションが着地したタイミングで、2連の轟音とともに爆炎と煙が周囲を覆った。

 

 カイヤナイトの両肩部に備えられた2砲のグレネードキャノンが放たれたのだ。

 

 しかし、カーネーションの損傷は軽微。着地のタイミングで何かしら仕掛けてくる可能性を考慮して展開しておいたパルスシールドが、ダメージの大半を引き受けていた。

 

 ―油断させておいて地上で仕留めるつもりだったのか、危なかった―

 

 そう考えたのが甘かった。

 

 煙が晴れると目前までカイヤナイトが迫っており、その左腕を横に振った。すると辺り一面に爆発が咲いた。”太陽守”の炸裂弾が撒かれたのだ。

 

 ガードナーの若い反射神経で跳躍動作に移っていたおかげで、機体の脚部に爆風を受け少々焼ける程度で済んだ。

 

 飛翔ついでにカイヤナイトの頭上から後ろへ回り込むように移動しつつ、レーザーとミサイルを撃ち込む。度重なる攻撃を受けたカイヤナイトの機体がバランスを崩す。

 

 すかさずブースターを最高出力で作動させ、両の足を繰り出すカーネーション。その蹴りが見事に当たり、カイヤナイトを吹き飛ばした。

 

 追い打ちをかけるように右腕でチャージしていたレーザーハンドガンを照射。複数本の青い光がカイヤナイトを焼き尽くす。

 

””YOU WIN””

 

 モニターの表示が試合終了の合図だった。

 

 見事対戦相手を打ち破ったガードナーであったが、素直に喜ぶことはできなかった。

 

 ―あいつ、最後までエキスパンションを使わなかった。それに動きもベストを尽くして戦っていたとは思えない。まるで、勝つことに執着していないみたいだった―

 

 試合には勝ったが、本当の意味で勝利した感覚が得られかったガードナーは、腑に落ちない感情を胸に宿しつつ姉が帰ってくるのに備えてコックピットを後にした。

 

 

 ガードナーが自室のベットで横になりながら携帯端末でニュース記事を眺めていると、ファムがノックもせずに部屋に入ってきた。

 

 「話があるわ、ついて来てくれるわね」

 

 

 




※本作はpixivにも投稿しております。
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