ARMORD CORE VI Revenge on the NEST 作:わるめ
ガードナーは仕事の目的であるターゲットの救出に向かうため、ヘリを降り建物内を探索していた。
いくつか部屋を見て回っていると、目的の人物がいる部屋にたどり着く。
小さな薄暗い部屋に、麻袋を被せられて椅子に縛られている人がいた。
「あんたがRadのメンバーだな。依頼で助けに来た」
そう言って縄を解き麻袋を取ると、ガードナーは少し驚いた。目の前の人物は、自分と歳が近いであろう少女だった。
「いや~、助かりました! 簡単なジャンク集めの仕事だと思っていたら、まさかこんな目に遭うなんて。ずっとここに居させられて時間も分からなければお腹もすいたし、もう絶望感でいっぱいでしたからね~! そういえば......」
「話は後にしてくれ、まずはここを脱出しないと」
「お、それもそうですね。それじゃあ先導たのみますよ!」
先刻まで囚われの身だったとは思えない饒舌っぷりに、ガードナーは度肝を抜かれていた。
二人はヘリのもとたどり着き、乗り込んだ。
「姉さん、ターゲットの救出は完了した」
「お疲れ、でもまだ油断しないで。帰るまでが仕事よ」
「ほぉ~、お二人は姉弟なのですね」
そんな会話をしていると、レーダーに熱源体反応が表示された。
「まって、姉さん。こっちに近づいてくる機影がある」
「了解、増援かもしれない。ヘリを離陸させて作戦区域から離脱して頂戴、私はここで迎え撃つわ」
ガードナーはファムの指示に従って移動、数10キロ先の高台にヘリを着地させて様子を伺うことにした。
望遠機能を作動させて集落の状況を確認すると、見覚えのあるACと対峙する姉の姿があった。
そのACは、赤い装甲を身に纏う重量型の2脚タイプで青い蜘蛛のような目が独特の圧を放っている。
「カイヤナイト......!」
かつてガードナーがNESTで戦ったACである。機体のパーツはNESTで遭遇した時と全く一緒だったが、その時と比べて武装が変更されている様だった。
ファムはまずACのパイロットへ向けて通信で呼びかけた。
「断っておくけど、私の仕事にあなたの撃破は含まれていないの。おとなしく帰ってくれるなら、私もあなたを見逃すつもりよ。ここは穏便に済ませてみる気はない?」
ターゲットに含まれていないACと戦ったところで、弾薬の補充や機体ダメージの修復に出費がかさむだけだ。よって通信による対話で事を済ませたいとファムは考えていた。
一方で対峙するACのパイロットは一言も発さなかった。代わりに放った左腕のガトリング弾が、提案の拒否を意味していた。
不意打ちの弾丸を持ち前の跳躍力で避けるカーネーション。空中で機体を左右に振るように滑空してガトリングの追撃を避けつつミサイルとレーザーハンドガンで反撃に出る。
「交渉は決裂ね」
カイヤナイトはというとレーザーを避ける素振りを一切見せず、その全てを装甲で受け止めながらカーネーションの方へ向けて機体を加速させる。その間も回転を止めないガトリングの砲身が熱を帯びて赤く発光していく。
カイヤナイトはガトリングのオーバーヒートにより弾丸が放てなくなったが、それでも左肩の筒から多数のミサイルを発射することで、攻撃の波を止めないように努めていた。
絶え間ない弾幕を張り続けるカイヤナイト。回避行動とシールドによる防御でダメージを抑えつつ隙を伺うカーネーション。ガードナーは2機の戦闘をただ見守る事しかできなかった。
拮抗した戦況が続く。だがカイヤナイトのある一手が状況を一変させた。
突如、カーネーションの周囲を爆炎が包み込んだのである。
カイヤナイトの用いた装備は、小型爆弾を大量にばら撒く兵器。名を太陽守という。
それでもファムはとっさにシールドを展開し、カーネーションへのダメージを抑えることに成功した。
しかしカイヤナイトの攻撃は終了していなかった。肩に背負っていた巨大な筒を右腕に装備し直すと、そこから青い光の槍を出現させた。それはレーザーランス。そこから繰り出される高速の長距離刺突がカーネーションの胴を貫いた。
度重なる弾幕への対応と先ほどの太陽守への防御で、回避行動やシールドの展開に回すエネルギーを使い果たしてしまったカーネーションに、それを防ぐ手立ては残されていなかった。
致命傷を負ったカーネーションは、刺突の衝撃で地面へ吹き飛ばされてしまう。
すかさずカイヤナイトがそれを追いかける。機体を近づけると、冷却が済んで砲身が復活したガトリングを瀕死のカーネーションへ向ける。
「......逃げて、はや」
それがファムが発した最期の言葉だった。
ガトリングの掃射を受けたカーネーションは黒煙を上げて、二度と動くことは無かった。
「......噓だ」
一部始終を見ている事しか出来なかったガードナーは、目前の状況を受け入れる事が出来なかった。
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