最強異能者の俺がVtuberになったらちやほやされると思ってたのに何故か初手大炎上したんだが!?   作:スノーマン(ユッキー)

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引退撤回RTA

自己紹介も終わったところで、社長に部屋の隅にあるソファーに腰掛けることを勧められ、俺達は移動した。まぁずっと立ちっぱなしで話っていうのもねぇ。俺や堂島さんは良いけど推し達にそんなことさせられない。あ、因みに俺は威世戒先輩最推し兼箱推しです。対戦よろしくお願いします。

 

 

 

「今日わざわざ来てもらったのは轟君のライバー引退を撤回して貰いたいからだ」

 

 

 

 どうやら怒られる為に呼び出された訳では無いらしい。良かった良かった。これで生まれたての小鹿みたいに震えなくてすむ。

 

 

 

「…………」

 

「ふふっ、そう睨まなくても分かってますよ堂島さん。勿論轟君の意思が最優先だ。内も潰れたい訳じゃないからね。まず説明させて貰いたいのが勇の配信での事件だ」

 

「本当にすまない……!」

 

「ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、全然気にしてないんで大丈夫ですよ!」

 

「デビュー即引退発言した奴が何言ってるんだ。思いっきり気にしてるだろ」

 

「うるせぇーばーかー!」

 

「償いになるのなら……俺に出来ることなら何でもする所存だ」

 

「え、今なんでもって!?」

 

「あんた本当に気持ち悪いわね……」

 

「久古先輩に冷たい目で見られてる……ご褒美だぁ」

 

「えぇ……」

 

 

 

 思わず本音が出たらちょっと本気で引かれたからちょっと抑えておこう。それはそれとして威世戒先輩へのお願いを何にするかは思考を高速化させて考えておく。だって何でもってことは何でもってことだよ!?

 

 

 

「話を戻しても良いかな?」

 

「え、まだお願い決めてな――ちょっと堂島さん脇腹どつかないで! 分かった真面目に話すから! えっと、精神干渉系異能者による大規模異能事件によるものですよね? まぁ範囲こそ広いですがあくまで本人の内側にあるものを吐き出させるだけだから異能者としてのランクは低いかな? そもそも精神干渉系って範囲が広いのがデフォルトだし」

 

「警察でも同じ見解だ」

 

「おや、捜査情報を話して大丈夫なのかい?」

 

「こいつが関わる場合はある程度のルール無視は許可されてる。つーかそうじゃねぇとやってられねぇ」

 

「堂島さんいつも大変そうだよね」

 

「誰の所為だと思ってるんだ? あァ?」

 

「いたたぁ! アイアンクローはやめてぇ!」

 

 

 

 うぅ、確かに俺の所為で増えてる仕事はあるだろうけど、それ以上に俺のお陰で減ってる仕事もあるはずなのに……。いや減ってる分が堂島さんの管轄かは知らないけど。

 

 

 

「渋谷在住のライバーは威世戒だけだったが、運が悪い事に配信中だった」 

 

「あの日は急に激しい頭痛が生じたと思ったら、何故か口にするつもりが無かった轟の事を話していたんだ」

 

「……他の被害者の証言と同じだな。因みにこの事件の犯人は過去にも何度か同様の事件を起こしているとみられている」

 

「けっ、警察は使えねぇな」

 

「お前も知っているだろうが国に協力してくれている探知系の能力者は数人しかいない。もっとでかい事件が沢山ある以上この件に関わらせている余裕は無い」

 

 

 

 まぁ探知系って異能を持っていても開花し辛いというか、そもそも気づき辛い。だから自分が異能者って気づかないまま過ごしている人も多い。その所為できちんと能力が使える探知系の異能者の総数は非常に少ない。因みに異能者は人口の3割程度と推測されており、探知系はその中で1割未満じゃないかな? まぁ統計取った訳でもないから感覚的にだけど。

 

 

 

「というのは昨日までの話だ。鬼島に影響が出てしまった以上、話は変わる」

 

「一人、二人はこの事件に関わってもらえるのか?」

 

「いや、全員だ」

 

「え? そんな余裕が無いんじゃなかったの?」

 

「……余裕は無いが、この事件が放置されて鬼島が暴れる方が困る」

 

「やだなぁ俺ってば信用無いなぁ~」

 

「じゃあ大人しくしてるか?」

 

「ははっ、冗談。俺の最推しを傷つけた大罪人を野放しにする訳ないだろ」

 

 

 

 絶対に見つけ出してぶっ殺す。生まれた事を盛大に後悔して貰った後でな。まぁほら? 俺ならばれない様に出来るし、仮にばれてももみ消してくれるだろうし?

 

 

 

「ほらみろ。因みに御三方に説明しておくとこいつが暴れると地形が変わる」

 

「クレーターでも出来るのか?」

 

「良くて街が一つ消えるな」

 

「え、まって? よくて?」

 

「最悪日本が地図上から消えるな」

 

「ちょっち待って、風評被害止めてよ~! 俺だって推しが活動している日本を沈めたりしないって~」

 

「外国だったら?」

 

「まぁ最悪沈めるかもしれないけど最悪だよ?」

 

 

 

 そんなのそれこそ国家主体でファンタジアの人間に危害を加えでもしない限りやらないけどね?

 

まぁそんな馬鹿なことする国はないだろうから考えるだけ無駄な想定だ。

 

 

 

「こういう奴だ。理解して行動してくれ。ライバーの二人、特に威世戒さん。アンタの発言次第で最悪国が滅びかねない」

 

「……心して対応させてもらおう」

 

「正直まだ状況を受け入れられてないけれど、そうも言ってられない事だけは理解したわ」

 

「ふふっ、最高に愉快ね。やはり私の目に間違いは無かったわ」

 

 

 

 色々納得いかないけど、なんか約一名だけ反応おかしくない? あれ社長って常識人、じゃない?

 

 

 

「あら、常識人が【世界を愉快にする】という社訓を立てる訳ないじゃない」

 

「え、俺口に出してました!?」

 

「ふふっ、いいえそんなことは無いわ。けど考えが顔に思いっきり出てたわよ」

 

「因みに――」

 

「異能者では無いわよ。それは轟君が一番分かってるでしょ?」

 

 

 

 えぇ……。カットインしてきたのは顔に出てたとかそんなちゃちなもんじゃないでしょ~? この事務所の人間って色々おかしい人多くない? くわばらくわばら。

 

 

 

「流れで話しておくけど公安から轟君をライバーとして採用して欲しいと圧力をかけられたのは本当だけど、採用したのはちゃんと私の意思よ?」

 

「面接すら無しで採用しようって良く決めましたね。あ、因みに圧力の件は俺まじで知らなかったっす」

 

 

 

 どうやら俺がファンタジアのライバーになりたい~ってゴロンゴロンしてたのを聞いた堂島さんが上に話して、その結果起きた事らしい。俺のご機嫌伺いした結果、俺の機嫌が地に落ちて上層部としては生きた心地がしなかったらしいがお互い様だ。

 

 

 

「あらだって最強の異能者よ? そんな人がライバーになるなんて絶対に【愉快】じゃない」

 

「……つまりファンタジアの理念は守られていたと。全部俺の勘違いによる暴走だったんだな」

 

「私はまだ納得してないわよ。なんで縁故採用なんて周りに言ったのよ。そりゃ話せない事は沢山あっただろうけど、あんたならどうとでも出来たでしょ?」

 

「だってそうしてたら貴方たち二人は反発してなかったでしょ?」

 

「……アンタまさか!」

 

「反発してたのが後に真実を知って和解する。そっちの方が最初から歓迎されて受け入れられるより劇的で、なにより【愉快】でしょ?」

 

 

 

 久古さんの開いた口が塞がらなくなっている。あ~この人こういう人なのか。なんとなく理解した。理解したくないけど。なんていうか愉快かどうかを何よりも最優先する愉快モンスターなのだ。傍迷惑すぎる……。え、【世界を愉快にする】という社訓って異能犯罪で沈みがちな世界を楽しませるって意味じゃなくて、この人が楽しむ為ってことじゃないよね? ま、まさかね?

 

 

 

「半分はそうよ」

 

「だから読心能力者でもないのに心を読むのは止めてください!」

 

「ふふっ。でも想定外の事件が起きた所為とはいえ、轟君に辛い思いをさせてしまって本当にごめんなさい」

 

「改めて俺からも謝罪させてくれ。本当にすまなかった!」

 

「いや、良いですって。もう今日だけで一生分謝ってもらってますよ」

 

「お前ホントファンタジア関係に大しては甘いな。普段なら【頭が高くない? もっと下げれるでしょ?】とか言うだろ。というかアメリカの大統領に言ってたよな?」

 

「うるせぇぶっ飛ばすぞ!」

 

 

 

 推し企業に甘くて何が悪い! 世界の真理はファンタジア>俺>それ以外の魑魅魍魎共だぞ! 

 

 

 

「それで轟君さえ良ければ引退を取り消して貰えないかしら?」

 

「いやでも正直有象無象が何を言おうどうでも良いんですけど、同じファンタジア推しの人達に嫌われるのはきついものがあるというか」

 

「轟、君を傷つけてしまった俺が言うのもおごがましいが、どうが君の事を俺に守らせてもらえないだろうか? ファンタジアのファン達の事は俺が説得して理解してもらう。だから俺と一緒にライバーとして活動して欲しいんだ。社長じゃないが今日君と話していて、君とならもっと世界を愉快に出来ると感じたんだ。君でなきゃ駄目なんだ!」

 

「あ、引退取り消します~!」

 

「アンタがそれで良いなら私は文句無いけど……結構な出来事だったはずなのになんか軽いわね」

 

 

 

 え、軽い? いやだって推しにこんな風に口説かれたらそりゃそうなるでしょ。俺がガチ恋勢だったら妊娠してたぞ!? 威世戒先輩責任取る羽目になってたからな、危ない危ない。

 

 

 

「まぁ最悪文句言う奴らは物理的に潰しますから、そんな身構えなくて良いっすよ」

 

「……俺がなんとかするから轟は何もしないでくれ!」

 

「えへへ、そっすか? じゃあお言葉に甘えようかな」

 

「社長、威世戒君を公安にくれないか? 鬼島の扱いが楽になりそうだ」

 

「ふふっ、勇は内のライバーですから」

 

 

 

 ちょっと堂島さん、しれっと威世戒先輩を引き抜こうとしない! そんなことしても公安に優しくなんて……まぁちょっとは優しくなるかもしれないな。いやかなり? すっごく?

 

 

 

「それで、鬼島はライバーとして復帰する、それを威世戒君はサポートするってことで良いんだな?」

 

「はい! 全力で取り掛かります!」

 

「そうっすね」

 

「じゃあ取り合えず二人でオフコラボするなんてどうだ?」

 

「えっ!?」

 

「あら、良いわね~」

 

「だがこのタイミングで俺達がコラボするのは刺激を与えすぎるんでは無いか?」

 

「確かにオフコラボなんてあまりに刺激的過ぎて俺気絶しちゃうかもしれませんね……」

 

「馬鹿、リスナー達のことよ」

 

「リスナーは最終的にチャットを打てなくすれば良いから」

 

 

 

 バリバリ呪っちゃうぞ。

 

 

 

「…………」

 

「やだなぁ冗談ですよ?」

 

 

 

 久古先輩が俺を見る目が北極並みに冷え切ってる。というか事情が判明して威世戒先輩との距離は縮まったのに対して、何故か久古先輩との距離が遠ざかってる気がするのは気のせいだろうか? なんか妙に刺々しいというか。まぁ一般的な異能者への扱いってこんなもんだから、むしろ威世戒先輩がおかしいのか?

 

 

 

「というかさ堂島さん何企んでるの?」

 

「ん? 何のことだ?」

 

「いやいや、アンタが俺のライバーとしての活動に口出ししてくるなんておかしいでしょ」

 

「これでもお前の担当だからな。お前が機嫌良くしてくれるように舵取りくらいはするさ」

 

「嘘くさ~。だいたい――」

 

「轟、大丈夫だ。何があっても俺が守り通してみせる!」

 

「ひゃ、ひゃい」

 

「アンタ本当にちょろいわね」

 

「ちょろいかちょろいくないかでいえばちょろいけど、ファンタジア限定だもん!」

 

「……じゃあ私に対してもちょろいのかしら?」

 

「くぅ~ん」

 

 

 

 お客様~耳元での囁きは致死量なのでお止め下さい! 

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