私、これでも幹部なんですけど!?   作:石鹸52mm

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内海アオバの放浪記4

 

これは内海アオバのSSです。

 

─────────

 

某日 ミレニアム区間 工場跡地

 

「……誰もいないですね」

 

「まーな。そりゃ狙撃手からの通信が途絶えたんだ、守りに徹するだろうな」

 

ネルが先頭で歩きながら答える。淀みないその足取りは、もはや庭を歩く鶏のようにも思えた。

アカネはバッグの中の爆薬を数えながら、それに続く。

 

「それにしても、リーダーの言う通りでしたね。おおよそ、他の4人とドローンが待ち受けてるのでしょうか」

 

「うぅん…なんとなくなんですけど」

 

アオバの言葉に、二人が振り向く。2つの視線にアオバは目を白黒させながら、言葉を紡ぐ。彼女らに、果たして伝わるだろうか。

帽子を目深に被り、率直な感覚を伝える。

 

「杜撰すぎませんか?

これまでも逃亡してきたのであれば、なにかしら策を残している気がして…」

 

「……おぉ!分かってんじゃねえか!」

 

ネルが徐に歩調を落として、アオバの肩を引っ叩いた。

(痛いんですけど…)という感情をネルに見せないよう、アオバの口が固く結ばれた。アカネも口に手を当て考え込む。

 

「明らかに金属の類が少なすぎる。ここのやつを使いまわしたっぽいな」

 

「ふむ…重量物の移動跡が見られますね。それも何度も」

 

しんと静まり返った工場跡地は、カラスの鳴き声とともに帳が降り始めた。

コンクリートの建屋から、風で枯れ葉が出ていく。

ネルが静かに片手をあげる。「待て」の意に、アカネとアオバは足を止める。

3人は足を潜め、シャッターが降りた倉庫を見つめる。

 

「10時方向、2。13時方向、1。もう一人は聞こえない。アカネ、正面にC4」

 

「了解」

 

「アオバ、コンカッションをC4爆破後投入。壁にぶつけるぐらいでいけ。アオバはアカネと同時」

 

「りょ、了解ですけど…」

 

アカネがC4を取り出すのを確認すると、アオバに顎で向きを指した。

ネルは後ろに下がり、クラウチングスタートの姿勢を取った。

 

「作戦、開始」

 

ネルの言葉とともに、アカネの放り投げたC4がシャッターで炸裂した。

 

轟音。

 

アオバは煙にコンカッションを振りかぶる。

刹那、アオバの視界に"龍"の背中が見えた。

倉庫内の閃光とともに、銃声。

…嘘ですよね?

 

「行きましょう、後ろから仕留めていきます」

 

「へぁ!?は、はい…」

 

────────

 

いくつかの銃声と、吹き飛ぶ砂埃。

蹴り飛ばした鉄製の作業机が、金切り音と共に壁にめり込んだ。

銃弾の応酬を頬で受け流したネルは、肉薄。

 

「オイオイ…こんなもんかよ、期待よりショボかったな…あ?」

 

柱に身を潜め、ネルは違和感を確認する。

 

突入時にCQCで一人。

アオバが()()した小型発電機がぶち当たり、一人。

アカネのチョークスリーパーで一人。

んで、今ので一人だ。足りねえ。

 

ネルの空薬莢の落ちる音と、二人の息遣いだけが工場内に残った。

指名手配犯と初めて相対したアオバは何も感じていない。

C&Cの二人は違和感を覚えていた。

弱すぎる。まるで、他に『切り札』でもあろうかという────

そう思った矢先、倉庫内のスピーカーから数十分前と同じ声が響く。

 

「ハッハッハッハ!こんなもので終わるか!まだ、正義の炎は燃え尽きていない!」

 

「ハァ?残り一人で何言ってんだ?さっさと面ァ出せよ」

 

ネルが毒づくが一向に介さない。気づけば、倒れていたはずの残りの三人もいなくなっている。

砂埃が晴れた倉庫内で、5つのシャッターが閉まっている。そこから、モーターのけたたましい始動音が聞こえてくる。

 

「…アカネ」

 

「はい、先んじて爆薬を…」

 

「ちげえ!()()()()()()!!」

 

「!?」

 

 

 

 

 

"管理者権限の起動を確認。起動シークエンス開始"

 

"カイテンフォール、スタンバイ"

 

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