私、これでも幹部なんですけど!?   作:石鹸52mm

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内海アオバの暴走録

 

 これは本SSの作中でダイジェスト部分の詳細部分になります。

 本編には基本的に関係ない部分の為、読み飛ばしていただいて構いません。

 

─────────

 

ゲヘナ区間 駅ホーム内

 

ハイランダーの生徒達が駅のホーム外へ退いて行ったのを確認すると、色とりどりのヘルメットを被った生徒達は、構えていた銃を下ろした。

 

「よし、あいつら引いて行ったぜ」

 

「弾薬補給だろ。全く、こっちが駅を掌握してるのに懲りねえよな」

 

そう言いながらも彼女らは懐にあった弾薬を各々リロードしていく。相手方の戦力は分かり切っている。無線機と弾薬箱を持ったお荷物が一人、在り合わせの乗務員達が数名。弾薬箱がある以上攻撃は続くだろうが、ヘルメット団がバリケードを張っている以上、覆す一手は打てないだろう。であれば警戒すべきは、改札側にいずれ押し寄せるだろうゲヘナの風紀委員会だった。彼女らは日々の治安維持の為に統率されており、戦術も武器も豊富といったのは、この駅ジャック作戦を立案したブレーンだった。

 

この駅ジャックを膠着状態に持ち込み、線路上で止まっている貨物列車から貨物を奪うというのが、本作戦の目的だった。故に改札側と比べ、駅ホーム側はいくらか戦力は手薄だった。この調子じゃあいつらすぐ根を上げる、と誰かが漏らした呟きは、この場にいる誰もが至っていた結論だった。気が緩んだのか、一人がある噂話を話し始めた。

 

「なぁ、そういえばさ…ハイランダーに治安部隊が作られたらしいぜ、それもかなり強いやつが」

 

「それって一人で鎮圧してるって噂だろ?無理だろ、どう考えても」

 

「ははっ、仮にそいつが来て倒しちまったら面白いよな。ハイランダーも結局はただの運び屋、ってことが今に分かる…ん?」

 

話していたヘルメット団の一人が、駅のホームに一人、生徒が上がってきているのを見つける。紺の帽子とジャケットを着た、淡いクリーム色の髪の生徒。続けて、後からトランシーバーを持ったハイランダーの生徒が一人遮蔽物に身を隠した。

 

「おい、見ろよ。さっきまでの制服じゃない…あいつが例のやつかもな」

 

「いやいや、本当に一人じゃねえか!それに装備もショットガン一丁。ふざけてんだろ、流石に!」

 

一同、嘲笑を上げる。どう見ても、戦いに来ているという装備ではなかったからだ。笑っている間にも、その生徒はホームのタイルを歩いてくる。

 

「とりあえずよぉ、一発ぶち込んどくか」

 

「そうだなぁ、足に一発当てれば止まるんじゃねえか?」

 

ヘルメット団の一人が、ライフルの照準をハイランダーと思しき生徒の足に向ける。その時だった。

 

悪党の方聞こえますか~?列車緊急対応部ですけど~

 

「…おいおい、マジで?」

 

歩いてくる生徒が名乗りを上げたのだ。それも、最近出来たという治安部隊の。その名乗りを聞いて、ライフルを向けていたヘルメット団はある閃きが浮かんだ。こいつをボコボコにして、ヘルメット団の威厳を示してやろうではないかと。

 

願わくば、ファーストショットで倒してしまって、自分を各方面に売り込むチャンスかも…と。ヘルメット団は徐々に近づいてくる生徒の足に向けていた銃口を上げ、頭に銃口を構え直した。そして、迷いなく引き金を引いた。

 

 

カァン────

 

 

「…は?」

 

「ふ、不良さんって狙いだけじゃなくて、頭も悪いんですね…やっぱり分かり合えないんですけど」

 

頭に撃たれた弾を自身のショットガンで弾いてからハイランダーの生徒────内海アオバは眉を潜ませ侮蔑の言葉を投げかける。その言葉は、ヘルメット団の怒りを買うには十分すぎた。

 

「おい、全員で掃射」

 

「分かってるって!」

 

それを聞くや否や一人がグレネードのピンを抜いた。それを皮切りに、ヘルメット団の銃口が一斉に火を吹いた。アオバはホーム中央の売店の陰に素早く身を隠すと、銃弾の応酬から逃れる。

 

「これでも…食らえ!」

 

やがてヘルメット団の一人が投げたグレネードは、アオバが隠れた売店付近に転がると爆発した。

 

「…はっ。呆気なかったな「あぁ、やっぱり」…は?」

 

ヘルメット団が再び売店の陰を見やると、焦げ付いた1m超の金属製のゴミ箱を持ったアオバが姿を現した。

 

「やられた分はお返ししなきゃ…ですよね!」

 

「なっ」

 

アオバはそう言うと、ゴミ箱をバリケードにサイドスローで投げつける。ゴミ箱は横に回転しながらバリケードを越えると、その勢いのままヘルメット団の一人を吹き飛ばした。アオバはゴミ箱を投げた後、銃を背負い、バリケードに向かって駆け出した。

 

「ぐえっ!」

 

「うわ!?くそ、なんでもいいから誰か止めろ!」

 

ヘルメット団の撃った銃弾がアオバに何十発も当たるがアオバは気にも留めず、やがて、バリケードから5m離れた自動販売機に身を隠した。バリケード付近で遮蔽物と呼べるものはこの、自動販売機だけである。ヘルメット団は撃った分の弾薬をリロードし、アオバが出てくるのを待つ。

 

アオバが次に身体を出せば蜂の巣になることは明白だった。アオバは自動販売機を見上げる。持ち手はないがおよそ数百キロ、バリケードを壊すにはうってつけ。アオバは自動販売機の取り出し口に雑に手を突っ込むと、両手に力を込める。

 

「んーーーーーー!」

 

ミシミシと自動販売機が音を鳴らしていく。同時に、自動販売機の下から何か引き千切れる感覚が伝わる。

 

 

 

ガッ、ガッ、ガッ

 

 

 

「は?な、」

 

「嘘だろ?」

 

自動販売機が異音と共に縦に振動し始める。何度かの振動の後、アオバは自動販売機の地中配線を引き千切って自動販売機を持ち上げた。といっても持ち手が不安定なので、アオバは全身を捻って肩と足に力を込める。フォームなんてあったものではない、ただ叩きつけるイメージで持ち上げる。流れる汗が頬を、首を、背中を濡らす。アオバは勢いを乗せたまま、自動販売機の持ち手から手を離した。

 

「逃げろ逃げろ逃げろ!」

 

「くそっ、どうなってんだ!」

 

ヘルメット団の一団が駅のホームの階段を駆け上がりだした後、アオバの投げた自動販売機がバリケードにぶつかって轟音を鳴らした。

 

 

 

 

ゴシャアアアアアン!

 

 

 

 

バリケードは衝撃で粉々に散り、叩きつけられた自動販売機の下から零れた液体がバリケードの跡に沿って流れていた。轟音を聞きつけた連絡係の生徒が恐る恐るバリケード付近に近付くと、その有様に言葉を失った。

 

「えっ…?」

 

一方でアオバは背負っていたショットガンを手に持ち直すと、後ろにいた連絡係の生徒に声をかける。

 

「え~と、改札側に「駅ホーム側のバリケードを破壊した」と連絡してもらえますか?私、今から動力室の人を助けに行くので」

 

「はっ…はい…分かりました」

 

連絡係の生徒が無線で改札側に連絡を終えると、おずおずとアオバに質問を投げかけた。

 

「あの…この後も私、ついてかなきゃいけませんかね…?」

 

アオバはきょとんとした顔をした後、なんでもないことのように言葉を返す。

 

「そりゃそうですけど…私がそれ持ってると、壊しかねないので」

 

「そっそうですよね~!失礼しました!ついていきます!」

 

アオバと連絡係の生徒はバリケードの跡地を踏み越えて、階段を上り始める。

 

 

─────────

 

動力室までの道程は、とても長かった。轟音を聞きつけた他の駅のホームのヘルメット団が数部隊程構内に現れた為、出来るだけ騒ぎにならないよう戦闘する必要があった。

 

その為アオバはベンチやらゴミ箱やら比較的軽い物をを持っては投げつけ、結果的に構内には至る所に破壊痕が残されていた。そして、アオバと連絡係の生徒は動力室のドアの前まで辿り着いた。アオバは無警戒でドアを開けようとしたが、連絡係の生徒がそれを止めた。

 

「あの…一応待ち伏せとかは気を付けた方がいいんじゃないでしょうか…さっき逃げた人達がいるかもですし」

 

「あ、あー…そうですね、じゃあ、一応」

 

アオバはヘルメット団の武器を思い返すが、特段痛かったという感想はなかった。しかし、人質を取られるとどうにもならない可能性がある。アオバは銃に引き金をかけたまま片手でそっとドアを開ける。中には、現在のゲヘナ区間の運行状況を示す巨大なモニターと、運行システムを管理するパソコンが数十台あり、それぞれの椅子に管理員がロープでで縛り付けられていた。

 

「うわ、ひどいですね、これ」

 

「っ!?あ、アオバ部長!?来てくださったのですか!?」

 

「あ、はい。駅のホームから侵入できました」

 

恐らくゲヘナ区間の駅長と思しき生徒が声を掛けてきたので、アオバが応対する。とりあえず、アオバは全員のロープを手で引き千切って解放する。

 

「うぇっ…あの、お一人で…?」

 

「あぁ~…他の皆さんは、止まってる列車の様子を見に行ってもらってます。乗客の人達も不安でしょうから。あとは連絡係の方だけ来てもらってます」

 

「あぁ、つまり駅のホーム側は手薄だったのですね、良かったです」

 

連絡係の生徒は、駅長がこの後対面するであろう構内の様相と、復旧までの道のりを考えると気が遠くなった。アオバは動力室にいた全員を集めると、今の戦況を語り出した。

 

「さて、皆さん。こうして、動力室を解放したので、私達はこれから改札側の敵を倒す必要があります。勿論警報システムなども用いれば、動揺を誘うことができるでしょう」

 

「戦わないというのも、一つの選択です。何せここにいる皆さんは戦闘を重きに置いているわけではありません。敵の戦力は計り知れず、ゲヘナの風紀委員会もいつ来るやも分からない」

 

アオバはそこで言葉を途切らすと、顔を俯かせて暫し黙った。その場にいた誰もが、アオバの次の言葉を待つ。

 

 

 

しかし

 

 

 

アオバが片足を地面に叩きつけた。その音で、その場にいた全員の背筋が立つ。前を向いたアオバの目に光が宿り、狂気を孕んだ目つきに変わる。

 

「皆さん、思い思いの顔をしていますね?仕事を邪魔された怒りか、あるいは理不尽に遭遇したことへの悲しみか、仕事をしないヴァルキューレへの不満か。分かります、私も今日非番にも関わらず呼び出されたので、休日返上です」

 

「勤勉に仕事をして、適切な運行を守っている私達が、なぜこのような感情を抱かないといけないのか?それは運が悪いのではありません。学校内の派閥争いのせいでもありません。単純に「舐められてるから」なんですよ」

 

アオバは片手を差し出し、なおも言葉を紡ぐ。語るのは、正義の言葉か、それとも悪魔の言葉か。

 

「誰に?言うまでもありません、理事会に、乗客に、よくわからない有象無象の不良に。私達はいつまでも虐げられている」

 

次第に、一人が呟いた。

 

「そうだ、私達は、ただ真面目に仕事をしていただけなのに…」

 

「そうでしょう?仕事をしているのが当たり前だと思われている、私達は都合の良い労働力として搾取されている」

 

ぽつり、ぽつりと。言葉が増えていく。いつの間にかアオバの口元は、三日月のように曲がっていた。

 

「そうだ、ふざけてる、こんな横暴、許されるわけがない…!」

 

「おかしいですよね?私達には見える力があるのに、見えざる力で従わされている」

 

「戦おう、私達には、その権利がある」

 

アオバの言葉は次第に、語気を、声量を、ボルテージを上げていく。アオバの言葉は鼓舞となり、動力室の生徒の士気を上げていた。

 

「そうです…銃を取りましょう!今から始めるんです、私達の、私達による、私達の為の闘争を!」

 

「そうだ!そうだ!そうだ!」

 

示し合わせたわけでもなく、誰もが銃のセーフティを外していく。ある者はコッキングをし、ある者はマガジンに手を叩き、ある者はグレネードを片手に構え、今か今かと発破を待っている。そして、ついに最後の言葉をアオバは手を掲げ声高に叫ぶ。

 

「さぁ、撃ちましょう、倒しましょう、戦いましょう!虐げられた痛みを!受けた屈辱を!飲み込んだ怒りを!悪党共に1人残らず叩きつけましょう!」

 

その言葉と共に、その場の全員が動力室から走り出す。連絡係の生徒はその様子を部屋の片隅で震えながら見ていた。やがて、アオバの瞳が生徒を捉える。その口はまだ笑っていた。

 

「ひっ…」

 

「改札側に連絡してください、「これより動力室より反撃を開始する」、と」

 

「わ、わかりました」

 

「えっと、あと合図したら構内の電気を落としてもらえますか?改札側から攻撃を受けたくないので」

 

「は、はいぃ…」

 

連絡係の生徒が無線で連絡をした後、外から幾つもの爆発音と銃声が聞こえてくる。戦いは、始まっていた。

 

 

─────────

 

ゲヘナ区間 改札側 臨時作戦室

 

「おい、ホーム側から定時連絡がない。どうなってる?」

 

「それが…どこも応答しません」

 

ヘルメット団のブレーンはヘルメット越しに頭を搔いた。駅のホーム側の戦力は手薄だが、そもそも敵の戦力などたかが知れているし、いざとなれば列車の一つでも奪えば事が済む。だからブレーンは戦力が厚い改札側に作戦室を置いた。拡声器でヴァルキューレの権威を挑発し、さも駅ジャックによってヴァルキューレの失墜を狙っている、と思わせる行動を取っていた。

 

しかし、ブレーンは定時連絡がないことに何か違和感を感じた。いくら普段統率が取れていないからと言って、定時連絡を怠るのは仲間意識が薄れすぎなのか、あるいは。ブレーンは元々ゲヘナに在学していたため、風紀委員会しかマークしていなかったことが事故を招いてしまった。ブレーンはやけに周りが騒がしいことに気付く。

 

「なんだ、やけに騒がしいが」

 

「ブレーン、ヴァルキューレが本格的に突入を始めました!」

 

「なぜだ!?風紀委員会もまだ来ていないだろ!」

 

「理由は分かりませんが…そろそろ駅のホームに避難した方が良いのでは?」

 

ブレーンは頷き、撤退の準備を始める。そろそろ駅ホーム側が貨物列車から貨物を盗み出している頃合いだ。ブレーンはそれに乗じて逃げ出すつもりでいた。しかし、作戦室を出た構内で、本来聞くないはずの方向から聞くはずのない音が聞こえてきた。

 

「いや…なぜだ!?なぜ爆発音が聞こえる!?」

 

次第に音は大きくなり、奔流となって改札側に響いてきた。幾つもの爆発音、幾つもの銃声、そして多くの叫び声が、駅の奥から木霊してきた。やがて、構内後方に待機していたヘルメット団が交戦を始める。それは、動力室で捕縛したはずの管理員達だった。鬼気迫る表情で武器を持ち、突撃してくる。

 

うおおおおおおおおおおおおお!

 

「ブレーン!挟み撃ちです!何か分かりませんが駅ホーム側に特記戦力がいたようです!」

 

「そんなこと分かる!クソ、固定式ミニガンを出せ!」

 

「あれは風紀委員会用の物では!?」

 

「こんな状況じゃそうも言ってられない!」

 

やがて、ミニガンが用意されると、ブレーンが銃座に乗り、構内後方に向けて射撃を開始した。撃ち出された銃弾の雨が、敵味方関係なく襲い、一人、また一人と倒れていく。やがて目の前に誰もいなくなる…はずだった。

 

「…は?」

 

「えぇ…こんな代物用意してるなんて想定外なんですけど…これは残業ですね…」

 

ハイランダーと思しき生徒が一人、巨大な防火扉を持って銃弾を防いでいた。間違いなく、今回現れた"イレギュラー"だった。そういえば、聞いたことがある。ハイランダーに1人だけ、高速で現れて鎮圧するという生徒が一人、いたはずだ。

 

ratorcido raíl(捻くれた軌条)…!」

 

「え、なんです?その変な名前。ダサいんですけど…」

 

やがて、その生徒は防火扉を振り被ると、こちらに向かって投げてきた。

 

「えいっ」

 

「たかが扉だろうが!」

 

ブレーンは防火扉に向けてミニガンを連射する。防火扉は銃弾に曝されるうちにどんどん凹んでいき、最終的には勢いを無くして撃ち落された。

 

「はっ、これでお前も蜂の巣に…」

 

「あっ、今やってください、構内だけ」

 

アオバがそう言うと、突然構内の電気が全て落とされた。電気が点いているのは、改札側だけである。今はブレーン達だけが、光に照らされている。動力室にいた連絡係の生徒が、構内の電気を落としたのだ。

 

「…おい、嘘だろ」

 

「非番の日に呼び出されて、こんな激務で…これ二連休ぐらいもらえないですかね…」

 

暗闇から、アオバの声と、コツ、コツと構内を歩く音だけが聞こえる。

 

「待て、自首する。今回の首謀者は私だ。矯正局にも喜んで入る」

 

「だから、なんです?」

 

足音が、近づく。ブレーンのヘルメット越しに見える目は恐怖に滲んでいた。

 

「どんな懲罰も受け入れる、仲間の居場所も吐く」

 

「いや、そういうのは求めてないんですけど…」

 

「じゃあ、何をすればいい!?」

 

ブレーンが叫んだと同時に、目の前にアオバが現れた。右の拳は、既に振り被っていた。

 

「一発殴らせてくれればいいですけど」

 

 

 

 

ゴッ

 

 

 

 

アオバの振るった拳はブレーンの鳩尾に入り、衝撃で改札側にいたヴァルキューレの目の前まで吹き飛んでいった。アオバはそれを見届けると、背負っていたショットガンを構え、改札側の残党に向かって走っていった。

 

 

─────────

 

"クロノスニュース報道部の川流シノンです!速報です!ゲヘナ区間にて駅ジャックをしていた、ヘルメット集団が鎮圧された模様です!現場は到着したゲヘナ風紀委員会と対応していたヴァルキューレ、そしてハイランダーの生徒が数名居り騒然となっています!発生から数時間経過していましたこの事件、解決に至ったのは偶然でしょうか!?ヴァルキューレ及びゲヘナ風紀委員会へ取材を行いたいと思います!繰り返します、ゲヘナ区間で─────"

 

「クククッ、これはこれは。もうここまで来てしまった以上、"彼女"には隠蔽が効きませんね」

 

テレビの画面を消した大人の顔は、白く罅割れ、黒い顔が覗いていた。

 

「しかし、これで彼女が"ウィツィロポチトリ"のテクストを持っている証明は完了しましたね。あとは、発生した要因の調査、及び恐怖(テラー)に転じた際世界にどのような影響を及ぼすのか…興味は尽きませんね」

 

 

─────────

 

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