主人公のSCPの呼び方はアノマリーです。アノマリー=SCPと覚えていただけると幸いです。
爆発落ちなんてサイテーだ。
「ふむ……このアノマリーの肉片はこう保存し………これでよしと」
シャーレに入れられたグロテスクな肉片を、業務用冷蔵室の中に設置されている棚に保存しながら声を発する。
冷蔵庫から”要冷蔵“と書かれた張り紙のされている容器を慎重に取り出し、冷蔵室内に取り付けられている机に容器を置き、備え付けの椅子に座った。
やあ、私の名前は……いや、名乗るほどでもないか。研究員とでも呼んでくれたまえ。
ただのしがない研究員。そう言いたいところだが、まあそうもいかないだろう。
何故なら私は、SCP財団の研究員なのだから。
とはいえ、そうひけらかすような地位でもない。この財団は所属メンバーのほとんどが研究員といっても過言ではないのだから。
ひけらかす様な地位には就いていないとは言ったものの、私は一応アノマリーから採集した肉片や体液などの管理を一任されている。はたから見れば、まあまあな地位に就いているのだ。
容器を開け、中に、ホルマリン液を注ぐ。
この容器の中には、とあるSCPの脳味噌が保管されているのだ。
今後の研究等の必要とされる可能性が高いため、私の元に回されてきたのだ。
話に聞いた限り、この脳味噌の持ち主であったSCPは、高い知能と生命力を有していたらしく、なんと脳味噌だけの姿になっても、未だに活動を続けているらしい。
末恐ろしいアノマリーだったのだろう。
そう思いながら、ホルマリン液の入った入れ物を机の上に置いて……ふと気がついた。
いつもなら、この冷蔵室の温度とホルマリン液が反応し、下の方に白っぽい沈殿が起こるはずだ。
だというのに、今回はそれが発生しない。
どういうことだ?
そう思って、さっきまで自分が握っていた入れ物を手に取って、見てみた。
「……………は?」
そして腰を抜かした。
アドレナリン液じゃないか。これ。確かに、脳味噌の容器の中は、無色っぽいが薄らと赤い。
誰だよ。ここにアドレナリンなんか置いたやつ。しかもいつもホルマリンが置いてあるところに置きやがって。わざとか?
そう思いながら、アドレナリン液の入れ物を別の棚に置いてから、気づいた。
あの脳味噌って確かアドレナリンに反応するんじゃなかったか? と。
だが、気づいた時にはもう遅い。
脳味噌は、いきなり眩く光ったかと思うと、物凄い爆発を巻き起こした。
必死に逃げようと走るが、私の足よりも何十倍も速い爆発に、即座に飲み込まれてしまった。
調査報告書
201X年 ○月×日 △時□分
SCP財団、サイト81███で行われていたSCP ████の脳味噌の保存液充填作業中に、研究員の一人が誤ってアドレナリンを充填。
それにより、コールドスリープ状態にあった脳味噌が再稼働し、爆発を巻き起こしたものと推測される。
規模は、研究室が無くなる程度に収まったが、脳が活性化したことにより、SCP ████が肉体を再構築したために、戦力を注ぎ込み討伐。現在は、再びコールドスリープ状態にある。
こちら側の損害は、重症者三名。軽傷者十二名。
そして、作業に当たっていた研究員一名の死亡が確認されている。
ごぽっ
とある世界の、どこかで、そんな音が響いた。
周りに知れず、誰にも知られず、文字通り、人知れず。
その音は、大きくも小さくもなければ、激しくも静かでもない。
どうとも当てはまらない。
だが、少しずつ音源が盛り上がっていき、最後には、ごばっ、という音が響いた。
地球は、この日初めて自らの力で生命を産んだ。