「救助P0で2位とはなあ!」
「後半他が鈍っていく中、派手な個性で敵を寄せ付けず迎撃し続けた。タフネスの賜物だ」
「対照的に8位の子は敵P0点か」
「アレに立ち向かったのは過去にもいたけどブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないわね」
「俺も思わずYEAH!って言っちゃったからなー」
教師陣がそれぞれ、思うことを口にしながら講評を紡ぐ。
そして、ついにこの物語の主人公の講評に移ることになった。
「それで…この子は…」
「一位だけずば抜けてポイントが高いね…」
「こんな点数は前代未聞よ。私たちでもこの点数は出せるかどうか…」
「個性によっては無理な教師もそれなりにいるはずだが…」
教師陣が各々言っていく中で、校長…根津が小さく口を開いた。
「強大な個性だね。そのうえ、0P敵をやっつけたあの子とは違って、個性の制御も申し分ないみたいだ。…相澤君。彼女の情報出せるかい?」
根津は、言いながら一人の教師を見た。
その教師は、部屋の隅のほうで腕を組みながらモニターを眺めていただけだったが、根津に言われてようやく動き出し、自身のすぐそばにあったパソコンを少しの間操作する。
相澤がモニターに彼女の情報を出力すると、根津を含めすべての教師が目を見開いて食い入るようにモニターに注目した。
「よ、幼少期に母親を失って、それ以降父親に虐待を受けてたって…これ…!」
「そのあともだ…移された施設が火事になって、彼女と、彼女に同伴していた子供だけが生き残っている…」
「ていうか、この子中学行ってないの? それでどうして筆記がほぼ100点なの? ていうか、どうやって出願したの?」
「伝手を使ったとかなんとか…」
ざわつく教師陣を尻目に、根津は一筋の汗をたらりと垂らした。情報を開示した相澤でさえも、ちょっと信じられない。と言いたげな顔で目を丸くしている。
なんという過去を持っているんだ。彼女は。根津は頭の中でそう思いつつ、なんとか口を開いた。
「うん、確かに彼女が異質な存在であることは分かったね。でも、雄英はそんな子でも受け入れる、自由な校風が売り…彼女はもちろん、首席で合格にするよ。異論はないね」
根津の言葉に、教師たちは少しの間顔を見合わせた後に小さくうなずいた。
「彼女は、相澤くんのクラスに入れるよ。…彼女にしっかりと向き合ってあげて」
「…校長、こんなの見せられたら、嫌でもそうしますよ」
相澤が珍しく言った。
「うん。それじゃあ、合否の決定とクラス分けはこれで終わったかな。相澤君と菅くん。今年は問題児が多い。頑張ってくれよ」
根津はそういうと、オールマイトの肩によじ登り、部屋から出て行った。
「魅せてくれよ。異頭少女。ここが君のヒーローアカデミアだ」
校長を連れ立って部屋から出てきたオールマイトが、唐突に小さくそう呟いた。彼の大きすぎる手は、今にもはち切れんばかりにぎゅっと強く握りしめられている。
彼的には当時、年端もいかない少女が暴行を受けていたのを助けてあげられなかったことを悔いているのだろう。
根津が小さくオールマイトの後頭部をポンポンとたたいた。
ちなみに、菅はブラドキングの名字である。
前話で様々なコメントをいただいたため、前話の戦闘シーンを丸ごと改定いたしました。
コメントをくださった皆様方大変ありがとうございました。