間桐桜に関わろうとしているのも、過去の自分を救いたいっていう理由が80%で、桜自身を救おうとは小1時点ではあんまり思ってません。
まぁ、救いたいと思った所で、オリ主が出来ることなんてたかが知れているのですが…
以上、オリ主の好感度を下げるための呟きでした。
「今度、お前に八極拳を指南しよう。」
「は?」
俺は夏休みの間定期的に、言峰に言われた通り教会に手伝いに行っていた。
非常に不本意だったが、他にすることもなかったし、言峰の誘いを強引に断わるのは怖いため仕方なくだ。
何よりウチの経済状況、そして小学生の俺がバイトをできないことを思えば、教会の手伝いをすると与えられる給金は正直とてもありがたい。
俺の中で、金をくれる言峰の好感度が上がったのは、非常に癪だが事実だろう。
だからといって、これ以上この神父との関わりを増やしたいとは思えない。
「………そういう拳法とか習うのって、結構お金かかるんですよね?ウチの経済状況的に、習い事なんてしてる余裕ないので、申し訳ないけれどお断「無論、指導料はタダだ。」
「………僕、あんまり八極拳に興味がないのです………それに折角習ったとしても、そもそも僕が八極拳を使う機会や必要性なんてないので、教えても無駄だと思うんです。それなのに僕のために神父様の貴重なお時間を削るのは申し訳な「何の問題もない。」
このエセ神父しつこい!!
俺があんたに八極拳なんて教えられたくないって言ってんのが分かんないのかよ!?
「お前は八極拳を習う必要性はないと言ったな…」
「はい…だって僕はただの小学生ですよ?拳法なんて覚えても意味な「それは違うな。」
人のセリフに一々割り込んでくんなよクソ神父…
「お前は一人暮らしをしている、それも齢7歳の身でだ。盗みをするような不届き者共からすれば、お前の家は格好の的でしかないだろうな。盗人が家に入り込んで来た時、その盗人に襲われたとしても、警察や私の所まで逃げ延びることが出来る程度の体力、精神力は持っておいた方がいい。そして、体力と精神力を鍛えるという面において、拳法の鍛錬というものはとても効率が良いのだ。どうだ?まだ八極拳を習う必要性はないと言い張るか?」
盗人が来たらとか、全部『たられば』の話じゃねーか!
ただ、『もしもの時のために…』というのは非常に大事だ。
もし親がクズだったら、もしアパートの外通路が崩れたら、もし転生したら、もしまた親がクズだったら、もし親が火事で死んだら、もし隣の席の同級生が型月定番の薄幸非処女系ヒロインだったら、もし麻婆好きの神父に目をつけられたら…
世界というのは『もしも』で成り立っている。
実際俺も親がもしもの時のために入っていた『保険』のお陰で生活ができている。
つまり、『もしも』に備えろという言峰の言葉にも一理はある。
たが、それを認めた上でも、もうこれ以上お前とは関わりを持ちたくない!!
「僕が八極拳を習った方がいい理由は分かりました。それでもやっぱり、僕なんかのために神父様の時間を削るのは気が引け「だから何の問題もないと言っているだろう。」
「お前と同じように、幼くして一人暮らしをしている少女がいる。その少女には護身術として八極拳を教えることは決定しているため、どうせならお前もと思って誘ったのだ。なので、お前が私の誘いを受けても、蹴っても、私の余暇が増減することはない。これでもまだ、私の誘いを受け入れられないか?」
クソ…何も言い返せない。
そして、何の理由もなしにこの男の誘いを断るのは怖いからムリだ。
「………僕ニ八極拳ヲ教エテクダサイ、師範。」
もしかしたら俺は、押しに弱いのかもしれない。
「私の名前は遠坂凛、これからよろしくね、並月アマエくん。」
「よろしくお願いします。年も近いですし、仲良くしてくれたら嬉しいです。」
俺は原作キャラクターを避けることを辞めた。
snの登場人物で絶対に関わってはいけない人物といえば、衛宮切嗣と言峰綺礼だと俺は思っている。
敵を殺すために味方や無辜の市民も殺す…アンパンマンになれなかった男と、他人の不幸や堕落でなければ生の実感を得られない破綻者、コイツらの近くにいた人間は基本ろくな目に合わない。
ならば、既に言峰綺礼に目をつけられた俺は手遅れだ。いつか散々な目に合うのは決定事項だと言っても過言ではないだろう。
では実際に災厄に襲われた時に俺が生き残るためにはどうすれば良いか…
それは、俺が困っている時に助けてくれそう、かつ助けられる能力を持つ人物に媚びを売ることだ。
そしてそんな人物の筆頭が遠坂凛。
普通に善性の、しかも非常に優秀な魔術師。
彼女と良好な関係を持つことができれば、俺の未来は明るくなること間違いなしだ。
ただ、気高く凛々しい彼女には媚びを売ったり胡麻を擦ったりしても無意味、というか逆効果な気がするので、畏まりすぎない、だけど失礼にはならない、親戚と話す時のような態度で接する。
「凛さんは僕の一つ上でしたっけ?」
「えぇ、小学校も同じだから、校舎内で会うこともあるかもね。この子桜と同い年か…あとで話を聞いてみよ。」
「二人とも挨拶はすんだか?お前達はこれから長い付き合いになるだろうから、双方とも早いうちに猫を被るのを辞めた方がいいぞ。」
「「うるさい、エセ神父。」」
「二人とも生気が有り余っているようで何よりだ。それでは今から指南を開始する。まずは準備運動からだ…
ー三時間後ー
「「ハッ! ハッ! ヤァッ!!」」
準備運動が終わった後は、言峰が俺達に型の手本を見せ、俺達がそれを真似するというのを繰り返していた。
水飲み休憩程度はあるが、ほぼぶっ続けでの3時間の鍛錬はなかなかにキツイものがある。
ただ、思った以上に鍛錬が楽しかったのは嬉しい誤算だ。
楽しくないものをこれからもやらされると思えば地獄だからな。
これくらい楽しければこれからも続けていけそうだ。
「やめっ!」
ピタッ
言峰の掛け声を聞いた俺達は、同時に型を中断し、言峰の方を向く。
「二人共初めてにしては上出来だ。」
「時間的に、そろそろ指南終了だ。最後に、お前達二人に組手をやってもらう。無論、危険な局面があれば私が間に入り止める、故に相手に気を使わずに全力で打ち込め。」
「「はい!」」
俺と凛は道場の真ん中で向かい合う。
出来ることならば勝ちたいが…さて、どうなるか。
「では、始め!」
掛け声と同時に凛の拳が向かってくるが、それを受け流す。
お返しに俺も拳を返すが、俺の拳も受け流される。
ふむ、実力差はあんまりなさそうだな。
それなら焦らずに堅実に行こう。
正拳、蹴り、掌、肘
俺が型に沿って技を出し、凛がそれを防ぐ。
最初のうちは拮抗していたが、段々と俺が優勢になり、凛は少しずつ後退する。
技の精度は俺の方が上みたいだな。
よし、このままいけば勝てる!
道場の壁際に追い込むと、凛が俺の技と技の間に強引に蹴りを放ってくる。
だが、俺はその蹴りを防ぎ、体勢が崩れた凛に崩拳をくり出す。
これは防がれるだろうが、ここで追撃を加えれ
………!?
崩拳を防ぐと思っていた凛の姿が俺の視界から消える。
どこにいったん
バシィ!
「へ?「勝負あり!」
目の前には俺の顔面に迫っている凛の足裏と、それを防いだ言峰の手があった。
何が起きた?
「何が起きたか分かっていないようだな。」
言峰が俺に声をかけてくる。
「お前は自分が打った崩拳を凛が防ぐと予測したが、実際の所凛は屈むことでお前の拳を避けた。『予想外の出来事』と『敵の視界からの消失』が重なることによって思考と動きが止まったお前に、凛はさかだち蹴りを放ったのだ。」
なるほど、しゃがんで避けて、その上逆立ちキックなんて、スゲ~や凛さん!…じゃねーよ。
「言峰師範?これって八極拳の組手なんですよね…それなのに逆立ちキックなんてカポエイラさながらの技なんて使っちゃっていいんですか?」
「ふむ、私は組手をしろと言っただけで、八極拳の技を使えとは一言も言っていない。それに、私はお前達には護身術として拳法を教えているのだ。護身術に必要なのは、何があっても対応できるような柔軟性、その点、凛の機転は素晴らしかった。逆にアマエ、お前は型にはまりすぎだな、もっと工夫をこらせ。」
クソ、何も言い返せねぇ。
でもな〜、応用とか工夫とか俺が一番苦手なことだし…
まぁ、とりあえずこれから頑張ってみるか。
「まぁ、何にせよ今日の指南はこれで終いだ。次の鍛錬の予定は後日伝える。二人共車に気をつけて帰りなさい。」
「「はい!」」
「最終的に勝ったのは私だけど、単純な技量だったら普通に負けてたわよね。はぁ、悔しいわね。」
「八極拳習い始めて初日なのに、技量も何もないでしょう。」
「それでも悔しいものは悔しいのよ。」
「そんなもんですか…」
一人暮らしをしている子供、現役JSとかなり共通点が多い以上、これからよく話すことになるだろうし、未来の俺のためにも早く仲良くなりたいので、凛相手に猫を被って恭しい態度をとるのは辞めた。
ちなみに敬語を使い続けてる理由は、なんか凛に『姉御!』って感じのイメージがあるからだ。
凛も自然体で話してきてくれたので、それは非常に嬉しかった。
家に帰る途中は、歩きながら凛と色々な話をした。
学校について、言峰綺礼について、隣の席の同級生について、一人暮らしについて、拳法について
両親のことについて…
「ウチの家さ、お父様が亡くなっちゃって、お母様は病気で、家では一人ぼっちで、正直悲しいし辛いんだよね。でも、私はこんなことじゃ挫けない。お父様の意志を継いで、私は私の夢を叶えるの。」
苦しみながらも、胸を張り前に進み続ける。
原作で知ってはいたが、現実の遠坂凛の凛々しさ、気高さはやはり格別だった。
「私ね、一人でずっと頑張っていくのだと思ってたんだ。でも、私はあなたという、同じ境遇の同士を見つけた。不謹慎で失礼だけど、私は両親を失ったあなたのことを綺礼から聞いた時、『仲間がいるんだ…嬉しい』って思っちゃった、本当にごめんね…」
「謝らないでくださいよ。自分が苦しい時に、他者の不幸を探してしまうのは普通のことです。」
そう、謝る必要は欠片もない。
だって俺はあなたの同士なんかじゃないからだ。
両親の死を悲しむことも、喜ぶことすらできなかった自分と貴女では、同士と呼ぶにはいくらなんでもかけ離れすぎている。
両親からの『愛』を受けて育ち、その『愛』が喪失したとしても、前を向く強さを持つ高潔な少女。
きっと、俺はそんな彼女に嫉妬している。
まぁ、
両親の死に無関心なことなんて普通のこと。
こんなことで一々劣等感を感じていたらキリがない。
「話少し変わりますけど、凛さんは普段ご飯どうしてます?俺結構カップラーメンとかインスタントで済ましちゃってるんですけど…」
「………」
「どうしました?」
「さっきから思ってたんだけど、『さん』付けはよそよそしいから、他の呼び方で呼んでちょうだい。」
………『さん』付けはイヤなのに敬語はそのままでもいいのか?
まぁそんなことはどうでもいいか。
ん〜、『さん』付けダメならなんて呼べばいいんだ?
心の中では呼び捨てにしてるけど、敬語で話しているのに呼び捨ては不自然だし、何より姉弟子を呼び捨てってのも……ん?
姉弟子…
姉、弟子
姉…
「『凛姉』っていうのはどうですか?」
「!いいわね。」
「なら決まりですね。それじゃさっきの質問の続きですけど、普段ご飯どうしてます?」
「ん〜、インスタントで済ましちゃうことが多いけど、それじゃ栄養バランスが悪いから、将来的には自炊しようと思ってるわ。だから今はそのために料理の練習をしてるの。聞く限り、あなた普段マトモなもの食べてないみたいだから、偶に味見もかねて、私の料理食べにきてくれない?」
「………偶にだったら、いいかもですね。」
「やった!」
私の返答を聞いた彼女はその場に跳ねることで嬉しさを表現する。
大人びていながらも、まだまだ幼さを感じさせる行動をとる彼女は微笑ましかった。
彼女を妬ましくは思うけれども、彼女が『嫌い』とは欠片たりとも思えない。
それはなぜだろうか?
『遠坂凛が妬ましく特別な存在であるのは当たり前のことだから』
『この嫉妬が憧れに近い感情だったから』
小難しい理由ならいくらでも考えられる。
でも俺が彼女を嫌いになれなかったのは結局、無邪気に笑う彼女が綺麗だったからなのだろう。
後になって思い返せば、これが俺の初恋だった。
「ふ〜ん、姉さんと友達なんだ……………
姉さんも、並月くんも、二人共楽しそうだね。」
自分の仲間を見つけた(勘違い)と思ってウキウキな遠坂
遠坂を通して『恋』を知って(あれ?オリ主転生者だよな?オリ主ってロリコ(殴…)、『愛』の認識に一歩近づいたオリ主
そんな二人を見て、いつも通り暗い間桐桜
………カオスだな。